艦娘カウンセラー   作:kakikaki

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十一話 四大将着任

その後、提督と瑞鶴の身柄は本部へ送られた。提督にはさらに罪が科せられるだろう。とりあえず清はそのことを亮に電話で伝える。

 

「そんなわけで、瑞鶴をそっちに送りたいんだけど・・・鎮守府留守にするわけにもいかないよな?」

 

「まぁ、それはなるべく避けたいな・・・」

 

「しゃーない。俺が今からそっちに行くから」

 

「いいのか?大将がそんなことしても」

 

今更だが海軍の四大将がこんな艦娘カウンセラーにここまでしてくれることはない。やはり昔なじみのおかけだろう。

 

「余計な仕事を増やしたのはお前だろ?まぁ、それが終われば今日の仕事は緊急依頼がなければ休める」

 

「そうか。会うのは久しいな」

 

「だったら。酒の席でも用意しておけよ。おもてなししてくれ」

 

そういうと電話を切った。

 

「誰が相手だったの?」

 

その近くでお茶を用意してたのは先ほどの戦闘で活躍してくれた瑞鳳だ。

 

「昔馴染みさ。瑞鳳も行くか?」

 

「そうね。仕事も特にないし行くわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・またあいつには迷惑をかけたな・・・」

 

「でも。今回はしょうがないッぽい」

 

「・・・ダメだな・・・」

 

「そんなことないっっぽい!!」

 

「ああ・・・」

 

夕立はこう言ってくれているがこのようなことが起こると自分の力のなさを感じる。このように艦娘カウンセラーを続けているが、自信もなくなることもある。

 

「クマー。亮はいるクマ?」

 

いきなり扉が開くとそこには球磨がいた。

 

「ん?どうした?」

 

「少し海に出たいクマ。いい加減体を慣らさないとだめクマ。遠征でもいいから海に出してほしいクマ」

 

「悪いがダメだ。ここの艦娘は海に出ることは禁止されている」

 

「・・・そういえば思ったことがあるクマ。亮がここの鎮守府のカウンセリングが終わったら私たちはどうなるクマ?」

 

「そうか。簡単に説明しておくか」

 

カウンセリングを終えた艦娘は平和のためにまた海に出てもらうことになる。だがそのためには提督が必要となってくる。そこで、各鎮守府からの視察などで艦娘を推薦する。そして、艦娘本人の承認と本部がその艦娘を扱うに値する人物かを判定し承認をもらう。こうすればその提督の元で艦娘として海に出れる。そして、選ばれなかった艦娘は新人提督の元についてもらうこともあれば、本部での雑用などがある。もちろん、悪いようにはしない。

 

「ざっとこんなもんだな」

 

「へーそうかクマ・・・じゃあ、亮はどうなるクマ?」

 

「俺は次の仕事が入ればそちらに向かうし暇かもしれないな」

 

「そうクマか・・・ありがとうクマ」

 

そういうと部屋から出て行った。

 

「まぁ、艦娘たちもこの後どうなるのか知りたいもんな」

 

とりあえず先のことよりも今のことを優先しよう。この鎮守府を救ってからだな。先を考えるのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は昼前、とりあえず皐月の様子を見に行った。今は天龍と一緒に演習中だ。

 

「そのまま砲撃に展開だ!!しっかりと左目だけで標準を合わせろ!!」

 

水上の上に出てきた的が三個。皐月は朝のようなズっこけることはなくなっていた。寧ろ全然安定している。片目が見えなくともここまでできるものなのか、そしてその指導をする天龍。歩行未経験をこの短時間でここまで成長させるとは恐れ入った。さすが清の艦隊といったところでもあるが、この天龍の実力もすごいものだ。

 

「・・・・・・」

 

無言で集中する皐月。そして的に向けて砲弾は放たれる。その砲弾は的に吸い込まれるようにど真ん中に命中。続く二つ目も体勢を崩すことなく二つ目も破壊。そして三つめ・・・多少の波に苦戦しながらも砲撃を続ける。しかし、三つめは左を少しかすった程度で終わった。

 

「やっぱり、潮風には弱いな。駆逐艦で重量がないから風や波の影響も受けやすい。本来ならば俺の艦隊のやり方を教えたいんだが・・・」

 

そういうと天龍が言葉を詰まらせた。

 

「まぁ、伝家の宝刀だから教えられないか・・・だが、ここまでくればテストなんて余裕だ。実際もう、合格点は超えているからな」

 

「そうなのかい!?僕はもう合格?」

 

「いや。まだあげられない・・・練習でできていたことも本番になって百パーセントの力を出せなければ意味のないことだ。だから・・・」

 

「テストの内容の演習相手・・・」

 

そういうと天龍はこちらに近づいてきた。

 

「夕立。あんたにお願いしたい」

 

「ぽい!?私!?」

 

いきなりの指名に相当驚いているようだ。確かにいきなり演習の相手になれと言われたら驚くだろう。

 

「ああ・・・」

 

そういうと天龍は夕立の前に立ち。

 

「あのソロモンの悪夢と言われたあんたの力を近くで見てみたい。それに改二の影響で少しぐらい体動かさないと慣れないぞ」

 

夕立は少し考え込んだがそのまま天龍のいうことには賛同した。

 

「わかったッぽい。私なんかでも役に立てるなら精一杯やるわ!!」

 

「ああ。ありがとうな」

 

そういうと天龍は元の位置に戻った。

 

「よかったのか?引き受けちゃって」

 

「ええ、天ちゃんのいうとおり体も動かしたいしね」

 

そういうと軽く屈伸を始めた。

 

「そうか、まぁやりすぎるなよ」

 

「ぽい!!」

 

 

 

 

 

 

そして、時刻は昼過ぎ、あいつが来た。・・・なぜかモータボートで海から・・・そして武装した瑞鳳も一緒に・・・

 

「ウィーッス、来たぞ」

 

「こんにちわ」

 

「清・・・普通に来れないのか?」

 

「いやいや、登場っていうのは意外と大事なんだよ」

 

「ほら!やっぱり変だって!!」

 

瑞鳳は俺と同じようなことを思っていたらしい。

 

「そういうのがダメなんだよ」

 

そういって、モーターボートから降りようとするが

 

「・・・はっはーん。相変わらず人気だな。艦娘に」

 

そういうと清は別の方向を指さし物影が動いた。そこには北上がいた。

 

「・・・・・・」

 

「北上。緊張するな、昔馴染みだから酷いことはしないよ」

 

「・・・亮が言うなら・・・」

 

そういうとこちらにちかづいてきたが亮の背中に隠れてしまっている。

 

「まだお前以外の人間はだめって感じか」

 

「みたいだな。別に珍しいことでもない」

 

「其れもそうか。んじゃ、とりあえず瑞鶴を運ぶから部屋を案内してくれ。それでもってこいつについて話がある。瑞鳳も席をはずして・・・演習場にでも行っといてくれ」

 

そういって瑞鶴を元の部屋に運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ。天龍はどうだ?」

 

「ああ、すごく助かっている。もう合格してもいいレベルまで上がったぞ」

 

「なるほど。まぁ、俺の艦隊が手伝ってやってんだから当たり前か」

 

清はすごい自信家だが、そのセリフ通り彼の艦隊は世界でも最強クラスになっている。それが海軍四大将だ。このレベルが残り三人もいると思うとぞっとする。まぁ、一人は知っているが・・・

 

「そうだ。狩島さんもすげー怒ってたぞ。あの愚弟はってグチグチグチグチ・・・」

 

「はぁ・・・姉ちゃんな・・・」

 

そう、四大将の一人は亮の身内だ。狩島栄里。史上初の女性大将だ。亮本人は言うのは、とにかくおっかない、そして彼女の艦隊の艦娘の性格は彼女により改善され、普通の接し方ではだめなようだ。艦娘の心までも変えてしまう者。その性格や特徴も何とかしてしまうと言われているらしい。実際には見たこともないがそういう噂が立っている。

 

「ああ、それでその愚痴を俺にいってくるっていう」

 

「ああ・・・長かったろ」

 

「そうだな・・・っと話がそれたな。本題に入るぞ」

 

そういうと、清は資料を取り出し

 

「今回の件はこの瑞鶴についてだ。大体をここの元提督の面会で聞いた話なんだが、瑞鶴は翔鶴を解体したらしい・・・って言っても、そんなことはあり得ないからこれは本人が起きてから聞いてみる。んで次・・・」

 

次のセリフには衝撃的だった。

 

「瑞鶴はもう弓を弾けない体だ。よって解体させる」

 

「・・・はぁ!?」

 

「艦載機をうまく飛ばせないのならダメだ」

 

「いや、検診の結果は補給不足だけだった。それに、体調が万全なら・・・」

 

「ああ。だが、原因は・・・ここに来る前の鎮守府の話だ」

 

そういって二枚目の資料を渡される。

 

「!!・・・これって」

 

「そうだ。瑞鶴はそこの鎮守府の提督を殺めてしまったんだ」

 

そういって資料を見せられる。確かに言われた通りのことだった。

 

「でも、事故か?」

 

「それは知らない。事故であるといいが、そうではなかったら・・・それなりの落とし前はつけないとな」

 

「・・・なぁ、瑞鶴はたぶん迷っているんじゃないのか?」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「瑞鶴は恨みが口に出ちまうほどになっていた。殺すともいっていた。だがそれは本心なのか?実際に提督と二人になった時に殺すことは可能だったはずだ、艦載機を使わずとも海に沈めるや、矢を刺すなんて簡単なことはできたはずだ」

 

「まぁ、そうだな提督を殺せばこいつはよかった。でも、躊躇したってことか?」

 

「ああ、なんかそんな気がしてな・・・」

 

「なるほどな。要は口では言っているがなかなか実行に移せないってことか?」

 

「そうだな。単純に殺したくないのかもしれないし」

 

そういって資料を返す。

 

「こいつが起きないと始まらねえか・・・とりあえず」

 

そういって清は瑞鶴の腕に手錠を巻き柱に引っかけた。

 

「こうでもしないと逃げるだろうからな・・・起きるまでどうするか」

 

「俺は待ってるから・・・」

 

「アホか。こんな危険な鎮守府をまだ一人で歩かせられるか」

 

それもそうだ。先ほどの北上のように回復はしているが亮以外の人間に会うのは初だろう。なので何が起こるかはわからない。

 

「そうだな・・・」

 

そういって清は立ち上がると同時に懐から投げナイフを扉に向けて投げ出した。

 

「さっきから殺気をおったてて扉の前にいるのは誰だ?」

 

そういうと扉が開く。

 

「私です。」

 

「・・・どうした神通?」

 

「いえ。亮さん・・・貴方は信じられますがほかの人間を連れてくるなんて・・・」

 

そういって突進の勢いのように清に迫ってくるが、腕を簡単に静止させられる。そして持っていたナイフを取り上げると軽く足払いしてこけさせた。

 

「なるほどな。大体がこんな感じなのか?」

 

「ああ、正直時間はかかるだろう・・・」

 

「いや、俺が言ってるのはこいつの実力だ・・・すごい逸材だ・・・」

 

そういうと品定めするかのように神通を見渡す。

 

「・・・ふっ・・・神通、お前すごいな。海軍大将からのお褒めの言葉だぞ」

 

「えっ・・・大将?」

 

「ああ、初めまして。成瀬清だ。亮の同期でもある」

 

確かに神通のすごさは身に染みてわかる。一戦交えた時の無駄のない動きそして本気度が違う。一つのことに対して全力を出していくやつだ。

 

「よし・・・こいつほしい」

 

「ダメだバカ」

 

「だよなぁ・・・せっかくいい神通なのに・・・でもこれだけは言っとくぜ神通」

 

そういって神通を起き上がらせ

 

「俺の艦隊に入ればお前を最強の神通にしてやる」

 

そういう少し神通は少し考えると

 

「そういわれてもまだわからないです・・・」

 

「・・・まぁ、それもそうだよないきなり難しい話をしてしまってこちらも悪かった」

 

「いえ!!こちらもあんな暗殺まがいなことを・・・」

 

「大丈夫だ。それより部屋に戻って考えてみてくれ」

 

「はい」

 

そういうと神通は部屋を出て行った。すると

 

「んぅ・・・」

 

先ほどから寝ていた瑞鶴が起きたようだ。

 

「起きたか・・・飲めるか?」

 

そういって用意しておいた補給用のドリンクを渡す。今回はボトルを用意したので前回のようなことはしなくていい。

 

「あれ・・・私・・・」

 

「勝手に脱出して海でぶっ倒れたんだ。これを飲め」

 

「うん・・・」

 

そういってドリンクに口をつける。

 

「あれ?前飲んだ時と味が違う気がする・・・」

 

「気のせいだ」

 

たぶん口移しのことだろう。されたことないからわからないが味が変化する・・・らしい

 

「まぁ、瑞鶴。それよりも俺の質問に答えてくれ」

 

清はそういって資料のない言いようを読み上げる。

 

「翔鶴の解体。そして今の鎮守府の前にいた鎮守府の話をしてくれ」

 

「・・・・・・」

 

そういうと少し黙り込んだ。

 

「・・・ゆっくりでいいが正直にな。別に何しようってわけでもないし・・・」

 

「・・・わかった」

 

そういって瑞鶴は昔のことを話し始めた。

 


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