いろいろと。
「時よ、止まれ」と、
この幸せな時が長く続きますように――そう願って。
最近、彼女の補助が必要になってきた。
立てないわけではないが、勘で動くことも難しくなってきた。
防衛システムの影響が、深く静かに私を蝕んでいる。
それは、もうすぐ来る終わりが始まっていることを示している。
その時が来るのは怖い。けど、レギオを一人にはできない。
今はまだ。
トリエの体調不良が顕著になってきた。
恐れていたことが、そこにはある。
怖い怖くないで言えば怖いに決まっている。
でも、一番恐怖を感じているのはトリエだ。
昨日までできたことができなくなる。
それが徐々に、しかし確実に増えていくのだ。
やがてどうなるか、愚か者でもない限り想像はつく。
にもかかわらず、私に対して恨み言の一つも言わない。
いっそ言われた方が、救われる。
しかし、それは私の自己満足だ。
彼女の現状が改善するわけではない。
そんなつまらないことよりも、その日を笑顔で迎えられるように最善を尽くすだけだ。
複数箇所に転移してきたエアロゲイターの部隊がここジュネーブにも転移してきた。
イングラム少佐が少々怪しい感じがするが、あの人は原作以外じゃ、悪役に転身するからね。
喋らないよう、言い含めておいてくれて、助かるよ。
どうやら、あの子の現状にも感づいているようだが――あの男とのホットラインのある――あなただけは、真実は一ミクロンたりとも掴ませません。
それがあの男に抗うあなたへの贈り物。
敵を全滅させたあと、新たな機体が出現した。
イングラム少佐が気になることを言っていた。
でも、過去から把握できるかもしれないけど、新型が出た時点で新しい戦術に変わった可能性が高い。
これまでの過去は、使い物にならないはずなのに。
それに、どうしてだろうか、あの鳥のような機体から発せられるオーラは、アヤさんのそれと似ているような気がした。
聞きたかったけど、喋らないでとレギオに言われたから、私は口を閉ざした。
命令通りに、戦艦の近くで戦っている。
なにせ来るものが来るものだからね。
この機体は耐えられるかもしれない。
でも、トリエは耐えられない。
爆炎や衝撃を防ぐためには、月光蝶を使って消すのが一番だ。
しかしその影響は、コックピット内部にも及ぶ。
月光蝶を使えば、防衛システムが本来の機能を取り戻してしまう。
それは本末転倒だ、じっくりとあの鳥にダメージを与えてゆく。
確実に、彼女を下がらせる。
彼女が下がって、すぐさま着艦して、ミサイルが降ってくるのを見届けた。
何も問題なかったはずなのに、どうして――
――どうしてあなたは、気を失っているの?
――口から血を流しているの?
「ト……リエ? トリエ、トリエ、トリエ?! ッ! トリエ、返事をしてーーーーー!!」
声は届かない。
「時よ告げよ」と、
真実の照らされる時を告げよと――そう祈って。
そして銃口は、向けられた。
6/8追記
少しの間だけ更新が遅れます。