バイトを始めて一週間、ようやく艦娘の子たちとも馴染めてきた。で、朝。寝ていると僕の上に降ってくる影。
「起きてー!」
「げっふぉあっ!」
吐血したように悲鳴を上げてしまった。薄眼を開けると、シーが乗っかってきていた。それはそうと、俺のおへそのあたりに布団越しに柔らかい感覚が来てとても幸せです。
「何してんだお前」
「え?遅刻だよ?早くしないと」
「へっ?」
時間。8:25。こあぁぁぁっっ。
「さんきゅ!帰りにケーキ買ってきてやるからな!」
「はーい、楽しみにしてるねー」
僕はそっこうでパン焼いて家を出た。
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学校に行く途中、海岸を通らなければならない。その前の信号。時計を見ると8:35。あーこりゃ遅刻決定だな。面倒なので歩く事にした。すると、
「あれ?お手伝いさん?」
声が掛かった。振り返ると瑞鶴が立っていた。ヤケに元気なさそうな顔。どうするか迷ったものの、声をかけることにした。
「あ、瑞鶴」
「やっほー。学校は?」
「遅刻した。どーせ遅刻すんなら何時に学校行ったって同じだろ」
「うわあ…初めて話した時のしおらしさが消えてクズ全開ね」
「っせーよセブンフェイスバード」
「はぁ?何言って……七面鳥じゃない!冗談じゃないわ!」
で、僕はパンをさらにかじる。
「………ちょっと焦げてる」
「いや知らないわよ。ていうか遅刻しそうなんだけど。いいの?」
「だからいいって言ってんだろ。あ、これからジャンプ買いに行くんだけど、一緒に来る?ファミチキ奢るよ」
「ふざけてんの!?そんなことよりがっこ……うん。行く」
ファミチキに釣られるとか小学生かお前。まぁそんなわけでファミマ。
「おら、ファミチキ」
「ありがと」
「で、何かあったの?」
「えっ……?」
驚いた顔をする。
「だってお前、テンション低かったじゃん。まぁ僕なんかに言えとは言わないけど、悩みあるなら誰かに相談しとけよ」
それだけ言いながら僕はジャンプを捲る。
「うわっ…今週ワールドトリガーやってねぇ……」
眠い……。
「じゃあ、さ……相談、聞いてくれる?」
「何、まだドフラミンゴと戦わないの?」
「あの、聞いてる?」
「あ?あー聞いてる聞いてる。お、ようやくトリコ小松救ったか。でもトリコの腕はいつ救われんの?」
「ねぇ…相談しろって言ったのあんたよね」
「え?なに?僕に相談してくれんの?まぁいいけど……」
僕はジャンプ読みながら話を聞く。
「翔鶴姉と喧嘩した……」
「ふーん。あの白髪の姉ちゃんか?」
「うん……」
「へぇー。なんで?おっ、山崎いーじゃん。こういうところがかっこいいよな」
「その……私と出撃すると翔鶴姉被弾することが多くてね。それで色々あって……」
「ふーん……あ、相談してくれんのは嬉しいけど学校終わってからでいいか?」
「たった今相談したじゃない!もういい!」
「あー……」
そのまま瑞鶴は行ってしまった。後で謝らんとな……。