勇者部の恋物語   作:りりなの

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乃木若葉下巻を購入したのでその設定を今回から入れていきました。

少しだけ強引すぎましたが乃木若葉を読んでいた時にはこの設定をどこかで使いたいと思っていました。

千景ちゃん可愛そうだよね。

それと皆様の御蔭でお気に入り登録60件なりました。

これに関しては作者は驚きです。

ありがとうございます、これからも頑張っていきます。


乃木園子編
乃木園子 1


「没だな」

 

 僕は原稿を読み終えて隣で寝ている奴に言い渡す。

 

「酷いよいずさん」

 

「話が面白くない」

 

 僕はそう言って原稿の端をちぎり口に加える。

 

「不味い」

 

「今回は自信作だったのに~」

 

「甘いか苦いかどちらかにして欲しい」

 

 原稿を食べ終わり水を飲む。

 

「おやつをくれるのは有難いが俺にはこのジャンルは理解が出来ない」

 

 なぜ、女性同士で恋をするのだろう。

 

 そんな、不思議そうにしていたら園子は目を光らせながら語る。

 

「わっしーとミノさんを書こうとしたらこのジャンルが当てはまるんだよ」

 

 今にでもこちらに襲い掛かりそうに言うので俺は少し引いてしまった。

 

「そうか、だから甘くもあり苦くもあるのか」

 

 そう言って右手を園子の頬に持っていく。

 

「と言うとでも思ったか!」

 

 頬を引っ張る。

 

「いひゃい、いひゃいよいずさん」

 

「僕が苦いのが嫌いなのを知ってて書いただろ」

 

「ごめんなひゃい、次は甘いのを書くから~」

 

 僕たちは毎日同じことをしている。

 

「はぁ、次からは頼むよ」

 

 僕はそう言って手を離す。

 

「さて、時間だから僕は行くよ」

 

「そんなに時間たってたんだ」

 

 悲しそうな顔をする。

 

 その表情を見ると胸が痛い。

 

「明日も来るから」

 

「待ってるね」

 

 外に出ると大赦の仮面を被っている男性が待っていた。

 

「わざわざすまない、春信さん」

 

 彼の手には書類が数枚持っている。

 

「上層部からの報告書だ」

 

 渡された書類を目に通しながら病院の廊下を歩く。

 

「結城友奈か大赦が名を渡した子だよな」

 

 昔から続いている独特な習慣、生まれた子供が生まれた時に逆手を打てばその子が女の子であるのなら『友奈』と大赦から英雄の名を送られるらしい。

 

「そうですね、私も古くからの文系を読んでいるので英雄『高嶋友奈』にあやかり送られるのを知りました」

 

「高嶋友奈ね」

 

 僕はその名前を知っている。

 

「上里様、今日は本家の方での会議です」

 

 そう、出雲家は父の家の名

 

 母は巫女の家系である上里家の人間である。

 

 子供に恵まれたのは母だけであったから僕は出雲家から上里家へ移った。

 

 園子は今でもいずさんと呼ぶのは昔からだからいまさら変えれない。

 

 変えたくない彼女の我儘なのだろう。

 

「分かった、車の中でこれを捨てるがいいか?」

 

 僕は手に持っている書類を恨めしいそうに見ながら言う。

 

「そちらの書類は上里様の方で処分していただいて構いません」

 

「ありがとう」

 

 移動の間に書類は僕の胃の中に消えていく。

 

 大赦は僕がコントロールをしていかないといけない。

 

 ご先祖様が作り替えた大赦を悪い方に行かないように。


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