ザイードに憑依して暗殺王を目指す!?   作:たくヲ

2 / 16
数は力っす?

さてと。遠坂時臣の暗殺完了!こっからはスピード勝負っす!!

 

短剣(ダーク)を回収して、遠坂時臣が死んでいるこの部屋の窓をオープン。霊体化して遠坂邸の庭に急ぐっす。そして庭の木の上で実体化して隠していた袋をとって、さっきの部屋の窓の下の方に実体化したまま移動。それを遠坂時臣の部屋の開けた窓からそれを投げ入れてすぐさま霊体化して再び部屋に入るっす。

 

今回投げ入れた袋には三つの物が入っていて、そのうちの二つはゴム手袋(右)とゴム手袋(左)っす。

 

部屋で実体化。ゴム手袋を両手に装備して投げ入れた最後の物を持つっす。

 

それは藤村組に潜入して拝借した拳銃。

 

それの銃口を遠坂時臣の頭。さっき短剣(ダーク)を刺した場所に向け撃つっす。

 

そのあと部屋の窓を3発撃っておくっす。そして、遠坂時臣の横に拳銃を投げ捨て、ゴム手袋を部屋の机の引き出しにしまって、俺は霊体化して逃走したっす。

 

この作業に時間は1分もかけてないっすから、アーチャーが戻ってくる前に終わらせられたみたいっすね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、遠坂邸が見える木の上に来たっす。

 

これからどうするっすかねえ。とりあえずここはあれっす。

 

「ザイードさんの!これで安心、聖杯戦争対策ぅぅっ!!」

 

あのころが懐かしいっす……。

 

この聖杯戦争でこの俺を含むアサシンズにとっての脅威は

 

遠坂時臣、英雄王(アーチャー)征服王(ライダー)、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、間桐臓硯、言峰綺礼

 

と山ほどいるっす。

 

と言ってもこの中で確実に対処する必要があるのは

 

遠坂時臣、英雄王(アーチャー)征服王(ライダー)、言峰綺礼

 

だけっす。

 

遠坂時臣は俺らアサシンを捨て駒扱いっすから、俺たちの安全のために要暗殺っすよね。とはいえ、遠坂時臣は予想通り簡単に殺せたからよかったっすよ。原作でも油断しきったところを背後から刺されて死亡してたっすからねえ。

 

英雄王(アーチャー)に関しては王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)が厄介っす。宝具の原点を呼び寄せるというのはどんな効果のあるやつが出てくるかわからないっすから。……とはいえもう手は打ってあるっす。倒れてくれるかかどうかわからないっすけど、その時はその時っす。

 

問題なのは征服王(ライダー)っすね。まあ、遠坂時臣はもう()ったっすから、『王の軍勢』で死ぬことはなさそうっすけど。でも戦うことがあったら『王の軍勢』発動前に勝負を決めなきゃいけないっすからかなりきついっすね。

 

そして、言峰綺礼。なんだかんだ言ってこの男が一番難しいんすよねえ。『目的も情熱もない』ってのは何しでかすかわからないってことでもあるっすからねえ。あの元生徒会長だったらどうやってこの男を変えるんすかね。本性は外道っすし、アサシンは彼にとっては異教徒っすからいつ気まぐれで殺されるかもわかりゃしないっす。

 

まあ外道なんて言葉、俺が言えることじゃないっすけどねえ。

 

ん?ああ、来たみたいっすね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英雄王(アーチャー)は遠坂邸に戻っていた。

 

(最後までつまらない男だったな)

 

英雄王ギルガメッシュ。人類最古の英雄たる彼は、死した自らのマスターを見下ろし、思った。

 

遠坂時臣の願い、『根源への到達』はギルガメッシュにとってはどうでもいいことでしかなかった。

 

高級そうなカーペットが敷かれた床に倒れ死んでいる男は彼の目にはくだらない願いのために死んだ愚かな男としか映らない。

 

(しかし、このままでは現界を維持できん。面倒ではあるが(オレ)自ら新たなマスターを探すしかあるまい)

 

幸い、アーチャーとして召喚されたギルガメッシュにはAランクの単独行動スキルがある。マスターを失おうとも1週間は現界できる。

 

そんな時に彼は近づいてくるサーヴァントの気配を察知した。

 

(このような時にどこの雑種だ……)

 

すぐさま霊体化してその場から離脱する。瞬間に現れたのは二つの槍を持った泣きぼくろが印象的なサーヴァント、ランサー。

 

そのサーヴァントは倒れている時臣を見て一瞬怪訝そうな表情を浮かべる。そして今ここにいたサーヴァントに向け叫ぶ。

 

「俺は一対一、尋常な勝負を望む者!それを恐れて逃げようとは臆病者め!それでも英霊か!!」

 

その瞬間に遠坂邸の庭にサーヴァントが実体化したのに気が付く。

 

すぐに窓を突き破り跳び出すランサー。外にある電灯の上にその黄金の英霊、アーチャーはいた。

 

「王たるこの(オレ)が臆病だと?雑種風情が王に対してその無礼、死をもってつぐなうがいい!」

 

アーチャーは後方に黄金の揺らぎを出現させ、そこから宝具が出現する。この黄金の揺らぎこそアーチャーの宝具王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に他ならない。

 

それを見たランサーはその手に持ったニ槍、紅の長槍と黄の短槍を構える。

 

双方の距離は30~40メートル。

 

アーチャーが黄金の揺らぎから高速で宝具を放つ。それを黄の槍で弾きつつアーチャーに向かって駆けるランサー。

 

簡単に攻撃を弾かれたのを見て、黄金の揺らぎとともに一度に30もの宝具を出現させ、放つ。

 

二槍を自らの手足のように操り、降り注ぐ宝具の雨を次々と迎撃していくランサー。だが、苛烈なまでの宝具の同時射出に、足が止まる。

 

アーチャーはさらに宝具を出現させ攻撃の手を休めない。

 

弾いた宝具のいくつかが再びランサーへと向かっていく。王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)のなか、あらゆる宝具の原点の中には、対象を殺害するまで攻撃が止まらない宝具、というのもあるのだ。

 

向かった宝具の内の一つが彼の身体に突き刺さる。苦悶の表情を浮かべるランサー。その一瞬の隙をつくように宝具が襲い掛かり……

 

突然現れた漆黒の狂戦士(バーサーカー)がその宝具を弾き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーサーカー、ってことは間桐雁夜が来たみたいっすね。

 

ランサーも来ているってことはケイネス・エルメロイ・アーチボルトも来ているつーことっすか……。

 

なんで聖杯戦争が始まって間もないタイミングで御三家に攻め込むなんて無謀なマネをしたんすかね?

 

……まあ、俺のせいなんすけどね。でも、ここまでうまくいくとは思ってなかったっす。

 

俺たちアサシンズこと『百の貌のハサン』が召喚されたのは第4次聖杯戦争で最も早かったっす。

 

だから、俺はそれを利用して色々と作戦をたて実行してたんすよ。

 

そのうちの一つに果たし状を送りつけるというのがあったっす。

 

間桐雁夜とケイネス・エルメロイ・アーチボルトがいる場所はわかってたっすから、果たし状をそれぞれ送るのは簡単っす。

 

間桐雁夜には『個人』としての遠坂時臣からの果たし状。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトには『遠坂家当主』としての遠坂時臣からの果たし状を、それぞれ送っただけっす。

 

間桐雁夜は、遠坂時臣が娘である桜を間桐家に養子として出したことを理由に遠坂時臣を憎んでいたっすから、『桜について話があるから、~日のー時に遠坂の家に来い』といった内容の一文を書いておいたんすけどまんまと引っかかったみたいっすね。

 

ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは聖杯戦争が純粋な魔術の腕の競い合いをする場だと思い込んでいるらしいから、『魔術の腕を競うため決闘を行う』といった内容の文章を送ったっす。

 

蟲によって理性をすり減らしている間桐雁夜はともかく、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトはもうちょっと考えてから行動すると思ったんすけどねえ。

 

閑話休題っす。

 

さて、遠坂邸の庭はすごい荒れようっす。

 

そこらじゅうにアーチャーの宝具が突き刺さっているのに二槍を振り回すランサーとアーチャーの放った宝具を持っているバーサーカーはいまだに走り回ってるっす。とはいえ、攻めあぐねているようっすけど。

 

アーチャーもアーチャーで余裕がなくなってきたっすね。

 

このまま王の財宝で攻め立ててもあの二人は倒せそうにないっす。マスター不在の今はこのままじゃ魔力がジリ貧っすし。いくら単独行動Aランクでもあんなふうに宝具をばらまき続けたら魔力の消費も高いはずっすから一気に魔力が減ってるはずっす。

 

霊体化して逃げようにも片方はあの理性を失ったバーサーカー。霊体化中の隙を容赦なく、空気を読まずに襲い掛かってくることは間違いないっす。

 

まあ、なんだかんだ言ってバーサーカーのマスター、間桐雁夜は体の中の刻印虫が魔力回路の代わりで魔力を精製する際に虫が暴れまわるはずっすから、バーサーカーに魔力を送るだけでも体中に激痛が走っているはずっす。そう考えると間違いなく先に魔力が尽きるのはバーサーカーなんすけど……そんなことアーチャーが知っているわけもないっすしね。

 

色々含めて考えると……間違いなくアレを使うはずっす。

 

対界EXランク宝具、天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)の真名解放による魔力消費はマスター不在のアーチャーにとっては痛いと思うっすけど、いまなら一発だけなら放ってあの二人を倒して逃げるだけの魔力は残るはずっすから。

 

原作の征服王(ライダー)は同じくEXランク宝具をほとんど彼自身の保有魔力によって賄っていたみたいっすから、可能なはずっす。

 

逆に言えば今放たなかったせいで天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)を放てないレベルまで魔力が減ったら……あの二人を倒せずにじりじりと魔力が削られていって自然消滅っすからねえ。

 

そんなことを考えているうちにアーチャーが乖離剣エアを取り出したっす。あの二人(・・)ではここまでが限界っすね。

 

まあ確かにアーチャー、ギルガメッシュの魂はほかのサーヴァントの3倍の力を持っているらしいっすし、あの二人(・・)のサーヴァントだけじゃ太刀打ちできないのもある意味当然なんすけど。

 

ランサーとバーサーカーになんか言ってるっすね。今のうちにアーチャーの後方に回り込むっす。対界EX宝具なんてものをぶっ放されたら霊体化していても倒される可能性もあるっすから。

 

アーチャーの後方30メートルくらい離れたっすね。ここなら安心っす。

 

その時アーチャーが乖離剣を構え、その宝具の真名を解放……する直前に自分を実体化させた俺は、一本の短剣(ダーク)をアーチャーに投擲するっす。

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)の弱点は真名解放した瞬間王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)による宝具乱射を併用できなくなることだったはずっす。まあ、放った宝具を破壊してしまい、破壊かったとしても狙いがそれるっすから使えないのは当然といえば当然っすけど。

 

宝具を射出せずに威力の底上げや自身の足場を造ったり(ヴィマーナ等)はできるみたいっすけど使はないはずっす。もともと強い天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)の威力をあげたらその分魔力の消費量も増えて現界時間の限界がさらに近くなってしまうっすから。

 

つまり、天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)の真名解放を行おうとしている今、アーチャーの背後を守る宝具はなく完全に無防備っす。

 

とはいえ、甲冑に覆われていない無防備な頭を狙って放った短剣(ダーク)をアーチャーは俺の実体化時に発した気配だけで気づき電灯から跳躍することで避けたみたいっす。アーチャーが俺を見ようと振り向く前に霊体化+気配遮断。

 

アーチャーは俺のいた方向に空中で振り向き王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を使用したっす。

 

黄金の揺らぎの中から覗く宝具はたぶん霊体攻撃が可能な宝具っすかね?それが高速で放たれようとした瞬間に。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 

アーチャーはバーサーカーが投げた剣と斧に甲冑を切り裂かれ、

 

同時に跳びかかったランサーの赤の槍と黄の槍の二槍で心臓を貫かれたっす。

 

ところでランサーの真名はケルト神話のディルムッド・オディナで間違いないみたいっすね。

 

なんだあのイケメンふざけんじゃないっす、爆発しろっす。って思ったっすし、あの泣きぼくろや二槍からして間違いないっす。

 

ディルムッドの宝具は破魔の紅薔薇《ゲイジャルグ》と必滅の黄薔薇(ゲイボウ)の二つっす。

 

紅の長槍、破魔の紅薔薇《ゲイジャルグ》は魔力を打ち消す宝具。

 

黄の短槍、必滅の黄薔薇(ゲイボウ)はこの槍を破壊するか持ち主を殺さない限り、決して癒えることのない傷を負わせる宝具。

 

特に必滅の黄薔薇(ゲイボウ)で心臓を貫かれたアーチャーが致命傷を負っているのは間違いないっす。

 

あ、アーチャーが消えていくっす。……あんなふうになりたくはないっすね。




作者のたくヲです。

他の作品がまだ終わっていないのですが。多作品はスランプ気味というかなんというか文章に詰まっていたため十日前に作成していたこの話を投稿させていただきました。

まだ第2話なのに犠牲者が……。しかもあの男が……。という回。

でもあの人なくすと人気が下がりそうな気が……いやそんなことはないはず、っすよね?

これからも『ザイードに憑依して暗殺王を目指す!?』をよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。