勇者部の恋物語   作:りりなの

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では鷲尾須美編その2である銀ちゃんの話を書いていくぞ!


三ノ輪銀編
三ノ輪銀 1


 たまに禍々しい夢を見る。

 

 赤い服を着ている僕の幼馴染みでてくる。

 

 前身は傷だらけなのに大きな武器を武器を振り回している。

 

 音は聞こえないけど一生懸命なのが分かる。

 

 分かっているからこそ止めたい。

 

 この夢を見た最初のころは止めようとしたけれども僕の声は届かない。

 

 やめてほしいこれ以上、この夢を見せないでほしい。

 

 なにかをやり終えたのだろう。

 

 僕の幼馴染は武器を手から離して立ち続ける。

 

 全身から血を流して立ち続けているのではなく。

 

 彼女は死んでも立ち続ける。

 

 そこで僕の夢は醒める。

 

 涙を流しながら僕の朝が始まる。

 

 彼女との待ち合わせはゆっくり行けばいいと思い夢を忘れる為に考え事をしながら支度をする。

 

 家を出る前に大赦から支給された携帯端末を制服のポケットに忍ばせて家を出る。

 

「行ってきます」

 

 声をかけても返ってくる声がないのを知っているがこれもいつもの事だから気にしない。

 

 気にする必要はないのだから。

 

 朝日を浴びながら待ち合わせ場所に到着するが彼女は来ていない。

 

「これもいつもの事だよね」

 

 そう自分に言い聞かせてランドセルに入れてある本を取り出して読み始める。

 

 どれ位、時間が経ったのか忘れていたころに彼女は走ってやって来た。

 

「遅れるよ暁人」

 

 そう言ってこちらに来る彼女にため息を付きたくなるが学校に遅れるのは嫌だなと思いながら彼女が来る前に学校の方に走り出す。

 

「なっ、待ってくれないの!」

 

「銀が来るのを待っていたら自分まで遅刻する」

 

 そんな何時もの言い訳をしながら銀を置いて自分が遅刻しないように走って学校に向かう。

 

 神樹館それが自分と銀が通っている学校だ。

 

 普通の学校よりも厳重な警備がされている。

 

 多分それは大赦の御蔭だろう。

 

 大赦で働く子供や名家の人たちが通っている。

 

 一般の子供の僕がここに通えるのはとある理由があるからでその理由がなければ僕はここには居なかっただろう。

 

 僕が教室入るのと同時にチャイムが鳴る。

 

 僕が教室に入れば楽しそうに話しているクラスメイトが僕の方を見て冷めた目で見てくる。

 

 これも何時もの事だから気にしていない。

 

 気にする必要がない。

 

 僕は窓際の一番後ろの自分の特等席に向かう。

 

 机には何かしら言葉が書かれているがこれもいつもの事だから気にしていない。

 

 本当にこいつ等はゴミな考えしかできないのだろうかと思いながら来るべき日のために僕は過ごしていく。

 

 このくそたれで救いようのない世界で僕は銀の為だけに今日も過ごしていく。

 

「早く来いよ」

 

 その言葉は校庭を走っている銀ではなく、この香川の外に居るであろう何かに呟いた。


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