Plongez dans le "IS" monde.   作:まーながるむ

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「一寸先は闇」

これ、小学校のころ「ちょっと さき は やみ」って読んでました

後半エロい
でもこれでも改稿で頑張ってR15に近付けた方(下方修正


19. Personne ne sait ce qui peut se passer demain

「はい、到着です」

 

 先程は嫌な想像をしてしまってついつい泣いてしまいましたがいつの間にかシャルが抱き締めてくれていたのでもう平気です。

 お尻も触っちゃいましたしね。

 ……なんて、本当なら距離を置かないと不味いのですけど。

 亡国機業がスパイとして盗聴機を忍ばせたキャサリンさんを私に差し向けたということはターゲットは私なのでしょう。

 でも私を殺すつもりが無さそうなのがよく分からないんですよね。いえ、それ以前に私にこだわる理由もなのですが……後でキャサリンさんに聞いてみましょう。

 

「うわー、見事になんもないわねー」

「部屋の七割は鈴ちゃんのものでしたからね」

 

 それにしても鈴ちゃんと織斑君、本当に同棲を始めることができたんですねー。ずっと応援していた身としては感慨深いものがあります。

 自分が狙われているときにシャルの隣にいられるほどお気楽ではないのでシャルとの同室にはなれませんでしたけど……これでいいんだと思います。

 

 コンコン

 

 ん?

 誰でしょう?

 

「はーい……って三人ともどうしたんですか?」

 

 扉を開けるとなにやら真面目な顔をしたセシぃにラウラさん……そして鈴ちゃん。

 一体、なんの用事なのでしょう?

 

「……先に言っておく。これは、私たちの意思ではない」

「え?」

 

 固い表情のラウラさん。

 

「本国からの命令ですわ……」

「あ、あの?」

 

 ポソリと呟くセシぃはなんだか泣いてしまいそうなほどに悔しがっています。

 

「アリサ……いいえ、不破アリサ」

「えと、改まってどうしたんです……?」

 

 そして、暗い顔の鈴ちゃん……皆、どうしちゃったんですか?

 様子がおかしいですよ?

 

「あ! ドッキリですね! もしくは学園祭を盛り上げた私へのヒーローインタビューみたいな感じの――」

「貴女に! ……貴女に亡国機業のスパイではないかという疑惑が向けられています……」

 

 え?

 

「アリサ、嘘よね……?」

「あの、話が見えないんですけど……?」

 

 私にスパイ疑惑……?

 一体どうしてそんなことに……思った以上に早くないですか?

 考えられるとすれば各国に指揮権を借り受けた昼間の件ですがあれもフランスを介した正式な申し出ですし、確かにキャサリンさんの編入を確実にするためという私用に使いましたけど結果的に亡国機業は現れ、私はそれによる被害をゼロに留めました。

 ……まあ、あの襲撃自体がキャサリンさんと機業が情報交換するために引き起こされたものなので一面的には私も原因なんですけど……

 で、でも情報交換だけが目的ならキャサリンさんがその足でアジトに向かえばよかっただけですし!

 

「アメリカが傍受した国籍不明の通信のなかにアリサの名前が何度も出てたらしいの……」

「それも内容は今日のことについてだ。二機のISが学園敷地に侵入できるように手引きせよ、という指令がお前に出ていた」

「ちょ、ちょっと待ってください! なんで悪いことするのに本名で指示されないといけないんですか!」

「……アリサさん。ツッコミを入れる場所が違いますわ」

 

 ……あ。

 今のはそんなわけないじゃないですかって否定するところでしたね……失敗失敗。

 でもどうしましょう……私には身の潔白を証明できる証拠がありません。

 それどころかキャサリンさんの正体が万が一バレたら……良くて二重スパイ計画の頓挫、悪いと本当にわた亡国機業の人間にされてしまいます。

 

「ど、どうしましょう……?」

「一度、国際IS委員会にいくしかないかもな……」

 

 そんな……たしか本部はアメリカですよね?

 今すぐ日本を発っても帰ってくるまでに一週間はかかります。ゴタゴタが長引けば一ヶ月以上帰ってこれない可能性だってあります。

 

「困りました。二十七日のキャノンボール・ファストに出られないかもしれません……!」

「「「は?」」」

「だ、だって長引いたら十月になっちゃうじゃないですか!」

 

 うぅ……ヴェンギルガルム(翼狼狩り)ハントがどれだけ旋回能力があるのかテストするつもりだったのに……速度自体は瞬時加速(イグニッション・ブースト)を併用すればマッハ六までは出ますけど細かな動きができるかはまだテストしていないんですよ……

 それに、第二世代でも第三世代には負けないって証明したいですし……

 

「あなたは出ない方がいいんじゃない?」

「キャサリンさん?」

 

 今まで部屋の中で黙って話を聞いていたキャサリンさんが突然口を開きました。

 私は出ない方がいいってどういうことでしょう?

 

「とりあえず立ち話もなんだし部屋の中で話しなさいよ。他に聞かれていい話じゃないでしょ?」

 

 キャサリンさんに促され私たちはそれぞれベッドに向かい合って座ります。

 鈴ちゃんのものがなくなってキャサリンさんの荷物もまだ届いていないので五人が部屋にいても狭くは感じないですね。

 

「最初に言うけどこれは私の勝手な想像だからね?」

「どうぞ」

「まず亡国機業があなたを陥れようとしている場合。これはあなたを消したい、もしくは身柄を拘束したい場合ね」

 

 キャサリンさんが亡国機業を語りますか……なんだか笑える状況ですね。

 でも私を消したいなら分かりますけど身柄を拘束したいってのはどういうことでしょう?

 考え込む私とは対照的に鈴ちゃんはすぐ気付いたようでしたり顔です。わかってるなら教えてくださいよ。

 

「簡単よ。アメリカに行くには飛行機に乗るしかないんだからハイジャックしてアリサを拘束、そのまま機業のISで空中遊泳……そういうことでしょ?」

 

 あー、なるほど。

 確かに乗客全員を人質にとられたら私も大人しくするしかないですね。機業の人間ともなるとこの前の銀行強盗のような素人とは訳が違うでしょうし。

 

「ご名答。そしてもう一つの可能性はアメリカの工作」

「つまりアメリカがアリサの身柄を確保しようとしているということか?」

「もしくは素直にキャノンボール・ファストに出てほしくないってところかしら?」

 

 ラウラさんの疑問に淀みなく答えながら私に向けて片目を瞑るキャサリンさん。

 今のはアメリカの工作である可能性が高いということですか……?

 いやいや、それともアメリカなわけないじゃないっていう意味の可能性も……もしかしたら当然分かってるわよねって意味の可能性だって……仲良くないんですからアイコンタクトなんて送られたって!?

 頭がこんがらがってしました。

 

「ただ、ここまで色々な可能性が出てセシぃたちが否定したりしないってことはアメリカ以外は慎重なスタンスをとっているということですか?」

「ドイツは親仏を貫きたいと思っているからな」

「イギリス・中国もですわ」

「楊候補生管理官に聞いたけどデュノアで開いたパーティーでかなり盛大に惚気たらしいじゃない。まさか世界の重鎮を相手に開き直るとは思いませんでしたって言ってたわよ」

 

 パーティー……あぁ、宇宙開発用IS(アウトサイダー)の構想があることを発表した時のあれですか。

 確かシャルを男装させていたことを責められたのを愛してるんだから仕方ないじゃないですかって言って片付けたんでしたね。

 

「あの開き直りを直に聞いた身としては今回のことは信じられないってさ」

「それなのにアメリカばかりが騒いでいる……? うーん、一先ずアメリカに行くのがいいんですかね? キャサリンさんはどう思います?」

「さあ? 私はそういうのには疎いから。でもアメリカに行くなら編入まで間があるし道案内くらいしてあげるわよ?」

 

 ……これは行けということですね。

 ということはやっぱり機業絡みなのでしょうか?

 

 ◇

 

「エムー。エムー?」

 

 ……おかしいわね。

 エムは引きこもりだから出掛けているわけないんだけど……あ、お風呂かしら。

 私はシャワーだけで済ませてしまうけどエムは湯船にしっかり浸かるみたいだし。やっぱり日本人だからなのかしらね?

 でも確かに湯船は気持ちがいいのよねー。慣れてないからついつい長湯しちゃってのぼせちゃうのは困りものだけれど。

 

「あ、そっか。エムと同じタイミングで湯船から出ればのぼせないわね」

 

 でも何度のお湯に何分間浸かってるのなんて聞いても答えられないだろうし……

 

「だったら一緒に入るしかないわよね?」

 

 上下セットの色気のないスウェットを脱いで――もちろん外ではちゃんとした格好をしているわ――下着姿になる。

 うん。まだまだ私もイケるわね。花も恥じらう十七歳とまではいかないけど二十代前半として年相応の体はキープできてるはずよ。

 

「さて……お邪魔するわね」

「ひゃっ!? スコール……なんのようだ?」

 

 うふふ。いつも通りのクールを装っても無駄よ?

 可愛い悲鳴と同時に胸をかくしたのはしっかり見たわ。やっぱりエムも可愛いわねー。

 私はそれでもオータムの強気がベッドで崩れる瞬間を推したいんだけどキャサリンがエムのふとした時に見せる女の子らしさを推してくるものだから……ってこんなことを考えていたらオータムが拗ねちゃうわね。

 

「用がないなら出ていけ……」

 

 それだけ言ってエムは赤くなった頬を隠すように鼻までをお湯に沈める。息でブクブク泡を立ててるのがまた可愛らしいわね。

 とりあえず私も体を洗わないとね。

 

「エムはもう体洗ったのかしら?」

 

 体を洗いながら何気なくエムに話題を振る。

 あんまり自分からは話さない子だから構ってあげたくなるのよ。これが母性というものなのかしら?

 ……そんなものが私にあるなんて笑わずにはいられない。

 

「……まだ」

「えー? それでお湯に浸かっちゃったら汚くないかしら?」

「ふん。本来は股と尻を洗ったら一度湯船に浸かり垢を落としやすくするのが正しい入浴方法だ」

 

 なるほど……確かに理にかなっている……のかしら?

 でも女の子が恥じらいもなく股とか言っちゃダメよ。

 とりあえずそうと決まればやることは一つしかないわね。

 

「エム。命令があるわ」

「……やっと本題を話す気に――」

「私にエムの体を洗わせなさい」

「ふぇっ!?」

「さーさー、湯船から上がりなさいなー」

「やっ、ちょ、おま!」

 

 小柄なエムを抱きすくめるようにして湯船から連れ出す。

 はいはい、暴れなーい暴れなーい。

 怖くないですよー。

 

「バカにするな」

「大真面目だけどなにか問題があるかしら?」

「問題しかない……が、バカは死んでも治らないから多目に見よう」

 

 バカってなによ……もう、皆から私への敬意が感じられないわ。私はIS部門の中では一番偉いっていうことになってるのよ?

 確かに序列とか関係なしに仲良くやりましょって言ったのも私だけど……

 

「私は言わば父親っていう大黒柱で娘のあなたたちはもっと敬うべきよ……!」

「ふふっ、十五歳の娘の風呂に乱入する父親か」

 

 あ、今普通に笑ったわね!?

 もういいわよ……エムが笑うなんて珍しいからなんとなく得した気がするもの。

 それにしてもエムも若いわね……肌とかモチモチでプニプニで触ってるだけで心地いいわ。

 

「でももうちょっと胸は大きくていいんじゃないかしら……?」

「ぁん……やぁ……ね、ねえさんは大きいから望みは、ふぁ!? ……ある」

 

 どうかしらねー。胸ってのは結構後天的な要因で大きくなるものだし……実際こうして揉めばホルモンの影響で大きくなるってテレビで言ってたわよ?

 でもただ揉むだけじゃなくて気持ちよくならないといけないのよね。

 

「だからこっちも気持ちよくしてあげないといけないわね」

「は!? ちょ、バカやめろ! そこは、はぁん! そこは、怖い……からぁ!」

「大丈夫よ。お姉さんが優しくイカせてあ・げ・る♪」

「あっ! だ、ダメ! それ弄ったら……!」

 

 あらぁ、エムったら敏感ねぇ……こうも正直な反応されると楽しくなっちゃうわ。

 オータムも可愛らしく鳴いてくれるけどエムみたいな初々しさというか未知の快感への恐怖はなくなっちゃったのよねぇ。

 

「だめぇ! そんなの……あぅ!」

 

 そういえば不破アリサも私と同じ趣味……というか私は男もイケるけどあの子はガチなのかしら?

 こんな立場じゃなかったらじっくり話してチャンスがあれば手篭めにしたいわぁ。

 

「なんか……くるっ!」

 

 でも彼女には悪いことしたわねぇ。

 都合がいいから放っておいてるけど……これが吉とでるか凶とでるかは神のみぞ知るってところね。

 彼女は役に立つからどうしても引き入れたいのだけど……

 

「だめぇ、すこぉる……ま、また!」

「あら……?」

 

 考え事から意識を戻せば渡しの腕の中で蕩けきった顔のエムがビクビクと体を小刻みに震わせている……やりすぎちゃったわ……

 エムも濡れてるどころかおもらししたみたいになってるし……床がねちゃねちゃね。

 やりすぎたと反省しつつ中指をエムの中から引き抜く。

 

「あっ……抜いちゃやらぁ」

「ぶっ!」

 

 抜いちゃやだって……!

 あのエムがそんなこと言うなんて!

 困ったわぁ……これじゃあもう快楽を知っちゃったわよね。女の子は一人で延々と慰められるし……そうなると機業の仕事にも支障が出るわ。

 覚え初めだと際限ないから体力もかなり使うし……私も昔はやりすぎで手が腱鞘炎、内側も擦りすぎて軽い炎症起こしたりしたもの。

 

「エム」

「なぁに?」

 

 くぅっ!

 なにこの可愛らしい生き物!?

 本人はいつも通りのつもりなのかもしれないけど……本当に女同士の愛し合い方も教えちゃおうかしら……?

 って違う違う……そもそも最初は仕事の通達をするためにエムを探してたのに横道に逸れすぎたわ。

 

「とりあえず……エム、私の許可なしでしちゃダメよ?」

「するって、なにをだ?」

 

 言葉の意味すら知らなかったのか首をかしげるエム。口調もしっかりしてきたし正気に戻ってきたようね。

 

「自分で自分を気持ちよくすることよ」

「そっ、そんなことするわけないだろう!」

「そう? まぁ、万が一したくなっちゃったら私に言うのよ? やりすぎは体に悪いのだから」

「……さっきのは?」

 

 やりすぎじゃなかったのかとエムが睨んでくる。

 最初はあれくらいがいいのよなんて誤魔化すこともできるけど……それは将来のこの子のためにならないわね。

 あれが普通だと思うようになってしまったら確実に毎日性欲を持て余すことになるわ……

 

「あれはやりすぎたわ。ごめんなさい。でもだからこそする時はちゃんと私に言うこと。いいわね?」

「そんなこと言えるかっ!」

「あら、でも自分じゃしないんでしょう? それならなんの問題はないわよね?」

「ぐっ……しない」

 

 あらー?

 睨んだってだめよー?

 ……まぁ、エムも我慢できなくなることは本能的に理解してるみたいだし、それでも羞恥を感じるならしすぎることはないでしょうね。

 あそこまで言った以上、エムの性格的に絶対に私に言わないでしょうしバレるかもって思いながらなら抑制も効くはずよ。

 

「じゃ、明日からアメリカいって銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の強奪をお願いね?」

「は?」

 

 じゃ、ねちゃねちゃのままじゃ気持ち悪いから体流して湯船に浸かりましょうねー。


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