「まずは、ここだな」
武蔵さんが連れてきてくれたのは食堂だった。
「へぇ…食堂、ですか……」
「あぁ」
そのまま武蔵さんは堂々とした足取りでカウンターへ向かい、僕はその後に続いた。
「あら、武蔵さんと……その方は?」
「今日からバイト、というか雑用することになった柊優一郎です。よろしくお願いします」
「あら、それはよろしくね。私は間宮よ」
「はい」
「伊良湖ちゃん。新人さんよ」
なんだ、もう一人いるのか。
「およ?見たことない方ですが……」
「彼は柊優一郎くん。バイトだそうよ」
「へぇ!私は伊良湖です。よろしくお願いします柊さん」
「おう」
その時だった。
「間宮さーん。今日の日替わりランチなんですかー?」
「赤城さん。子供ではないのですから余り大声出さないでください」
後ろから明るい声と冷静な声が聞こえた。
「あら?その人は?」
「武蔵さん。ぶっちゃけ自己紹介めんどくさいです」
「そうだな…貴様の自己紹介は後で纏めてやるとしよう。この二人だが、赤いほうが赤城、青い方が加賀だ」
「は、はぁ……」
「えーっと、この方は?」
「柊優一郎だ。バイトとかいって提督が雇った。後のことは私も知らん」
「そうですか。よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします」
……なんか正反対って感じだなぁ……。
「じゃあ優一郎、次へ行くぞ」
「あっ、はい!」
次はなんかカーンカーンと音が聞こえる場所。
「なんだ?」
「工廠だ。ここで艦娘や装備が作られるんだが…お前には関係ないな。次行こう」
その後も演習場、入渠ドッグ、トイレと色んなところに連れて行かれた。結構広いなここ……。
「ふう、まあこんなものだ。何か質問は?」
「いえ、特にない、ですけど……」
「ならいい。この後だが、みんなにお前を紹介したいから、飯を食って行かないか?」
「あー…じゃあ、お願いします」
まだ6:30だし、平気だよね?後でシーにボコられないよね?まぁそんなこんなで夕食の時間。なぜか俺は提督の隣だ。
「あの、提督」
「どうかしたの?」
「あの、雑用が提督の隣でいいんでしょうか……?」
「いいのいいの。気にしないで」
「は、はぁ……」
すると、その提督は立ち上がった。
「はい、みんなこっち向いてー」
さすが提督と言うべきか、その一言で艦娘たちはとりあえず前を向いて提督に注目する。
「今日からこの鎮守府でどれ……お手伝いをしてくれる方を紹介しまーす」
おい、今奴隷って言いかけたろ。
「あー、柊優一郎です。紹介にあった通り、奴隷をやらせていただきます。よろしくお願いします」
皮肉混じりにそう言った。ハンバーグ作れるくらいごちゃ混ぜにしてやった。すると、艦娘の子達から拍手が上がる。ま、やっていけるのかな?