Plongez dans le "IS" monde. 作:まーながるむ
いやいや……ドイツ話はもともとリクエストでのパジャマパーティーが目的だったんですよね。
なかなか時間がかかりましたがドイツ編もそろそろ終わりです
「シャル、急がないとダメですよー」
「う、うん……で、でもこれでいくのは……」
「可愛いですよ?」
「そ、そりゃ……お気に入りだけど」
「早くしないとパーティ始まっちゃいますって!」
「う、うん……でも、これって少し過激じゃないかな……?」
少しどころじゃないです。すごく過激です。
でもパジャマの……ネグリジェの裾を恥ずかしそうに握るシャルは可愛すぎます!
その過激すぎるネグリジェというのも基本はオレンジ色なのですが……ほぼランジェリーなので大事なところ以外は透けてるんです。
イメージ的には下着の上に半透明の超ミニワンピを着ている感じでしょうか? 胸元がフリルになっていたりはしますがだいたいそんな感じで……うっすら見えるお臍がキュートです。
「でもアリサって普段からそれで寝てるの?」
「いえ、私も新しくおろしたんです。大人っぽいですか?」
シャルがうんうんと頷いてくれました……やたっ!
……私が着ているのもネグリジェなのですが私のはシャルのもののように透けているわけではなくシンプルな黒のネグリジェです。
裾が長いので少し引きずってしまうのですが、シルクなので肌触りが滑らかで気に入りました。
それで、どうして二日目の夕食前から寝巻きを見せあっているのかと言うと……まぁ、一つは昨日の夜があんなだったのでまともに見せあいっこができなかったということ。そしてもう一つはこれからパジャマパーティがあるからです。
「うぅ……やっぱり、もう一つの方に……」
「もう時間がありませんって!」
「で、でも……アリサ以外にこんな格好見せたくないよぉ……」
……!
…………も、もう。
織斑君はいないんですから大丈夫ですって。
あぁ、いえ、織斑君が一人寂しくしていると言うわけではなくてですね……あの野郎やりやがりましたよ。
今日はラウラさんとデート……明日は鈴ちゃんとデートだそうです。優柔不断と言うかなんと言うか……しっかりしてくださいよ!
こんこん
……私が心のなかで織斑君を絞めていると控えめに扉が叩かれました。
「はい?」
「お姉様……あの、体調でも悪いのですか……?」
扉を開けないままエリーちゃんが気遣わし気に尋ねてきます。
……はて?
体調が悪いってどうしてそんなことを……って、パジャマパーティに十分以上遅刻してるじゃないですか!
「エリーちゃん、ごめん! シャルがわがまま言うので手こずってるだけです! すぐ行きます!」
「あっ、僕のせいにしてっ! ……あ、まぁ、僕のせいでもあるけど……」
シャルが恥ずかしがるからじゃないですか!
本当に可愛いので大丈夫ですって!
「で、では先に行っていますので、お姉様たちも来てくださいね?」
「はーい、了解ですー」
エリーちゃんは優しいですね……私とシャルの仲直りまで手伝ってくれて、今も遅れているのを心配してわざわざ来てくれるなんて……
天羽もエリーちゃんみたいな子をお嫁さんにしてほしいです。
……あ、それいいですね。年齢も近いしそうすれば私とエリーちゃんも名実ともに義姉妹になれますし!
私はエリーちゃんも大好きですからね……
「む~っ! またエリーちゃんのことばっかり!」
「あっ、いえっ……そんなことはないですよ?」
「……ほんと?」
ああ!
胸に手を当てて上目遣いで私を見てくるシャルのなんて可愛いことか……!
だ、ダメです!
我慢できません!
「シャル~! ……ちゅっ」
「ぅむっ!? …………も、もう! お、遅れちゃうよ!」
っは!
そ、そうでした。
皆さんを待たせるのはよくありませんからね!
早く行きましょう!
「アリサ、手、繋ご?」
「ふぇっ!? は、はい……」
「…………アリサを放っとくと迷いそうだからね」
「えぇ!? そういう理由ならお断りですっ!」
「もう離さないもーん。それに、今だって真逆に走り出そうとしてたし……」
「うぐぅ……」
い、急ごうとして道を確認し忘れることくらいよくあることじゃないですか!
え……ありますよね?
「だから迷子になりやすいんじゃない……?」
「つまり、確認し忘れることなんて早々ないということですか……!?」
私、日常的なことでこれほどのショックを受けたのは久しぶりかもしれません……
というか、私は迷子になってなんか……
「そう! あえて未知の道を選ぶというチャレンジャー精神に満ち溢れているんですよ!」
「おー、未知と道と満ち溢れてるをかけたんだね」
か、かけてません!
今のは偶然で……ですが織斑君のあれに影響を受けているという可能性も……
「はいはい……じゃあ行こうか」
「そ、そんなおざなりな反応だけで、って、引っ張らないでくだ……あぁ、でも手を離しちゃヤです!」
「もー、ただでさえ遅れてるんだから! あんまり抵抗するとお姫様だっこしちゃうよ!」
え!?
お、お姫様だっこですか!?
い、いや、そんな恥ずかしい真似……も、もちろん私も女の子なので憧れとかはありますけども筋肉ばかりで重いですし……
えと、そのー、あのー……
「……お願いします」
「ふぇっ!?」
意を決して言ってみると……シャルが豆鉄砲を食らった鳩のような顔をしていました。
……あ、あれ……もしかして冗談でした?
「……うん! 任せて♪」
「きゃっ! ……えへへ」
お姫様だっこはいいものですね。
◇
「おまたせー」
「お、お待たせしました……」
あ、あの、シャル?
その、お姫様だっこのままで部屋の中に入る必要はなかったと思うのですが……皆に注目されちゃってますってぇ……
「まったく……朝に別れて昼に仲直り、夜にはイチャつくって訳?」
「私たちが手を出さなくても平気だったかもしれませんね。お姉様?」
「あぅ……その節はご迷惑をおかけしました……」
でもでも、皆さんのおかげで私とシャルの間の絆はずいぶんと強固なものになったはずです!
これからは鉄鎖のごとく硬く、そして永い愛を誓います!
……なんだか結婚するみたいですね。顔があっつくなっちゃいます。
「しかしシャルのもですがセシぃのネグリジェもえっちぃですね」
「そうでしょうか……?」
セシぃのは青いすけすけなのですが……胸がシャルより大きいから余計に、というより無駄に扇情的です。
一方で鈴ちゃんはというと普段通りの見慣れたTシャツと短パンでした。お臍がちらりと見えたり太股がほとんど露出しているので健康的な魅力を感じます。
「……あいかわらずというかなんというかアリサってファッションの表現が親父っぽいわね」
「そ、そんなことないですよ!? ええ、そんなことありえません」
「お、お姉様……私の夜着はどうでしょう……」
「エリーちゃんは……」
エリーちゃんのパジャマを見ようと振り返った瞬間……
世界が、止まりました。
「か、可愛すぎます……!」
「……アリサ、またエリーちゃんばっか……」
「はっ!?」
シャル、ごめんなさい!
……でもですよ?
今のエリーちゃんは十人中十人がかわいいって言うこと間違いなしです!
黒を貴重に白いレースやフリルをふんだんに使ったナイトドレス。それに同様の意匠で飾られたナイトキャップがエリーちゃんの少女らしさを強調しています。
それにシュヴァルツェ・ハーゼの隊員の証である黒い眼帯も今は外していて……べりーべりーきゅーとです!
シャルが口を尖らせていなければ抱き締めていたところです!
「ところでパジャマパーティーってなにするものなんですか?」
企画したのは……鈴ちゃんでしたよね?
パジャマパーティーの内容というものはよくわからないのですが……楽しく騒げばいいのでしょうかね?
「その前に、どうして私の寝巻きには何も言わないんだ!」
「え? いや、箒さんのはコメントしにくくて……」
「いや! なにかあるだろう! せめて一言くらい!」
まったく……自分だけはぶられてるとか被害妄想ですよ?
それに本当にコメントしづらいんですって……まぁ、一言でいいなら……
「白襦袢ですね」
「……もういい。それで、何をするんだ?」
皆さんの視線が鈴ちゃんに集まります。
鈴ちゃんは半分困ったような顔をして私たちを見回していますけど……
「いや、騒げばいいんじゃない?」
「何をするかもわからないのにどのようにして騒げばよろしいんですの?」
「は? いや、だから適当に喋ったり……?」
それならわざわざ集まらなくてもいいような気がしますけど……
それとパジャマを来てきた意味もよく分かりません。暗くなったとはいえまだ寝るには早すぎますし……
「いや、だから特別なにかをするって訳じゃなくて……ほら、合宿とかで泊まると寝る前に意味もなく盛り上がったりするでしょ?」
「わたくしの中学校は私立でしたので宿泊行事の類いは全て個室をいただいていましたわ」
「それに早く寝ないと次の日の活動に支障が出てしまうだろう」
「私は基地から外に出たことがありませんし」
私は……そもそも学校の宿泊行事なんて体験したことがないですね。不登校でしたし……それに私、暗い部屋で横になるとすぐに眠っちゃうので。
「うわ、あんたたちマジ? はぁ……シャルロットは分かるよね?」
「ん? んー……まぁ、僕はあんまりお金に余裕もなかったから公立通ってたしね。なんとなく宿泊行事で寝るのがもったいなくなるってのは分かる気がするかな?」
「そう! それよそれ! だからせっかくの旅行なんだしパジャマで集まってそういう気分でって…………思ったんだけど……」
私たちの反応があまりに悪すぎたからでしょうか……鈴ちゃんがへこんじゃいました。
でも、えと、私たちは嫌だというわけではないのですし、鈴ちゃんがせっかく考えてくれたことなので楽しみたいとは思ってるんです!
……ただ、どうすればいいのでしょう……?
「シャル……その宿泊行事の時はどんなことを話したんですか?」
「えっ!? えっと、その……あの……」
シャルが話したことをお題みたいにして話してみれば雰囲気はつかめるかもしれません。
……とはいっても、私自身、あまり話すのは得意ではないのですけど。多人数相手に会話をすることはあまりないですから……
「えと……」
「シャル? どんなことを話したんですか?」
「その……だから…………好きな人とか」
なるほどなるほど。恋バナという奴ですね! アリサ、覚えました!
……あれ?
でもシャルが通っていた学校の宿泊行事ということはシャルと私が知り合う前ということで……えと……
「あの、その時のシャルに好きな人はいたんですか……?」
「あぅ……だから言いたくなかったのに……」
言いたくなかったということは言えないようなことがあったってことですか!?
……いえ、私と出会う前のことなのでいいんですけどね。いいんですけどね!
私がシャルを想っていたときもシャルの気持ちは別の人にいっていたと思うと……
「でもほら、今はアリサが好きだよ?」
「私もです! ……で、誰なんです?」
その程度のことで誤魔化されませんよ!
……いえ、ここまでして聞き出したいことではないのですが引き際が……
「ど、どうしてこだわるの?」
「え? それは……シャルのことならなんでも知りたいですから……」
「そ、そっか……えと、幼馴染の男の子なんだけど……あ! 今はなんとも思ってないよ!?」
「だ、大丈夫です……よ、余裕です、よ?」
「アリサ泣かないでよ~」
泣いてませんよ!
ちょ、ちょっと目にごみが入っただけで……私がシャルにとって最初だったらよかったのになんて……全然、考えてません……
「こほん……」
見かねたセシぃが咳払いを一つ……あ。
「仲がいいのは分かりましたからあまり見せつけないで下さいな?」
「もう秋だってのにやけに暑いな。エリー、空調を、」
「既に下げました」
エリーちゃんまで……皆さん顔が赤いですし……
別に見せつけようとしていたわけではないんですけど……えと、その……
「ごめんなさい……」
「独り身には辛いものがありましたわ」
「うぐぅ……そ、そういうセシぃはどうなんですか!? 今好きな人と昔好きな人を私のシャルが言ったので皆さんも答えるべきです!」
「わ、私のってそんな……アリサ、恥ずかしいよ……」
照れるシャルが可愛いのでいいんです!
とりあえず抱きつきます!
……うーん、お腹もふにふにとしていて暖かいですねぇ。太腿もきゅっと引き締まってますし……
「あの、アリサ……?」
「はっ!?」
……危ないところでした。
つい、皆さんの目の前でシャルを押し倒してしまうところでしたよ。
「……アリサ、手」
「へ?」
「その……さすらないで……?」
……ふぁ!?
き、気付かない内にシャルを内腿を撫でさすっていたみたいです……いえ、だって好きな人とのスキンシップは体が自然と求めちゃうものなんですよ!
これは人としての
「アリサ、とりあえずあんたはシャルロットの子供は産めないから」
「いえいえ……鈴ちゃん、私たち人間の頭脳とはものすごいものでですね……くすくす」
「ど、どうしたのよ……?」
いや、もう笑いが止まりませんね!
私も知ったのはつい最近のことなんですけど……
「iPS細胞というものがあってですね……それを応用すれば私たちのような女の子の間にも子供が作れるのですよ! ……まだそこまでの技術は確立されていません。ですがiPS細胞の第一人者であるY博士は私たち百合っ娘の夢を叶えるために日々研究を続けてくれています!」
「難病治療のための技術をそんなアレなとのにしないでよ……」
「アレってなんですかアレって!」
まったく……難病治療も大切ですけど私とシャルの子供だって大切じゃないですか!
し、試験管ベビーだっているんですから倫理的には問題ないはずです!
エリーちゃんがいるので口にはしませんけどね!
「……で、皆さんの恋バナは?」
「わたくしは特定の男性に心を奪われたことはありませんわ」
「セシぃ……織斑君は?」
「なっ……! わ、わたくし勝てない戦はしない主義ですの」
…………まぁ、そういうことにしておきますか。鈴ちゃんたちに気を遣っているんでしょうし。
「私は今も昔も一夏が好きだし……箒もでしょ?」
「あ、あぁ、そうだな……」
……えと、文句を言うわけではないのですけど盛り上がりに欠けません?
もちろん私も昔からシャル一筋なのですけども……
「エリーちゃんはどうです?」
「私は……今一番好きなのはお姉様です」
「いえ、あの、」
「お姉様ですよ? ふふっ」
……まぁ、嬉しいんですけどね?
エリーちゃんには本当の恋ってものを知ってほしいですよね。
私に向けられているのはやっぱり憧れだと思うんです。
鈴ちゃんたちは騙されたみたいですけど……
「恋するお姉さんにはお見通しですよ」
目を見たら……分かっちゃいます。
「私がしてあげられること、何かないですかねぇ……」
「お姉様……?」
「なんでもないですよー?」