上賀 輝積は勇者でない 【完結】   作:風墳K

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はい、第5話です。

なんとか、書けました。
感想など、絶賛募集です。

それでは、どうぞ。


第5話 樹海

月曜日。皆はどんな感情なのか。大抵が、今日も学校か~とか、学校サボりたいな~とか考えているだろう。(一部例外を除いて)

俺、上賀輝積も同じだ。正直、学校めんどい。

だが、行かなくてはならない。昨日、俺は勇者部に入部することになった。大赦からの連絡がない今、大赦繋がりである夏凜がいる勇者部に入った方が何かと都合がいい。てか、今更だけど、なんで夏凜が大赦の連絡先知ってるの?ある意味疑問ではあるし、監視って?俺を監視してなんかいいことあるの?俺は普通の中学生ですぜ?

 

疑問はいろいろある。でも、それを解決するにはまず…

 

学校に行かないとな。

 

自転車をこいで学校に向かう。

 

学校に着き、クラスに入る。そこには、今日から同じ部活の友奈と、車椅子が特徴的美少女、東郷美森さんがいた。

 

「あ!輝積君!おはよう!」

「おはよう。」

 

朝から元気だな…

 

「おはよう。」

「あ、おはよう、わ…美森さん。」

「?」

 

なぜだろう、今、俺は無意識に誰かの名前を言おうとした…。目の前にいるのは、美森さんなのに…。

 

「美森じゃなくて、東郷って呼んで。」

「わかったよ。東郷さん。」

 

それにしても、東郷さん…でかいな…何がとは言わないが。

 

「これからよろしくね。」

「よろしく。」

 

俺は東郷さんと手を繋ぐ。

 

「友奈ちゃんに手を出したら許さないから。」

 

俺だけに聞こえるぐらいの声で、そう東郷さんは言った。しかも、真顔で。

俺は一瞬、恐怖した。

 

「どうしたの?輝積君?」

「いや、なんでもないよ。」

 

友奈が声をかけてくれなかったら、そのまま恐怖に飲み込まれてたかもしれない。

東郷さん…そこまで友奈のことが…

 

俺は東郷さんを見る。

そこには、あの大和撫子の東郷が笑顔でいた。勇者部は美少女が多いのになぜ彼氏がいないのかと疑問に思っていたが、友奈と東郷さんが彼氏がいないのは何となくわかった気がした。

 

いつも通りにチャイムが鳴り授業が始まる。

 

時は過ぎお昼休み。昼食を終え眠くなる。もうそろそろお昼休みも終りの時間。友奈と東郷さん、夏凜は勇者部部室にて昼食を取っているとのこと。

いや~眠い。本を読みながらあくびをする。その際に手が滑り本を落としてしまう。

 

「あ…」

 

拾おうとした時携帯が鳴る。だが、今は本を拾わなければならない。まさか、読書してた本が漫画、しかも少女漫画だとばれたらある意味破滅だ。

 

だが、本は床に着かなかった。そう、途中で止まっているのだ。

 

「なんだ?」

 

音が…ない。クラスの人達を見渡す。動かない。まるで時が止まっているように…

いや…これは…

時計を見る。時が…止まってる!?

 

そして、地震のような震動が起きる。窓の外を見ると光の壁がこちらに向かっている。しかも、かなりのスピードだ。走っても間に合わないだろう。右手の手の甲に違和感があったが関係無い。

 

俺は死を覚悟した。

 

 

 

 

 

いつの間にか目を閉じてしまったみたいだ。

 

生きてる…生きている…俺は死んでない。

そう確信したのは、自分の心臓の音を聞いたからだ。異様にドキドキしている。まるで運動した後のように。

 

目を開ける。

 

そこは、幻想的な色とりどりの木の根のようなものが広がっている世界だった。

色合いが目にやさしい。まるで和を象徴するかのような色合いだ。

 

だが、それだけでは無かった。空に変なものが大量に浮いていた。あれは…バーデックス?いや、バーデックスではあるけど星屑だ。

あれ?なぜ俺は奴等の名前を知っているんだ?

そして、右手の手の甲を見る。光っている。いや、正式には六星に光っているのだ。

俺は、この力を知っている!?

だが、まずは、誰かいないか連絡を…

携帯の画面が変わっている!?と、兎に角適当にやれば…

俺は携帯のアプリを一つ開く。そのアプリは画面の真ん中に種が発芽する模様が描かれていた。だが、ボタンは押せなかった。なぜなら、×が発芽のマークの所に出ていたからだ。一応押してはみたが、なにも起きなかった。

 

と、兎に角、何か…

 

その時、俺は光っている右手の手の甲を改めて見る。

 

…わかる。あのバーデックスを倒せば、元の世界に戻れる。それが何となくだがわかった。

 

右手を体の前に翳す。

 

「風圧武装!!」

 

何を言っているのかわからないが、辺りの木々が煽られている。俺の周りで凄い風が起きているみたいだ。

いつの間にか手袋をしていたり、スパッツのようなものを着ていたり、さらに、その上に装甲みたいのが着いたり、髪の毛が黄緑になったり…

気が付くと変身は終わっていた。

 

「あれ?」

 

動きやすい…

 

軽くジャンプすると、結構高く飛べた。

 

「おおー!スゲー!!」

 

そして、重力落下が始まる。その時、俺の右肩の上辺りに変な生き物が出現する。

 

「なんだこれ?」

 

生き物は狐に似ている。さらに特徴としては尻尾が九本あり、首には鈴らしき物が付いている。てか可愛い…。なんだ、この癒し系生物は!?

 

だが、俺はそんなことをしている場合では無かった。星屑の2、3匹がこちらに気が付いたようで、こちらに向かって来る。俺は地面に軽く着地をする。

 

武器は無いか…

 

頭の中で考える。その時、俺は拳銃を思い浮かべる。すると、右手に何か握っている感触がする。見てみると右手に拳銃が握られていた。

 

「これで、あいつらを倒せと…」

 

拳銃を構えて2、3発星屑に撃ち込む。どうやら効いているようで、一匹がゆらゆらとしてこちらに来る前に落ちる。だが、残り二匹。拳銃を撃ち込むが当たらない。ならどうするか…

答えは簡単。近接で倒せばいい。

 

俺はナイフを思い浮かべる。両手に感触があり、拳銃の替わりにナイフを片手三本、両手で六本持っていた。二匹の星屑はこちらに向かって真っ直ぐ向かって来る。俺は指と指の間でナイフを支え、近付いてきた星屑を切り裂く。

一匹は傷口が浅かったため旋回してまだこちらに向かって来る。一匹は脳天を切り裂いたため破裂して消えた。

向かって来る星屑に対して俺はナイフを全部投げる。運良く脳天を直撃したため、そのままの勢いで俺の真横を過ぎて後ろで破裂する。

 

さて、なんとかなったな。

 

そう思っているとあの狐がナイフを持って来る。もしかして…

 

俺はロケランとその弾を思い浮かべる。すると、左手(左手全体)にロケランを持っており、ロケランの弾を狐が持っていた。

 

こいつは俺のサポートか。

 

そう確認した。

 

遠くで爆発音がする。どうやら俺だけでは無いようだ。もし戦っているのが人間なら味方になるかも。正直あの数は多いからな。

 

俺はジャンプしてその場所に向かう。

 

途中、星屑達がこちらに気が付いたみたいなのでロケランを撃ち込んでおいた。

一匹の星屑に当たり爆発する。さらにその爆発に周りの星屑達にもダメージを与える。

 

その間に狐が弾をロケランに入れてくれる。マジ、何なのこの狐。可愛いし優秀だし。

 

狐が弾を入れて直ぐに星屑に向かって撃つ。

だが、この弾はさっきの弾とは違う。

思い浮かんだ武器が出てくるのなら、思い浮かんだ武器の弾も出るはずだと、思い思い浮かべておいた。

 

弾は撃たれると一匹の星屑に当たる。だが、当たった評しに周りに小さい弾が拡散する。そして、その弾一つ一つが小さいながらも爆発する。

 

これは、拡散弾だ。あのゲームにあるやつを思い浮かべてみたのだ。イメージ通りにいった。まさか、本当に出来るなんて。まあ、ロケランなのは威力と範囲を広げるためだから、もし、ボウガンで出来るなら今度やってみよう。今度があればの話しだけど。

 

俺はジャンプしながら、星屑にロケランを撃ち込み、遠くで起きている戦闘を見る。

 

女の子が…五人…

 

何だろう…この光景見たことあるような…ていうか、星屑やこの世界も見たことがある。

それに、あの五人…凄く見たことある気がする。

 

俺はあの五人にわからないように隠れながら様子を見る。武器も音が出ないように、拳銃(サプレッサー付き)と小刀に変更する。

因みに、狐には予備の拳銃を持たせておく。

 

一人の女の子が地上で戦っていた。近くにいる星屑が近づいた瞬間にバラバラにされていく。あれは…ワイヤー?いや、糸?

それに、あの子…あれ?あの犬吠埼樹ちゃん!?

な、なんでこんな所に!?

 

だが、考えている隙は無かった。樹ちゃんの後ろには星屑が一匹迫っていた。

 

このままだと危ない。と思い、小刀を投げる。因みに、小刀には細工がされており、小刀の柄の部分にワイヤーが付いてる。小刀は星屑に刺さり、俺はワイヤーを引っ張る。バーデックスの一本釣りだ。星屑を近くまで引っ張って拳銃で蜂の巣にする。そして星屑が破裂するのを見届け、樹ちゃんの方を見ようとした。だが、体が動かない。

 

「お、お姉ちゃん!!変なの捕まえた!!」

 

樹ちゃんが近くに近付いて来た。俺の姿は木の根で丁度死角になっており見えていない。

 

俺は必死に動こうとする。だが、両手、両足、さらに首まで動かないのだ。よく見ると、何か、糸のような物が俺の身体中から樹ちゃんのいる方に伸びている。ということは、これは、ワイヤー?だとすれば、人の力では解けないし、下手したら筋肉が真っ二つ。さらには、首にワイヤーが付いていることからして本当に下手したら、首の無い胴体を自分で見る羽目になる。

 

俺は狐に小刀を渡す。狐は小刀で一本一本、ワイヤーを切っていく。

 

「お姉ちゃん!早く!」

 

どうやら、樹ちゃんは途中で足を止めたらしい。都合がいい。狐、早くワイヤーを切ってくれ!

 

因みにだが、なぜ、俺がここまで焦っているかというと、まず、戦っていることを心配されたくないということと、もし、登場するなら、カッコよく登場したいと思っているからだ。もし、新しい仲間が仲間のワイヤーで捕まってて、今日から仲間になりますと、言って仲間になるよりも、仲間のピンチに颯爽と表れた方がカッコいいだろ。そういうことだ。なら、なぜ、さっき樹ちゃんがピンチになっていたときに表れなかったのかって?そんなの…まさか、知り合いだとは思わなくて、少し恥ずかしかっただけです。(見た目が中二病だと思われる)あ…俺、中二だった。

 

なんやかんやとやっている内にワイヤーが切れた。よし!逃げるぞ!

こちらに向かって来る影が二つほど見える。一人は樹ちゃんにもう一人は…さっきお姉ちゃんって言ってたから、多分風先輩だろう。

 

二つの影が来る前にジャンプして、高速で動きその場から離れる。

 

よし。うまくいった。

星屑達はまだまだいる。早くコイツらを倒さないと。

 

俺は、少し高い木の根から戦闘が行われていると思われる場所を見た。そう、ここは…樹海だ。




誤字脱字があったら教えてください。

はい、主人公の能力はオリジナルです。後、主人公は結構いろんな戦い方をします。ロケランのシーンは高くジャンプしながらで、元ネタはbattle fieldの戦闘機から飛び降りて空中でロケランを当てる技です。
ナイフは…元ネタと言うのもなんですが、東方projectの咲夜だったりします。

小型のバーデックスの名前がわからなかったので(Wikiに載ってなかった…)何かの二次創作で出てた名前をそのまま付けました。

それでは、次回予告やっていきましょう。

次回予告

「あ!輝積君!」
「うん!頑張る。」
「あなた、誰?」
「そのことについて…」
「凄いな…」
「な!何危険な物持ってるのよ!」

次回 仲間

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