Plongez dans le "IS" monde. 作:まーながるむ
ラストサン隊が動き出してからは段々と占領された都市や地域なども開放していって、三割程の国土を回復したと言えましょう。
今日の戦闘は、本来オーレリアのものであった海域を再び手中に収めるための空戦。
すれ違い様に敵機の尾翼に手刀を落とします。
「……一」
さらに一機目の後ろに隠れるように飛んでいた機体の尾翼をもぎ取り、遠くに飛んでいる機体の尾翼に向かって投げつけ……撃墜ました。
「これで三……」
破損させた機体が爆発したりしないかを心配しながら、私に向かって飛んでくるミサイルを
「四っ!」
最後の一機も上から飛び乗るようにして襲いかかり、尾翼だけを破壊して離脱しました。
……これで、敵部隊を全滅させたはずです。
「こちらガーリートーク。攻めてきた部隊を、」
「嬢ちゃん! 敵にケツ見せてるんじゃねぇ! 狙われてる!」
え……
ハリスさん――オランジェの声とほぼ同時にミサイル警告音が鳴り響きました。
ロックオンからミサイル射出までのタイムラグは僅か。
完全に油断していた私は有効な回避行動をとることが出来ず、
「……もらってくぞ」
……私とミサイルの間にミハエルさんが割り込みました。
ミサイルは間に割り込んだミハエルさんの機体を追尾し始め……命中。
「旦那ぁ!」
「……ふむ。ハッチがイカれたか。オランジェ! 俺達の任務を忘れるなよ」
「んなことよりどうにか出れねぇのかよ!?」
「無理だな。ビッチ! 次はお前が隊長だ」
「……了解」
……ハッチがイカれたということはベイルアウトもできず、戦闘機と共に墜落する以外に道はないということです。
下は海なので運が良ければ墜落しても水がクッションになって死なないかもしれませんが、死ななかったとしても冬の海です。数時間以内に救出できなければ低体温によってやはり……そしてオーレリアには長時間、行方不明になった兵士を捜索するほどの余裕はありません。
……余程運が良くなければミハエルさんは……
「ガーリートーク……」
「はい……」
「これは戦争だ。気にするなとは言わないが、まぁ次に活かせるようにしろ」
「……すぐに助けに、」
『……ラストサン隊。さらに敵の増援を確認した。迎え討ってくれ』
そんな……!
私なら、ミハエルさんを確実に助けられるのに!
「行け、ガーリートーク。この戦争はお前にしか終わらせられない」
「ですが……」
「お前がこれまでのように甘い戦い方をするなら、ラストサン隊はお前一人になるぞ?」
……私のために、他の二人も?
「選べ。その二人を殺して、いずれ敵兵も殺さなければならなくなる道か」
「……」
「敵兵を殺し、多くの仲間を生かす道か……タイムリミットだな」
「そんな、」
「老兵はただ去るのみ。ラストサン隊、健闘を祈る」
最後に無線から着水の音だけが聞こえて……やがて切れました。
「オランジェ、ガーリートーク……行くわよ」
「……了解」
「っ…………了解しました」
私のせいで、ミハエルさんは……
AC5のあのシーン好きなんですよねー(