Plongez dans le "IS" monde.   作:まーながるむ

75 / 148
こっから更新再開分


62. Un mariage heureux heureux.(2)

「いやー、でっかい街ねぇ。何でこんなにショッピングモール建ってんのよ。一つに纏めりゃいいじゃない」

「んー、それぞれの客層が違うので。例えばあそこはちょっとした小金持ちが行くようなお店が集まってますし、そっちは子供向けの玩具や生活用品を、つまり家族向けですね」

「へー、アリサはここらへん詳しいの? IS学園に来るまではずっとフランスだったんだよね?」

 

 あ、少し詳しすぎましたかね? シャルが意外そうな顔で私を見てます。

 ……まぁ、ここらへんがママの地元だっただけなんですけどね。日本のことについて多少の知識があるのもそのためです。

 でも、やっぱり実際に見てみるとママの記憶と違うところがいくつかありますね。

 というか結構分からないものが多いです……

 

「アリサ、こんなのもらったわ!」

「……鈴ちゃん、それ、誰からですか?」

「ん、あそこの黒人だけど……それが?」

「捨ててきなさい」

「なんでよ?」

 

 なんでも何も、そんな適当にパッキングされた白い粉。どう考えたってイケないおクスリじゃないですか!

 

「なに言ってんのよ? こんな人の多いところで犯罪行為するわけないじゃない」

 

 む……確かにすぐそこに交番ありますし。

 でも、だとしたらその粉はいったい……?

 

「リン、お店の人はなんて言ってたの?」

「えっと……『HEY!! cute girl!! Please hold this hmm……か、カタクゥリコ? please! Please so much!』とかなんとか……?」

「怪しすぎますよ!?」

 

 なんで片栗粉だけ日本語で言ったんですか!?

 というか相手も滅茶苦茶慌ててるじゃないですか!

 

「他にはなにも?」

「んー……警察のサイレンが聞こえた途端に走ってっちゃったし……あっ『Don't show it any people and don't lose it!!』って……なんて意味?」

 

 聞き取れてるのに……鈴ちゃん、英会話ダメですもんね。

 最初の方から日本語にしてみると……『嬢ちゃん! ちょっとこの、えっと、片栗粉? 預かっててくれよ! お願い! マジお願い!』『誰にも見せるなよ! あと失くすな!』ってところでしょうか?

 …………はぁ。鈴ちゃん、

 

「その人、完全にお巡りさんに追われてますよね!? いいから早く捨ててください!」

「でも、その人たち、あとで取り返しに来る気じゃないかな? そうなると捨てるとかえって僕たちが危険になるかも……?」

「……はぁ。なら私が持ってますよ。私なら隠し通す自信がありますし」

「まぁ、悪かったわよ。はい。でもなんで片栗粉がダメなのかしら……?」

 

 だから絶対片栗粉じゃないですって!

 こうなったら二人の目を盗んで下水溝にでも捨てるしか……とりあえず交番から離れましょう。

 内容は聞かれていないようですが騒ぎすぎているので目を付けられたら、

 

「近頃の若いもんはこれだから」

 

 そうそう、こんな感じで面倒なことに……!?

 

「お、お兄さん。私に気取られずに背中をとるとは、なかなかの使い手ですね……!」

「や、そんな警戒心出されても困るんだが……」

「って、あれ? ……スーツ? 私服警官ですか? というかお兄さんも最近の若いもんですよね!?」

「俺をあんな狗ころと一緒にするんじゃねぇ……あとこう見えてそろそろ三十路の独身だ! うわ、自分で言ってて空しい」

 

 お、お若いですね……

 ……でもいきなり大きな声出さないでください。ビックリしちゃうじゃないですか。

 鈴ちゃんとシャルは完全についてこれてませんね……

 

「あぁ、そっちの嬢ちゃんたちもお仲間か? なぁに、カタギに手は出さねぇからそうビクビクしないでいい」

「カタギて……あれ、もしかして、あの、そちらの……方でしょうか?」

「おう、泣く子も黙るひばりーひるずの鶴見組たぁ俺らのことよ。まぁ、下っ端だけどな!」

「はあ……」

 

 どうましょう。

 なんで、こんな人に目をつけられてしまったんです?

 まさか、スカートの裏ポケットに隠している『ま』のつくおクスリが狙いですか!?

 あれ!? てことは私ここでスカート脱がされちゃうんですか!?

 そ、それどころか「まだ、隠してるんじゃないのかぁ? パンツの中も確認しちゃうよー? げへへ」なんてことになったり……いえ、もしかしたらさらに「じゃあ、この中はどうかなぁ!? うぇっへっへっへ」なんて言いながら私の女の子の部分にまで……あぅあぅ

 

「じょ、嬢ちゃん? やけに顔が赤くねぇかい? 熱でもあるのか?」

「わ、ほんとだ! アリサ、大丈夫!?」

「わ、私が身代わりになるのでシャルたちは逃げてください……!」

 

 しゃ、シャルの貞操は私が守るんです!

 ……でも、万が一、シャルとそういうことができる関係になったとき、私が処女じゃなかったら軽蔑されるでしょうか……?

 男の経験があるくせに女の子を抱くなんてサイテー! とか不潔、触らないで! とか言われちゃうんでしょうか……?

 ……いえ、考えてみればヤ○ザさんに連れられたら、そのまま売り飛ばされるんでしょうね。

 そっか……シャルとはもう……会えなくなっちゃうんですね……

 こんなことになるなら……せめて、好きって、伝えたかったです。

 でも、もう遅いですよね?

 こんなシチュエーションで告白したら、一生、シャルを縛ってしまうことになるかもしれませんし……

 ああ、そういえばこの粉はもともと鈴ちゃんが持ってきたものでした……私がこの粉のために身売りされたら、鈴ちゃん、傷つくでしょうね……鈴ちゃんのせいなのは間違っていないんですけど。

 でも、だからといって誰かを身代わりにするわけにもいきません。

 二人を守れるなら、私、怖いのだって恥ずかしいのだって我慢できると思います……たぶん! おそらく! きっと! ……もしかしたら!

 

「……だから、二人とも、」

 

 ふらっ

 

 あれ……?

 景色が、歪む……?

 そんな、それじゃ、二人までヤられちゃいます……!

 いえ、変な意味ではなくて……っあ

 

 ◇

 

「「アリサ!?」」

 

 かくん、とアリサの膝から力が抜けた。

 アリサ、本当に熱があったのかな? もしかして熱中症とか……?

 日本はフランスと比べて暑いし、水分補給とかしっかりしてなかったのかな……?

 

「こりゃあ、大変だ。嬢ちゃんたちも付いてきな」

 

 気を失ったアリサをおじさんが近くに停まってた車の後部座席に乗せた。

 真っ黒な車なんて珍しいね。向こうじゃマフィアの代名詞だけど日本でもやっぱりそうなのかな?

 少し心配だけど……アリサがあんな状態なんだから着いていくしかないよね……

 

「シャルロット……大丈夫なの?」

「アリサをあのままにするのはちょっと……それに、さっきの粉のこともあるから。一応、専門家だし……」

「まぁ、いざとなったらISもあるしね」

「そういうこと」

 

 でも、ひばりーひるずの鶴見組って言ってたよね……ここからだと結構遠いはずなんだけど。

 まぁ、どこか休める所まで連れてってくれるってことだよね?

 車に乗り込んだら運転手の人が笑いかけてくれた。見た目は執事風なんだけど……あの手袋の中、小指ないよね?

 日本のマフィアは責任とるときに小指を斬るんだっけ……?

 

「銀二兄、お嬢に説明しておかないとどやされますぜ?」

「あぁ……確かにな。お嬢のことだから人身売買と勘違いされそうだ。まぁ宗助が止めるだろうけどな」

「お嬢も宗助の言うことだけは大人しく聞きますからねー」

 

 二人でハハハハと笑いあったあと銀二さん、つまり僕達を車に乗せた人が車外で電話をかけ始めた。

 お嬢って人のところかな?

 へー。

 この人たちの組では人身売買はしないんだ。

 マフィアはなんでもするって思い込んでたけど……もしかしたら早とちりなのかも。

 電話を終えた銀二さんが助手席に座って車は走り始めた。

 

「あー、嬢ちゃん方」

「なによ?」

 

 少し困ったように笑って銀二さんが話しかけてきた。

 というかリン、アリサが心配なのは分かるけど刺々しすぎるよ。

 

「三人とも外人さんだよな?」

「まぁそうね。私が中国、この二人がフランスよ」

「なるほどなぁ……あー……うちのお嬢のこと、大目に見てやってくれ」

「へ? なに、会うの?」

「まぁ、興味持っちまったみたいでな……それに、嬢ちゃん方も困ってることがあるんだろ?」

 

 来た……!

 どうしよう。

 こういうのはアリサが機転を利かせるのに……アリサがどうしようと思ってたか分からないし、とにかくアリサが起きるまで話さないでおこう。

 アリサを挟んで向こう側に座っているリンと頷きあう。

 やっぱりリンも同じ考えみたいだね。

 

「お嬢ってどんな人なの?」

「人ってぇより子だな。中学生だ。ただ裏表があるな」

「中学生……」

「あぁ、でも強いぞー。組内ランキングでは上位に食い込む程だ」

 

 お、女の子なんだよね……?

 大人の男の人ばっかりのはずのマフィアの中でも強い方って、彼女が強いのか大人たちが弱いのか……?

 まぁ、アリサとかラウラほどってことはないだろうけど。

 でも中学生でそうだとすると……末恐ろしいね。

 

「ただお嬢は見た目が少し変わっててな」

「……?」

「すごい、美人なんだ」

「あ、はぁ……」

 

 真顔で言われるからもっと深刻なことだと思ったら……

 

「いやいや、そんじょそこらの美人さんと思っちゃいかん。そうだな……嬢ちゃん方よりも、美人だな」

「む……そこまで言うなら会ってやろうじゃないの」

 

 リン、なんで中学生相手に対抗意識を燃やすかな……

 でも、強くて可愛いってアリサみたいな感じかも。キャラが猛烈に被ってます! とか言い出したりして。

 あ、でも美人ってことはアリサとはちょっと違うか。美人系って言うと箒とか三好さんみたいなキリッとした大人っぽさなのかな?

 まぁ、箒は見た目だけというか、中身は普通に年相応だけど。

 アリサ、大丈夫かなぁ?

 まったくもう!

 大会で大ケガするし、海では溺れた挙げ句に風邪ひいちゃうし!

 ……もう少し自分を大事にしてほしいのに。

 今回だって調子悪いなら素直に言ってくれれば出掛けるのも止めたんだし……

 

「ところで、どこ向かってるのよ?」

「あぁ、ブラ、ブラインドショップ……だったか?」

「ブライダルショップですよ」

 

 銀二さんの間違いを運転手の人が訂正する。

 ブライダルショップってウェディング関係だよね……? 中学生にはまだ用事はないと思うんだけど……ファミリーの誰かが結婚するのかな?

 

「いやぁ、お嬢の友人の店だな。まぁ、金持ちの道楽みたいなもんだろ」

 

 副業みたいなものかな?

 でも、なんでそんなところに……?

 

「いや、そこのピンクの嬢ちゃん休ませねぇと。俺たちもお嬢を迎えにいく途中だったわけだしな」

「はぁ……」

 

 でもそんな勝手な用事でいいのかな?

 相手はお仕事なわけだし、迷惑だと思うんだけど……

 

「まぁ、平気だろ」

 

 ◇

 

 ん……頭がヒンヤリしてます。

 私は何を……?

 鈴ちゃんとシャルと私で遠出して、そこで鈴ちゃんが白い粉を……あっ!

 

「ふざけんな! 何で私がこんなことしなきゃいけないんだよ!」

 

 ……いえ、今のは私じゃないですよ?

 たまたま部屋の外から聞こえてきた声です。

 というか、ここどこでしょう?

 パッと見では美容院に似てるんですけどカットと言うよりメイク専門のような部屋です。

 

「だーかーらー、絶対に着ないつってんだろ! ……いや、そりゃ、私だって女だから? 憧れみたいのは、うん、あるよ。でも、結婚するわけでもないのにウェディングドレスを着たら婚期が遅れるって……」

 

 なんだかキャンキャンした感じの声が聞こえてきました……ヤクザに連れ去られたはずなんですけど、どうしてウェディングドレス?

 何かの隠語なんでしょうか?

 ウェディング……花嫁……ブーケ……わかりませんね。

 とりあえずのどが渇きました……あら、ちょうどいいところに水が……あれ、これ匂い的にお酒、

 

「なんで、宗助の名前が出るんだよ!? いい! 呼ばなくていいって! やっ、ちょ、おーすーなー! ……きゃっ!?」

「っ!? っけほ!」

 

 バタン、という音と共に扉が開いて女の子が入ってきました。

 というかそれに驚いて飲んじゃったじゃないですか! 禁止例だされてるのに!

 入ってきたのは女の子でした……というより無理矢理押し込められたような感じですけど……あ、わかりました。やっぱりここはヤクザの本拠地なんですね。あの子も私と同じで被害者なんでしょう……シャルと鈴ちゃんは別の部屋でしょうか?

 

「痛てて……っておい! 今鍵閉めただろ!? 絶対に着ないんだからな! ったく……ご丁寧にドレスまで用意しやがって」

 

 入ってきた女の子はよくよく見ると美少女です。

 背中まである髪は真っ黒で一本一本が分かるくらいサラサラです。そして陶器のように白い肌。肌の色からは虚弱そうに見えてしまうのでしょうが、長い睫毛に黒目がちで気の強そうなつり目と紅を引いたような唇、それに若干アレンジされた朱色の着物が見る人に活動的な印象を与えます。

 うーん……これは、三好さんレベルの美少女ですね。

 化粧の痕跡がなさそうなところを加味すると三好さんよりも上かもしれません。

 

「だぁ! くそったれ! やっぱり鍵閉まってやがる! おい、こら、銀二ぃ! 覚えてろよ!?」

 

 問題は口の悪さ、ですかね?

 でも、これだけ美少女だとかえってこれくらいの方がいいような気も……って、私は何を真面目に美少女考察をしているんでしょう……

 

「あの……」

「ああん? ……って、目ぇ覚めた……じゃなくて。あら、目を覚まされたのですね。お加減はいかが?」

「え? えと、あの、元気、です?」

「そう、それはよかった。私は鶴見(つるみ)唯華(ゆいか)と申します」

 

 あれ……日本人の名前ですね。髪の毛とか目鼻立ちとかすこしヨーロッパ系かと思ったのですけど。

 ハーフ、でしょうか?

 

「あら、怪訝な顔。私は正真正銘、日本人の両親から生まれた日本人です。この髪の毛は……隔世遺伝、というものらしいです」

「なるほど……えと、鶴見というと……鶴見組の……?」

 

 鶴見組という組には聞き覚えがあります。

 と言っても気絶する前に話したヤクザのお兄さんが言っていたのを覚えていただけですけど。

 私の勘違いじゃなければこの子は“お嬢様”ではなくていわゆる“お嬢”ということになります。

 

「……あの、ここではその話はしないでいただけます? その、友人のお店なのですが秘密にしているので……」

「あっ……その、ごめんなさい」

 

 眉毛をハの字にして困り顔をされてしまったので反射的に謝ってしまいました。

 浅慮でした。

 やっぱり直接ヤクザの娘ですよね、なんて聞かれて気分よくなる人なんていませんよね……

 私だってフランスでは、あぁ奥さんが怖い不破さんのお家の子ね、なんて言われてましたし……

 あぁ、本当に申し訳ないことをしました……

 

「いえ、お気になさらないでください」

 

 ところで、ずっとスルーしてましたけど口調が豹変したことにツッコミを入れた方がいいんでしょうか?

 先ほどの乱暴な言葉遣いが幻だったかと思ってしまうくらい自然にお嬢様然としているのでスルーしたのですが……

 

「あの、ところで私はどうしてここにいるのでしょうか?」

「ええと、貴女が街の方で倒れられたとかでウチの銀二が連れてきたと聞き及んでおりますが……」

「銀二……?」

 

 最後に話したあの人でしょうか?

 迷惑かけてしまいましたね……

 

「それで、ここは? 見たところメイクサロンみたいですけど……」

「あぁ、ウェディングドレスを試着するためのメイクルームです……もう、私は着る気なんてないのに……」

「えー、ウェディングドレス可愛いじゃないですか。それに先ほどのジンクスが、と言ってましたけど白のウェディングドレスじゃなければ平気なんですよ?」

 

 ちなみにウェディングドレスって白以外の色でもいいんですよね。ピンクとか水色なんかのパステルは最近多いですし、それこそ黒でもいいんです。

 まぁ、それでも私は純白に憧れますけどね。

 

「本当かっ!?」

「え、えーと……はい」

「そっか、そうなんだ……なら、少しくらい着てやっても……仕方なく、仕方なくな。別に宗助に見せてやりたいとかじゃねえよ……ぁ」

 

 おお、ツンデレです。

 というか呟きの最後の方で気付いたみたいですけど、口調が戻っちゃってます。

 宗助さん……さっきも何か言ってましたね……ということは、

 

「宗助さんって唯華さんの恋人ですか?」

「ばっ! おま、違……まだ違います!」

 

 カァっと瞬時に唯華さんの頬っぺたが赤くなりました。

 これは……いじり甲斐がありそうです。

 

「“まだ”?」

「だからそういうんじゃね……そういうのでは、」

「素でいいですよ?」

「あっ、あぅ、うぅぅぅ~! お前、性格悪いな!」

「あぁ、そんな仔犬みたいに唸られたら……」

「う、唸られたら……?」

 

 少し怯えたように後退る唯華さん。

 警戒心丸出しな様子が飼い始めの仔犬みたいで……あぁ、これが“萌え”という奴ですか!

 なるほど……これは、世の男性が虜になってしまうのも理解できなくないです。

 

「お、おい……? また、調子悪くなったのか?」

 

 唯華さんが急に黙り込んだ私を心配そうに上目使いで見てきます。

 あぁ、凄い綺麗なのに男言葉。美人だけど性格は可愛らしい。ぶっきらぼうだけど実は優しい。

 これが……これがギャップ萌えなんですね!

 これはもう……抱き締めて可愛がるしかないです!

 

「ぬぉ!? なんだお前!? 百合か!? 百合なのか!?」

「好きな子がたまたま女の子なだけです!」

「それを百合って言うんだろぉ!」

 

 きゃー可愛い!

 こっちを気遣って無理に暴れないところとか、もうシャルがいなかったら恋してます!

 ……いいでしょう。

 認めましょう。

 

「私は百合っ娘です!!」

「そんなこと、宣言するなぁ!」

 

 あぅ!

 うむむ、引き剥がされてしまいました。

 でも諦めません!

 可愛いものを愛でて何か問題ありますか!? いいえ、ありません!

 ということで、もっかい抱きっ!

 

「だぁぁぁあ! 暑いわ!」

 

 おしあいへしあい、くんずほぐれつ、にゃんにゃん状態です。

 なんかもう朝に鈴ちゃんがセットしてくれた髪型とかミニスカートとかいろいろ大変なことになってる気がしますが気にしません!

 誰に見られたとしても今なら自信をもって可愛いは正義ですと言える気がします!

 

「へぇ……僕達は心配してたのに……?」

「だって唯華さんがこんなに可愛いん、で…す……よ?」

 

 なんで、シャルが?

 いえ、鈴ちゃんもいますけど、どうして?

 

「あーあ、私は関係無いからな」

 

 え、ちょ、唯華さん?

 何でそんな修羅場から逃げだすような感じで去っていくんですか?

 しかも、私に背中を見せないようにして……しかもシャルの背中に隠れて怯えたような顔しないでください!

 ショック受けちゃいます。

 

「ア、リ、サ?」

「うひゃぁ! シャル、誤解しないでください! 私は可愛い女の子を愛でていただけでなにもやましいことはしていません!」

「ふーん……唯華さんはお嫁にいけない、ってポーズだけど?」

「私が責任をとって貰ってあげます!」

「へぇ……それならアリサの奥さんがいっぱいになっちゃうね」

 

 ……ん、それどういう意味です?

 私、そんなたくさんの人に責任とらなきゃいけないようなことをした覚えは……やっぱり全くないです。

 

「私がなにかしたのって、誰です?」

「そ、そそそ、そんなことはどうでもいいの! とにかく、謝ってあげて!」

 

 ……?

 なんで真っ赤になったんですか?

 

「えっと、はい……唯華さん、ごめんなさい」

「……すっげぇ複雑だけどいいよ。というか、お前、酔ってるんだろ? 仕方ないって」

 

 そうかもしれません。

 さっき一口飲んじゃいましたし……

 

「「え゛」」

 

 なんでシャルと鈴ちゃんはそんなに驚いてるんですか?

 




鶴見唯華(つるみゆいか)
活動報告の方から友情出演
頭の中で構想しているラブコメのヒロイン
性格はまぁ、お嬢らしくアグレッシブ? サバサバしてるいい女、でも好きな人(宗助)には遠慮気味かつ独占欲強し
そして中学生です(ここ重要

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。