なんか、一日があっという間に感じる。
そんな俺です。
では、第8話、どうぞ。
「起きて。」
うーん。まだ少し…
「起きて!」
後、十分…
「起きなさい!!」
「は、はい!!」
俺は、いきなり女の子の声で起こされる。
誰かと思い、周りを見渡すが誰もいない。というか、俺、制服で、しかも上半身だけベットに乗せて寝ていたようだ。時計を見てみる。朝の5時だ。5時!?
昨日、朦朧だが、帰ってきた時間を見た時、夕方5時でそのまま、ベットに…
え!?俺12時間も寝てたの!?
「やっと起きた。」
声が聞こえる。また周りを見渡すがやはり誰も…
「ここよ。ここ。」
右手の方から声が聞こえて来た。俺は、右手を見てみる。朦朧としていたが、昨日、右手にお守りを握っていたはずだ。なのに持ってるのは、謎の端末。ウォークマンに似てはいるが…何なのだろう。
「やっと気付いてくれた。」
ウォークマンから声がする。
ビックリしてウォークマンを投げてしまいそうになるが、なんとか受け止める。
「ちょっと、投げようとするなんて失礼だよ。」
そうウォークマンから聞こえた後、ウォークマンの画面辺りから半透明の女の子(約十㎝ぐらい)が出てくる。
「あ!あんた、誰!!」
俺はウォークマンから出てきた女の子に指を指して言う。
「私は…誰だっけ?」
「知らねーよ。」
「え~、知らないの~。」
「いや…」
なんなんだ、この子。あれ?けどどっかで見覚えが…
「取り合えず、質問攻めにしたい所だけど…」
俺は、女の子にそう言う。ウォークマンみたいな物から女の子が出ている不思議現象よりもっと大事なことがある。
俺は、耳を澄ます。
「ねえ、どうしたの?」
「少し、静かにしてくれ。」
キッチンの方からだ。音がする。普通に考えて泥棒と判断するだろう。生憎、手元に武器になりそうな物はない。いや、あるが、このウォークマンを投げて壊したら、この女の子がどうなることやら…
俺はウォークマンをベットの上に置いて、キッチンに繋がる襖をゆっくりと開ける。
「あ、おはよう。」
俺は、襖を目にも止まらないスピードで閉める。ありのまま、今起きたことを話すぜ。襖を開けてキッチンを見たら、銀髪の長髪で身長が高いイケメンが、エプロンつけて料理してた上に朝の挨拶をしてくれた。しかも猫耳ぽいようなのが頭の上に付いていた。何を言ってるのか俺にもわからねぇが、本当に目の前で起きたんだ。
「おい、挨拶も無しに襖を閉めるなよ。」
イケメンが襖を開けて言ってくる。ここは寝室だぞ?は!まさか、所謂腐女子向けなことを俺に…
「なんだよ、その軽蔑するかのような目は。」
「俺に乱暴するんでしょ!〇〇〇〇みたいに!!」
「しねぇーーーよ!!」
「あの…ネタ中にすいませーん、何が起きてるのか説明して欲しいんですけど…」
「俺も聞きたいよ…」
「まあ…兎に角、朝食でも取りながら話そうよ。」
「…ここ、俺の家なんだけど…」
俺はウォークマンを持って、リビングまで行く。イケメンは料理をリビングのテーブルの上に置いて来る。
「まず、お前誰だよ。」
俺は、イケメンに話しかける。
「俺の名は九尾。神樹様からの命令で君の妖精になったんだけど、イレギュラーが起きて、今の姿になっているんだ。」
「妖精?」
「ほら、昨日君と一緒に星屑を倒したじゃないか。」
「…え?あの狐!?」
「そうそう。」
あの可愛らしい狐が…銀髪イケメンに…腐女子が大喜びの展開だな。
「で、イレギュラーって?」
「そう。イレギュラー。って言っても推測だけど、神樹様を超える何かの力によって俺が人化してしまったのだと思われるんだ。」
「神樹を超える力!?」
「俺達妖精もわからないけど、実際に起きたんだ。それに、そのイレギュラーは俺だけじゃないみたいだしね。」
九尾はウォークマンを指差す。ウォークマンの上で足組をして考えている女の子もそのイレギュラーに巻き込まれてしまったのだろう。
「なあ、九尾、この子は?」
「それは、俺にもわからないな。でも、わかる事としては、その子からも、少しだけ神樹様の力を感じるって所かな。」
「ヒントはそれだけか…せめて名前がわかればな…」
俺は女の子の方を見る。そういえば、ウォークマンからなんか変なコードが出てるけど何なんだろう…携帯に挿せそうだけど…
俺は試しに携帯にそのコードを挿してみた。
「うわ!!」
その瞬間、女の子が消えた。そして、近くで大きな光りが起きる。俺と九尾は目を瞑ってしまった。そして、目を開けると…そこには…
「…あれ?私、肉体がある!?」
半透明だった体が人間の体そのものになり、身長約145㎝、代々小学生ぐらいの女の子になっていた。半透明の為わからなかったが髪の毛が灰色に近く髪もそこまで長くない。
「おいおい…何がどうなってんだ…」
俺が聞きたいです。
「で、名前は?」
「思い出せないな…」
「なんか思い出せるものはあるだろう?」
「…うーん…友達がいたような…いないような…」
「はあ…」
ため息をする九尾。
「ならさ、俺と一緒だな。記憶が俺も無いんだ。だから、一緒に探そう。」
俺は、女の子に手を差し伸べる。所謂握手だ。この女の子も俺と同じで記憶が無い。なんというか、親近感が湧いたのだ。
「うん。よろしく。」
女の子と握手する。
「なあ…この携帯に表示されている時間…何なんだろう?」
九尾が携帯の画面を見て言う。俺と女の子も見る。時間が一時間四十分と表示されている。俺はある予想を建てる。
「これさ…君の実体化出来る時間じゃないの?」
「え!?」
それに、恐ろしいスピードで携帯の充電が減っている。
「もしかして…携帯の充電=君の実体化出来る時間?」
俺は試しに携帯を充電器に挿してみる。すると、時間がほんの少しずつ増えていく。
「これは…その確率が高いな…。」
九尾がそう言う。
「あ、俺も携帯の充電が無くなったら輝積が自殺や死にかけそうになった場合を除いて出てこれないから。」
「なんだよ、自殺とか死にかけるとか…」
「まあ、俺の役目は、樹海で神樹様のために戦う者が死なないように監視するのが第一だからな。」
「ふーん…」
九尾の言っている事が正しいと思う。戦う者が死なないようにしている。勇者は絶対死なないってことだろ。ようは、戦いに置いて不死身ってことだろ。スゲーじゃん。
「まあ、そんなことはしないけどな。」
俺はそう言った。
「で、これから君をなんて呼んだらいい?」
九尾は女の子を見る。確かに、名前が無かったら話しにくいし、何より女の子って呼んでるのも、なんか悪い気がするしな。
「…銀…」
俺は咄嗟に名前を出した。
「銀?この子の名前かい?」
「いや…何となく出た名前だよ。時々思い出す記憶で、君に似ている人がいて、その人の名前が銀って名前っぽかったから…」
「銀…うん、なんかそんな感じの名前だった気がする。」
「なら、君はこれから銀だな。」
「えっと…よろしく。銀。」
「よろしく。…名前何だっけ?」
「上賀輝積。」
「輝積…」
俺は銀を見る。うん。やっぱりあの子にそっくりだ。
「なあ、もうそろそろ、朝食を取らないか?」
九尾に言われて気が付く。
俺と銀、九尾は朝食を取る。
その後、学校に行く時間まで、銀と九尾と話して、今後、どうするか決めた。
まず、銀と九尾のことは大赦と勇者部には内緒…というのも、多分神樹様関連じゃないと九尾が決めたことだから。大赦は神樹様関連じゃないとあまり動けないし、勇者部は元々関係無い。
次に、九尾は、常に俺と共に行動しなきゃならないらしい。基本、携帯の中にいるらしく、しかも人化と妖精の状態を自由になれるらしいし。勇者部などで紹介するときは妖精の状態でいるように頼んだ。
最後に銀だ。ウォークマンみたいなやつに常にいることと、やはり携帯の充電が無くなればウォークマンに戻ってしまう。なので、家にいるとき以外は基本ウォークマンの中にいてもらうことになった。それと、ウォークマンなので、イヤホンが付けられて、しかも曲まで聞けたし、アニメを見れたり、漫画を読めたりした。それは、中の銀も同じようだ。てか、容量が96GB…どんだけ入るんだよ!しかも微妙な数字!
いや、重要な所はそこじゃ無くて、イヤホンを付けると銀は姿が出せなくなり、声もイヤホン越しになる。しかも外の様子や音は聞こえないようだ。それと、銀も、同じようにお腹が空くみたいだが、ウォークマンの中にいる時はお腹が減らないとのこと。
ということで、今日から、3人?で学校に行くことにした。勿論、二人?はバレないようにしながら…
「学校か…小学校以来かな…覚えて無いけど。」
「時にはイヤホンを外してやれよ。何が原因で銀の記憶が戻るかわからないからな。」
「了解だよ。九尾。てかさ、九尾は妖精の状態でも話せるの?」
「あ…無理。」
「そうか…。」
「なぜ安心した顔をする!?」
「いや…なんでもないよ。」
こうして、同居人が二人(?)増えた。
はい、銀というキャラクターが出てきました。
予想出来ている人もいると思いますが、あのキャラクターです。てか、名前に捻りが無かった…というか思い付かなかった…
銀は一応オリキャラとしておきます。
それでは、いつもの恒例次回予告
次回予告
「わかったわ」
「でさ、早速なんだけど…」
「了解です。」
「同じく…」
「仕方がないな。」
「ふふふ、そうだろう。」
「挑むところだ。」
次回 勇者部活動