ラブライブ! 青い春の一ページ   作:溝呂木 水月

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真姫ちゃん誕生日おめでとう!

どうも皆さんおはこんばんちわ。水月です。

今回は真姫ちゃんのお誕生日回です。

頑張ったよ。

それでは、特別編です。

どうぞ。


特別編その壱 ~赤い宝石~

「え、真姫の誕生日?」

 

「そうにゃ!今度の日曜日、19日が真姫ちゃんの誕生日なんだ!」

 

ある日の放課後。今日の練習は休みだったので、俺は部室で皆と雑談していた。

しばらくして、真姫が家の用事で帰った少し後に、この会話が始まった。

どうやら皆でプレゼントを用意してサプライズ的な物をやりたいらしい。

 

「ふむ。サプライズパーティか……。いいな、それ」

 

「でしょでしょ!日曜日でも練習はするし、その時にドーンとお祝いしようよ!」

 

「どうせならパーッと楽しくやりたいよね!」

 

穂乃果もことりもこれに賛成のようだ。

他のメンバーも、皆何をプレゼントしようか、どんな事をやろうか、等と、かなり盛り上がっている。

 

「よし、とりあえずプレゼント買いに行くか!」

 

『おぉー!』

 

気が早いと思いながらも俺がそう言うと、皆は意外にノリノリで、この後すぐに行くことになった。

 

 

 

 

俺たちは、雑貨屋や、お洒落なアクセサリーショップが並ぶ通りに来た。

ここではμ’sとしてのプレゼントを選ぶつもりだ(個人でのプレゼントはそれぞれ別に選ぶことになった)。

とりあえず行きたい店が被った物同志3チームに分かれて買い物をすることに。

穂乃果、凛、希のチーム『スピリチュアル和菓子猫』(ちょっとこれセンスなさすぎやない?)。

ことり、にこ、花陽のチーム『ツインエンジェル+α』(ちょっと!なんかにこが不当な扱い受けてない!?)。

そして絵里、海未、俺のチーム『常識人』(薫は常識人じゃないでしょ)。なんだとォ!?

 

多少のいざこざはあったものの、とりあえずそれぞれ目当ての店へと向かった。

 

 

絵里と海未と共にアクセサリーショップに来た俺。

 

「さて、何を買おうかしら」

 

「あまりかさばらない物が良いですよね」

 

絵里も海未も心なしかテンションが上がっている。やはり女の子だなぁ。

かくいう俺は、買う物を決めていたので、二人に声をかけてから、お目当てのコーナーに向かった。

ふむ。真姫はどんなデザインを好むだろうか。

なんだかんだ言って優しい子だから、どんなものでも喜びそうだが、ここは本当に真姫が喜びそうなものをプレゼントしたい。

こっちか……?いや、こっちも可愛いな……。うーむ、悩むぅ!

 

「……なんか薫、女の子よりテンション上がってない?」

 

「そうですね……」

 

「……ハッ!」

 

後ろの二人の会話で我に返る。俺は今まで何を!?プレゼント選びだよ。

しかし本当に悩む。一応候補は二つなのだが……ここは絵里と海未に聞くか。

 

「なぁ二人とも、こっちと、こっち。どっちが良いと思う?」

 

俺は手に持っていた二つを二人に見せる。

 

「……どっちもセンス良くてなんか悔しいわね……」

 

「こんなセンスがあったなんて意外です……」

 

「おい、泣くぞ。人目もはばからず大声で泣くぞ」

 

何故か厳しい二人にささやかな脅しをかけると、二人は冗談よ、と言って二つのアクセサリーを吟味する。

 

「……私はこちらですかね」

 

「私もこっちかしら」

 

二人が指さしたのはどちらも右手の方だった。よし、決定!

 

「二人とも、ありがとうな」

 

「別に大したことじゃないわ。貴方のセンスも良かったし」

 

俺が礼を言うと、絵里はわずかなツンデレ(今では珍しいツンチカ)を発動し、何か思いついた顔をした。

 

「あ、そうだ、私たちのも一緒に見てよ、薫」

 

「そうですね。薫も一緒の方が決めやすそうです」

 

その提案を断る理由もなく、了承。

その後二人の分も選び、このチームのお買い物は終了した。

 

 

俺たちの買い物が終わって10分後、他のチームも手に袋を下げて帰ってきた。

どうやら全員良いものを買えたようだ。

 

「さて、皆買い物は済んだな。次は誕生会で行う催しを決めよう!」

 

「それより、ひとまずどこかくつろげる場所まで行きましょう」

 

俺の提案に絵里が補う。これ良いコンビじゃないか?

 

「確か薫君の家ってここから近かったよね?」

 

「え、あぁ、そういえばそうだな……ってまさか」

 

希の考えがわかってしまったかもしれない。ちょっと待ってくれ。

 

「よし、じゃあ薫の家で決定ね!」

 

「わーい!薫君の家に行くの初めてだー!」

 

「家探しだにゃー!」

 

「おい三バカ!勝手に話を進めるんじゃあない!」

 

俺抜きで勝手に決めやがってらっしゃる三バカに突っ込んでいると、後ろからことりが近づいてきた。これはマズいかもしれん……。

 

「ねぇ、薫君……」

 

「おい、ことり、やめ「おねがぁい♪(脳トロエコー)」あぁぁぁぁぁぁもう!分かったよ!良いよ!畜生!」

 

ことりのお願いには勝てなかった……。

 

「薫……」

 

やめろ海未!そんな養豚場の豚を見るような目をするな!お前だってこれに敵わなかっただろうが!

 

 

ということで、俺の家に行く事となった。

 

 

 

 

「そんなキレイじゃないと思うけど勘弁してくれな。あと、家探しまがいの事したら即追い出す」

 

さっきのお洒落通り(命名:俺)から徒歩で10分かからないところに俺の家はある。

皆をリビングに招き入れる。全員分のクッション(と言うより座布団)を出した後、お茶を入れる。

 

「ほれ、お茶だ」

 

「なんだかすいません、いきなり来てしまったのにお茶まで……」

 

さすがに申し訳なく思ったのか海未が謝ってきた。だが気にすることは無い。

 

「まぁことりのお願いに勝てなかった俺が悪いって事で」

 

「ですが……」

 

尚も食い下がる海未。こうなると長くなるからなぁ……。ここは強引に話を変えよう。

 

「ほら、海未、ここへは何しに来た?真姫の誕生日会の催しを考えに来たんだろ?さっさと考えようぜ」

 

俺がそういうと、海未だけではなく他のメンバーも気を取り直してさっそく話し合いになった。

 

 

 

「ん。随分時間たっちまったな」

 

ふと時計を見ると、6時半を過ぎていた。

話し合いも結構進んで、サプライズパーティの計画はほぼ完成していた。

 

「あら、本当だわ。そろそろ帰りましょうか」

 

絵里のその一言で皆が帰り支度をし始めた。

俺も外に出る用意をする。

 

「あれ、薫君出かけるの?」

 

穂乃果が不思議そうに聞いてくる。

 

「何言ってんだ。皆を送らなきゃだろ?」

 

「えぇ!?そんな、悪いよぉ!」

 

俺の返答に花陽が驚いたように言う。

だが、男ならばこれは当然の事だ。

 

「ダメだ。お前らは可愛いし、今じゃ有名なスクールアイドルだ。何かあってからじゃダメなんだよ。それに、たまにはカッコいい所も見せないとな」

 

「か、可愛い……」

 

何故か皆顔を赤くしてしまっていたが、俺は勢いで皆を説得し、家まで送り届けた。

 

 

 

ついに真姫の誕生日当日。

基本的に休日だからといって練習は休みにならない。

だから日曜日でもサプライズがしやすいのだ。

 

「よし、全員集まったな」

 

真姫を除いたμ’sのメンバーが部室にいた(休日だが特別に部室だけ解放してもらった)。

真姫には集合時間を少し遅めに伝えていたから、あと20分は来ないはず。そのうちに飾り付けを行う。

 

 

~約20分後~

 

「あっ真姫ちゃんが来たよ!」

 

偵察係の花陽が言う。

飾り付けも終わり、プレゼント、ケーキ、クラッカーも準備が完了していた。

完璧DA!

全員が息を潜め、真姫が来るのを待つ。

そして────

 

ガチャ

 

「おはよ───

 

パァン!パパパパァン!

 

───ヴェエ!?」

 

『真姫(ちゃん)、誕生日おめでとう!!』

 

「え、えぇ!?」

 

どうやらサプライズは大成功のようだ。真姫が今まで見たことないくらいびっくりした顔をしている。

 

「真姫ちゃん、おめでとう!」

 

「おめでとうにゃ~!」

 

凛と花陽が真姫に抱きつく。凛は分かるが花陽もとは珍しい。

 

「そ、そうだったわ……今日私の誕生日……」

 

「忘れてたの!?」

 

いまだに真姫は驚きの余韻が抜けないらしい。

 

「だ、だって、ママも何も言ってなかったし、最近はμ’sの活動で忙しかったから……」

 

「あぁ、俺が真姫に誕生日の話題出さないように陽子(ようこ)さんにお願いしてたからな」

 

陽子さんとは、真姫ママの事である。この前こっそりとこのサプライズパーティの事を話してお願いしていたのだ。

陽子さんも喜々として承諾してくれた。

 

「さてさて、真姫!そんな入口に立ってないでここ座れここ!」

 

真姫を長テーブルの奥、つまりお誕生日席へと座らせる。

 

「さぁことり、にこ!ケーキ用意!」

 

俺の掛け声に合わせ、ことりとにこがお手製のケーキを取り出す。

もちろんロウソクが刺さっており、俺がそれに火を灯す。

その間に希と絵里がカーテンを閉め、電気を消す。

 

「はっぴばーすでーとぅーゆー!はっぴばーすでーでぃあ真姫ちゃーん……はっぴばーすでーとぅーゆー!」

 

「さぁ、真姫!」

 

穂乃果が歌い、海未が火を吹き消すように促す。

 

「ふぅー……!」

 

真姫は少し瞳を潤ませながら、火を消した。

それと同時に電気をつける。

 

『おめでとー!』

 

「さて次はプレゼントターイム!」

 

怒涛のサプライズラッシュをぶちかますぜ!オラオラァッ!

皆が次々とプレゼントを渡していく。9人、しかも1人につき2つあるから、結構な量になってしまっている。

 

「ほい、俺からのプレゼントはこれと、これね」

 

一番最後に俺のプレゼントを渡す。中身はハンドクリームと巷で有名なお菓子。

 

「……皆、本当にありがとう。私、家族意外にこんなに盛大に祝ってもらったことないから凄い嬉しい……!」

 

どうやら真姫も大満足のようだ。

その後も、マジックショーや穂乃果と凛とにこの漫才等、様々な催しをやった。

そのどれも、真姫は本当に楽しそうに、嬉しそうに、笑っていた。

 

 

楽しい時間というのはあっという間に終わってしまうもので。

 

「あ…もうこんな時間……」

 

真姫の小さく、寂しそうな呟きを聞いて時計を見ると、7時近くだった。

 

「ん、本当だ。名残惜しいけどそろそろお開きにしようか」

 

「えぇ~!もうちょっと遊ぼうよぉー!」

 

穂乃果が駄々をこねるが、そうはいかない。

 

「これ穂乃果、真姫はご両親ともお祝いしなきゃなんだから。わがまま言うんじゃありません」

 

俺の言葉で穂乃果も納得したのか、それ以上は何も言わなかった。

 

「さて、片付けしないとな……」

 

片付けようとしたら、絵里が呼びかけてきた。

 

「あ、薫、ここは私たちにまかせて、あなたは真姫を家まで送り届けてあげて」

 

「ん、それはOKだが……いいのか?」

 

「逆に人数多すぎて作業が進みそうにないわ」

 

それもそうか。それにそっちのほうが個人的に都合が良い。

 

「それじゃ真姫、行こうか」

 

「……ええ」

 

 

 

ほんのり暗い帰り道。

 

俺と真姫は二人並んで歩いていた。

しかしさっきから沈黙が続いている。

まぁ俺も真姫もそんなにお話するタイプじゃないからな。むしろ心地よい沈黙だ。

だが、俺はそんな沈黙を破る。

 

「真姫、これ」

 

俺はバッグの中から、細長い箱を取り出す。

 

「……これは……?」

 

真姫がきょとんとした顔でこちらをみつめる。そんな顔も可愛いなぁ。

 

「プレゼント。すぐに開けてほしかったけど、皆がいたからな。なんか恥ずかしかった」

 

「開けていい?」

 

「あぁ、むしろ付けて見せてくれ」

 

真姫が丁寧に包装紙を取り、箱を開けると、中に入っていたのは……

 

「………キレイ」

 

赤い宝石のついたネックレスだった。

 

「ロードナイトって言って、不安を取り除いたり、素直にさせてくれるパワーストーンらしい」

 

『いつもは素直じゃないって言いたいの?』と言われそうだったが、一目説明を読んだとき、これしかないと思った。

そしてデザインは、絵里と海未が選んでくれた。

 

「…………薫」

 

真姫がうつむいていた顔を上げた。

 

「ありがとっ!」

 

その頬を赤く染めた笑顔は、どんな宝石よりも美しく、魅力的な笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

【エピローグ】

真姫Side

 

 

「ふふ……」

 

私は薫に送ってもらい、家に帰ってきていた。

ママにご飯まであと少しと言われ、いったん部屋に戻ったが、さっきから先ほどもらったネックレスを見てにやけることしかしていない。

今日は本当に嬉しかった。

皆に祝ってもらえて、プレゼントもたくさんもらえて(帰りは薫が持ってくれた)、すごく楽しかった。

それに、薫からのプレゼントも……。

 

 

私は、胸の奥の熱い気持ちを感じながら、ママに呼ばれるまでずっと赤く輝く宝石を眺めていた。




いかがだったでしょうか。

え、投稿が1時過ぎじゃないかって?

いや、こんくらいの時間に生まれたんじゃないかなと思いまして!

決して今日の夜書き始めたからギリギリ0時に間に合わなかったとかそんなんじゃないです!

まぁでも早めに書けてよかったです。

誤字脱字、感想、お待ちしております。

あと、活動報告の方に色々投稿しましたので、そちらもよろしくお願いします。

それでは、また次回お会いしましょう。

サヨナラ!

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