勇者部の恋物語   作:りりなの

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さて、今回は昨日から考えながら書いていきましたが会話が少なくなりました。

今回も後書きにして花言葉の意味を書かせてもらいました。

では、今回の話もゆるりとお読みください。


犬吠埼風 6

 あれからバーテックスの襲撃もあったが遥の異常な強さと大赦からの新たな勇者の加入により戦力が増えた。

 

 勇者部に一人増えて賑やかになり楽しくなっていく一方で遥の顔色は日に日に悪くなっていった。

 

 それは毎晩見る夢のせいだった。

 

 今度の夢は橋の上だった銀と暁人の二人だけが立っていた。

 

「くっ、これ以上は持たないか」

 

 暁人は左手を押えながらもバーテックスを睨んでいる。

 

「あははは、これは絶体絶命だね」

 

 銀はピンチだと分かっていても笑ってごまかした。

 

「上手くこいつらを追い帰せても……」

 

 暁人はそこで言葉を止めた、止めずにいられなかった。

 

 バーテックスを追い帰すことに成功してもたぶん……いや、確実にどちらかの命が尽きてしまう。

 

 そう思い、暁人は銀を見て思う。

 

 銀をここから落として俺だけでこいつらを追い帰すしかない。

 

 俺が死ぬことで助かるのならそれでいい。

 

 銀が助かれば俺は死んでも構わない。

 

 暁人はそう思い目を閉じて決心した。

 

「なぁ、銀……」

 

 暁人が目を開けて言おうとしたら銀がこちらを蹴ろうとしていた。

 

「ごめん」

 

 銀はそう言って暁人を橋の上から蹴り落とした。

 

「なっ、銀!」

 

 暁人は落ちる中、銀に叫んだ。

 

「なんで、なんでお前が」

 

「好きだったよ、暁人」

 

 そう言って銀は笑った。

 

 なんでお前が残るんだよ。

 

 なんで今、そんなことを言うんだよ。

 

 遅いんだよ。

 

 そこで夢は終わった。

 

 だけど、銀という子が死んだんだと思った。

 

「何度目だよこの夢」

 

 最近はこの夢を何度も見ている。

 

 このことを忘れるなと言わんばかりに何度もこの夢を見る。

 

 起きると涙を流している。

 

 悲しい感情が出てくる。

 

 そして、バーテックスが憎く思えてくる。

 

 なぜ、あんな幼い子が戦わなくてはいけなかったのだろうか? 今の自分たちのように精霊がいないのだろうか?

 

 そんな疑問が浮かんでくる。

 

 毎日そんな疑問を抱いているせいでいつの間にか登校時間になっている。

 

 風先輩に会えば顔色の事で心配させてしまう。

 

 side out

 

 最近、彼の顔色が悪い。

 

 私が心配して体調を聞いても彼は笑顔で寝不足で少し疲れているだけだと言って本当の事を話してくれない。

 

 そして、最近では彼との会話も少なくなってきている。

 

 それに大赦からの連絡で次が一番大変だとメールが来た。

 

 二つの悩みがある中で私は勇者部の方を優先しようとしても目で彼を追ってしまう。

 

 そのことで夏凛に一言言われたがこの勇者部の皆を巻き込んだのは私なのだから最後まで私が纏めなくてはいけない。

 

 この場所だけは誰にも譲ることはできない。

 

 これは私の罪なのだから、最後までこの罪を背負わなくてはならない。

 

 だからこれから来る災厄を終わらして彼との話す時間を作る。

 

 だけどそれは叶うことはなかった。

 

 7体ものバーテックスが攻め込んできた。

 

 この時は絶望のような感じが漂ったが遥君、一人だけは絶望ではなくこれで全部なのかと呟いていた。

 

 最後の7体が出てきたのだからこれで全部と言う意味は分かるがなんだか遥君の顔は自分が犠牲になってでも終わらせるようなそんな雰囲気をだしている。

 

 そして彼は私たちの目の前で満開した。

 

 彼の左腕の方に強大な左腕が現れて刀を持っていたそれだけだった。

 

 見た目は弱そうに見えたがそれは見かけだけだった。

 

 刀は巨大化してバーテックスを真っ二つにしたり、縮んだと思ったら遥君がバーテックスに特攻して斬り伏せている。

 

 それを見た私たちはその場を動くことができなかった。

 

 彼の気迫に私たちは動くことができなかった。

 

 私たちが動けたのは彼の満開が終わってからの事だった。

 

 それから私たちも戦闘を開始するがひどいものだった。

 

 3体ものバーテックスが合体したり、神樹様に高速で接近するバーテックス、地面に潜るバーテックスがいたのだが高速に動くバーテックスは遥君が2度目の満開をして刀を伸ばして切り裂いた。

 

 切り裂いた直後に遥君は倒れてしまった。

 

 疲れて気絶したのだろうと思った、そう思いたかった。

 

 残りのバーテックスは友奈と東郷が満開を行い倒したが勇者部のみんなはボロボロになってしまった。

 

 勇者部の皆はそのまま病院に運ばれて検査することになったが目が覚めた遥君は片目の視力に声を失っていた。

 

「遥君、ありがとう」

 

 私がそう感謝したら遥君は笑顔で紙にこう書いた。

 

『僕は皆のために力を使っただけですよ』

 

 と言って私の頭を撫でてきた。

 

 初めてだった、遥君が私の頭を撫でたのは初めての事だった。

 

『泣かないでください』

 

 そう紙に書かれていて私は初めて自分の頬を伝う涙を知った。

 

「初めて遥君に泣かされた」

 

 そう言ったら遥君はオロオロして何をしたらいいのか慌てていた。

 

 だから私はそんな彼の病院服を引っ張ってキスをした。

 

「もうこれ以上、自分を傷つけないで、自分を大切にして」

 

「君が傷つく姿なんか見たくないから」

 

 彼は返事する代わりに強く私を抱きしめてくれた。

 

 やっと、終わったんだ。

 

 戦わなくていいとその時は思った。

 

 これで日常に戻れると思った。

 

 でも、現実はそんなに甘くなかった。




オキザリスの花言葉:『輝く心』、『母親の優しさ』、『喜び』、『決してあなたを捨てません』、『輝煌』、『あなたと過ごしたい』、『心で感じる』

こんな花言葉になっております、風先輩そのものですね。

さて、話を少しづつ省いていくので風先輩は残り二話で終わらせるつもりです。

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