水銀inアマッカス   作:そるのい

3 / 5
テンションが上がった結果
三人の詠唱を一気に載せたせいで、半分以上がそれで埋まった件
一応、構成は工夫しましたが見にくかったら申し訳ありません


決戦の幕開け―それぞれの思い―

 ここは黄金の獣の住まう城――グラズヘイム。

 その玉座では黄金の獣とツァラトゥストラ、水銀の蛇が正三角形を描くように立っていた。

 そこで口上を述べているのは普段のローブを脱ぎ捨て、軍服を着た水銀の蛇。

 

「既にスワスチカは全て開き、女神の輝きも外を向いた。故に、私の恐怖劇を最終章に進めるとしよう。さぁ、ツァラトゥストラに獣殿よ、倒すべき魔王はここにある。死力を尽くして挑みたまえ」

 

 その声に最初に答えたのは黄金の獣。

 

「あぁ、カールよ。私は私の生まれた意味を知った。私の本当の渇望を知った――私は総てを全力で愛したい! だからこそ、カール。卿を全力で愛したい(壊したい)!」

 

 ――ああ、いつも飽いていた。いつも飢えていた。生まれた場所を間違えたのだと、諦観して絶望していた。

 その檻を、壊してくれたのは卿だ、カール。感謝するぞ、礼を言おう。

 だからこそ、死力を尽くそう。それが卿と私の友情だ。

 

「私は今――生きているッ!」

 

 

 ――冗談じゃない。

 そんなことで俺の愛しい刹那を、日常を破壊したのか。

 

「そんなに輝きが見たいなら、太陽でも見上げていやがれ」

 

 俺の刹那を壊した報いを味あわせなければ気がすまない。

 

 ……あぁ、ただ彼女との出会いだけは感謝してもいいのかもしれない。

 

『ねえレン、わたしあなたに逢えてよかった』

 

 俺も君に出逢わなければただのガキで、それはそれで幸せだったのだろうけど――こんなにも、強く思える気持ちなんて知らなかったと断言できる。

 

『大好きだよ。離れたくない』

 

 そうだ、俺は彼女を愛している。

 

「だから、お前は消えろ。――マリィの世界はお前なんかが染めていい世界じゃないんだよ!」

 

 

 三者がそれぞれの主張を言い放った。もうこれからに言葉は不要。後はその力で語ればよい。

 

『Et arma et verba vulnerant Et arma.Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla(武器も言葉も人を傷つける 順境は友を与え、欠乏は友を試す)』

 

《Dies irae, dies illa, solvet saeclum in favilla.Teste David cum Sybilla.(怒りの日 終末の時 天地万物は灰燼と化し ダビデとシビラの予言のごとくに砕け散る)》

 

【Es schaeumt das Meer in breiten Fluessen Am tiefen Grund der Felsen auf,(海は幅広く 無限に広がって流れ出すもの 水底の輝きこそが永久不変)】

 

『Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit(運命は軽薄である 運命は与えたものをすぐに返すよう求める)』

 

《Quantus tremor est futurus, Quando judex est venturus,Cuncta stricte discussurus.(たとえどれほどの戦慄が待ち受けようとも 審判者が来たり 厳しく糾され 一つ余さず燃え去り消える)》

 

【Und Fels und Meer wird fortgerissen In ewig schnellem Sphaerenlauf.(永劫たる星の速さと共に 今こそ疾走して駆け抜けよう)】

 

『Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adiuvat(運命はそれ自身が盲目であるだけでなく、常に助ける者たちを盲目にする

)』

 

《Tuba, mirum spargens sonum Per sepulcra regionum,Coget omnes ante thronum.(我が総軍に響き渡れ 妙なる調べ 開戦の号砲よ 皆すべからく 玉座の下に集うべし)》

 

【Doch deine Boten,Herr, verehren Das sanfte Wandeln deines Tags.(どうか聞き届けてほしい 世界は穏やかに安らげる日々を願っている)】

 

『Misce stultitiam consiliis brevem dulce est desipere in loc(僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい)』

 

《Lacrimosa dies illa, Qua resurget ex favilla.Judicandus homo reus Huic ergo parce, Deus.(彼の日 涙と罪の裁きを 卿ら 灰より 蘇らん されば天主よ その時彼らを許したまえ)》

 

【Auf freiem Grund mit freiem Volke stehn.Zum Augenblicke duerft ich sagen(自由な民と自由な世界で どうかこの瞬間に言わせてほしい)】

 

『Ede bibe lude post mortem nulla voluptas(食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし)』

 

《Pie Jesu Domine, dona eis requiem. Amen.(慈悲深き者よ 今永遠の死を与える エィメン)》

 

【Verweile doch du bist so sch・n――(時よ止まれ 君は誰よりも美しいから)】

 

【Das Ewig-Weibliche Zieht uns hinan.(永遠の君に願う 俺を高みへと導いてくれ)】

 

『《【流出――Atziluth――】》』

 

『Acta est fabula(未知の結末を見る)』

 

《Du-sollst――Dies irae(混沌より溢れよ怒りの日)》

 

【Res novae――Also sprach Zarathustra(新世界へ語れ超越の物語)】

 

 詠唱が終わると同時に三人の存在感が著しく増し、特に蓮は赤い髪と青い目に黒い肌、禍々しい刃を両腕から生やしている姿に変わった。

 三人の覇道神の流出により空間に穴が開き、座への道が出来上がる。

 

 ――決戦の火蓋が切って落とされた




決戦本番は次の話
馬鹿ニートが即行でやらかします(遠い目
シュピーネさんの活躍もそこかな?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。