僕は鎮守府に向かった。門の前で、綺麗な女性が待っていた。が、背中にデッカい大砲みたいなのを付けていて少し怖い。
「あなたが、柊優一郎さんですね?」
「は、はい」
「私はこの鎮守府の秘書艦を勤めさせていただいてる大和です。さっそく案内致しますね」
ニコッと笑って案内してくれた。ちなみに面接はなし。なんか提督が「めんどくさいから合格でいいや」とか言ってたらしい。
なんて考えながらその鎮守府の中を移動中。すると、執務室と書かれたプレートを見付けた。
「ここが……」
「提督。失礼します」
大和さんが中に入ると、その提督という人はゲームをしていた。が、すぐに机の中に隠す。
「……提督?」
「や、大和……来ちゃったか……」
「私、言いましたよね?今日はアルバイトの方がいらっしゃるからキチンと仕事やれって」
「や、だからやってた……」
「素直に謝ればゲームの破壊だけはやめましょう」
「すみませんでした!」
……………大丈夫かここ。
「では、柊さん。彼女がここの提督です」
「よろしく」
「こちらこそ……」
「で、さっそくだけどひいら……あ、呼び捨てでいい?」
「どうぞ」
「お願いしたいのはこの鎮守府の掃除や配膳……まぁぶっちゃければ雑用ね」
「はぁ」
「ちゃんと仕事してくれれば、艦娘と遊んでも私とゲームしてても寛いでても私とゲームしてても構わないけど」
「どんだけゲームしたいんだあんた!」
「お、今のツッコミ、いいね。気に入ったわ。もう仕事しなくてもいいや」
「よくねーよ!それじゃあんた、ただの金くれるオバさんじゃねーか!」
「冗談だよ。で、ここだけ真面目なんだけど、私たちは一応、深海棲艦と戦ってる鎮守府だから、戦闘に影響するようなことはやめてね」
「………あの、何と戦ってるって?」
「え?や、だから深海棲艦」
は、はははっ……僕、完全に板挟み状態じゃないですか……。
「? どうかした?」
「な、なんでもないです」
「ならいい。じゃ、よろしくね〜。大和ー、その子案内してあげて?」
「駄目です。そんなこと言って提督はすぐにサボりますからね」
「バレてる……」
なんて言いながら大和さんは携帯を取り出した。
「もしもし武蔵?悪いけど執務室まで来てくれる?」
すると、今度はいかつい黒い人が入ってきた。
「失礼する。………むっ、なんだこの男は。不法侵入者か?」
「違うわよ。その子は今日からバイトです。名前は……」
「柊優一郎です。よろしくお願いします」
「バイト……?提督はいつの間にそんなもの雇ったんだ?」
「今日からよ。またすぐ気分で行動するんだから……」
大和さんは呆れる。
「それで武蔵、この子を案内してくれる?」
「そういうことなら任されよう。行くぞ優一郎」
そんなわけで、案内だ。