スーパーロボット大戦OG~駆け抜けるD~   作:ash.w

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彼女は画策する

 今現在ハガネは、海中を通りながらこちらへ向かっていることでしょう。

 無論浮上してくる瞬間をピンポイント射撃ということも実のところできなくはありませんが、それは妨害ですらないでしょう。

 エルザムさんも忙しいようなので暇つぶしです。

 とりあえず、スパイさんに送ってもらったバーニングPTの筐体をいじって、四人同時プレイができるようにし、それと同時に使用できる機体も幾つか変えておきます。

 通信機能関連もいじって、リオンからでもできるようにしておきます。

 コクピットの規格が違うので、動かしづらいと思うのですよ。

 無論四人対戦であることと、バーニングPTの筐体がなければできないことにはしてありますが。

 私が作ったものはGまで体験できるようにした特殊型です。

 やりようによって人が殺せるレベルのものもありますが、そんな機体は入力段階ではじいています。

 なので、トロンベ仕様はあっても、ミロンガ級はありません。オーバーテクノロジーの一つですしね。

 たまたま暇をしていたテンザン氏と、一緒にやることになったのですが。

 

「ほ、こりゃいい。ひとつ頂いていくぜ」

 

 どうやら、リュウセイに負けたことがそこそこに悔しかった模様。

 ただし、自分の機体はかなりいいものを選んでいるのに回避型にしているから、動きがあっていないのだ。

 やがて来る、バレリオンに乗ってからのご感想を聞こうと思う。

 私の動きに合わせたピーキーな仕様のリオンなんて一ゲームごとに、コックピット周りだけオーバーホールしなければならなくなった。整備班の皆様には何度も謝っておいた。実戦で使われることはないだろう。

 かかるGはそれほどでもないが、動きがおかしすぎて、ほかの人が使うとブラックアウトする。

 テンザン氏もそのひとりである。

 テンペスト・ホーカーさんともあった。

 彼をジッと見つめるが、優しいそして寂しい笑顔を返された。

 思わず、彼の為を思って未来を少しだけ変えてみたくなった。

 理由としては、本来の目的のついでにある場所にハッキングした結果、シロガネの乗員の未来が少しだけ変わっていた事に気がついた。

 遺体が見つかったものはいないものの、重傷者リストの中に彼女がいた。

 はっきり言って微々たる結果だ、それでも変わるのだ。

 彼の憎しみがなくなるわけではない。

 しかし生存がはっきりしたことで、もしかしたら、もしかするのかもしれない。

 ここら辺は、原作とは違う何かが起きるのかもしれない。

 それに期待したのだ。

 結果は、あまりいいものではなかったけれど。

 なお、彼も一応このゲームに触っていたことがログから判明した。

 これから出会うハガネ隊との戦闘になにか違った結果を与えないといいのだが。

 不安がよぎるが、起きてしまったことは変えられないのだ。

 願わくば、彼のこれからに……なんて言えたような生まれじゃない。

 思った以上に好評で予備パーツを使う必要が出てきたので、もう一回組立だ。

 

 

 

 

 

 

 

 テンペストは思い出していた。

 エルザムと共にいた、あの少女を。

 アンナも今も生きていれば、あの少女と……。

 そんなありもしないことを考えても仕方がないと頭を振りかぶりながら、あの少女に言われた言葉を思い出す。

 

「復讐を諦めろなんては言えないけど、ビアン博士が亡くなったあとのDCにはとどまらないほうがいい」

 

 理由もなく離れることなどできないと、少女には言った。

 そのさびしそうな瞳が、私を見るが私の決意が揺らぐことはない。

 少女は諦めたように、言った。

 

「そうですね、私にはあなたの悲しみも怒りも理解できない。時計を止めた彼らをすべて消し去ったところで、あなたの時計を再び動かす人はいない。すいません、気にしないでください」

 

 そう言って頭を下げたあの子が、なぜか娘に重なって見えた。

 それでも消えることのない痛みが、怒りが私を突き動かす。

 腐った連邦に私の怒りをぶつけるために。

 

 

 

 

 

 

 

 テンペストさんが出撃したその頃、私はテンザン氏とのバーニングPTバトルを行っていました。

 勝率は3:7、私が3で彼が7です。

 彼はゲームならばいい動きをするのですが、現実もゲームとして捉える癖があるようです。

 その隙を突いた形での勝ち方なので、ガチでやると負けっぱなしです。

 しかし今回は負けられません。

 なぜならば商品に、センチュリオがかけられてしまったからです。

 あれを操縦できるのは私だけ、というわけでもないですがそもそもコクピットからして内容が違います。

 ゲームにしてすら人が殺せる機体に乗りたがる馬鹿だとは思わなかったです。

 もしかすると誰かが焚きつけたのかもしれません。

 確かめる術がないのが痛いです。

 仕方がないので本気でやりましょう。

 

 

 

 

 

 

 彼にしてみれば、突然別人を相手にしているような錯覚に陥ったでしょう。

 こちらの奥の手を切ったのです。そうそう見切られたくはないですが、確実に勝つためには仕方ありません。

 ルールは実戦同様、コクピットの連動もオン。

 ログや記録は一切残さないことを条件に戦闘をしています。

 あちらは私と同じリオンに乗って喚いていますが、まあ仕方ないことでしょう。

 今二人が使っているリオンは私専用に改良したリオン版のトールギスといったところでしょうか。

 パイロットと整備班のことを一切無視した機動及び加速重視仕様の機体であり、回避も攻撃にも完全マニュアルで対応しなければならず、絶えず受ける地球環境の変化に合わせた機体操作のために、最大戦闘時間は一時間と短く。それ以上になると、どんな影響が出るかわからない。無論のことながら説明文に出ていますし、普通のリオンでは、そんなに細やかな操作はできませんし、しません。

 一応聞いてはおいたのですよ、その機体で大丈夫ですか? と。

 集団学習の成果(レギオンモード)をしてやっと制御できるような機体を、まともな人間ならしません。

 しかしこのリオンと対峙するのならば現行のリオンでは、太刀打ちすることすらできないでしょうからこの機体にした時点で、テンザン氏も私の本気度を分かってくれたでしょう。

 この機体を動かせないようでは、あの機体も無論動かすことはできないのだと暗に伝えていることも理解してもらえたのかもしれません。

 自分的にはテンザンざまぁなのですが、私的にはゲームと同列に考えるなと言いたいです。

 五分とかからずに終わった戦いですが、CPUが使うとこの機体、戦えはするのですが、先ほどのとおり人間が使うと、細かな状況に対処しきれずに、まっすぐ飛ぶことすらできずに落とされる。使い手を選ぶ機体なのです。

 OEDシステムやジンライに組み込まれていたあのシステムなどを使うと飛躍的な戦果を上げること自体はできますが、擬似的に仕込んだパイロットシグナルはデットつまり死亡扱いです。

 ジンライの方はそれでもいいのかもしれませんが、やはり問題ありなのでしょう。

 その結果を伝えても、彼らの様子に変わりはありません。

 問題がどこにあるのかわからないのと、ハナから問題にしていないということでしょう。

 しかしこれでいくつかの重要システムがセンチュリオに蓄積されたことになります。

 これは、大いに役立てることにしましょう。




ちなみに専用リオンの名称はレギリオンです。

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