結構危うかったが、なんとか間に合いはしたのだろう。
現在、激突しているのがアインスケと隊長である。
一進一退の攻防ではあるが、隊長が一人なのに対してベーオウルブズは複数だ。
バタフライエフェクトなどというのはあれど、ここで彼が負けるはずがないというのは知っている。
しかし苦戦はしているようなので、手伝いをしようかどうか悩んでいると。
「聞こえるか、そこの特機のパイロット」
突然映し出された画面に出てきたのは、ソウルゲインのパイロット、アクセル・アルマーその人である。
驚きのあまり声が出せなかったが、なんとか頷くことはできた。
「手短に話すぞ、お前もそれに用があるんだろう。なら利害の一致だ。べーオウルフはこちらで抑える。それ以外を仕留めろ、できるか?」
それとそれとなく示したのはリュケイオスと呼ばれる大規模転移装置。
確かに利害は一致している。
無理難題に近い気はする……でも言われたからにはやってみよう。
どちらにしても、彼を知ることは重要だ。
この先どう出るにしても、彼を知っておけばそれなりに理解できることもある。
彼らとは相いれずとも、反論するための材料くらいは手に入れよう。
頷くと同時に、翼のうちの四つを変化させる。
メガ粒子噴出装置《光の翼》に二つ、ニードルヴェスバーに二つ。
相手が化物ならば、こちらもためらいはいらない。
ただ倒すだけだ。
sideアクセル
いつの間にか、近くに来ていた正体不明機にコンタクトをとり、援護を依頼したのまではいいだろう。
「何なんだあいつは」
動きは素人臭さが残るのに、突如として熟練兵のような動きを見せる。
機体性能に助けられているとはいえ、コックピットを容赦なく貫くことなど出来るだろうか。
こんな余計なことが考えられるのは、あいつがこちらにも牽制を差し込んでくるからだ。
容赦なくコックピットに打ち込まれるそれを、やつはよけざる得ない。
こちらに敵を回さないようにしながら、あれだけのことをやってのける素人。
まず間違いなくありえないだろう。
しかし今の共闘関係から考えても、彼女との敵対は避けるべきだろう。
(自分で言ったことを翻すわけにはいかんからな、これがな)
ほどなく、彼女は約束を果たす。
胃から何かこみ上げるような感覚がする。
するだけだ、そもそもこの世界で目覚めてから何一つ口にしていない。
今だけは何があっても、そんな醜態を晒すわけには行かない。
今回は味方だった、彼とはそれだけだ。
もしも、メッセージに残っていた座標に記されている通りならば、彼とは敵対する。
なぜならば、時間通りならば私は、彼らに拾われるからだ。
そんなことをつらつらとこれからを考えていると、通信が入る。
「聞こえるか、アンノウンのパイロット」
こくんと頷きしゃべろうとしたが口すら開く気配がない。
サングラスをかけたまま右手を顔に当てて天を仰ぐ。
「そちらの声が聞けないのは仕方のないことだとしてもだ。奴がきちんと倒せたかはわからん。すぐに起動させる」
見ればただ単に大の字で寝ているだけの鬼がいる。
あれは生きていると、その鼓動が伝わってくる。
手伝おうとしたが、何をすればいいのか分からずに立ち尽くす。
起動準備が終わり、ほどなく次元跳躍が始まる。
最後に言っておこう。
放火交える定めでも――
「ん、どうした」
「あ、りがとう」
世界が光に包まれる。
次に見た世界は、青しかなかった。
センチュリオ
HP 8000
EN 320
運動性 150
装甲値1600
(照準値 160)
空S陸A海A宇S
特殊能力
レルム・D 全属性ダメージを2000軽減
T.M.ドライブ EN回復(大)、防御選択時ダメージ軽減+20%
フルナノマシン HP回復(大)、回避選択時回避率+10%
フルリンクシステム 気力130以上で発動、パイロットのステータスに応じて機体 性能に+(格闘射撃 武器攻撃力に+ (命中 照準値に1/10+) 回避 運動性に1/10+ 防御 装甲値に1/2+)
武装
N・ヴェスバー
威力3500 射程1~5 PB E-15 CT40 命+25 制限なし
光の翼
威力5500 射程1~3 PB E-30 CT10 命+5 気力120以上
パイロットの方はまた別の機会に。