勇者部の恋物語   作:りりなの

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今回はあと後書きにてとある説明を書いています。

明日は風先輩の誕生日になっておりますので番外編を考えています。


犬吠埼風 5

 毎日僕は夢を見るようになった。

 

 その夢には三人の女の子と一人の男の子が絶対に出てくる。

 

 そんな夢を毎日見ていた遥は毎朝枕を涙で濡らしていた。

 

 それを誰かにも言わず自分の心の中に留めている。

 

 そんな日々が続いていた中、とあることに巻き込まれてしまった。

 

 その日はいつもと変わらずに授業を受けていた時の事だった。

 

 自分の鞄から音が聞こえてきた。

 

「誰ですか、授業中に携帯を鳴らしているですか」

 

 担当の教師に言われて僕はすいませんと言いながらスマホを取り出して画面を見てみると『樹海化警報』と画面の真ん中に書かれていた。

 

「何だこれ?」

 

 そんなことを思いながら周りを見てみたら時間が止まったかのようになっていた。

 

「なんで止まってるんだ」

 

 僕はその光景に戸惑ったが直ぐに冷静になった。

 

 次の瞬間、世界が変わった。

 

 目の前は奇妙な世界が広がっていた。

 

「樹海」

 

 僕はいつの間にかそう呟いていた。

 

 それは夢で見たのと同じだったからだ。

 

 スマホを見てみると画面が地図に変わっていた。

 

「乙女座?」

 

 星座の名前が書かれているマーカーが気になり僕はそれを目指して歩いていく。

 

 夢と同じならと思いスマホの真ん中の黒薔薇を押すと周りに黒薔薇が吹き荒れると一瞬で服装が真っ黒な戦闘服に変わっていた。

 

「夢と同じだ」

 

 そう、僕が来ている戦闘服が夢に出てきた男の子とまるで同じだった。

 

 なら、バーテックスと戦うための力がある。

 

「バーテックス?」

 

 また、口から知らない言葉が出てきた。

 

 あの夢をみてから自分が自分ではないような気がしてきた。

 

「それに落ち着く」

 

 変身してから体が軽くなったかのようにリラックスしている。

 

 それに体は覚えているこれから何をしたらいいのか、これから起きることを知っている。

 

 そんなことを思いながら進んでいくと目標が見えた。

 

「あれがバーテックス」

 

 見つけたバーテックスを見ていると心の底から怒りがこみ上げれくる。

 

 あれを早く倒せと体が命じてくる。

 

 なんでだろう。

 

 なんで僕の体は勝手に動いてしまったのだろう。

 

「斬る」

 

 僕は何時のまにか右手に刀を握りしめて敵に真正面から突撃していた。

 

 こちらの突撃に気づいたバーテックスは体の付け根の部分からミサイルを飛ばしてきた。

 

「それがどうした」

 

 飛んでくるミサイルを遥は左手に数本のクナイを出してミサイルに投げつけてすべて爆発させる。

 

「葬る」

 

 そう言ってバーテックスに一太刀入れるが相手は怯むことはなかった。

 

「威力が低い」

 

 そう言って遥は右手に握っていた刀を敵に投げつけて新たに両手に斧を取り出して突撃する。

 

「力でねじ伏せる」

 

 そう言って遥はもう一度、バーテックスに突撃しようと足に力を入れようとした。

 

「遥君、待って」

 

 そんな声が聞こえてきて遥は静かに睨むような目線で声のする方に顔を向けると風と樹が近づいてきた。

 

 風の姿を見た瞬間、遥の怒りは一瞬で冷静に変わった。

 

「その姿」

 

 風は遥の姿を見て驚きの表情をした。

 

 それを遥は見逃さなかった。

 

「これの事を知っていたんですか?」

 

 そんな冷めたような声で遥が呟くと風は悲し顔をしたが遥にとっては今はそんなことはどうでもよかった。

 

「知っていてても今はいいです……あれに見つかっている以上、早くここから動かないと攻撃が来ますよ」

 

 そう言って遥はバーテックスに視線を戻した。

 

 遥にとって風と話をするよりも目の前にいるバーテックスを斬り伏せる事だけが頭の中を占めていた。

 

 冷静になったのは一瞬だけで風の悲しい表情を見た時には怒りが彼の体を動かした。

 

 遥は両手に持っている斧の重さを感じさせないようにその場からバーテックスに向かってジャンプした。

 

 遥の行動を見ているバーテックスは攻撃を仕掛けるためにミサイルを飛ばそうとしたがそれを読んでいたかのように遥は付け根の方に向かって左手の斧を投げ飛ばした。

 

 それから遥は攻撃のできなくなったバーテックスに斧で切り付ける。

 

 その姿を見た風と樹は恐れてしまった。

 

 普段は優しく起こる姿を見せない遥が今は怒り狂った顔でバーテックスを切り付けていた。

 

 合流した友奈も遥の姿を見て恐れてしまっていた。

 

「これで葬る」

 

 遥は戦い方を知っているのか斧を地面に突き立てるとバーテックスから塊が出てきた。

 

 それを見た遥は斧から刀に切り替えて塊に向かって突撃してそれを真っ二つにした。

 

 そして、世界は元に戻り学校の屋上に戻った勇者部達は茫然としていた。

 

「遥君」

 

 そんな沈黙を破ったのは風だった。

 

「はい、どうかしましたか?」

 

 遥は何もなかったかのような笑顔で風の声にこたえた。

 

 勇者部のみんなはそんな遥に恐怖を覚えてしまった。

 

 そんな中で風は遥が大赦の人間なのかもしれないと疑ったがそれは前に違うことが分かっていたがそれでもあの時の遥の姿を見て風は恐怖していたがそれと同時に辛いと感じてしまった。

 

 もしかしたら遥の過去にバーテックスによる被害を受けた人物の一人ではないのかと感じてしまった。

 

 もし、彼の過去に関係しているのならそれを知りたい。

 

 同じ気持ちを共有したい。

 

 そんな気持ちが渦巻く中、物語は災厄な時へと進んでいる。




黒薔薇の花言葉が今回の物語の主軸になっています。

黒薔薇の花言葉は「貴方はあくまで私のもの」、「憎しみ、恨み」、「決して滅びることのない愛、永遠の愛」となっております。

その花言葉の意味を崩すことなく物語を進んでいきます。


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