ドラゴンクエストⅤ~紡がれし三つの刻~   作:乱A

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(`・ω・)遅くなりました。


第二十六話「占いの示す場所」

 

 

「ああ、お前さん達はかなり複雑な運命を持っている様だね」

「…何が言いたいんだ婆さん」

「おおっと、怒らなくてもいいじゃないか。少しばかりこの婆さんの話を聞いてみる気は無いかね?ひょっひょっひょっひょっ」

 

 

闘技場から出ようとしたら水晶玉を抱えた、何やら怪しげな婆さんに話し掛けられた。

 

「いや、別に…」

「そうお言いで無いよ。こう見えてもアタシの占いは良く当たると評判なんだよ、ひょっひょっひょっ。さあ、遠慮しないで座りんさい」

 

婆さんは笑いながら広間の隅に備え付けてあったテーブルの上に水晶玉を乗せると自分も座り、俺には対面に座れと促して来る。

 

「どうしようか、ヘンリー?」

「まあ、何かの縁だ。占うだけなら良いんじゃないか」

「そうだね。じゃあ、占ってもらおうか」

 

そう言ってリュカは椅子に座り、占い婆さんと向き合う。

 

「じゃあ、始めるとしようかね。~#$%&~」

 

占い婆さんが何やら呪文の様な物を唱えると、水晶玉は淡い光を放ちながら顔の高さまで浮かび上がる、リュカからは見えないが占い婆さんは水晶玉に浮かび上がる映像を食い入るように見つめる。

 

「…なるほどのう。さっきは少しからかうような物言いをしてすまなかったねぇ」

「何か見えたんですか?」

 

水晶玉に浮かんだ映像を見た占い婆さんは先程までのヘラヘラした顔とはうって変わり、真剣な表情でリュカに謝って来る。

 

「ああ、軽々しい気持ちで見て良い物じゃなかったけどね。辛い思いをしたんだねぇ」

「くっ…」

 

そう言う占い婆さんを軽く睨むが、その表情から本気で悪いと思っている事が見て取れ、リュカは怒鳴りつける事はしなかった。

 

「さてと、占いを続けようか。せめてもの詫びじゃ、今回はタダで占ってあげるよ。これからの旅の助けにはなる筈だからね」

 

「そっちから占いをしてやると言っておきながら金を取るつもりだったのか!」というヘンリーの突っ込みは婆さんには届かなかった。

 

「まず向かうべき場所はお前さんの故郷じゃな、其処に一つ目の道しるべがあるらしい。それから…城。ラインハット城じゃな」

「故郷、サンタローズか。帰るつもりだったけど、まさか道しるべがあるなんて」

「そしてラインハット…。どのみち避けて通れる訳でもないしな」

 

占い婆さんは占いを続けようとするが、水晶玉の光は徐々に薄くなり消えてしまう。

 

「お前さんの進むべき道はどうやら遥かに険しいらしいのう。今は此処までが精一杯じゃ」

「お婆さん。母さんの、俺の母親の事は何か解りませんか?」

「ちょっとお待ち~#$%&~。うむっ!?こ、こりゃあ」

「何か、母さんに何かあるんですか?まさか…」

「落ち着きなされ。う~む、お前さんの母親は生きてはおる。じゃがしかし」

「しかし?」

「残念じゃがこれ以上は分からぬ。何やら得体の知れぬ力が邪魔をしておるんじゃよ」

「生きているんですよね」

「それについては間違いが無い」

「そうか…。良かった」

 

零れる涙を隠す様に顔を伏せるリュカの肩をヘンリーは軽く叩いてやる。

 

「お前さん達にはこれから数多くの困難と試練が待っておる事じゃろう。道に迷った時にはこの町に来るとええ。ワシが何時でも占ってやるからの」

「ありがとう、お婆さん」

「なあに、かわまぬよ。ひょひょひょひょひょ」

 

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

すっかりと調子を取り戻した占い婆さんに別れを告げ、武器や防具などの装備を買い揃える為に町中を歩く二人。

あの大神殿での地獄の日々、そして今も世界を混沌に沈め様とする光の教団の暗躍。

それらを思うとこの町の賑やかさに若干の違和感を感じるがそもそもがこの光景こそが本来あるべき姿。

この光景を奪わせない為にもと、決意を新たにする二人であった。

 

装備はリュカが刃のブーメランに青銅の盾・鉄の鎧・鉄兜、ヘンリーがチェーンクロスに同じく青銅の盾・鉄の鎧・鉄兜。

それに薬草や毒消し草などの消耗品や当面の食料などを買い揃え、旅の為の馬車を手に入れる為にまずはオルタムが経営すると言うオラクル屋へと向かう。

 

「おお、お前さん達か。待っておったぞ」

「待っていた?」

「旅の為の馬車を探して居るのじゃろう?詳しい話をするからまずは店の中へ入ってくれ」

 

町の際奥にある店までやって来ると、二人に気付いたオルタムは笑いながら店の中へと誘う。

店の中は閑散としており、どうやら商品などは別の場所に保管しているらしい。

 

「で、馬車の事なんだがな。いくらになる?」

「命の恩人じゃ、金など要らぬ」

「ほ、本当か!?」

「と、言いたいんじゃがな」

 

金はいらないと言うオルタムにヘンリーは目の色を変えるが、オルタムの返事には落胆の色を隠せなかった。

 

「ワシにも生活があるしの、さすがに馬車の様に高額な物をタダでやる訳にはいかんのじゃよ」

「まあ、当然だよな」

 

先を急ぎたいのに馬車を購入する為にはしばらくこの町に留まり、魔物を退治して宝石を手に入れるか、町で働いて報酬を貰うかするしかない。

さすがにカジノで一攫千金を狙うほど世の中を舐めてはいない様だ。

そんな溜息を吐く二人にオルタムは話しかける。

 

「そこでじゃ、もしかしたらの話じゃがタダで馬車を手に入れられるかもしれぬぞ」

「どういう事だ?」

「二人共、ついて来てくれ」

 

店の奥に進むオルタムについて行くと其処には朽ち果て、ボロボロになった馬車が佇んでいた。

 

「まさかタダの馬車ってこれの事じゃないだろうな」

「まさかも何もこの馬車の事じゃよ」

「馬鹿にしてるのか?」

「ちょっと落ち着きなよヘンリー」

 

殺気すら感じる程に睨みつけるヘンリーだが、オルタムは何処吹く風と言う様に言葉を続ける。

 

「馬鹿にしてる訳でも騙している訳でもない。この馬車はな……」

 

馬車に近づいて愛おしそうに撫でると二人に振り向き、まるで品定めするかの様に見つめ、衝撃の告白をする。

 

「この馬車はな、遥かなる昔に世界を救った天空の勇者が、導かれし者達が旅に使った馬車なんじゃよ」

「て、天空の勇者?」

「導かれし者達だって?その馬車が何でこんな所に?」

「こんな所とはご挨拶じゃな。まあ良い、それはワシの御先祖様がその導かれし者達の一人、トルネコ様じゃからじゃよ」

「「はあぁっ!?」」

 

 

=冒険の書に記録します=

 




(`・ω・)と、言う訳で本作の馬車入手イベントはこんな感じになりました。

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