上賀 輝積は勇者でない 【完結】   作:風墳K

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どうも。後日談が完成したので投稿します。

まあ…フラグは立っていたんだ…

ではどうぞ


後日談
勇者部の九人


讃州中学勇者部…一応文化部として登録されている部活動でもあり、ボランティアを積極的に行う部活である。

この勇者部には、部員が八人、顧問が一人いる。

 

犬吠埼風先輩

勇者部の部長で勇者部を創設した先輩だ。大食いで大雑把。何より中二病(中学三年なのに)。でも後輩思いのいい先輩。勇者部で唯一恋愛経験があるらしい。

 

犬吠埼樹ちゃん

風の妹で俺の後輩にあたる女の子だ。控えめの性格だが、やるときはやる根が確りした女の子。タロット占いが得意で良く占って貰っている。勇者部の中で一番歌が上手い。

 

三好夏凜

別名にぼっしー。…嘘です。夏凜は最初の頃はツンツンした態度だったが、今はノリがいい。勇者部の中でも剣道が上手い。煮干しが好きでよく食べている。俺の家のお隣さんでもある。

 

東郷美森

大和撫子の言葉が一番合っている女の子。発育もかなりのもので勇者部一だと思う。料理やパソコンが得意で、パソコンの技術に関しては勇者部一である。別名鷲尾須美という名前で、元勇者、記憶も確りとある。

 

結城友奈

この勇者部の中でも一番勇者ぽい勇者だ。活発系の女の子で、困った人をほっとけない性格。兎に角ポチティブで責任感が強い。一応、俺がこの世界で選んだ最初の勇者だ。

 

三ノ輪銀

友奈に続く活躍系女子。元の体、記憶を取り戻して讃州中学に転入、更には勇者部に入部した。トラブル体質で、よく銀の周辺では何かトラブルが起きる。よく部活に遅刻するが、大抵トラブルが原因である。鷲尾須美の友達でもある。

 

乃木園子

讃州中学に転入してきた、須美の友達。勇者部の全員にあだ名を付た女の子でもある。一応大赦の人間ということになっている。のほほんとしているが、それなりにリーダーシップがあり、次期部長候補である。

 

喜恵久尾

きえきゅうび…俺の精霊。いや。元精霊。今は精霊としてではなく人間としてこの勇者部の顧問をしている。どうやって教員免許を取ったのかは謎だ。一応、家庭科の教師であり、女子生徒から人気は高い。勇者部のみが久尾の正体を知っている。精霊の状態と人間の状態を使い分けている。

 

上賀輝積

そして、俺、上賀輝積。勇者部唯一の男子。その正体は半分神様の現人神である。別世界からこの世界に傍観者とて連れて来られた。

 

あの、戦いが終った後、いや、正式には讃州中学の文化祭が終った後、銀と園子は転入してきた。てか、一番驚いたのは九尾が人間の姿でこの学校の家庭科の教員として働くこととなったことだ。しかも、よりによって勇者部の顧問だし。

あれ?勇者部の部室って元家庭科準備室…

 

深く考えたら負けだな。

 

そんなこんなでもう11月後半。あっという間だった。いや、俺にとってはだ。

 

戦いが終った後、俺は元の世界に戻り修行した。別の世界に行って技術や能力を手に入れた。だが、それだけじゃない。仲間…いや、友達も増えた。

 

だから、勇者部のことを忘れそうになる。毎日が楽しかったから…でも、ここに戻って来た。そう、この世界を救うため。神樹の願いを叶えるため…友奈達を救うために。

 

後少しで天の神と対等…いや、それ以上の戦力がそろう。その準備が終わるのが大体2月28日。その時が最後の合戦になる。天の神対神樹と俺達の連合、戦力は五分五分。でも勝てる。そう信じている。

 

てか、そのために何百年て恐ろしい単位の修行したんだ。負ける要素がない。フラグを建てても破壊すればいい。

 

まあ、2月まで時間もある。その間、名一杯楽しもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11月後半のある日

 

俺は何故か久尾と一緒に勇者部の外に出された。というか追い出された。何でも女子だけで話しがしたいとのこと。

 

「何でも、俺まで出さなくてもいいのに…」

 

文句を言っている久尾は無視する。こいつは一応男の姿をしているが、元は精霊だ。男女関係ない。その前に人間じゃない。

 

「てか、なんでお前は何も言わないんだよ?」

 

何気なく俺に質問してくる久尾。全く…

 

「いや…だってさ…」

 

追い出されたのはいい。でも追い出された方法が気にくわない。

 

 

 

数分前

 

「よーし、皆いるわね?」

 

風先輩が勇者部のメンバーを見渡す。

煮干しをかじりながら友奈と話している夏凜。対極的にぼた餅を食べながら話す友奈。それを微笑ましく見ながらパソコンを操作する東郷さん。樹ちゃんのタロット占いにハマっている銀。その銀の様々な占いを占っている樹ちゃん。そして、丁度日向で居眠りをしているのが園子。俺は久尾と指相撲中。今の所全勝中の俺。それをムキになって勝負を何度も仕掛けてくる久尾。既に久尾の右手の親指が赤くなっている。

 

「もう一回だ!」

「え~それ以上やったら、右手の親指切断レベルまで行くぞ?」

「…やめておこう」

「はーーい!注目!!」

 

風先輩が、俺達の気を引く。寝ていた園子もそれに気が付いて起きる。

関係ないが勇者部の端には水槽があり、あの夏祭りで俺が取った金魚が九匹仲良く泳いでいる。

その金魚達も風先輩を見つめる。あの金魚達も勇者部でいいのでは無いのだろうか?

 

「これから、大事な話しをします!ってな訳で、久尾先生、輝跡、少しの間出てって」

「なんで?」

「いいから。もし、入って来たら殺すから」

 

冗談無しの目で見てくる。ヤバイ。あれは本気で殺る気だ。

まあ、俺の場合、死なないから別に問題は無い。

 

「え~、別に俺死なないし…」

「社会的にって意味よ?」

 

そう言われたら出ていく以外の答えが無い。いや、だって俺神様だよ?信仰心が無いと死んじゃうんだよ?もし、神様が社会的に死ぬってことは、消えて亡くなるってことだよ?

 

「わかったよ…」

「俺も出ないとダメか?」

「ダメです」

 

キッパリとこの部室にいることを拒まれた久尾。ざま~

 

 

 

そんな訳で勇者部部室から追い出されたのだ。そして、さっきのところまで戻る。

 

そう、俺は気にくわない。神様を社会的に殺すという意味で気にくわないのだ。確かにね、俺にとってはその言葉すら効果抜群の四倍ダメージに急所に入ったよ。いや、神様の俺からしてね。でも、そこまで俺を(正式には俺達を)部室から出さなくてもいいのに。

 

てか、大事な話しをするって言ってたよな。

 

俺はこの時凄い悪い顔をしていた。あの夏休みの女湯を覗かなかった少年とは思えないほどの悪い顔だ。

 

「ど、どうした、輝積。顔色どころか顔悪いぞ」

「なあ、久尾、風先輩が言ってた、大事な話し…聞きたくない?」

「あ?どうせ、誕生日とかだろ?」

「それは無いな。誕生日だとしたら、あのメンツからしてサプライズを企画するはずだ。サプライズをするなら本人を部室から出す。そこまでは合っている。でも、俺もお前も誕生日はとっくに過ぎている」

「なら、俺達以外の誰かか?」

「その可能性は低い。なら、何故俺達を追い出す?」

「あ!」

「そう、俺達には話せない何かだ」

「だが、それが分かってどうするんだ?部室には入れないんだぞ?」

「ふふふ…俺は半分神様なんだぞ?」

「?」

 

屋上

 

誰もいないことを確認して久尾と共に屋上の角に座る。

 

「で、どうするんだ?」

「ふふふ。俺の右目はな、特殊で、風を見ることが出来る」

「?何を言っているんだ?」

「ようは、風…いや、その場の空気の流れを見ることが出来る」

「だから、それがどうしたんだって」

「ここから大事だから良く聞け。俺の右目の有効範囲は兎に角広い。計測出来ないくらいに。それも、障害物を通り越して。だが、大事なのは、特定の場所をピンポイントで見れるってことだ」

「おい!それって…」

「更に更に、俺は別の世界で培った能力が大量にある。それらを利用して…」

 

俺はあるものを、生成する。そう、TV。久尾がかつて壊したあの忌まわしきものだ。そのTVと俺の右目の視界、更に強化された聴力をリンクさせる。(一応無線?)

 

そして、TV画面に勇者部の部室が写し出される。

 

「おい、輝積。この能力ある意味犯罪だぞ?」

「俺も…今気が付いた。でもやってしまったものは仕方がない。それに、大事な話しとかってもの知りたいしな」

 

因みに、俺の右目でもTVと同じものが写っているが、タイムラグは殆ど無い。それに、音もラグ無し。現代家電に勝利を納めている。

 

それはさておき、話しが始まるみたいだ。

 

俺と久尾は画面を見つめる。いや、右目が見えてるけど一応画面でも見たいし…

 

『そんじゃ、話し始めるわね…』

 

なんか重い雰囲気があるぞ…普段の勇者部ではあり得ないぐらいのプレッシャーだ!あのほのぼのはどうした!?

 

『偽り無く言いなさいよ…』

 

風先輩の一言一言が重い。てか、生唾を飲むレベル。なんだこれ?本当に勇者部か!?

 

『この中で好きな人がいる人…』

 

…そんなことか。緊張して損したじゃん。だって風先輩達は花の中学生。恋の一つや二つ当たり前だ。なーんだ、そんなことか。

 

「おい…輝積。お前、これは見ない方がいい」

 

真剣な顔で俺を見てくる久尾。なんで、そんなこと言うのかわからない…

 

「なんでだよ?」

「気が付かないか?この部室に包まれるオーラ…そして、それぞれ緊張した表情…これは…もしかしたら、最悪の結末が…」

「なんの話ししてるの?」

「いや…これは本当に見ない方がいい」

 

いつにも増して真剣だな。

 

『はーい!』

 

画面の緊迫感が変わった。そう、園子が手を上げているのだ。意外だった。そう、園子に好きな人がいることが意外なのだ。彼女の性格状、最初にそういう彼女達にとっては大事なことを言うだろう。

 

『私ね、きっきーのことが好き~』

 

…はぁ?

 

いや、俺は園子からきっきーって呼ばれている。だが、今なんて言った?俺のことを好き?それは友達としてなのか?いや、この流れからすると、男女間の間の好きとなる。

 

「や、やはり…輝積!これ以上は!」

 

気になる…他の人…いや、勇者部の皆が好きな人が…何だろう、今から園子に告白すれば俺らカップル成立…リア充になる。それはそれでいい。なんというか、園子はスタイルもいいし、おしとやか…というよりもおっとりしていて、可愛い…あれ?なんか意識し始めると余計に可愛く見えてくるぞ!?

 

『やっぱりか…次!誰カミングアウトする?』

 

やっぱり?何がやっぱりなのだ?風先輩?まさか、園子が俺に惚れていたことを知っていたのか!?なんという観察眼!俺ですら気が付かなかったぞ!

 

『は、はい!結城友奈!言います!!』

 

手を上げて自らアピールする友奈。まさか、恋愛無関係第一位(俺の中で)の友奈に好きな人が!?ま、まさか、東郷さんじゃ…いや、百合展開も悪くはない。それに、もし、友奈に彼氏でも出来てみろ。その彼氏、殺されるぞ。主に東郷さんに。

ほら、東郷さんが友奈のことガン見してるから。もし、ここで、男の名前が出たら、その男は死刑確定だな。

 

『輝積君です!』

 

…\(^o^)/

 

死んだーーーー!俺が死んだーーーーー!

 

不老不死とか以前に死んだ。そう、俺は永遠に死刑判決を喰らったようなものだ。

まあ、友奈という超絶美少女から思いを寄せられていたのだ。それだけでも儲けものだな。うん。さて、遺書を書くために文房具屋にでも行くかな…

 

『友奈ちゃんもなの?わ、私も、輝積君のことが…』

 

へぁ!?え!東郷さん!?その乙女な表情、まさか…

 

『東郷もか…銀、あんたは?』

『私?うーん…輝積のことは好きだよ。うん。好きだ』

 

えーーー!銀まで!?ど、どういうこと!?

エイプリルフールじゃ無いよね!?

 

『樹、あんたも、輝積のこと好きなんでしょ?』

『う、うん』

 

待て待て待て!!どういうこっちゃ!

 

『わ、私も…輝積のこ、ことが…す、す…』

 

今にも爆発しそうなくらい顔が真っ赤になる夏凜。え!夏凜もかよ!

 

『はあ…勇者部の女性陣は全員輝積にベタ惚れと…』

 

おいおい、その言い方…風先輩まで惚れてるような言い回しじゃないですか!

 

「やっぱり…」

 

飽きれ顔で俺を見てくる久尾。おいおい、俺は悪くないぞ!

てか、俺、どんだけ愛されてんだよ!!

 

『勇者部全員が輝積のことが好きなのはわかった。でも、問題はそこから』

 

いつにも増して真剣な風先輩。てか、風先輩も俺に!?いやいや!どんなトラブってる主人公だよ!てか、そんな描写無かったよね!?

 

「で、輝積。誰を選ぶ?」

 

真顔でそんなこと言うな!!

結局どれを取ってもバットエンドだろ!

一人を選ぶ→他の部員から冷たい目→\(^o^)/

誰も選ばない→皆から冷たい目→\(^o^)/

全員選ぶ→ハーレム確定→変態的な目で世間から見られる→\(^o^)/

うん、バットエンドだ。

 

『ここは、勝負でいいんじゃない?』

 

そう言い出したのは銀だった。いや、勝負も何も俺が終ったことには変わりないですから。

 

『そうね。輝積争奪戦ね』

 

ノリノリになってる風先輩。何?俺が賞品なの?

 

『絶対、輝積君を手に入れる!!』

 

意気込む友奈。俺は物なのか?

 

『友奈ちゃん、今回、私は敵よ。手加減しないから』

 

マジだ。東郷さんがマジだ。友奈相手でも本気出す気だ。

 

『…』

 

樹ちゃんが地味にタロットで占って少し笑顔になってる!おいおい!まさか、俺との恋愛運を占ったのか!?

 

『負けないから~』

 

園子は笑顔ではある。だが、もう、オーラが出てる。だってゴゴゴってなんか見えるんだもん!

 

『はぁ?私が勝つに決まってるじゃない!』

 

まだ少し顔が赤い夏凜。てか、夏凜が言った瞬間、ドンって擬音が聞こえた気がしたぞ!?

 

『さて、何で勝負する?』

 

風先輩の一言で部室が凍ったように固まる。

おい、決めて無かったんかい!

 

「輝積、本当に誰を選ぶんだ?下手したら余計な血が流れるぞ?いや、あのメンバーではあり得る話しだから言っているんだぞ」

 

誰を選ぶ…うーん…

 

「一人を選んでも全員選んでも殆ど死刑と同等なんだよな…」

 

考えろ…どうするか…

 

そうだ!

 

「よし!決めた。皆俺のことを思ってくれているということはわかった。なら…」

「なら?」

「俺を落とした奴と付き合う!!」

「…」

 

冷たい目で俺を見る久尾。な、なんでそんな顔するんだよ。

 

「お前さ、この中で気になる子はいるのか?普通その子と付き合うんじゃないのか?」

「え?だって…勇者部の皆は友達だから、あんまり思ったこと無いよ」

「…少し考えて…」

 

俺は久尾に持ち上げられる。首根っこを捕まれて。

 

「こい!」

 

ここは屋上だ。そう、屋上。地上から十何メートルもある屋上だ。そこから落とされた。そう、落とされたのだ。勿論、落とされたということは、位置エネルギーが俺の体に加わりそのまま落下する。重力落下である。

 

…あれ?俺のことを最初に落とした(物理)のはまさかまさかの久尾?

 

いや、これはノーカンだな。

 

グラウンドにクレーターがこの後出来た。

 

 

 

勇者部部室

 

「よし!なら、誰が輝跡の心を射止めるか勝負よ!」

 

風先輩のこの一言によって勇者部女性陣による俺の争奪戦が始まった。




ハーレムルート確定か…
まあ、どうなるかは次のお話で…

後日談は大体四話ほどの予定です。

それでは…

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