学校が終わり、僕は鎮守府に向かった。その途中、
「おーい、ゆーいちろー!」
僕の名前を呼ぶ声がして、振り返るとシーがこっちに来ていた。って、シー?
「おーい、優一ろ……」
その瞬間、僕は全速力で走ってシーを小脇に抱えてその辺の服屋へ飛び込んだ。
「ち、ちょっと優一郎!こんな街中で恥ずかし……」
「その前に自分の人種を考えろぉぉぉぉッッッ‼︎‼︎‼︎」
そのままテキトーに服を引っ掴んで試着室へ雪崩れ込む。
「ふぅ……」
「ち、ちょっとなんなのー?」
「おい、お前外に出るなって言ったよな……自分の人種理解してんのかお前……」
「だってケーキ買ってくれるって言ってたじゃーん」
「だからって外に出るかお前普通!?周りの人みんなガン見してたぞ!」
「ほえ?そーなの?」
「当たり前だろ!」
すると、外から声がする。
「すいませーん。今二人で入りませんでした?」
ヤバい、お店の人だ!
「おい、この服着てろ。僕は外に出るから。それと頭のそのデッカいの外せ。いいな?」
「へ?」
「いいから!」
で、僕は外に出た。
「あの…中で何を……?」
「いやなんか洋服の着方が分からないっていうから教えてあげてたんですけど」
「次からは当店のスタッフがやりますね。気が付かなくてすみません」
うおおぉ……遠回しに「店内での変態行為は止めろ」と言われてる気がする……。すると、
「ゆーいちろー。着れたよー」
その声がして僕と店員さんは試着室に目を向ける。すると、シャッと開いた。
「お、着れた、か……」
「? どうかした?」
びびった。スゲェ可愛い。ていうか俺のテキトーに引っつかんだチョイスがここまで完璧にコーディネートされるとは……。コーディネートっつーか白いワンピースだけど。
「シー。ちょっとこい」
「? なにー?」
「お前これから外に出たいか?」
「? ま、まぁでたいけど……」
「その服買ってやるから、これからは外に出たけりゃそれ着ろ」
「? はーい」
で、購入して外に二人で歩く。
「優一郎」
「何?」
「ありがとうね」
「どーも」
「じゃ、ケーキ食べに行こ?」
「はいはい……と、言いたいけどバイトだ。帰り道にケーキ買ってきてやるから」
「えぇー!今行きたいー!」
「無理。時間ない。お前は早く帰ってろ」
「……………」
「なに」
「バイトしてから優一郎、全然構ってくれない」
「あ?」
「構ってくれない」
「あー……」
そういえば、バイト始める前はそうだったっけ……。
「仕方ねぇだろ。そもそも、誰のせいでバイトしてると思ってんだ。お前の食費だろ」
「………………」
「お前拾った時だってまさかこんな大食らいだと思わなかったんだよ。今月の24には金入るから、それまで待って……」
「バカッ‼︎」
急に怒鳴られた。と、思ったら涙目になって何処かに行ってしまった。
「え……なんでっ」
そのまましばらく沈黙。だが、バイトの時間なのでとりあえず僕は鎮守府に向かった。