冬木教会タンクローリー爆破事件から一日半が過ぎたっす。
教会をふっとばされてから、8時間ほどは衛宮切嗣に目立った動きはなかったんすけど、今朝からいきなり行動が増えたんすよね。
今朝、ランサー陣営の拠点を爆破するために、爆師アサシンさんやらを連れて冬木ハイアットホテルに向かったところ、到着した時にはもうすでに爆破解体されていたっす。これは確実に衛宮切嗣の仕業っすね。
さらに衛宮切嗣は武器商人? から武器を購入していたっす。手回しが想定外に早かったっすね。まあ帰る途中の武器商人? を襲っておいたのでこっちの武器も増えてよかったっすけど。
さて、ここで暗殺状況の整理をするっすよ。
脱落したのは
アーチャー陣営の、遠坂時臣、アーチャー。
セイバー陣営の、アイリスフィール・フォン・アインツベルン、久宇舞弥。
キャスター陣営の、雨生龍之介、キャスター。
ライダー陣営の、ウェイバー・ベルベット、ライダー。
そして言峰璃正っす。
逆に脱落していないのは
バーサーカー陣営の、間桐雁夜、バーサーカー、間桐臓硯、間桐桜、間桐鶴野。
ランサー陣営の、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ、ランサー。
セイバー陣営の、衛宮切嗣、セイバー。
アサシン陣営の、言峰綺礼、そして俺を含むアサシン人格が70人以上っす。
バーサーカー陣営を一人も暗殺できてないのは、マスターである間桐雁夜が積極的にバーサーカーを戦わせないせいで、常にマスターの周囲にサーヴァントがいる状況になっているからっす。
それに間桐臓硯は暗殺が難しいんっすよね。間桐鶴野は楽っすけど。
まあ、間桐の一族は間桐雁夜以外は放置でいいと思うんすけど。
俺たちアサシンがケイネス・エルメロイ・アーチボルトを暗殺していない理由は、彼の持つ礼装にあるっす。
『
その防御を突破するためには単純な一点集中の高威力攻撃を行うか、防御を行うよりも早く攻撃するか、防御形態で防いでいる攻撃を上回る威力の攻撃を同時に行いその威力の差で貫くくらいっすね。
一つ目はサーヴァントの攻撃とかっすね。セイバーの『
二つ目はランサーあたりが、水銀の防御形態に移行するよりも先にグサッとする方法っす。
三つ目は、鉄パイプで壁を殴ってきていると思っていたら、いきなり巨大鉄球が突っ込んできたみたいな感じっすかね?
結果として俺たちアサシンズでは『
だから、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトを倒すために『魔術師殺し』衛宮切嗣を残しておいたんすよ。
衛宮切嗣の持つトンプソン・コンテンダーから放たれる『起源弾』。これが着弾したものには衛宮切嗣の起源である『切断』と『結合』が発現する、みたいっすね。
例えば人間の腕に『起源弾』を打ち込んだ場合、筋肉や血管が『切断』された後、その後バラバラに結合されたりして使い物にならないらしいんす。
これを魔術師が発動した魔術に打ち込むと、魔術に費やされていた魔力をつたって魔力回路をズタズタにするって効果もあるという話っす。
よって、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが『
なんでこんなことを話したかというと……
「
たった今『
さっき言ったように、衛宮切嗣によってランサー陣営の拠点である冬木ハイアットホテルが爆破されたっす。
ホテル爆破および倒壊のダメージを『
そのあと、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトとランサーはアインツベルン城に攻め込んだっす。
使い魔で動きを監視していた衛宮切嗣はそれをセイバーとともにそれを迎撃、その末に……この通り『起源弾』を受けたケイネスは血を吐いて倒れているっす。この様子だとケイネス・エルメロイ・アーチボルトの魔術回路は全滅っすね。
さて、ここでランサーが来るかどうか……来たっすね。
ん? 令呪が光ってる? これはケイネスがぎりぎりで令呪を使ったんすかね?
まあとにかく、俺もさっさと連絡するっす。
俺は昨日購入した携帯電話でランサー陣営の拠点内部に潜入してもらっている、二人のアサシンに連絡を取るっす。
「もしもし」
『どうしたザイード?』
ものすごく小さいの声で返答が帰ってくるっす。まあソラウ・ヌァザレ・ソフィアリにばれても困るっすからね。
「そっちに一人怪我人が行くっす。まあこの後は言わなくてもわかるっすよね?」
『了解した』
「頼んだっすよ?」
そろそろ、言峰綺礼に遠坂時臣が死んだことをばらしてもいいかもしれないっす。
そう思った俺は、言峰綺礼を仮の拠点であるビジネスホテルから遠坂邸まで連れて来たっす。ちなみに護衛として俺を除いて三人のアサシンを連れてきたっす。
ちなみに言い訳は『昨日、遠坂時臣にアンタを呼ぶように言われたのので、来てくれないっすか?』だったっす。
「綺礼様!」
遠坂所有の土地に入る前で慌てた様子の手長アサシンさんに呼び掛けられるっす。
「どうした、アサシン」
「時臣氏が……殺されています!」
「なんだと?」
手長アサシンさんに導かれ遠坂の土地に入るっす。
見ると庭はボロボロになっており、そこで戦闘があったことが伺えるっす。
「これは……!?」
邸宅内に入り、手長アサシンさんに導かれるまま遠坂時臣が死んでいたその部屋に向かうっす。
その部屋では窓際の椅子に腰をかけた状態で死んでいる遠坂時臣がいたっす。窓は粉々に砕け散っており窓の外から攻撃されたようにも見えるっすね。
言峰綺礼が遠坂時臣の死体を調べるっす。
「頭に銃痕……衛宮切嗣の仕業か?」
ふむ、まあとにかく、
「ここは危険っすね。まだここを見張っている奴がいるかもしれないっす。……言峰綺礼。あんたは拠点に戻っていてもらえるっすか?」
「……」
「言峰綺礼?」
「……ああ。わかった」
「俺たちはいろいろ調べてみるっすから、あとのことは拠点に帰ってから話すっすよ。悪いんすけど三人とも、頼んだっすよ」
「了解した」
言峰綺礼が遠坂の所有地から出て行ったのを見計らい共に遠坂邸に残った手長アサシンさんに話しかけるっす。
「流石っすね」
「まあな。だがザイードこれからどうするつもりだ?」
これは手長アサシンさんに一芝居打ってもらっただけっす。手長アサシンさんは『詐術』の専業スキルを持っているアサシンだったすから、言峰綺礼を騙せたっすよ。あの慌てる演技は大抵の人を騙されるっす。
あの意味深な間は気になるっすけど、俺たちが殺したと思っているならすぐに自害、もしくは、令呪で聞くはずっすから問題ないはずっす。
「これからっすか?」
「遠坂時臣を貴様が暗殺したということは俺たちはもう用済み、自害させられるのではないか?」
「それをさせないことこそ、俺の役目っすよ。なんとか説得して見せるっすから、安心してほしいっす」
さて、あとは説得っすね。
「ザイード」
「どうしたっすか」
ある場所に行かせていた器用アサシンさんじゃないっすか。
「任務完了したぞ」
「きっちり拘束しておくっすよ」
「問題はない、奴の専業スキルを忘れたか?」
一緒にいた身長低め女アサシンさんの専業スキルは『拘束術』だったっすね。
なら安心っす。
「殺さなければあとはどうでもいいっすから、とにかく逃げないように気を付けて頼むっすよ?」
「承知した」
ああ、そういえばねぎらいの言葉をかけるのを忘れていたっすね。
「ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリの誘拐、ご苦労様っす」
たくヲです。
少し短め。まだまだ増える犠牲者。
どうでもいいですが『拘束術』と打とうとして変換したら『高速術』になりました。
ここで断っておきますが、最終回の展開は賛否両論どころか、批判だらけになりそうな展開を企画しております。最終回までもう少しありますがよろしくお願いします。
これからも『ザイードに憑依して暗殺王を目指す!?』をよろしくお願いします。