スーパーロボット大戦OG~駆け抜けるD~   作:ash.w

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一言書いておきますが、私はこの世界で目覚めた時点での彼女であり、自分はこの世界で目覚める前の彼女であり、物事の捉え方に違いがあることをお伝えしておきます。


聖十字の要

 シラカワ博士に倣って上昇したものの、ストーカーのようについていく必要はないですし。

 早めに連絡を入れて、海中から侵入することにします。

 

 

 

 

 

 

 時刻は深夜、DC本拠地の一室にて私は、夜食を頂いております。

 なぜこうなったのかを思い出せば、水中の警戒網に引っかからないように、センチュリオを海中で引き返させ、見つかりそうだったので撤退したように見せかけた。念には念を入れての小さな策だったのだが、思いのほかうまくいき、見つからなかった。

 そのまま暗い海の中を、進んでゆき自分の手が届きそうな人口の岸壁を見つけ、誰もいないことを確認してから、静かにあがりました。

 月明かりがその時だけ途切れていたのが幸いして、バレることはありませんでした。

 ですが、施設の警備が厳重で侵入できずどうしようかと悩んでいたところ。

 彼、エルザムを見つけたのだ。月明かりがちょうど出てきてまるで彼を照らすライトのようだった。

 思うは亡き妻のことか、と真面目な私に対して自分が連想したのはエルザム→レーツェル→食通→食→そういえば何も食べてないな→結果いい場面台無しの腹の音が鳴ってしまった。

 自分からすれば、彼の葛藤は何度も見てきたし、それで同情できるほどの境遇でもない。

 私からすれば、一体彼の何がそこまでさせ、そしてなぜ悔いなければならなかったのか。彼から直接聞きたいと思っていた。危険だからしないが。

 私と自分の違いは、自分が画面の向こう側から見ることしかできず恵まれた環境の傍観者だったことからの視点であり、私は知識欲からくる好奇心だと言い換えることができる。

 自分も私も一人の存在なのに、ここまでの差が生まれるとは、ため息をつきながら両腕を頭の後ろで組み、おとなしく顔を見せることにした。

 はじめは驚いた顔をしていたものの、月明かりに照らされた私の顔をみて、優しく微笑むと後ろにつきどこかへ誘導してくれた。

 有り体に言えば紳士という言葉がしっくりくるだろう。

 そのまま、彼の自室と思わしき、部屋に着くと着席を促され、そして少しのあいだ部屋の奥に行っていたかと思うと、それなりに手間のかかっていたと思われる料理が出てきた。

 顔を彼に向けて、いいのかという顔をしても、どうぞと手で示されてしまう。

 覚悟を決め、スプーンを左手でつかみ。それをすくう。

 口の中に入れた瞬間、確かに自分は理解した。

 美味しいということを、彼が作ったものがなぜあそこまで絶賛されていたのかを。

 私からしたら、初めて食べた料理がこれでよかったと思う。だが、この味を知るとおそらくそこらの市販品では満足できなくなってしまうだろう。知識の中にある食いしん坊に一直線とならないよう気をつけよう。

 それ以前に、低燃費な体だとは思ってはいたが、無補給でここまでの芸当をしていたことに少々油断が過ぎたのではないかと反省している。重要な場面で先程のような失態を犯さにようにしなければなるまい。

 そう考えていたのだが、夜食を食べるついでにおぼろげに答えたことは、失態だったことに気がついたのは、夜食を食べ終えほっと一息ついた頃にやってきたビアン博士を見るまで、全く気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「君がシラカワ博士の言っていたレギオンか」

 

 うなずく、失態はもう犯さない(キリッ)という感じだったのに、油断して犯したミスにおける恥ずかしさといったらもう。穴を掘って入っていたい。

 

「君は私に何の用があって来たのかね?」

 

「保護です」

 

「それはこちらでないとダメなのかね、ここは危険だぞ」

 

「表向きは、保護です。ビアン博士が生きているうちはここが一番安全ですから」

 

 その言葉に彼の目が細くなる。

 自分からしたら怖いが、私からすれば、ワカメのほうが怖かった。

 彼は、私たちを―――したから。

 あれを使わせたのは、彼らだ。

 

「裏向きの理由は、話せないと」

 

「『スクール』へのハッキング、理由としては知りたいことがあるからです。極秘に」

 

「そうか、協力はできないと」

 

「エルザムさんの下でなら、ある程度は。少なくともハガネの障害になる程度なら」

 

「わかった、保護しよう。君を」

 

「感謝します」

 

 こうして短い非公式な接触は三人だけの秘密となった。

 


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