勇者部の恋物語   作:りりなの

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長らくお待たせしてすいません、仕事が忙しくなり中々作業に取り掛かることができませんでした。

次回で風先輩は終わりです。

話の方は頭の中でできているので早めにあげます。


犬吠埼風 7

 僕が片目の視力と声を失って数日経った。

 

 この二つが失ったが生活にはそれほど支障は出ていない、それどころか家での生活が変わってている。

 

 これも大赦からのものだと知っている。

 

 自分たちは神樹様の供物なのだからそれを大切に扱う大赦はうざい。

 

 どこで自分たちの生活を見られていると思うとぞっとする。

 

 そんなことを思いながら学校に向かう。

 

「おはよー遥君」

 

 玄関を開けると風先輩がいた。

 

 僕はスケッチブックを取り出してペンを走らせ書いた内容を風先輩に見せた。

 

『なぜに風先輩が家に?』

 

 僕は首を傾げる。

 

「今日は早く遥君に会いたくて」

 

 バーテックスの戦いから風先輩はそう言って家にまで迎えに来ることが多くなった。

 

 あれから樹ちゃんはクラスの子たちと登校している為、僕と風先輩の二人で登校する機会が増えた。

 

『では行きましょうか』

 

 僕は微笑んで風先輩の手を握った。

 

「目の調子はどう?」

 

 風先輩は視力の失った左目を見ながら聞いてきた。

 

 握っている手を離してくれなさそうなのでスマホで会話することにした。

 

『いえ、視力が戻る気配はないですよ』

 

 スマホを見て風先輩は悲しい表情をしたが何かを思い出したのか悲しい表情は直ぐに消えた。

 

「もうすぐ夏休みに入るけど勇者部の合宿をしようと思うのよ」

 

『合宿ですか?』

 

「合宿は表向きでバーテックス殲滅の褒美が大赦からでるの」

 

『どこに行くんですか?』

 

「海よ」

 

 そう言った風先輩の顔は先ほどまでの悲しい表情を忘れるかのようなこちらも元気になるような笑顔をしていた。

 

『海ですか』

 

「どうしたの、遥君は海は嫌いだった」

 

『いえ、風先輩の水着姿を楽しみにています』

 

 風先輩は握っていた手を離して背中を叩いてきた。

 

「そんな嘘言わなくていいわよ」

 

『本当ですよ、風先輩の水着姿見たいですよ』

 

 すると風先輩の顔は赤くなっていった。

 

「じゃ、じゃあ、期待しててよ」

 

 それでも最近の風先輩の雰囲気が変わってきている。

 

「それに遥君の言葉でほめて欲しいな」

 

 風先輩はこちらの目を真っ直ぐ見つめながら言ってきた。

 

「遥君の声が聴けなくなって私は少し寂しい」

 

「こうやって君と手をつないで登校するのも楽しいけど君の声が聴けないのがこんなにつらいとは思わなかった」

 

「大赦に連絡を入れても返事は同じだし……もしかして騙されてるのかな」

 

 最近、風先輩が壊れてきてます。

 

「もし、遥君の声が戻らないのならば大赦を潰す」

 

 あれ以来、風先輩が勇者が言ってはいけない言葉が時々出てくる。

 

 僕はそんな風先輩に微笑むことしかできない。

 

 もし、声が出るのならここで気の利いた言葉が出るだろうか。

 

 満開を使った代償として自分の体の一部を神樹様に捧げる。

 

 自分がそれを知ったのは夢で見たからだ。

 

 だから僕は風先輩に何も言えないし伝えることはしない。

 

 これは僕の罪であり罰なのだから、それでも東郷と結城を巻き込んでしまった。

 

 それでも今は目の前の彼女が壊れないようにしないといけない。

 

 僕はそう思いながら彼女の頭を撫でる。

 

「遥君の手って暖かくて優しい」

 

 風先輩は顔を赤くしてながら笑う。

 

 そんな時間が過ぎてくれたらと思った。

 

 でも、そんなに現実は甘くなんかなかった。

 

 夏休みの終わりごろに風先輩は僕らを勇者部室に呼んでこういった。

 

「バーテックスの生き残りがいて延長戦に突入した」

 

 それが彼女たちの考えを変えていった。

 

 二学期に入るとすぐにバーテックスが現れたそれはこの前殲滅した双子座だった。

 

 

 side 風

 

 

 双子座の殲滅が終わり数日後、私は東郷と友奈に学校の屋上に呼ばれた。

 

「どうしたの2人とも深刻そうな顔をして」

 

 二人の様子はこの前からおかしかった。

 

「風先輩、満開後の後遺症についての事なんですけど」

 

 私はその言葉を聞いて心が痛んだ。

 

「満開後の後遺症は治りません」

 

 東郷のその言葉に頭の中が真っ白になった。

 

「じょ、冗談よね」

 

 私は信じたくなかった。

 

 それを信じてしまったら私はこれからどうって遥君に話しかければいいのか分からなくなる。

 

「本当の事です。この前、前勇者に会いました」

 

「彼女は何回も満開を繰り返し散華を繰り返し体の一部を神樹様に供物にして戦っていました」

 

 まだ、戦いが続くという事は私たちも満開をするかもしれないし遥君も満開をするのかもしれない。

 

「こ、このことは他の三人には言ったの?」

 

 私は遥君にこのことが知らないでほしい。

 

「いえ、風先輩だけです」

 

 よかった。

 

「他の三人には言わないでおいて」

 

 私はこの話を完全人は信じていなかった。

 

 私は満開の後遺症は治ると信じている。

 

 それは数日のうちに裏切られた。

 

 東郷の家に呼ばれていくと東郷が勇者の呪いを見せた。

 

 死さへも許されないことを知り大赦に嘘を私たちを騙していたことを知り絶望した。

 

 私はそんな絶望を感じながらも細い糸のような希望があると思い大赦にメールを送るが返ってくることは同じことだった。

 

 東郷の話は本当だった私たちは体を失ってこれからも戦い続けなければならないそうなれば樹も遥君も体を失わなければならない。

 

 大赦は私たちを騙していた、それだけが私の思考を埋め尽くした。

 

「許さない」

 

 私はそれだけを今の行動力に変える。




次回で風先輩は終わりなのでアンケートを取らせていただきます。

活動報告の方で行いますので感想の方には書かれないでください。

アンケート内容は次回のヒロインを募集いたします

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