不器用な彼の物語   作:ふぁっと

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IF
番外編 なのはの誕生日


 

 

星の下で結ばれた

 

 

彼と彼女の新たな物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Story

 

「ふぅ………」

 

 私は夜の寒さに震えながら、1人で待っていた。暦の上では春になっているとは言え、夜になるとやはり寒い。自分のサイドポニーの髪をいじりながら待っているが、寒いものに変化はなし。

 

「はぁ………来ないなー」

 

 もうかれこれ何時間もここで待っている。途中、自販機で温かい飲み物を買って飲んでいるが、それだけでは体は暖かくならない。

 

「あ」

 

 ふと時計を見れば、日付がもう少しで変わってしまうところだった。ケータイを開くが、待ち人からの連絡でも入ってるかと思えば、そうでもなく。こちらから連絡を取ろうにも、今どこにいるのか電波が届かぬ場所にいるそうで。

 

「はぁ………寒いなぁ」

 

 このため息も何度目か忘れてしまったくらいにしている。とっとと帰ればいいのに、私はまだここで待っている。

 諦めたくないという気持ちと、諦められないという気持ち。待ち人は絶対に来るという気持ちと、暖かい場所に戻りたいという気持ち。様々な気持ちが私の中で複雑に渦を巻いて暴れている。

 その結果として、この場所から動けずにいるのだから我ながら大したものだ。

 

「………あー、私の休日。終わっちゃった」

 

 視線の向こうには私の職場である機動六課が見えた。私は普段はそこで働き、待ち人である彼は別の場所―――それこそ世界を違えた場所で働いている。時折、連絡を交わすがお互いに忙しい身である。

 

「今日………終わっちゃった」

 

 既に日付は16日になってしまったが、3月15日は私の誕生日………だったのだ。

 

「―――休日も終わっちゃったし、帰ろうかな」

 

 結局、私の久しぶりの休日は待ち人を待っているだけで終わってしまったようだ。

 

 その時だった。

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!? まだか!? まだですかぁ!?」

 

 俺は今、次元航行船に乗り場にいる。船が動いているならばとっとと船に乗っているが、動いている訳ではない。話を聞けば、小さな次元震動が起こっているようで、船が出せないでいるらしい。

 時間が迫っているというのに、動けないでいる現状。これが俺の世界の電車が動かないということなら、代わりにバスに乗るなど出来るのだが………世界を超える次元航行船となると、代わりになるモノがない。

 船員さんによれば、小さなモノだからすぐに納まるという話らしい。

 

「だからあれほど時間には気をつけてって言ったじゃん!」

 

 隣では10年以上の付き合いになる相棒が怒っていた。その怒りはごもっともだが、今は船を動かして欲しい。

 

「諏訪子! 今こそ神であるお前の力が必要な時だ!」

「そんな都合の良い神がいるかー!」

 

 こういう時には頼れる紫さんもまだ冬眠から目覚めていないようで、暖かい布団の中だとか。紫さんがいるであろうマヨヒガまで飛んでくれた諏訪子が、期待していない言葉と共に戻ってきてくれたのだ。

 

「藍さんじゃ世界を超えることはできないし、霊夢さんも無理だし」

 

 霊夢さんの場合、仮に出来たとしても巨額な金を請求されそうで恐い。

 

「しかも、こういう時に限ってケータイを忘れる始末! ちくしょう! 全、俺が泣いた!」

 

 仕事で遅れるというメールはしたと思う………あれ? したっけ? 諏訪子にどなられて、送ったような記憶はある。ケータイが手元にないから履歴も見れない。たぶん、したと思う。だが、それでも遅れに遅れている。今も待ち合わせ場所で待っているかもしれないと思うと、早く駆けつけたい。

 だが、船は動かない。頼れる人たちは誰もいない。

 

「困った時のスカさーん!」

 

 小学生の時からしている通信用の腕輪を起動させて、頼れるマッドサイエンティストを呼んだ。

 

『おや、裕也くんかい?』

「ヘイ、スカさん。次元航行船が動かないんだ! どうにかしてくれ!」

『やれやれ。だからあれほど“今日は休みにした方が良かったのではないかね?”と言ったのだよ』

「マジすいません! お説教は後ほどで何か策は無いでしょうか!?」

『ふむ。次元航行船ということは、君はまだ地球にいるのかい?』

「いや、今は35管理世界にいます!」

『なるほど………では、1つ。授けてあげようではないか』

「おぉ!?」

 

 隣で諏訪子が“借りを作っちゃったね………”とか呟いているが、大丈夫。俺はスカさんを信じてる! 信じてるんだ!

 

 

 

 

 スカさんの言葉を信じて、案内された場所は人気もないような山奥の倉庫だった。

 

「ホントにここ? 裕也」

「地図が間違ってない限り、ここだと思う」

 

 夜も間近の時間帯だと、山奥では既に暗くなっていて足下が危ない。周囲を注意深く見ながら、俺たちは前へと進んだ。

 

「お、来たな。久しぶりだな、裕也」

「おぉ、チンク! 久しぶり!」

 

 最後に会ったのは去年だったか。久しぶりに銀髪のちびっ子を見た。相も変わらず、背格好は小さいままだ。諏訪子も昔から背格好は変わらず、なのはやフェイトたちは彼女たちを複雑な目でよく見ていた。

 お肌がどうとか、手入れがどうとか。たぶん、女にしか分からないことなのだろう。

 

「―――じゃなくてだ! 話はスカさんから聞いてるのか?」

「あぁ。約束をすっぽかしそうになっている裕也を助けるのだろう?」

「うぐぅ………だが、その通りです」

「骨の1本や2本くらいは覚悟してる」

「なのはがその程度で済ませると?」

「―――骨の5本や6本くらいは覚悟してる」

「ずいぶんと多いな………と、これだ」

 

 チンクから手渡されたのは、地球で言うところの宇宙服のような分厚い服だった。顔の部分はヘルメットみたいになっているようで、中からでも周囲が確認できる。

 

「なにこれ?」

「次元空間内を移動するための防護服だ」

「パードゥン?」

「裕也はこれを着て次元空間を直接渡るのだ。大丈夫だ。ミッドならすぐそこだ。たぶん」

 

 例えるならば、宇宙空間を宇宙服を着て泳ぎきれと言われたような感じか。ところで、諏訪子くん。何故、俺の方を見て拝んでるのかい?

 

「裕也のご冥福をお祈りします」

「いや待て! まだ死ぬと決まった訳ではない!」

 

 大丈夫なんだよな? こんな無理無茶無謀なことをしでかしても大丈夫なんだよな? 大丈夫と言ってくれ!

 

「たぶん、としか言えないな。前人未到のチャレンジだから何とも言えん」

「そりゃあねー、こんなバカげたことしでかすのは裕也しかいないでしょ」

 

 2人の幼女が他人事だと思って軽く笑ってやがる。ちくしょう、どこかの世界の変態紳士に崇められてしまえがいいのに!

 

「まぁいい。前人未到ならば、俺が最初の一歩を刻んでやろうではないか!」

 

 背に腹はかえられぬ。時間も迫っているし、俺に退くという言葉は無い。次元航行船もまだ動いていない様子だし。

 腹を括るしかない。

 

「というか、裕也の他に誰もやらないと思うよ」

 

 諏訪子の言葉は聞こえないようにシャットダウン。

 

「よし! やったるでー!」

「説明するから、それ着てこっちこい」

 

 Yes, BOSS!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で俺は今宇宙空間ならぬ次元空間内にいる。諏訪子はさすがにここまでは付いてきたくなかったようで、チンクと現地で待っている。

 

『体に何か違和感はありますか?』

 

 サポートに付いてくれたウーノさんからの声。恐怖こそあるものの、体に異常はない。

 

『そうですか。では、このまま案内しますね』

「よろしくです」

 

 ふぅ。何故俺はこんなところにいるのだろうか。何をしたというのだろうか。一体、何がいけなかったのだろうか………。

 

『そりゃ、時間に遅れたことだろう?』

 

 ごもっとも。正論で返されて耳が痛いです。

 

『では、ウーノ。彼をサポートしてミッドチルダまで導いてやってくれ』

『了解です』

 

 ご迷惑かけます。

 

『いやしかし。言っておいてなんだが、君も無茶するねぇ』

「こうでもしなきゃ、間に合わないしな!」

 

 ケータイ=時計だった身なので、時間は分からない。しかし、相当に待ち合わせ時間からは過ぎているのは理解している。

 なのはは今も待っているだろうか。それとも諦めて帰ってしまっただろうか。

 

(いや、今は集中しよう)

 

 なにせ、今の俺は危険な場所に身を置いているのだ。油断1つで帰らぬ人になるような場所だ。

 

『では、がんばりたまえ。こっちで待ってるよ』

「おぅ!」

 

 ウーノさんの声に従い、次元震動で乱れた空間内を泳ぐという無茶な行動を俺は開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Story

 

『Sorry. Master(すみません。マスター)』

「―――レイジングハート?」

『Although I say non-tea by consent, doesn't it wait only for a few any longer?(無茶を承知で申し上げますが、もう少しだけ待ってみませんか?)』

 

 声をかけてきたのは、私の胸にぶらさがっているレイジングハート。私のデバイスからだった。

 

「……………」

 

 寒さに耐えた、というよりは体が冷え切ってしまって寒さを感じなくなった体は、そろそろ暖かい場所に戻りたいと訴えている。だが、レイジングハートの言うように、もう少しだけ待ってみたいという意思も残っていた。

 これだけ長い間待っていたというのに、私はまだ待っていようと思っているみたいだ。

 

『It is OK. He comes.(大丈夫です。彼は来ますよ)』

「ふふ、そうだね。ここまで待ってたんだもの。もう少しだけ待っててもいいよね?」

『Yes. If he wears, let's complain with great force.(えぇ。彼が着たらうんと文句を言ってあげましょう)』

「えぇー、それだけ? レイジングハート優しすぎない?」

『Shall I carry out some present demands?(では、何かプレゼント要求しましょうか)』

「あはは。裕也くん、泣いちゃうかもしれないね」

 

 私は再び待ち合わせの場所に戻ると、未だ来ない彼のことを待った。

 

「わぁ………きれい」

 

 手持ち無沙汰で見上げた空は綺麗な星空だった。今日は晴れ渡り、済んだ空気だったのだろう。どこまで広がる星の絨毯が目に入ってきた。

 

「掴めそうだな………」

 

 手を伸ばしてみる。当たり前だが、星を掴むには長さが足りない。それでも、夜空に浮かぶ星を掴みたいと手を伸ばしてしまうのは仕方が無い。

 

「って、うわっ!?」

 

 星空に夢中になり、体勢が崩れてしまったのだろう。

 

 

 

「っしょい!」

 

 

 

 後ろに倒れそうになった私を支えてくれたのは、ずっと待っていた彼だった。

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか無事にミッドチルダにたどり着けた。

 

「すまん! 紫さん! 助かった!」

「いいわよ~、お礼は後でせびるから~♪」

 

 やはり無理無茶無謀だったようで、ウーノさんの指示も虚しく俺は次元空間に消えそうになった。そこに現れたのは、冬眠から起きたての紫さんだった。

 

「マジでありがとう!」

 

 紫さんの力で窮地を助けてもらっただけではなく、こうして無事にミッドチルダまで送ってもらえた。後でせびられる“お礼”がかなり恐いところだが、仕方があるまい。

 今の俺にできるのは精々手加減してもらえるように祈るばかりである。諏訪子や神奈子さんというリアル神様と知り合いな所為か、神に祈るというのは何だか微妙な感じだ。この場合は何に祈ればいいんだ?

 

「裕也! 裕也! 忘れ物!」

 

 向こうで待ってた諏訪子も運んでくれたようで、俺の後ろから慌てて飛び出してきた。諏訪子が手に持ってるものを見つけ、大切な物を忘れてたことに気付いた。

 

「あぶなっ! サンキュ、諏訪子!」

「ほら、行ってきな!」

 

 大事な物を受け取ると、文字通りに諏訪子に蹴り飛ばされた。背中を押してくれたんだと思うが、せめて手でやってくれ。

 

「青春ね~」

「んじゃ、私たちも行く?」

「そうね。お酒の肴にはいいかもしれないわね」

 

 2人の言葉は既に俺の耳には届かなかった。悲鳴をあげる体に鞭を打ちまくって猛ダッシュで待ち合わせ場所まで走っていたからだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 ついに見えてきた待ち合わせ場所と同時に、なのはの姿も見つけた。ずっと待っていてくれたのかと思うと、嬉しさと申し訳なさがこみ上げてくる。

 

 が、

 

 上を見上げた体勢のまま、ふらふらと危なっかしく立っている。あれではすぐに倒れてしまうだろう。そう思っていたら、本当になのはの体勢が崩れてしまった。

 

「―――っ!」

 

 俺は更にスピードを上げてなのはの元へと走る。倒れたところで、周囲に危険な物はない。運が悪ければ捻挫などをしてしまうかもしれないが、命にかかわるような危険な物はない。

 

「だからといって、無視出来るかぁ!!」

 

 走る。走る。走る。

 風を切り裂くように走り、ギリギリでなのはを抱きかかえることに成功した。

 

「おいおい! ふらふらと危なっかしいぞ!」

「…………………」

「ん?」

 

 抱きかかえたなのはと視線が合うが、なのはは無言だ。怒っているのだろうか………いや、当然か。どれくらい遅れたかは知らないが、遅刻も遅刻。大遅刻をしたのだ。

 

「―――時間」

「………すまん。かなりというか何と言うか、大遅刻した。申し訳ない」

 

 握ったなのはの手は冷たくなっていた。ずっと外で、寒空の下で待っていたのだろう。手だけではなく、体全体が冷え切っていた。

 

「本当にすまん。何かあったかいものでも買ってくる!」

 

 なのはに着ていた上着を着せて、俺は近くの自販機に飛び出そうとした。が、その腕をなのはに引き止められた。

 

「裕也くん。あったかい」

「―――違う。なのはが冷たいんだよ」

「ずっと、待ってた」

「あぁ。すまない。ずっと待たせてしまったな」

「寒かった」

「……………」

 

 ぎゅっとなのはを抱きしめる。少しでも、なのはの寒さが和らぐように、と。

 

「もう、日付も変わってるんだよ?」

「げっ!? マジで!?」

「連絡しても出ないし………」

「すいません。家に忘れてきたんです。マジすいません」

「もぅ」

 

 なのはを抱きしめてほっこりとしていたが、大事なことを忘れていた。

 

「なのは」

「―――なに?」

 

 一旦離れて、なのはの前に立つ。ポケットから昨日買っておいた物を取り出す。

 

「盛大に遅れたけど、これ」

「これって………」

「誕生日プレゼント」

 

 渡したのはイヤリングだ。レイジングハートと同じ色をしたイヤリングを見つけたので、買っておいたのだ。

 

「綺麗………」

 

 さっそくなのはは耳に付けてくれた。

 

「どう、かな?」

「あぁ。似合うよ」

「えへへ、ありがとう。待ってた甲斐があったよ」

 

 こんな小さな物で、ここまで喜んでくれるなのはに嬉しさがない訳ではない。

 

「だが、俺のターンはまだ終わってない」

 

 次に取り出したのは小さな箱。白い箱をなのはの前に差し出し、

 

「え?」

 

 ぱかりっと開く。中から見えるのは、銀色に輝く指輪だ。特にこれといった物はついていないシンプルな指輪である。

 

「これって、もしかして………」

「あぁ。俺と、結婚してくれないか?」

 

 俗に言う“結婚指輪”である。既になのはの両親には伝えており―――というより、その両親からさっさと結婚しろよと背中を押されていたのだ。付き合い始めてもうすぐ10年になるかどうかという頃合だ。我ながら長かったな。

 

「私で、いいの?」

「あぁ。お前じゃないと、俺が困る」

 

 はにかみながら、なのはは笑い―――

 

 

「うん。喜んで」

 

 指輪を受け取ってくれた。

 

 

「「「おめでと~!」」」

 

 

 盛大な音をひっさげて、俺たちの周囲にクラッカーの音が鳴り響いた。

 

「いや~、いいもん見させてもらったわ!」

「うふふふふ」

 

 そこにいたのは俺のことを手伝ってくれた面々だった。諏訪子に紫さん、チンクにウーノさん、スカさんといる。更にはどこからやってきたのか………いや、紫さんしかいないが、レミリアさんやパチュリーさんたちなどまでいた。

 

「な、な、な、」

「あぁ、あたしらのことは気にしないでいいわよ?」

「ところで、裕也。キスはまだなの?」

 

 全員が全員、酒を片手に既にできあがっていた。

 

「へ?」

「はい、キース! キース!」

「「キース! キース!」」

「「「キース! キース!」」」

 

 酔っ払いどもが、キスを連呼して盛り上がる。何が楽しいのか分からないが、これが酔っ払いどものノリなのだろう。やられる側としてはたまったものではないが。

 

「「…………………」」

「おらぁ! キスはまだかー! こっちは酒を待ってるんだぞぉ!」

「ちょっと待て! そういったのに大事な雰囲気とかがぶち壊されているんだが!?」

「裕ちゃん、裕ちゃん」

「って、母さんまでいるし!?」

 

 周囲の空気に全然気付かなかったが、いつの間にか母さんまでいた。というか、増えてきている。知り合いがどんどんと増えてきている!

 

「がんばって♪」

「「…………………」」

 

 サムズアップされたが、指が違う。何故、親指が人差し指と中指の間を突き刺しているのか分からない。

 

「―――なのは」

「ふぇ!? こ、ここでやるの!?」

「紫さんが順調に知り合いを増やしている今、さっさとやってしまった方が見物客は少ない! つまり、ダメージは小さい!」

「そ、そうかもしれないけど………」

 

 恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら目を逸らすなのは。俺も似たような状況になっているだろう。

 

「いざ、ゆかん!」

「――――っ」

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

 俺たちを囲むように酔っ払いどもががやがやとうるさい。雰囲気も何もあったものではないが、その瞬間だけは俺となのはだけしかいなかった。

 

「……………」

「……………」

「さ! 酒を飲んで騒ぐぞ~! 鬼の酒が飲みたい奴はいるかぁ!」

「うむ。貰おうか」

 

 萃香や親父までもやってきていた。

 

「今日飲む酒は格段と美味いな」

「ドクター、飲みすぎはダメですからね」

「分かっているさ」

 

 スカさんチームは姉妹も全員揃って、周囲といっしょに酒を静かに楽しんで飲んでいた。

 

「なのちゃんの顔、真っ赤だわ~♪」

「可愛いわね~」

 

 年長者というか、紫さんや母さんたちは、こっちを肴にして酒を飲んでいた。

 

 

 

 

「おめでと、2人とも」

「ありがとな、諏訪子」

「ありがとう。諏訪子ちゃん」

 

 俺たち2人分のコップと酒ビンを片手に諏訪子がやってきた。メンバーが集まりきる前から飲んでいたから、かなり飲んでいたはず。だが、諏訪子の顔は変わっていない。

 以前聞いたところ、随分と酒には強いと言っていたな。

 

「はい、乾杯」

「「乾杯」」

 

 ぐいっと飲み干すが、喉が焼けるように痛くなった。

 

「ぐっ!? なんだ、この酒は………」

「萃香が持ってきた鬼の酒だよ。だいぶ、薄めたけど」

「強すぎね?」

 

 と、隣を見た。

 

「ぷはー! おいしいね!」

 

 隣のなのはは普通に飲み干していた。あれ?

 

「お、なのはもかなり酒に強いね」

「そうなのかな?」

「うんうん。なら、あそこの席でも酒に潰れることなく飲めると思うよ」

 

 諏訪子が指差したのは萃香が暴れている箇所だった。俺が知るだけでも酒に強いメンバーが揃ってる一角だ。

 

「じゃあ、行こうか。裕也くん」

「お、おぅ………」

 

 そういえば、なのはさん。あなたは明日は休日なのですか?

 

「ん~、違うけど。明日には残さないようにするよ」

「程ほどにな」

「でも、私よりもはやてちゃんの方が心配かな」

「なして?」

「ほら」

 

 と彼女が指差す方向には見慣れた狸がいた。

 

「うははははははっ!」

 

 酒ビン片手に暴れる狸こと、八神はやて。確か、かなり偉い立場にいたような記憶があるが………。

 

「私の上司だよ?」

「………いいのか? ここにいて」

「いいんじゃない?」

「ほらほら2人とも。酒の席に暗い話は厳禁だよ」

 

 諏訪子に注意されて、俺たちはその話を止めた。現実逃避したとも言うが、まぁなんとかなるだろう。今までもそうだったし、そうしてきたし。

 

「じゃ、改めて」

「うん」

「「乾杯」」

 

 

 

 




おっくれたぁぁぁぁぁぁ!!
なのはの誕生日に遅れてしまったよ! 3時間は大丈夫な範囲だよね?

慌てて書いて投稿したので、ところどころおかしいかもしれないです。見直してもいないので、誤字とか話の流れがおかしなところがあるかもしれないです。

とりあえず、誕生日おめでとう! なのはさん!

3/16 3:23




追記。

色々書き足した。 3/16 10時現在。

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