「えーっと、ここが例の鎮守府か・・・」
俺の目の前にあるのはかなり脆く今にも崩れそうな鎮守府。
「結構ぼろぼろっぽいね。ねぇ、亮。今回はここなの?」
そして俺の隣にいるのは白露型四番艦の夕立。ソロモン海戦で敵軍を圧倒した駆逐艦だ。
「ああ、今回はこの鎮守府の艦娘だ。大変だと思うが手伝ってくれるな」
「もちろん!!そのためにいるっぽい!!」
艦娘とは戦艦や空母などの兵器を女の子にしたものだ。そしてその艦娘こそがいまあらわれている謎の生物、深海棲鑑を倒すことができる唯一の兵器である。だが・・・
「今回の元提督はどうしたっぽい?」
「ああ、艦娘への暴行および性的嫌がらせ、そして条例違反の労働、俗にいうブラック鎮守府だ」
そう、最近の提督は戦果を挙げようと必死なのか単なる欲求解消なのか艦娘に対してのあつかいがお粗末になってきている。兵器だとしても見た目も中身も普通の女の子であることは間違いない。そんな艦娘の心身のケアをし再び海に出すのが我々艦娘カウンセラーの仕事だ。
「確かにここの元提督の戦果は撃沈数は少ない割に轟沈数はばかにならない、降ろして正解だな」
もらった資料を見ると元提督の情報や鎮守府にいる艦娘の名簿が載っている。駆逐艦から戦艦、空母までのこの鎮守府にいた艦娘たちだ。
「ぽいぽい。いつもの感じっぽいね」
鎮守府の門をくぐると一人の憲兵がいた。
「お務めご苦労です。艦娘カウンセラー狩島亮です!」
「その補助白露型四番艦の夕立です!」
憲兵に敬礼し状況を確認する。
「憲兵の浅倉だ。ほぉ、あなたが艦娘を連れているカウンセラーか?」
「はい。お願いします」
「ぽい!私の提督は亮だけ!!・・・ぽい?」
そう、この夕立だが俺が初めてカウンセラー派遣で行った鎮守府にいた艦娘だ。そして、俺を気に入ったらしく本来なら提督以外の人間が艦娘の所持を禁止されているが特例として夕立を所持することになった。
「まぁ、入ってくれ、今回はかなり厄介だぞ。ほとんどの艦娘が人間を拒絶している」
「わかった。端からのつもりだったし、そういうときのために夕立がいる」
「では・・・頼むぞ」
「ああ」
「ぽい!!」
亮と夕立は鎮守府の中に入っていった。
鎮守府の中はというと整備が行き届いておらず艦娘や妖精の姿もまるでない。
「外に誰もいないってことは全員部屋にいるか」
「亮・・・」
心細いのか夕立が腕を組んできた。
「大丈夫だ。前にも何回かやったろ?」
不安なのか、当たり前ではあるが珍しくもあった。
「とりあえず、俺の荷物は提督室において、仕事を始めるぞ」
「ぽい!」
そういって提督室に向かおうとするが
「ああああぁぁぁぁぁああ!!!!!!」
奥のほうで叫び声が聞こえた。
「っち!夕立!先に荷物を置いていき次第合流しろ!」
携帯用の医療器具だけ取り出しそれをサブバックに入れ叫び声のほうへ走っていく。
「ぽい!」
「ああああぁぁぁぁぁああ・・・・・」
「ここか!」
その部屋は球磨型の部屋だ。ノックをするが、叫び声で聞こえないのか返事がない。
「すまんあけるぞ!!」
亮は扉を明開け部屋に入ると・・・
「ご、ごめんなさいクマ!!北上がいきなり発狂しちゃって、うるさくして・・・その・・・ごめんなさいクマ!!!妹にはひ、ひどいことはしないでクマ!!お願いクマ!!!」
俺の姿を見つけるや否やいきなり土下座を仕出した。たぶん元提督と間違っている。
「安心しろそんなことはしない。とりあえず、そいつを抑えないと・・・球磨!!北上を・・・」
「やめてクマ!!ひどいことしないでクマ!!」
球磨は混乱しているのか謝ることしかしない。ほかの球磨型はおそらくであろうが見て見ぬふりだ。
「亮!!どうしたっぽい!?」
「いいところで来た!!北上を抑えててくれ!!」
「ぽい!!」
到着した夕立は素早く慣れた手つきで北上を抑える。その間にサブバックから注射を取り出し。それを北上に刺した。
すると、先ほどまで鳴りやまなかった甲高い雑音は消えて静かになった。
「ふぅ・・・」
おさまった北上をそのままベッドに寝かせる。
「おつかれっぽい」
そういうと夕立は水の入ったペットボトルを渡してきた。亮はそれをありがたく受け取る。
「あの・・・」
ふたを開けて飲もうとしたとき球磨が声をかけてきた。
「なんだ?」
「ひぃ!」
疲れから少し威圧的な返事をしてしまい球磨は怯えてしまう。だが・・・
「この人は艦娘カウンセラーの亮だよ!!夕立は白露型四番艦の夕立よ!!よろしくね!!」
「よろしくお願いしますクマ・・・球磨型一番艦の球磨です。クマ」
助け舟のおかげで何とかなったみたいだ。
「まぁ、そういうことだ、それよりも検診するから球磨型を起こしてくれ」
「わかり、ました・・・クマ」
やはり緊張をしているのか怯えているのか言葉がとぎれとぎれになっている。だが、経験上この艦娘は話せているほうだ。むしろ厄介なのは北上だ。いきなり発狂するなどの現象はトラウマ、又は幻覚などショック死してしまう例もある。
「いや、球磨は俺のところに来てくれ、夕立頼むぞ」
「わかったっぽい」
サブバックから様々な医療機器を取りだす、これは全て艦娘用のものだ。聴診器を耳に当て検査を始める。この聴診器だがかなり性能が良い。これをおでこに当てるだけでその艦娘の異常を知らせてくれる。
「球磨・・・補給と入渠を最後にやったのはいつだ?」
「…覚えてないクマ」
「そうか、とりあえず出撃するわけじゃないから球磨型の全員の検診が終わったらみんなで入渠して来い、補給はそのあとだ」
「・・・わかりましたクマ」
「亮、次は多摩さんね」
「おう、さんきゅー」
多摩も先ほどの球磨と同じように検診を終えた。最初は拒絶していたが球磨のおかげですんなり検診を受けてくれた。結果だが、やはり補給不足が当たり前のようだ。これは全ての艦娘がそうであると読んでいいだろう。北上は鎮静剤で眠っているので次は四番艦の大井だが・・・
「いやよ・・・あなたも近かづないでちょうだい!!」
ほかの艦娘より自分の意見が言えてる分元気だと思うがそれであって必死でもある。
「だけど・・・補給だって足りないし、その、体が全然くごいてないっぽいし、起きれないなら夕立が手伝って・・・」
「触らないで!!」
バシンッ!!と夕立の手を叩く。
「その・・・亮は怖いけどすごく優しくて、きっと大井さんも治して・・・」
「夕立、どいてくれ」
「ぽい?」
亮は大井の前に近づく、大井は来るな来るないうが気にしないで近づく
「思った通りか・・・夕立、俺は部屋を出るから掛け布団をめくって大井を入渠室に連れて行ってくれ。一人じゃ無理なら俺を呼べ。無理矢理でもいいから、大井を頼む」
亮はそのまま部屋を出ていった。
「(たぶん、やっちまったんだろうな。足のけがかなんかして、男の俺がそんなの見たら絶対だめだろうな)」
「はぁ、亮は気の使い方が下手っぽい」
たぶん、異臭に気づいたんだと思う。とりあえず言われた通り掛布団をとる。
「やめろ!!・・・やめてお願いだから!!・・・やめて・・・」
そしてそのまま剥ぎ取ると
「やっぱり・・・」
大井の左足が痣とうにで変色してしまっている。何時しかの出撃の時から入渠していなくほったらかしたからこうなってしまったのだと思う。そして、その動けない状態。そして、周りの球磨型も自分のことで手いっぱいの時にこうなってしまうのも仕方がないと思う。便意だ。足の動かないそして周りから気に留めてもらってなかったのでそのままそこでするしかなかったのだ。それを見られてしまい大井は泣き出してしまった。
「だ、・・から、止めて、って・・・」
「その・・・大丈夫だよほら、入渠しに行ったらスッキリするし高速修復剤使えば・・・」
「うぅうぅ・・・」
大井は俯いたままで立ちそうにないが・・・
「大井、立つクマ。お姉ちゃんが一緒に行くクマ」
予想外にも球磨が大井に近づき肩を貸す。
「その、ごめんクマ・・・妹がこんなことになってるなんて、その本当にごめんクマ、北上も大井ももっとお姉ちゃんを頼ってほしいクマ・・・」
「球磨姉さん・・・」
「タオルとかは夕立が用意しておきますから、多摩さんも連れて三人で入渠を先に済ませてください。夕立も一緒に行くから!」
球磨型の三人は夕立とともに入渠へ行った。
「さて、行ったか・・・」
亮は球磨型の部屋に戻り全体的の部屋掃除を始めるが気になることがあった。
木曾がいない。木曾とは球磨型の五番艦の雷巡艦のことだ。先ほど本部からもらった資料には球磨型はこの五艦だったはず、だが、この部屋にはいないようだ。
「(部屋の外か憲兵のスキをついて逃げ出したか、最悪の場合耐えられなくなって自らを解体したかだな)」
とりあえず、問題があったベットのシーツを変えることにする。大抵のものは本部から取り寄せられるので頼んでおけば遅くとも明日の朝には届くだろう。
「はぁ、この仕事はやっぱメンタルが持ちそうにないな、ま、仕事だからやるけど」
とりあえず窓を開け天井のほうから掃き掃除を始める。そして、三十分くらい経った頃・・・
「んぅ・・・」
寝ていた北上が目を覚ましたようだ。先ほどのような発狂はなく、顔色もさっきより良い。
「あ、提督、どうしたの?今日は私の日だっけ?」
亮のことをここの元提督と間違っているのか、寝ぼけてるのか、とりあえず声をかけることにした。
「俺は君の提督ではない。カウンセラー派遣でここに来た亮だ。検診をするからそのまま横になってろ」
サブバックから先ほどの医療品を取りに行く。また暴れたりしなければいいが、そう思っていると・・・
「ねぇ、今度は私に何するの?いや~、お医者さんプレイだなんて、提督も物好きだね~。あたしは別にほかの子に手を出さなければ何されてもいいからね~・・・ところで大井っちたちはどこ?ねぇ、どこ?約束だよね?あたしには何してもいいって言ったけど、姉妹には手を出すなって、ねぇ、どうなの?提督?」
北上は正直よくわからないが、今までの仕打ちに耐えて耐えて抗えなくなり、そして、ついには抵抗など無意味だと思ってしまったようだ。現実を受け入れているが諦めている。その影響か瞳に色がない。そしていきなり北上が衣類を脱いでいく。
「こんな体にしてさ・・・こことか、痛かったなぁ~いっぱい傷跡が残っちゃったよ~特に首のあたり、ここは痛いのと苦しいんのがあるから・・・」
目の前北上の姿に亮は驚きを隠せなかった。服を脱がなければわからないが傷跡が大量にある。首から腰にかけて擦り傷切り傷肉がえぐられてるような傷。
「北上、よく見せろ」
近づきその傷をまじまじと見る。新しいものもあるが古いもののほうが多い。たぶん入渠しても傷跡は残ってしまうだろう。
「どお?つけられた傷痛そうでしょ?」
北上のいうことは無視しておく。いちいち聞いていたらキリがないからだ。
「言っておくが、さっきも言った通り俺は君の提督ではない。球磨型たちは入渠だ」
検診結果だが補給不足、入渠、そして、
「胃・・・非常にまずいな」
胃に異常があるらしい、それはかなり深刻なことだ。その理由は今すぐ補給ができないことだ。艦娘にとっての補給は人間でいう栄養など、つまり食事のようなものだ。胃や腸に問題があるならばそこの治療から・・・流動食から始めなければ補給はできない。
「ん?どうしたの~?」
「とりあえず北上は服を着ろ。何もしないから」
来ていたコートを北上に渡した。
「ほーい・・・人間って卑怯だよね・・・」
・・・検査し終えてからすぐに入渠に同行していた夕立は戻ってきた。
だが・・・
「高速修復剤がない!?」
「ぽい・・・」
問題が発生した。鎮守府の在庫には高速修復剤は七十と書かれていたが、ふたを開けてみれば空っぽだったという。このような資材も本部に頼めば届く。しかし、高速修復剤があるとないとでは効率が悪すぎる。錬度にもよるが一隻二時間と考えていいだろう。
「とりあえず、二隻分のドックが開いてたから、球磨さんと大井さんを先に入れた。時間は球磨さんが一時間四十五分、大井さんは二時間三十っぽい」
「そうか・・・仕方ない。夕立行くぞ!!奥の手使うぞ!!」
「え・・・」
いきなりだが、奥の手を使う羽目になった。それは・・・
「はい、高速修復剤三十個で合計で三十万円です!!」
高速修復剤は普通なら五個で三百円だ。だが亮は三十個で三十万円だ。本来ならば、千八百円。だが三十万払った。
「やっぱり、高額すぎるっぽい・・・」
奥の手・・・というのは、まぁ、ただの自腹のことだ。だが、提督ではない亮の場合は買えるアイテムの金額が
ありえないほどに跳ね上がる。本部からの取り寄せは無料だがとどくのは明日だ。
「はぁ、艦娘カウンセラーでもなんで高いんだ・・・」
そんな理不尽なことを思いながら、夕立に二つ持たせて入渠室に向かわせた。
亮は北上の様子を見に行くことにした。しかし・・・
「あのバカ!!」
球磨型の部屋北上の姿はなかった。あのよれよれの状態でどこか行ってしまったようだ。
「(ふざけるなよ・・・あの時決めたんだよ!!これ以上の犠牲を生まない!!)」
ーーーーちょっとは人間を信じてみたけど・・・やっぱダメみたい。
あの時のあの記憶、嫌でも思い出す。必死になって鎮守府中を駆け巡る。まずは外に出る。
「憲兵さん!!北上の姿を見なかったか?」
「いや、ここから動いていないが見ていないぞ。・・・何があった」
「わかった。すまない」
また走り出す。とりあえず鎮守府からは出ていないようだ。だが・・・最悪の場合を考えてある場所へ向かった。
「はぁ~あたしってなんのために生きてるんだろう。存在価値は・・・深海棲鑑を倒す・・・か・・・」
あたしは簡単なことだけど難しいことを考えてみた。生きているって何だろうって、まあ、さっきも言った通りなんだけど・・・でも、あたしがやってることってあのくそ人間を楽しませていることだよね。生きていてもつまらないし、海には出れないし・・・いつの間にか球磨姉も多摩姉も親友である大井っちだっていなくなってた。あぁぁ、あたしも木曾っちと一緒に・・・もういいや、考えても仕方ないし・・・
「さーて、このプレス機みたいなのが解体用の機械・・・スーパー北上様の体で資材はどのくらい稼げるのかな・・・」
オフになっていたスイッチをオンにする。すると、ガンッ・・・ガンッ・・・と不吉な音がする。
「あの人なんだっけ?カウンセラー?・・・」
おかしな話だよ。人間に傷つけられた傷を人間が癒すなんてさ、そんなの二度手間みたいなものじゃん。まぁ彼は悪くないんだけどね、体見られても何もしてこないし寧ろコートかけてくれたし。このボロボロな体見ても気持ち悪がったりしなかった。でもそれは作戦なのかな?最初に信用を得て別の目的がある。提督もそうだった。あ~あ、最後くらいなんか・・・
「大切にしてほしかったな・・・」
意を決しプレス機の中に入ろうとするが扉が開く音がした。
「よぉ、やっぱここだったか、全く一人でうろうろするなよ、ほら部屋に戻って入渠室に・・・」
「あたしはいいよ、それよりもほかの子を治してあげてよ。それにカウンセラーさんも相手が減ったほうが効率が良くなるんじゃないの?」
「あのな、そんなことされたら俺の存在理由がないだろ。俺はこれで飯食ってんだ」
「ふーん。じゃあさ、カウンセラーさん。あたしたち艦娘は深海棲鑑を倒すために生まれた、これが存在理由じゃん?でもさ・・・」
一つ息を置いて
「あたしたちはいつから人間のおもちゃになったの?」
北上の絶望したような眼。それを見ていられないが背けてはいけない。
「確かにそうだな、おまえたちは兵器だ。そう考えるのが一般的だろう・・・だけど、俺はそうは思わない、この仕事をしてから俺は理解した。艦娘も俺たちと同じだ。感情があるだろ?だから、俺がお前の存在理由を示させてやるよ!!」
「ふーん。そっか、じゃあさ、あたしに見せてよ、というか賭けていい??もしカウンセラーさんが勝ったら何でも言うこと聞いてあげる」
すると北上はプレス機のほうに顔を向けた。
「あたしはこの中に飛び込むからさ、あたしを救い出して見せてよ」
言い終わると同時にプレス機に駆け込もうとする。亮と北上の距離はおよそ20メートル。北上とプレス機の距離はわずか数メートル。間に合うはずがない!!
バァン!!
とっさのことだ。銃声が部屋に鳴り響く。なんと撃ったのは亮だった。右手にはあピストルが握られている。放たれた弾丸は北上の右足に命中し、北上は倒れこんだ。
「うぅ・・・」
「悪いな、これでしかお前が言ってた賭けに勝てる気はしなかった」
ピストルを懐にしまいゆっくりと北上に近づいて行く。
「ほら、入渠しに行ったら治るし、とりあえず賭けには勝ったんだ。言うこと聞いてもらう・・・」
「甘いね!艦娘はその程度じゃ・・・あぅ!!」
すぐに立ち上がったが、やはり足に痛みが走ったのか前のめりに倒れこむ。だが・・・
「あ・・・」
頭がプレス機の中に入ってしまっている。上から鉄の塊が落ちてくる。
「(あれ・・・怖い・・・助け・・・)」
「このアホ!!」
亮が後ろから引っ張り出した。
ガンッ!!!!!
だが途中でビタッと引っ張れなくなった。
まさか・・・
「うぅ・・・ひっく・・・」
「髪の毛が引っ掛かっただけだろ!?泣くなよ・・・全く、さっきと同じやつとは思えねぇ」
「その・・・怖かった・・・」
北上は子供のように泣き出した。亮は背中を撫でてやる。このようなやり取りが三十分くらいしたころ
「zzz・・・」
泣き疲れたのか寝てしまった。さっきの涙でこれまでのストレスを流せていればいいが、そう簡単にいくとは思えない。とりあえずここにいるのもしょうがないので、北上をおぶさり、入渠室へ連れていくことにした。
「はぁ・・・艦娘もこう見れば子供だな・・・」
「うぅ・・・あれ?ここは?ってうわ!?」
「ちょ!!暴れるな!!」
北上が目を覚ましたようだ。そして背中で暴れている。地味に痛い。
「さっき足撃ったんだから、どうせまともに歩けねぇよ」
そういったっ途端、暴れるのをやめたが、今度は・・・
「いくらあの状況でも撃つってありえなくない?」
「だから、あの時は仕方なっかたろ」
「あーあ、痛いよーカウンセラーさんに撃たれたー」
「ばか、文句ばっか言ってると海に投げ飛ばすぞ」
「うわぁ、虐待だ。撃った女の子を海になんて・・・」
「あほ、冗談だ」
「だよね~・・・ねぇ、カウンセラーさん・・・」
「なんだ?」
「さっきの賭けさ、カウンセラーさんの勝ちだからさ。何でも言うこと聞くよ・・・」
さっきとは打って変わって真剣な表情をしていた。何を言われてもいいのか?とも思うが亮はこう言った。
「じゃあ、人間を信用しなおしてみろ。少しずつでいいから」
亮にとってはこれが一番してほしいことだ。人間を拒絶し続けていれば艦隊には戻れない。それと亮の個人的な願いでもあった。
「そう・・・だよね・・・でも、これはカウンセラーさん次第だから。でも、がんばるよ。ここの鎮守府の艦娘みんなを元気づけさせて」
「また賭けか?」
「うん・・・そうだね、できなかったら海に投げる」
「・・・上等だ」
「そういえば名前聞いてなかったけどカウンセラーさん名前は?」
「狩島亮。艦娘カウンセラーだ」
「じゃああたしも、球磨型重雷装巡艦のスーパー北上様だよ。ありがとね。亮」