不器用な彼の物語   作:ふぁっと

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第18話 もうひとりの「諏訪子」

 

 

 

忘れられた神

 

ただ、ただ、

 

 

見守るだけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日。

 

 昨日の夜は意味もなく夜更かししていて非常に眠い。なのはも同じようで目を擦っている。俺と同じで眠気は完全にとれていないみたいだ。

 今日もう1泊して、明日には帰ることになるんだが………はふぅ。

 

「なのはちゃんも眠そうだけど、裕也くんも眠そうね」

「なのはは大体分かるけど、あんたは夜に何かしてたの?」

 

 アリサたちが眠気の取れてない俺たちに向かって聞いてくるが、答えることはできないので沈黙を貫く。

 

「ま、十中八九。なのははあんたの所為でしょ?」

「あー………」

「………」

 

 部屋に戻った時にはちゃんと自分の布団に入っていた、はず。既に眠くておぼろげだが、ちゃんと真ん中の布団を使ったはずだ。だがしかし、朝起きたらなのはと同じ布団で寝ていた。だから端っこにして欲しいと言ったのだがなぁ。

 あ、もちろん土下座しました。何故かアリサに足蹴りされましたが。

 

 予想通り、俺の朝は謝罪から始まった。

 

 

 

「みなさ~ん、起きてますか~?」

 

 間延びした声でメイドのファリンさんが襖を開けてくる。

 

「あ、皆さん起きてますね。朝食のご用意ができましたのでどうぞ来てください」

「「「はーい」」」

「あい。ほら、諏訪子。起きろー」

「うぅ……ねむい」

 

 諏訪子を何とか起こして朝食が待っている食堂へと行く。食事時は家族全員揃って食べるそうだ。それが高町家の習わし。

 

 

 

 

 

 

「ふぇ、フェイト・テスタロッサ……です。よ、よろしく………」

「アリシア・テスタロッサよ。よろしくね」

 

 食事後、フェイトたちから念話が届いたようで、こうして合流した。

 旅館には変身魔法で大人になったアリシアとフェイトで姉妹という形で入ってきた。この世界のお金はどうしたのかと聞いたら、この世界に来る前にプレシアさんから貰ったとか。

 管理世界なら分かるけど、ここは管理外世界。どうやって日本のお金を手に入れたのだろうか。聞くのが怖いので俺は気づかなかったことにしよう。

 

(そういえば、スカさんも………)

 

 考えるのをよそう。世の中には開いてはいけないパンドラの箱がいくつもあるのだ。

 

 

― 閑話休題 ―

 

 

 各々自己紹介したところで、再び俺たちは子供部屋に移動した。アリシアは咲夜さんやファリンさんたちと行動を共にするようで、ここにはいない。

 変身しているとはいえ、今は大人の姿だからね。

 

「―――さて、どうしようか」

「う~ん、温泉に入りにきてるんだし、温泉に入る?」

「それでもいいけど、夜にも入るんでしょ?」

「俺は一考に構わん。むしろドンとこい」

 

 温泉はいいよ。温泉は癒しだね。ただ昨日みたいな外人マッチョとは入りたくない。いや、嫌いな訳ではない。ただ連続して会いたくないだけなんだ。もう帰ったので会うことはないと思うが、あのノリは好きだよ。

 

「今できるとしたら、温泉とPFPとトランプとUNOぐらいかー」

「あとお話!」

「それでもいいが、だったら俺は端っこでPFPしてるよ」

 

 度々思うが、女子はよく何時間も話してられるよね。飽きないのかなぁ。

 

「近辺や宿の探索は昨日しちゃったしね………」

 

 山の中だけに街灯もない。故に、少しでも太陽が沈み始めると山と森に囲まれたこの場所は本当に暗くなる。近辺の探索は宿の近くくらいしか歩いていないが、自然が豊富以外に見つけるものがないってのが分かった。

 宿の女将さんの話では、近くに川があるみたい。だが、水着もない上に水遊びするには少々時期的に早いので断念。

 宿内の探索は俺1人でもやったし、なのはたちともやった。娯楽の少ない宿ってのが分かった。

 

「PFPだとフェイトが持ってないし」

「お話だと裕也くん参加しないし」

「オフコース」

「トランプとUNO?」

「も、ねぇ………」

 

 結局、温泉に入りにきたことだし、温泉に入るかーということになった。いえーい、心の洗濯―。

 男は俺1人なので、もしかしたら貸切状態かね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん………だと………」

 

 だが、それもすぐに終了した。

 

「これじゃあ、仕方がないわね」

「そうだね~」

 

 なんと、男湯が使えないという事態。

 どうやら奥の配水管が故障したらしく、現状使用停止。ただ故障自体は軽微なもので、しばらくすれば使えるようになるとのこと。しばらくと言っても、夕飯後くらいまではかかるようだ。

 それに使えないのを良いことに、今男湯を清掃している様子。無情にも“清掃中”の看板が俺を遮る。

 

「―――じゃあ、俺は後で入ろう」

「え? いっしょに入ろうよ」

「え? パス」

 

 確かに子供のこの身なら女湯に入ったところで問題はないが、俺に問題がある。いや、R18的な意味ではないよ。士郎さんとか恭也さんとかの意味で。

 死ぬよ? 俺が。

 

「すずか。なのは。諏訪子」

「「「らじゃー」」」

「やめろー! はなせー!! 俺は自由になるんだー! うぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 ま、逃げられるはずはなかったんですがね。

 

 

「とりあえず、離せー! ここまで来たんだから、自由にしろよ!」

「あんたの場合、ここまで来ても逃げる気がするからダメよ」

「その信頼が痛い!」

「どうせだから洗ってあげようよ」

「賛成―!」

「やめろ! てか、ほらフェイトが困ってるぞ!」

「え?」

 

 全然困ってなかった。むしろ、なのはたちに次いでやる気満々だった。

 

「面白そうなことしてるわね。私も協力するわよ」

 

 スパーンの良い音立てて裸のアリシアが乱入してきた。なんだ? 念話でフェイトが呼んだのか?

 てか、お前は隠せや。前を。

 

「やるき満々かー! なんでいるんだー!」

「いやぁ、なんか面白そうな空気を感じてね」

「なんとなく………やらないといけない気がして……」

 

 アッーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――とまぁ、あったわけ」

『なるほどね。ここは男として“爆死しろ”と言うべきかね?』

「それを言うなら“もげろ”じゃないかな………」

 

 温泉から帰って来た次の日。自宅からスカさんにいつもの連絡をしていた。

 本拠地が歩いて数分のところにあるので直接行っても良かったのだが、疲れを癒す温泉で疲れてきたので部屋から連絡である。

 ついでにプレシアさんのことについても話しておいた。といっても、聞いた話をそのまま話した程度で、新情報は何もない。

 

「あー、お土産買ってきたから後で持ってくー」

『おぉ、それは嬉しいね。ありがたく貰うとするよ』

「で、管理局についてはどうするの?」

『どうする、とは?』

 

 知っているかもしれないが、近々管理局がこの世界に来ることを伝えた。

 だんだん忘れ始めているが、目の前の男は次元犯罪者なのである。追われる身であり、管理局は追う側の人間だ。

 ウーノさんとか普通に商店街で買い物しているけど、スカさんとかゲートボールしてたりサッカーのコーチとかしてたりするけど、追われる身なのだ。この前士郎さんといっしょにサッカーの戦術について論議してたけど、追われる身なのだ。ここ重要。

 

「時々スカさんたちが犯罪者ってのを忘れるよ」

『奇遇だね。私たちもだよ』

 

 あんたらは忘れちゃダメだろ。

 

『まぁ管理局よりも、吉野さんにどう勝つかを考える方が大事だと思うのだがね』

 

 吉野さんは確か老人会のゲートボールの達人だったはず。この前も大会だか何だかで優勝したとか聞いたな。

 

「なんでか知らないけど、この市内の人たちは皆おかしい人たちだからなー」

 

 武術の達人とか吸血鬼みたいな一族とか空飛んじゃう人とか普通にいるからね。あ、市内だけじゃねぇな。この前の外人ズとかも人外スペック持ちだ。

 あれ? ここ現代日本だよな?

 

『いやー、まさかアレをあそこで防がれるとはね………計算には自身があったのだが、さすがに蛇のように動く魔球は計算外だったよ』

「ゲートボールだよね? スカさんたちがやってるの」

 

 蛇のように動く魔球ってなんだ? 野球じゃないよな?

 

 

 余談だが、なのはは正式にフェイトたちと協力して動くことにしたようだ。プレシアさんとももう一度きちんと話して“プレシアさんが現地にいた魔導師に協力を要請した”という形にしたらしい。

 その方が後々面倒なことにならないから、と言われたようで、なのはもこれも呑んだ。ただ現地にいた魔導師がベテランじゃなくて、成り立ての魔導師なんだが………や、実力はベテラン以上です。はい。

 どちらも私情で集めていた訳ではなく、片方は危険なものだから被害が出る前に回収しないとという使命感から、片方は故意ではないとはいえ家族が原因とも言えなくないこと故に。

 

「明らかに攻撃してきた奴が悪いと思うんだが………」

 

 攻撃を防いだら近くの輸送艦に当たってしまった。かといって防いでいなかったら、今頃プレシアさんたちはこの世から消えていた可能性もある。

 

(だからといってまったく関係ない世界の人たちに被害でるのを防ぎたいという)

 

 立派だねぇ。とても原作では娘に鞭振るってた人と同じとは思えない。何が彼女をあそこまで変えてしまったのか。

 

 

 ちなみに何故そんなことを知っているのかと言うと、なのはが逐一教えてくれているからだ。完全に言うタイミングを逃してしまっているが、なのはにはまだ俺が魔導師というのを言っていない。

 代わりにフェイトには伝えてある。口止めはしているけど、危険な綱渡りやってない? 俺。

 とはいえ、どのタイミングで伝えれば一番被害が少ないか。

 

(ふむ………)

 

 1.今すぐ伝えてみる。

 

『へぇ、なんで教えてくれなかったの? 私、そんなに信用できない?』

『ち、違う! 言うタイミングが………』

『私、何度も魔法のこと伝えたよね? タイミングあったよね?』

『や、やめろ………! 死にたくなーい!』

 

(DEAD END………)

 

 2.フェイトから伝えてもらう

 

『ねぇ、なんで直接言ってくれないのかな? 私、そんなn(ry』

『や、やめろ………! 死にたk(ry』

 

(DEAD END………)

 

 3.次になのはが魔法のことを言ってきたら伝えてみる

 

『ねぇ、なんで今まで黙ってたの? わたs(ry』

『や、やm(ry』

 

(DEAD END………)

 

 あれ? 死ぬEDしか視えないぞ。

 

(ま、なんとかなるか)

 

 当のなのはだが、なんとデバイスのモードが原作より増えていた。

 デバイスについて説明してもらったけど、展開時の基本モード“デバイスモード”に砲撃などに使う“シューティングモード”、封印などに使う“シーリングモード”。この3つに“スタンバイモード”を加えた計4つだったのだが、最近新しいモードを作ったそうで。

 

「ナックルモードってのを作ったんだよ!」

 

 とまぁ、嬉しそうに報告された。

 “ナックルモード” ―――デバイスを両の拳に装着して相手に殴りにかかる近接格闘形態。この場合レイジングハートはなのはの胸のところに移動する。

 

(体術がすごいんだっけかなぁ……俺は見たことないけど)

 

 フェイトと戦っていた時は、俺はアリシアと共闘して霧谷と戦ってたから見ていない。温泉回では戦う前に話し合いで決着が着いていたし。

 いつか見てみたい気もするが………見るのが恐ろしくもある。

 

「さて、そろそろ出るかな」

『おや、今からどこかに行くのかい?』

「あぁ、この前言ってた【白蛇伝説】のところにね」

 

 学校からまっすぐ帰ってきたため時間はまだ夕方ではない。疲れも癒えたことだし、高台まで行って帰ってくるだけなら門限までには間に合うだろう。

 

『レポートをよろしく頼むよ』

「今日は何もしないけどなー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――高台

 

「さて、確か奥の目立たない場所って聞いたが……」

 

 明確な場所は分からない。社があるって話も見つけたって人がいれば、何もなかったって人もいる。なので、限られた者しか見つけられないって話が付いたのだろう。

 道っぽいものはあるので、地道に探すしかない。諏訪子がいれば話は別だったかもしれないが、

 

「今日は見たいドラマがあるからパス!」

 

 と、母さんと一緒にリビングでテレビにかじりついている。自由なデバイスである。

 

「場所だけでも分かればいいんだが………」

 

 道なりに進んでかなり奥の方まで入り込んできたが、中々そういった場所は見つからない。やがて道は少しずつと狭くなり、獣道となり―――気がつけば雑草を踏みしめて歩いていた。

 最早、歩いているのは道なのかどうかも不明だ。

 

「むぅ、そろそろ戻った方がいいかもな」

 

 だが振り返るも道が見当たらない。不思議だ。

 木々の隙間から見える空はまだオレンジの色を残しているが、そろそろ闇に包まれる頃合だ。門限の時間が近い。

 

 

 

 

――瞬間、世界が反転した。

 

 

 

 

 白は黒に。善は悪に。光は闇に。

 

「な―――」

 

 気づけば、開けた場所に佇んでおり、空は墨汁で染められたかのように闇色に染まっていた。

 そして、いつからそこにあったのかは不明だが、古い―――小さな社が目の前にひっそりとあった。

 長年、掃除がされていないのか見て分かるようにボロボロであったが、奇妙な圧迫感というか平伏さなければならないような不思議な感覚が襲った。

 

 

 

『―――そのままでよいぞ』

 

 

 

 自然と頭を垂れようとしていたが、聞こえた言葉がそれを遮る。

 

「――っ!?」

 

 やはり、気付いた時には既にそこにいたように―――大きな白蛇が社の上に存在していた。常識を疑うような巨大な蛇だ。軽く人間の大人以上の大きさはあるだろう。

 

「あ、あなたは―――」

 

 何者か―――

 その言葉を紡ぐ前に、白蛇が応えた。

 

『分からぬか? 我が分霊を纏う者よ』

 

 なんとなく諏訪子を思い出す。確か、諏訪子は自分のことを大本から分けられた分神体と言った。ならば―――

 

『こうすれば、分かるか?』

 

 ぐにゃりっと歪んだ白蛇の姿。次には見慣れた諏訪子の姿がそこにあった。ただ、なんというか存在感というか威圧感は俺の知ってる諏訪子とは桁違いである。

 

『ふむ―――今の汝ではまだ無理か』

「え?」

 

 心の奥底まで視るかのような深い瞳で見られる。目の前の諏訪子は、ふと目を閉じて呟いた。

 

『次に来る時には我が身を連れてくるがよい』

 

 

 

――ゴゥ!!

 

 

 

「づっ!?」

 

 そして、次の瞬間には吹き飛ばされた。突然の突風により、雑草の上を転がる。

 慌てて飛び起きれば、そこは高台の開けた場所。林の外まで転がってきた―――とは思えないが、現実に俺がいる場所は林の外だ。

 塗りつぶされたような空も色を取り戻し、周囲は何事もなかったかのように“いつも通り”だった。

 

「………諏訪子の本体、か?」

 

 最後に諏訪子の姿を取った巨大な蛇。それが、恐らく諏訪子の本体。そして、神。

 

「………今日は、帰るか」

 

 次に来る時は我が身をつれて来いと言った。我が身―――つまり、俺の知ってる諏訪子だ。もう一度、諏訪子といっしょに来いということだろう。

 

 

 

「―――てか、全然違うな」

 

 本体と分神という話だが、ここまで変わるものなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰り道。

 一度家に帰ってから土産を持ってスカさん宅に向かった。今日のことを話しておきたかったし、土産も忘れそうだったからだ。

 家の近くということで、門限の超過を許可してもらえたので諏訪子を連れて向かった。嬉し恥ずかしのメンテの時間でもある。

 

「やぁ、いらっしゃい」

「どもス」

「うーす」

 

 いつもならウーノさんが出てくるところを珍しくスカさんに案内されて、俺たちは中へと入った。

 

「ほら、2人が来ましたよ。あいさつしなさい」

「う、うぅ……は、初めまして! チンクだ」

 

 中に入ればウーノさんが銀髪幼女を連れてきた。幼女はカッと目を見開くと、丁寧にあいさつを叫んだ。

 いきなりで驚いたが、彼女はスカさんに前言われていた娘さんの1人だろう。何故か眼帯をつけている。

 しかし、娘………?

 

「おぅ、私は諏訪子だ!」

「そして俺が裕也だ!」

「最後に私が父親のジェイル・スカリエッティだ!」

 

 とりあえず、このビッグウェーブには乗らないといけないな。うん。しかし、ノリノリだな。この親父。

 

 

 

 

 

 温泉の土産を渡して一息。ウーノさんはスカさんを怒った後、チンクを引っ張ってどこかへと消えてしまったが、まぁ些細なことだな。どこからともなく幼女の悲鳴のようなものが聞こえたかもしれないが、きっと気のせいだ。

 

「なるほど。もう1人の諏訪子くんか……」

「私の本体がそんなとこにいるとは思えないけど………あ、社があったら移動できるかな?」

 

 ウーノさんに殴られた箇所を冷やしながらスカさんが、もむもむと菓子を食べながら諏訪子がのたまう。

 絵にならない2人である。

 

「恐らくね。我が身をとかなんとか言ってたし、諏訪子の姿も取ってたし」

「何で私を連れてかなかったの?」

「お前がドラマに夢中だったからだよ!」

 

 近々もう一度行くことを伝えておく。

 

「呼ばれたことだしね」

「んー、会いたいような会いたくないような」

「どうしたんだい?」

「いやー、私は本体からの分霊の1つでしか無い訳で。今の私でも本体に吸収される可能性はある訳でしてね」

「ふむ。キミの存在はかなり違ってきていると思っているが?」

「どっかの誰かさんのおかげでね!」

 

 ただ、それでも本体の前では小さな1つの存在でしかない。本来ならば、そのまま融合するのだが、今の諏訪子は存在がかなり違ってきてしまっている。本体との融合はできない。

 なので、吸収という形で自分を取り入れる可能性があるという。吸収と融合、似てはいるが意味合いは違う。

 もしそうなった場合は、俺の知ってる諏訪子という存在は完全に消えることになる。

 

「元々、私は情報収集用の端末だからねー」

「まぁ、そうなるとは決まった訳ではないが………」

「そもそもあの場所にいたのが本体じゃない可能性もあるんだろ?」

「そーなんだけどねー」

 

 珍しく意気消沈している諏訪子だったが、次の瞬間にはいつも通りの元気いっぱいに戻った。ただ、

 

(無理してるなぁ)

 

 そう思った。

 

「何にせよ、次に赴く時はある程度の準備はしておくことだね」

 

 敵対しないことはもちろんだが、何が起こるかは分からない。神とはそういった存在である。

 そんな神相手に改造とかしちゃうスカさんは最早変態というレベルではないだろう。

 

「変態の上はキ○ガイだね。キ○ガイ」

 

 それでいいのか?

 

「はっはっは、褒め言葉として受け取っておこう」

 

 受け取っちゃダメじゃないかなー、とは言わないでおく。

 

 それはともかく。

 

 チンクが来たことで、多少の戦闘なら問題がなくなった。無いなら無いで越したことはないが、もしもの場合が起こった場合はチンクが援軍として駆けつけてくれる場合もある。

 ちなみに彼女。ちょうど小学生くらいだろうか。なのはたちと並ぶときっと違和感がないことを告げておく。

 

 

 

 

 

 


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