中庸を行くつもりがいつの間にか修羅道歩んでた 作:アブさん
早く何かしらと主人公と戦わせたい。
今、俺は絶望していた。
昨日、20キロの錘
『む、走りきれたのか……ならば明日からは錘を倍にして走れ』
「え……」
『不満か?ならば4倍にして走れ』
「……わかりました」
抵抗すればさらに錘を増やされる、そう思い返事をしたが……
絶対無理やん!?いくら鍛えてるっつたって、DB
多分動くことすら難しいんじゃないだろうか……
当日、予想通りというか予想以上に無理があった。
走り出そうとして転んで、倒れて、動けなくなって、そしてそのまま一晩過ごした。
翌朝、木人に起こされた。
『流石に80キロは無理があったようだな』
当たり前だろ!という突っ込みをグッとこらえて言葉を返す
「なら、錘を減らしてもらえませんか?」
『いや、減らしはしない。このまま続けろ』
いや、いや、いや。どないせいちゅうねん。身動きとれへんのに、どうすればいいんよ?
『ふむ、困惑しているな。ならば、ヒントをやろう。お前が、今までやってきた鍛錬は確かに厳しく辛いものだがそれは普通という枠組みから外れていない。
そして、今自分がいる世界がどんな所か思い出すといい。最後に使えるものは何でも使っていいんだぞ』
たった一日、進歩がないからといってヒントをくれるだなんて、優しい師匠だなぁ。
でも、せっかく貰ったヒントだし、じっくり考えるか……
まず、今まで俺がやってきた修行は普通の範疇に収まっているっていう話か。
今までの修行を要点のみを上げると、
体力面・ぶっ倒れるまで、走り込みor縄跳びor思いつく筋トレをぶっ倒れるまで続ける。
武術・本に載っている型や技を一日中続けるorぶっ倒れるまで続ける。
うむ、我ながら脳筋きわまりないものだな。やっている量自体は過剰かもしれないが、鍛錬法は(多分)普通きわまりないものだ。
次、今いる世界とあるが、これは仙卿図の事ではなく実はたまに忘れるハイスクールD×Dの世界ということだろう。
ハイスクールD×Dは、人外や便利アイテムもった人外じみた人間がパワーインフレを起こすような世界だった。
ふむ、木人の言いたい事は理解した。
つまりは、俺がいくら鍛錬をつもうとそれは前の世界での常識で、この世界の常識には通用するわけでは無いんだ。
今までの俺は、良くて一般人に毛が生えたようなもので、この世界の化け物共には通用しないわけか……
だから、こんな普通の人間には無理な鍛錬をさせられているのか。
最後に使えるものは、使えるものは何でも使っていいか……
これは、気や仙術を使えと言っているのか。こういった事に使えるものは俺はそれしか持っていない。
特典で使い物になるまで鍛えたのは気・仙術と武術だけで、アイテム作成と魔力制御は手を出していないから外しておく。
便利グッズもこの状況を解決できるものは無い、となると気・仙術を使えと言うことか。
よし、いっちょやってみるか。
呼吸を整えて、気を練り上げる。そして、それを全身に巡らせる。
体が、嘘のように軽い、こんな感覚は初めてだ。
ただ単純な気の鍛錬をしてたのでは築かなかっただろう、気の力は自分が想像した以上のものだったんだ。
こんな無茶な重量の錘もまるで羽根のような重さしか感じない。
これなら行ける。
「やぁぁぁってやるぜ!!」
気合いも十分、やる気も十分、これで無理なはずは無い。
と思っていた時期もありました。
「ハァハァハァ」
目的の周回の半分もいっていないのに過剰な疲れを感じ倒れこむ。
意識がもうろうとして、気が遠のいていく……
!?
口の中に異物を押し込まれる、だがこれが何なのか自分は知っている。
思わず咀嚼をする、それが最適だと体が知っているからだ。
「ゴックン」
それを飲み込むと、すぐに遠のいていた意識が戻り、体力が戻ったのがわかる。
そして、前を向くとプラカードを手に持った木人が居た。
『仙豆だ、食え』
起き上がる前に、思った事がある。そのセリフ、俺も言ってみたい。