楽しんで読んでもらえると幸いです。
それでは…どうぞ~
今日は6月12日 日曜日。
休日だ。
と言っても、何も無いけどな。
大赦とも連絡はしてるけど俺の事は何もわからないらしい。
俺が来て数日が立つ。今では教室の端で本を読んでいるキャラが定着しつつも、運動神経もそれなりに良いため、運動部から入部してくれないかとオファーがある毎日。押しに弱い俺はこのままだと何処かの運動部に入部してしまいそうだ。それはそれで刺激があって記憶を取り戻すいい機会なのかもしれないけど。
兎に角、今日、日曜日は俺の自由の時間だ。午前中は体を動かし、もしもの時のために鍛える。そして、午後は曲を聴きながら読書。と言っても、曲のジャンルはアニソンだし、読んでいるのは、小説から漫画、ラノベ、百科事典、ゲームの攻略本などなど。
ようは、暇さえ潰せればいいのだ。まあ、曲のジャンルがアニソンっていうのは、歯痒い曲が好きだったりするからだ。以外に中二病みたいな言葉が入っている歌詞とかも好きだったりする。
そんな感じで時間が過ぎて行く。
6時頃を回った時、インターホンが鳴る。
こんな時間に誰だろう。
大赦…ではないだろうな。だってこの前来たし。
俺は玄関のドアを開ける。
そこには、女の子四人が立っていた。
てか、この四人は…
「あれ?輝積君!?輝積君だよね!!」
結城 友奈だ。あの元気印の美少女、結城 友奈だ。
「えーと…な、なんの用でしょうか…」
「あ!えっとね、この住所ってここで合ってる?」
俺は入部届けと書かれた紙を見せられる。確かに、住所は合ってる。けど…
「それなら、隣の部屋だよ。」
「そう。」
…気が付いた。いや、もし、そうだとしたら、凄い偶然になる。
勇者部で俺が知っているのは、友奈と夏凜だけだ。だが、夏凜の姿が見えない。ということは…お隣さんは…夏凜!?
「あ!そういえば、あの依頼、なんなのよ!」
黄色い髪のツインテールの人がこちらに声をかけてくる。
「あ!えっと…」
「あ…紹介がまだだったね。」
友奈…なんて気遣いを…このままだと、この黄色い髪のツインテールの人という、めんどくさい言い回ししか出来ない状況だったよ。依頼のことは…誤魔化せばなんとかなる。
「こちら、勇者部部長の犬吠埼風先輩。」
「で…あの依頼は何?」
「えーと…他の人から渡されたから、一緒に付いてたメアドにメールすればわかるはず…」
「今、メールしました。」
風に敬礼する、車椅子の少女。彼女は同じクラスの東郷 美森さん。彼女も勇者部だったのか。友奈といつも一緒にいるからもしかしてと思ったけど…
そう思っていると、俺のスマホのバイブ音が鳴る。あ…バレた…。
「さて…依頼のことは、後で聞くとして…今は夏凜の家に行くわよ。」
あ…この人…いや風先輩と呼んでおこうか。風先輩は以外に大胆な性格のようだ。
さてさて、俺は部屋に戻って…
「なにしてんのよ。あんたも行くのよ。」
「は?」
「ごめんね、お姉ちゃんが決めたことだから…」
そう言ってくれる女の子…少し幼さが残るこの子は…
「あ、この子は、犬吠埼樹ちゃん。風先輩の妹なの。」
友奈、解説ありがとう。
「で、なんで俺まで行かないといけないんだ?」
「だってあんた…」
少しの沈黙。息を飲む俺。
「暇そうなんだもん♪」
おい!俺のシリアス返せ!!
「お姉ちゃんに何を言っても無駄だと思うよ。」
「そうだな…」
そうですな…樹ちゃん。観念しますか。
俺は渋々と友奈達もとい風先輩についていくことに…てか隣だから、三秒もしないで来れた。中にいるのは…三好夏凜だと思う。
風先輩が連続でインターホンを押す。普通ならキレるレベルです。
風先輩…ある意味大胆ですな…。
「誰よ!!…あれ?あんた達…」
案の定、木刀を持った夏凜が出てくる。予想通り。そして、木刀を持った夏凜が出てきたことで驚く四人。俺だけリアクションが無かった…ある意味悔しい…。
「あ、あんたね、何度も電話したのに、なんで電源オフにしてるのよ!」
風先輩、何度も連絡してたんだ…何かあったのかな?
「そ、そんなことより何」
「何じゃないわよ。心配になって見に来たの」
「心配?あ…」
どうやら、部活か何かを連絡無しに休んだらしい。
「良かった~寝込んだりしたんじゃ無かったんだね。」
「え、ええ。」
友奈…夏凜のことを思ってたんだ…スゲーいい奴やん。これまで元気だけが取り柄の美少女だと勘違いしてた俺が恥ずかしいわ…。
「んじゃ、上がらせてもらうわよ~」
おい!勝手に上がり込むのかい!
本当に上がり込む風先輩、さらにその妹の樹ちゃん…
「あ!ちょっと!何勝手に上がってるのよ!意味わかんない!!」
夏凜…その反応が当たり前です。
玄関に入り、リビングに行く。
「はあ…殺風景な部屋。」
「どうだっていいでしょ!」
「まあ、いいわ。ほら、座って座って。」
おい!ここ、夏凜の家だろ!
「な、何言ってんのよ!」
夏凜のツッコミが心地よく感じてきている俺。風先輩のボケ…恐るべし。
「これすごーい!プロのスポーツ選手みたい。」
「勝手に触んないでよ」
樹ちゃんは走る機械(名前が思い出せない)を触る。
「うわー、水しかない。」
「勝手に開けないで!!」
冷蔵庫を開けて中を見る友奈。この子達にプライバシーという言葉は無いのだろうか。
「うわ!なんであんたいるのよ!」
やっと俺の存在に気が付いてくれた夏凜。俺の存在感て…
「なんか、ある意味のノリでついて来ました。(連れて来られました)」
「そ、そうなんだ…」
哀れみの目でこちらを見る。俺が、一瞬目線を風先輩に向けたらのがわかったのだろう。
テーブルの上におかしやジュースを置く夏凜を除く勇者部。な…なんなんだ、この部は…。
「ね、やっぱり買ってきて良かったでしょ。」
そういえば、常に袋を持ってたな。まさか、全ておかしとジュース!?そして、テーブルの上、スナック系やチョコ系と一緒にある和菓子。なんで?
「なんなのよ。行きなり来て何なのよ!!」
確かに、俺も同じことされたら、同じこと言うな。
だが、彼女は違った。
「あのね、ハッピーバースデー、夏凜ちゃん。」
白い箱を取り出してその箱を開ける友奈。
箱の中にはハッピーバースデーと書かれたケーキがあった。まさかのサプライズすか!
「え?」
鳩が豆鉄砲を食らった顔してる。写真撮りて~。
「夏凜ちゃん、お誕生日おめでとう♪」
「おめでとう。」
いい子達やわ~
「え?どうして?」
「あんた今日、誕生日でしょ。ちゃんとここに書いてあるじゃない。」
風先輩はそういい入部届けを出す。
「友奈ちゃんが見つけたんだよね。」
「えへへ。」
友奈スゲーな。そんな所って言うのも悪いけど普通気付かないよ…。
「あ!、って思っちゃった。だったら誕生日会しないとって。」
「歓迎会も一緒に出来るね~て。」
「うん。」
「本当は、子供達と一緒に児童館でやろうと思ってたの。」
「当日に驚かせようと思って黙ってたんだけど…」
「でも、当のあんたが来ないんだもの。焦るじゃない。」
「家に向かえに行こうと思たんだけど子供達も激しく盛り上っちゃって。」
「結局この時間まで解放されなかったのよ。ごめんね。」
何なの、この子達…本当いい子やわ!いや、もう天使レベル。
静止する夏凜。どうしたのかな?
てか…俺関係無くね…。
「ん?どうした?」
「夏凜ちゃん?」
「あれー?ひょっとして自分の誕生日も忘れてた?」
いや…それは無いでしょ。だって、カレンダーの今日の日付に赤丸してあるもん。
「アホ…馬鹿…ボケ…おたんこなす…」
「え?」
「何よそれ!」
「誕生会なんてやったこと無いから…なんて言ったらいいかわかんないのよ…」
夏凜~顔が少し赤いですよ~。
てか、なんか、ギャップがあっていいな…
友奈は、カレンダーの赤丸に気が付いたみたいだ。
「お誕生日おめでとう、夏凜ちゃん。」
その後、乾杯をする。
そして、いつもの調子?に戻る夏凜。
「てか、なんであんたがいるのよ。」
「いや…俺が聞きたいです…」
「あ、こいつ、明日から、勇者部だから。」
「「「「え!?」」」」
え!?聞いてない。てか、なんで俺なの!?そしていつ決まった!?
「いつ決まったんですか?」
友奈、ナイス質問!!
「今。」
速答!!
「な、なんで俺なの!」
「そうよ!なんでこいつなのよ!」
「聞きたい?」
「え?なんか、そう言われると聞きたくなくなるな…」
聞きたいと聞かれると聞きたくなくなる衝動が…
「まあ、その内話すわ。そんじゃ、改めて、夏凜の誕生会と歓迎会、さらに輝積の歓迎会をふまえて、乾杯!!」
改めて乾杯する訳ですが、どういうことですか?なぜ、俺は勇者部に?
そんな疑問をよそに、夏凜をいじる勇者部一同(本人達は意識無し)。その間、風先輩から勇者部専用SMSアプリを貰う。
そして、最後の最後に残される俺と夏凜と、おかしのゴミ達。
俺はゴミの片付けの手伝いをする。
「なんで、あんたまだいるのよ。早く帰りなさいよ。」
「いや、俺、家が隣だからさ、手伝っていくよ。」
「は!?」
偶然って怖いな。
黙々と片付けをする夏凜と俺。
「あんた、なんで勇者部に入部させられたかわかる?」
「知らん。」
「さっき、携帯の電源を入れたんだけど、今日、大赦から、あんたを見張るようにメールが来てたわ。」
あ~。それで。
「そんなこと、俺に言っていいのか?」
「いいわよ。どうせ、いつかは言わないといけないもの。それに、あんたも、私達の正体に気付いてるんでしょ?」
「なんのこと?」
なんのこと?本当に知りません。
「…本当に知らないみたいね。何なのよあんた。勇者のことを知っていて、満開のことも知ってるくせに、私達のことを知らないなんて…」
「?」
「もう、いいわ。片付けも大体終わったし、帰っていいわよ。てか、帰りなさい。」
「わかったよ。じゃあね、夏凜ちゃん。」
俺は夏凜の家を出て家に帰る。(約数秒)
そして、夕飯を作って、風呂に入って、貰ったアプリを開いてみる。SMSで皆が会話をしているようだ。俺は残念ながら、アカウントをまだ持っていないため、参加出来ない。アカウントの作り方を明日でも風先輩にでも聞こう。
はい、まんま第3話でした。
これを書くために3話の最後を結構見返しました。
さて、次回予告やりますか。
次回予告
「どうしたの?輝積君?」
「友奈ちゃんに手を出したら…」
「お姉ちゃん!早く!」
「これで、あいつらを倒せと…」
次回 樹海