勇者部の恋物語   作:りりなの

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長いこと皆様を待たせてしまいすいません。

この話にてこの物語は終わりです。

まぁ、ここまで書いてきて色々なことがありました。

病気が見つかり入院したりを2回程して、精神不安定で書けなくなったことがありましたがここまで書けたのは読んでくださる皆様が居たからです。

ですが、これ以上書くには時間が必要です。

まだ、精神的に不安定な部分もありますので気持ちの整理が終わるまでは筆を休めることにします。


乃木園子 4

「さようなら」

 

 そう言って振り返り歩き出すと後ろから迫真の演技が聞こえてくる。

 

「先輩、先輩!」

 

 いずさんに舞台は向いていない。

 

 正面に見えるふーみんは苦笑いをしていた。

 

「はい、ストップ」

 

 わっしーがすかさず止めたが表情が輝いている。

 

「上里君、練習だろうと本気の演技をするなんて」

 

「文学少年だからこそ演技だろうと手を抜くことはできない」

 

 いずさんはこういうところは可愛いと思うんだけどな。

 

「上里暁人の本気の演技とくと見るがいい!」

 

 調子に乗りすぎるんだよね~

 

 だから練習が終わればいつものように戻る。

 

「疲れたから甘~い、おやつ頂戴」

 

 この時は扱いやすい。

 

「今日は書いてないんだ」

 

 その言葉でいずさんはポケットから小説を取り出して食べ始めた。

 

「ねぇ、生まれ変わったらなになりたい事変わってない?」

 

 いずさんは小説から目を離して外を見た。

 

「昔も今も変わってないよ」

 

「僕は鳥になりたい、この空を大地を自由に飛びたい」

 

 思い出したようにいずさんは口にした。

 

「園子はまだ、木になりたい?」

 

 私は驚いた、大抵の事は忘れているのにそれを覚えていたことに。

 

「何を驚いている、自分で言って置いて忘れていたのか?」

 

「逆だよ、覚えていたからビックリしたの」

 

 それからいずさんはこっちを向いて微笑みながら言った。

 

「人は木になれないと僕は以前そう言った、けどその意味は汲みとれたよ少し時間はかかったけど」

 

 彼がその事を疑問にして考えてたなんて。

 

「僕を誰だと思っているんだい?」

 

 彼は立ち上がり言う。

 

「物語の意味、言葉の意味を後世に伝えるための管理者だよ」

 

 彼は忘れずに覚えていてくれた。

 

「いずさん」

 

 私は鞄から原稿用紙を取り出した。

 

「今日のおやつだよ」

 

 彼はそれを受け取るとじっくり読み始めた。

 

 いつもなら受け取る前は何か言ってくると思っていた。

 

 でもいずさんは静かに受け取り静かに読み始めた。

 

 原稿を一口も食べようとしない。

 

 なにか、駄目だったのだろうか。

 

「僕はこれを食べれない」

 

 その言葉はショックだった。

 

「これは送るべき場所にだすべきだよ」

 

「でも、これはいずさんのおやつだよ」

 

「君はそう思って書いていない」

 

 いずさんはそう言って原稿を読み直す。

 

「いつも自由に書いてもらっていたけどこれは僕の口じゃなく人の目に触れるべきものだよ」

 

 私の作品はいずさんだけのものなの。

 

「これは食べたら美味しいと思うよ……けど、本当に誰かに見せるべきこれは食べてはいけない」

 

「なんでなのいずさん」

 

「それは僕が‟文学少年″だからだよ」

 

 それは分かっている。

 

 いずさんはその理由で拒絶することは知っている。

 

 けれどこの物語はいずさんに食べて欲しい。

 

「ならここで賭けをしよう、この本が世に出て時には最初に僕がこの本を食べよう」

 

「この本が出ないのであれば僕は君の作り出した物語は食べない」

 

 いずさん、それは賭けじゃなくて脅しだよ。

 

「でも、この本は世に出るよ」

 

「なんで分かるのそんなこと」

 

「僕の勘は外れることはないからね」

 

 そう言っていずさんは原稿を私に渡して言った。

 

「行よ、僕だけの作家さん」

 

 私が皆の作家になってもいずさんは側にいる。

 

 なんで忘れてたのかな、私は彼の側に居たい。

 

 それだけだったんだ。




皆様、本当に長い間お付き合いさせてもらいありがとうございます。

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