Plongez dans le "IS" monde. 作:まーながるむ
バカップルは皆爆ぜればいいの
「そっか……アリサ、準備してなかったんだ……」
「はい……ぐすっ、ごめん、なさい……」
「ううん、安心した」
アリサが、わざとあの映画を僕に見せたんじゃないって確信できて、ね。
もちろん最初からアリサは内容を知らなかったんだろうとは思ってたけど……それでも嫌なことを考えちゃうからアリサの口から聞けて本当によかった。
「今日のアリサは変だなって思ってたけど、どうにかしてデートを成功させようと考えてたんだよね?」
「……はい……誘ったのは私だから……それに、強がりでプランも考えてるって言ってしまったとき、シャルが、すごく嬉しそうに笑ってくれて……裏切りたくなくて……」
「そうやってアリサが頑張って考えてくれてたってだけで僕は嬉しいよ?」
「でも……結局シャルの期待を裏切りました……」
もう、アリサも頑固なんだから……特に自分が悪いと思い込むと一直線なんだよね。
確かに、アリサが初デートってことを意識してなかったのはちょっと悲しかったけどね。
「でも、こういう街で遊び慣れてないアリサが必死に考えてくれたことの方が大事。例えそれが当日ギリギリでも大外れでも……ね?」
「……本当、ですか?」
「うん。だってアリサが僕のことを考えてくれてたってことだもん嬉しくないわけないよ」
だって、僕、本当にアリサのことが大好きなんだもん。
自分でもどうしてここまで、って分からなくなっちゃうくらいアリサが大切だから……それ以外のことは全部、その好きを引き立てるスパイスみたいなもの。
今日だけじゃなくて、これからも悲しいことも辛いことも、もちろん僕は聖人じゃないからムッとすることもあると思うけど……それが全部、アリサへの好きを僕に刻みつけてくれる。
「だからね、アリサ? あんまり気にしすぎないで?」
「しゃる……」
「アリサが泣いてると、僕も悲しくなっちゃうんだよ?」
分からないかな?
僕、今すごく泣きたいのを我慢してるの。
理由なんて重要じゃない。アリサが悲しそうなだけで、僕の心もきゅぅっと縮んで苦しくなるの。
「だから、ね……キス、しよっか?」
「ふぇ……? ふぇぇぇ!?」
「二人で元気になれるおまじない……かな?」
「……ん」
僕がそう言うと、アリサは一度だけ顔を伏せて涙を拭って顎をあげてくれた。
アリサが目を閉じた拍子に流れた雫を指で掬いとってから、その可愛い唇に一秒間くらいのキスを三回ゆっくり落とす。
一度のキスは挨拶代わり。二度のキスはありがとうの合図で三度の合図がごめんなさい。僕とアリサにだけ通じるキスでのコミュニケーション。
「うぅ……私が悪かったんですよ?」
僕が離れると今度はアリサが三回……これで仲直り。キスで謝ったことは絶対に蒸し返さないのが二人の決まり。
「僕もアリサを不安にさせちゃったもん。おあいこだよ」
「でも……こんなところでキスしちゃいましたね」
そういえば住宅街の真ん中だったね……お昼時で外を歩いてる人が少なくてよかったよ。
「……もっとキスできるね?」
「へぅ? んぅ!?」
今度はアリサの口の中に舌を入れて優しく撫でる。
夜の積極的なアリサも好きだけど、昼間の大人しいアリサも大好き。強がることもあるけど基本的に照れ屋さんなんだよね……
白昼堂々道の真ん中でフレンチキスなんて今のアリサには恥ずかしすぎるんじゃないかな?
……まぁ、僕もアリサと同じくらい顔を赤くしてるだろうけどね。
「っはぁ! ……しゃる……私、ちゃんと愛してますよ……?」
「僕も……お揃いだね?」
「当たり前じゃないですか。恋人、なんですから……」
うん。
確かに当たり前だね。
◇
……よかったです。シャルを傷付けることにならなくて。
この公園のベンチに来るまでに沢山キスされちゃいましたけど……こんな明るいうちからなんてなんだか恥ずかしいです……えへ。
寮内だとあまり気にならないんですけど外だとどうしても……シャルは私とは逆で知っている人に見られるのが恥ずかしいみたいですけど。
でもちゃんとごめんなさいのキスも出来ましたし、心機一転、デートをやり直しましょう!
一回失敗したらなんだか頭の中もスッキリしました!
「シャル、なにかしたいことはありますか?」
「うん? うーん……キス?」
「なっ!? ……あんなにしたのにまだ足りないんですか?」
さっきから人がいようがいまいがところ構わずキスしてるのに……そろそろ私の羞恥心が限界ですよ……?
さ、さっきなんて同世代の女性たちに見られてましたし……ああもう、思い出しただけで顔が熱くなっちゃいます。
「足りないよ。全然足りない」
「あ、うぅ……そんなニコニコしながら言わなくても……」
好きな人に、そんなこと言われたら……恥ずかしいのを我慢してでもキスしてあげたくなっちゃうじゃないですか……
み、右見て、よし。
左見て……よし。
周りの方々はこちらを見ていません……ちゅっと一瞬だけなら平気のはずです!
「シャル!」
「ん?」
ちゅ……
よ、よし……なんとかできました!
バカみたいに初々しいキスでしたけど知らない人たちの前で熱いキスなんてできませんよ!
この前はフランス帰りで浮かれていたのと、シャルと別々の部屋になってしまうという寂しさがあったから寮の外でもあそこまでできたのですが……心に余裕があって、それも寮外どころか郊外でなんて無茶です……
「アリサ……?」
「えへへ、その……頑張っちゃいました」
ってもう!
あんまり見ないで下さいよ! すっごく恥ずかしいんですからね!
もう……
「私、デート嫌いです……」
「え? どうして?」
「だって……外だと恥ずかしくてシャルに甘えられないです……本当は今すぐぎゅっと抱き締めて欲しいんですけ、どっ!?」
「こう?」
~~~~~~っ!
だからどうしてシャルは外だとこんなに積極的なんですか!?
シャルが私のことを後ろから抱き締めている形なので見つめ合わなくていい分、多少は羞恥も緩和されるとはいえ……
寮の中ではこういうのはむしろ私の役割なのに……もしかして、シャルって人の目があると気が大きくなるのでしょうか……?
いえ、私とシャルが揃って萎縮しちゃうよりかはよっぽどいいのですけど……
「アリサ、満足?」
「も、もっとぎゅっとしてくださぃ……」
「ぎゅーー!」
隙間なんてできないくらいにシャルが強く抱き締めてくれます。
そう、これくらいぎゅってしてもらえると安心できます。
多分、普段の私とシャルのいちゃつき方を知っている人からすれば、こんなに穏やかな私は変に見えるのでしょうか……
なんというか満ち足りているんです。
私が必死にならなくてもこうしてシャルは隣にいてくれます。
……ただ、確かに少しもの足りないかもしれませんね。
「シャル……シャルは今みたいな私、好きですか?」
「え? えと、うん。アリサは今みたいな僕、好き?」
「えーと……」
……なんというか、このシャルはシャルらしくないんですよね。
少し冷静になれば……いえ、逆に堪能したからでしょうか?
なんとなく……今のシャルは――
「好きじゃないです」
「……へ?」
「……ってあぁ!? 違いますよ!? シャルのことはだっ、大好きです! 私が好きじゃないのは今のシャルです!」
あ、危なかったです。
つい、ぽろっと言ってしまいました。
「だって、シャルは無理してます……」
「してないよ?」
「嘘……やっぱり変わりすぎですもん。私に気を遣ってくれるのは嬉しいですけど……」
きっと、私もシャルも恥ずかしがって固まっちゃうなんて状況を避けようとしてくれたのでしょうね……
ホントに、私、だめだめです。
デートプランを考えるよりシャルのこと考えないとダメじゃないですか。
「シャルも本当は恥ずかしいんですよね……? でもさっきのことがあって、このままだと初デートがダメダメなまま終わりそうだったから……私がそれを気にすると思ったから、無理してくれてるんですよね?」
普通に考えてみれば二人っきりでも照れちゃうシャルが人前でキスなんてできるわけないじゃないですか。
シャルからキスしてくれるのは、合図のキスの時だけです。それも少し寂しいですけど……でも、その恥じらいがないとシャルじゃありません。
「で、でも、その、いつもの僕じゃ固まっちゃうから……その、えと」
ほら、素に戻ってきました。
「今までも、外でだと積極的だったのはそれでですか?」
「う、うん……外だとアリサも」
「照れちゃうから……ですか?」
「うん」
……もう、この人は何も分かってませんね。
私、もう何年もシャルのことを想い続けていたんですよ?
寮の中だろうが外だろうがいつだって照れちゃうに決まってるじゃないですか。
「それに、二人揃ってカチコチでもいいんじゃないですか?」
「そうかな……? それで、楽しい?」
「楽しいかは分かりませんけど貴重な体験ですよ? 少し、興味ありますし……」
だから、このシャルの強がりは壊しちゃいましょうね……うん、なんだかいつもの調子が出てきた気がします。
「シャル、私、分かっちゃいました」
「えと、なにが……?」
「私が外で照れちゃうのって強気なシャルのせいです。人目とかじゃなくて、シャルに照れてたんですよ」
おかしいと思ったんですよ。私にとっては学園の生徒も街ですれちがう人もみんな“シャル以外”なんですから!
きっと、強気なシャルを見ると私の女の子な部分が反応しちゃうんだと思います。
大事にしてほしい、護ってほしいっていうのは私でも思うんですからね?
「まぁ、それでも私はシャルを護りたいって気持ちの方が強いんですけど……」
まったく……それが私の原点だったじゃないですか。それを忘れて普通の女の子みたいに照れるなんて私らしくもない……
「ね、シャル」
「う、うん」
あ、やっぱり普段の私とシャルに戻れたみたいです。だってシャルが真っ赤になってて可愛いですもん。
「キス、まだ足りないんですよね……?」
「へぅ!? あ、えと、さっきのは強がりというか、その、決して足りなかったとかいうわけじゃ……も、もちろんキスはしたいけど、んぅ!?」
「ちゅ……ぁむ、ふぁ……」
「んふぅ……ぁ、アリ、サ……」
唇を離すとシャルの売るんだ目私を捉えます。うん。やっぱりこっちの方がしっくりきますね。
受けの私なんて本当にらしくありませんでした。ちょっとだけスタートに問題ありましたけどまだまだこれからですね。
「あ、アリサ、恥ずかしくないの……?」
唇に手を当てて顔を赤らめるキュートなシャルが納得いかなそうに私を見ています。
「恥ずかしくないわけないじゃないですか」
「なら、」
「だって、シャルが私のことを見てるんですよ? ……普通でいられるわけありません」
こんなはしたない私をシャルに見せているかと思うと心臓が爆発しちゃいそうです。
「でも、シャルだから見せるんですよ……?」
「う、うん……人前とかは、関係無いんだね……」
「?」
私としたことが聞き逃しちゃいました。ですが、今はゆっくりシャルを可愛がることの方が大事ですね。
「んひゃ!? あ、アリサなにを!?」
「え? 耳ペロですよ?」
「そ、そんな当たり前みたいな、あ、ちょ、くすぐったいからぁ!」
「えへへ、好きなくせにー」
「好きじゃ……なくないけど……ひゃんっ! も、もう、犬じゃないんだから……」
シャルに愛を示せるならこの際犬でも猫でも構いません!
「わんわん!」
「あ、ちょ、アリサ、そんなの可愛すぎるから……!」
「くぅーん」
「やっ! 首ぺろぺろしないで……きゃっ!」
「わわっ!」
ちょ、調子に乗りすぎて危うくベンチから落ちちゃうところでした……ちょうど、シャルを押し倒しちゃった形になるので少し心配です。
「シャル、怪我ないです?」
「うん、平気……!?」
そう、押し倒しちゃいましたよ……?
「シャル……お外でって興味ありませんか? しかもひょっとしなくても人に見られちゃうような場所」
「ななななな、ないよ!?」
「嘘、ばっかり……舌、出してください」
「え、いや、アリサ……さん?」
「ふふっ、そんなに怯えないでください……ね、シャル、舌を……」
シャルは羞恥と期待と少しの怯えが混ざったような涙目で私を見つめて、やがて観念したように少し口を開いて赤くて小さな舌を露にしました。
「ふふ、いい子……ちゅ」
「ふむぅ……んちゅ……」
最初はシャルの舌を唇で挟んで優しく吸い上げ、さらにシャルがもどかしさを感じるくらいゆっくりと舌を絡めます。
半開きになっているシャルの口の中も舌で愛撫しながら私の唾液を擦り付けて馴染ませる……でも、あんまり気持ちよくさせないように力は最小限です。
お預け状態は長ければ長いほど、それに応じて興奮も高まりますからね……
シャルの舌を甘噛みしながら右手をシャルの白いワンピースに……
「あ……そこは……」
「誰も、見てませんから……ね?」
十センチ、二十センチ、三十センチ……少しずつ、シャルの羞恥心を煽るようにしながらスカートをめくっていきます。
同時に左手でシャルの柔らかい胸をやわやわと揉みほぐして官能を高めていきます……でも、敏感なとこには触ってあげません。
耳、首筋、お腹に太もも……徹底的に焦らすのはシャルの我慢の限界を待っているからです。
「あ、アリサぁ……」
「はい、なんですか?」
シャルの切なそうな表情は笑顔でスルーして焦らしを続けます。
少し直に触る素振りを見せるだけでシャルの身体が喜んでいるので、ギリギリのところを一瞬さすって離れるという行為を続けます。
「シャル? 言いたいことはありますか?」
「あ、アリ、サ……も、もう私、私ぃ……」
僕じゃなくて私……かなりのところまで追い詰められているようです。
もうシャルが何を求めているのかは分かりますが……それでもなにもしてあげません。
だって……シャルがスゴく可愛いんですもん。
「私は誤解しやすいたちですから……言ってくれないと分かりませんよ?」
「お願いアリサ、私、私、」
くぅぅぅぅぅぅぅ……
「はぅ……」
お腹鳴っちゃいました、
そ、そういえばごたごたしていて昼食食べてませんでしたからね……
でも今はシャルの方が大事です……!
「シャル、続きをどうぞ……?」
「…………ぼ、僕、お腹が空いたかな?」
「ごめんなさい……」
もうちょっとだったんですけどねぇ……お外えっちはまた今度ですね。
鈴ちゃんにはお外でなんかしないと言ったもののなかなか癖になりそうです……