不器用な彼の物語   作:ふぁっと

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幕間02 運命と出会った「裏側」

 

 

 

手の上で踊る道化師(ピエロ)

 

手を差し出す操り人形(マリオネット)

 

 

どちらが愚者か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジュエルシードの反応を感じたので、急いで向かってみればそこにはなのはとフェイトの姿があった。

 そう、今日はなのはとフェイトが初めて会うシーンだった。

 

 が、2人とも俺の嫁候補だ。2人の戦闘シーンは個人的には見てみたいところだが、まずは俺のものにするのが先決だ。

 

 

「ふはははははは!」

 

 

 なのはは動物好きだからな。猫へと向かった攻撃を守る。フェイトの攻撃力は知らんが、最強の俺のシールドの前には無駄だったな。

 ふふふ、背後からなのはの視線を感じる。振り向きたいが、ここは振り向かないのが男だ。

 

(男は背で語る。安心しろ、なのは。明日になったら、たっぷり甘やかしてやるからよ)

 

 今はフェイトだ。

 協力者が言うように、俺のニコポ・ナデポの魅了系は魔導師には効きにくいようだ。フェイトに試してみても他の女のように変わったところは見られない。

 

『万全の状態だから効かないだけで、ダメージを与えれば効くかもしれんな』

『なるほどな』

 

 心苦しいが、フェイトには少し傷ついてもらうか。

 

 

―――くくっ

 

 

 自然と口が釣り上がる。

 どうやら俺は嗜虐趣味もあるようだ。目の前であのフェイトが傷つく姿を見れると思うと、興奮してくる。

 だが安心しろ。殺す気などさらさらない。後で俺が優しく介抱してやるさ。身も心も全て俺に委ねるようにしてやるさ。

 

 

「はっ!!」

 

 

 目の前からフェイトが消える。さすがに疾い。俺の目では追いつくことはできない―――が、攻撃してくるのは分かってる。

 ならば話は簡単だ。

 

『全方位バリアーだ』

『了解』

 

 一点でも一面でもなく、全方位に障壁を張ってしまえば、俺に攻撃は届かなくなる。

 おっと、横から音がしたぞ? 次は背後か。速いなフェイト。だが無駄だ。

 

「最強の俺には無意味だ!」

 

 いいねぇ、その瞳。まだ諦めていない眼。フェイトはまだ戦うようだ。その眼が、いつ曇るのか楽しみでしょうがいないぜ。

 

 

 

 だが、それもここまでだった。

 

 

 

 無粋な乱入者が現れたのだ。

 

 1人はアリシア。何故生きているのかは分からんが、生きているならば好都合。お前もついでに俺の嫁にしてやろう。

 そしてもう1人は男の魔導師―――姿格好は俺の前世のマンガのキャラにそっくりだった。だが、本人は全く知らないという素振り。

 

『おい、あいつは転生者か?』

『…………いや、違う』

『違う、だと? あの格好してるのにか?』

『あぁ、恐ろしいまでの偶然だな』

『ちっ』

 

 今まで協力者は的確に転生者を見つけてきた、そいつが言うのだから、本当なのだろうが………納得がいかん。

 まぁ転生者だろうが違かろうが問題ない。

 

『―――どちらにしろ、殺すだけだ。問題ない』

 

 アリシアは生かしておいてやる。だが、男はダメだ。男はいらない。転生者でないなら、今ここで殺したとしても問題はないだろう?

 

『今は退くことを考えた方がいいと思う』

『あん? 俺があんな奴に負けると思ってるのか?』

『デバイスも持ってない相手だ。どんな攻撃してくるか分からないのだぞ?』

『はん! 関係ないな! 全て捻じ伏せる! 俺は最強だ!』

 

 だが悔しいことに、協力者の言葉は正しかった。

 頭の中でなのはたちと同じ魔力攻撃が来ると思っていた。思い込んでいた。奴が取ったのは他の手段。

 

(カードでの宣言と攻撃―――これは、“東方”か!)

 

 ホントにあいつは転生者でないのか疑わしくなった。しかし、協力者の声は否を唱える。

 

(まぁいい。今考えることではないな)

 

 全方位シールドを張れば攻撃は届かないが、俺も攻撃できなくなってしまう。しかも、アリシアにはシールドを破って攻撃してくるから、デメリットの方がデカい。

 ならば、攻撃だ。圧倒的な力を見せ付けて、全てを飲み込むだけだ。

 

 

 

 だというのに、どういうことだ。

 

 俺の攻撃が当たらない。全てが避けられる。剣も技も何もかもが。アリシアは無視して、男だけは執拗に追いかける。まずはあいつだ。あいつを倒す。あいつを殺す。

 

「ぐっ!」

 

 俺よりも高い場所に奴がいる。俺を見下ろしている。それが―――

 

「モブの癖に! 俺を見下すなぁぁぁああ!!!」

 

 俺が最強だ。俺が一番だ。俺がトップだ。全ては俺に跪くんだ。

 

「邪魔をするなぁぁぁぁ!! アリシアぁぁぁぁぁ!!」

「お断りよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、その時の勝敗は俺の勝ちだ。奴は逃げていった。だが、試合では勝ったが、勝負では負けたようなものだ。

 

「くそが………」

 

 俺が最強だ。俺が一番だ。

 これはあってはならないことだ。

 

「―――今は、なのはのところに行くか」

 

 この荒んだ心をなのはに癒してもらおうと思い、なのはがいる場所へと向かった。しかし、考える時間が多かった所為か、なのははすずかの家の中に戻ってしまったようだ。

 

「ちっ、遅かったか」

 

 もう会えない訳ではない。

 明日もまた学校では会えるだろうから、今は大人しく退いておくか。

 

「仕方が無い。他の女どもで我慢するか」

 

 フェイトの傷つく姿をみたおかげか、ひどく興奮している。このままではゆっくり眠ることもできないな。

 適当に女どもを虐めてみるか。

 

 

 

 


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