ここから先も未定
意外な弱点を晒してしまった。
まさかあれだけのことで、本当にメッキが剥げたかのような醜態を晒してしまうとは。
そして出される出撃禁止命令、私には関係ない話なのですが、艦長命令で出撃が禁止されました。
精神的に落ち着くまでは出撃禁止だそうです。
レフィーナ艦長に言われたのでは、仕方ないかと思います。
けれどもダイテツ艦長、ショーン副長、よりも先に言われるとは思いませんでしたが。テツヤ副長? 気にはかけていたようですが、やはり才能の差でしょうか。
若くても優秀ということでしょうか。
しかしこの時間は色々な意味で使えます。
なお査察対象には私もいたらしいのですが、青い鳥さんを引き当てたらしく。私に関することは不可侵になっているようです。ご愁傷様です。
「こんなところに呼び出して、大丈夫なのか?」
本来ならダメなんでしょうがそこはあれ、蛇の道は蛇ですから。
意味は違いますけどね。
「いえいえ問題はありません、問題は……ね」
「あの時の約束だよな。それはこんな時に「これからも忙しくなりますから、だからこそです」……そうか」
「あの子のことについてですが、簡潔に言います。あの子は生きています。あの子があの子ゆえに生きています」
「死んだんじゃないのか?」
「生きてはいますが、今は会わせることができません」
「理由は、言えないのか?」
「正直言えば、言った事で変わってしまうことが怖いからです。あの子に対する態度が」
「あの子は、トリエだ。それ以上に関係のあることなんて無いだろ?」
「かもしれませんが、ね」
「それだけか?」
「はい、あなたに報われなくとも救いはあったと。告げたいだけの自己満足です」
自嘲気味な言葉に、けれども答える。
「いや、構わねぇ。俺が知りたかったのは、それじゃなかったけど、ありがとな」
そう告げた彼に、もう、負の感情は見えなかった。
彼を見送ったあと、ため息をつく。
そしてテーブルの上のその時代錯誤なそれに目をやる。
置いてあるノートパソコンに表示されているのは、ネビーイームの機体資料である。
どうやら装甲の一部が剥げていたらしい。
回収したまではいいが、いつの間にか計測機器や壁に侵食されて変質しており、こちらにデータを送るだけの存在になっているようだ。
きっと装甲を手に入れた彼らには一切分からないことだろう。
自分の腹の中に獅子身中の虫がいることに、後々自壊するようにはなっているようだ。
アインスト化したらどうなるか、私は知りたくない。
データとしても物理的にも侵食するこんな化物がアインスト化した日にはどうあがいても人類の終わりだろう。
私だって知りたくなかった、こんな獲物を捕らえて主人に見せつける猫のような所業は。