勇者部の恋物語   作:りりなの

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今回は本編に入る前にイチャイチャする話を書いてみました。

話は変わりますが嫁コレの風先輩と友奈ちゃんが可愛すぎて仕事に集中できません!


犬吠埼風 4

 夢を見た。

 

 どこか懐かしい昔にあった出来事のような夢だった。

 

「……と誓いをしたのに銀はまた遅刻!?」

 

 そう一人の少女が言うと眼鏡をかけた少年が呆れたように呟く。

 

「はぁ、あのバカ今日もか」

 

 その言葉を聞いた少女が少年に言う。

 

「暁人は遅刻の原因を知っているの?」

 

 暁人と呼ばれた少年は面倒くさいと思いながらも言う。

 

「これは俺から言うことではない本人に聞け須美」

 

 暁人は遅れてくる少女を恨みながら須美を睨む。

 

「なっ、暁人はそれでも銀の―――」

 

 と言いかけた時、遅刻してきた少女がやってきた。

 

「ごめんごめん、お待たせ!」

 

 その瞬間、暁人は瞬時に遅れてきた少女の目の前に行き両の頬を引っ張った。

 

「何がごめんだ銀! 毎回毎回、俺が注意しても治らんのか阿呆」

 

 それを見た須美は自分が怒ろうと思ったがそれ以上に暁人が怒っているのを見て傍観することに決めた。

 

「弟の世話をするのはいいが時間を守ることを忘れるな! それとお前はトラブル体質なのだからそれを考慮して先を見た行動をとらんかぁー」

 

 暁人の大噴火をの中、寝ている少女にも暁人の怒りの矛先が向けられた。

 

「それと、乃木!」

 

 その瞬間、木陰で寝ていた少女が慌てて起きた。

 

「あわわわっ、お母さんごめんなさい!」

 

 それを聞いた暁人はさらに怒りが増した。

 

「だれがお前の母親だぁ! 寝惚けるのもいい加減にしろ! 五分前にここに来るのはいいが寝て良いとは誰も言っとらん」

 

 そして暁人は銀の頬から両手を話して叫んだ。

 

「お前たちはたるんどる!」

 

 その言葉を聞いて須美はなんで自分も巻き込まれてるのと2人に恨めしそうな顔をしてにらんだ。

 

 夢の中の出来事なのに遥は不思議に思って知った。

 

 なんで自分はこの夢の出来事が懐かしいと思ったのだろう。

 

 そんなことを思った瞬間、乃木と言われた子が静かにこういった。

 

「これは夢じゃないよ」

 

 その言葉を聞いて遥は夢から覚めた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 先ほどの一言で彼は目覚めてしまった。

 

「僕は知っているのか」

 

 でも、銀という少女の顔を思い出すととても懐かしく心の底から涙が出てくる。

 

「なんで、涙が出てくるんだよ」

 

 僕はあの少女の事なんか知らないのに何で涙が止まらないんだろう。

 

 それと同時に乃木と言われた少女が呟いた言葉が気になった。

 

「夢じゃない」

 

 意味が分からない。

 

 そんなことを考えていたら登校時間になっていた。

 

「もう、こんな時間だ」

 

 僕は急いで着替えて家を出て待ち合わせ場所に向かった。

 

 通学路の途中にある橋に近づいていくと待ち合わせの人物が見えてきた。

 

「待たせてしまってすいません」

 

 待たせてしまったのは僕の彼女である犬吠埼風先輩と風先輩の妹の樹ちゃん。

 

「おはよー遥君、そんなに待ってないからいいわよ」

 

 風先輩はそう言って笑顔で迎えてくれたが樹ちゃんはそこに最強の矛を突き立てた。

 

「お姉ちゃんそう言ってるけどさっきまですごくそわそわしてたよ」

 

 樹ちゃんは風先輩に笑顔で言った。

 

 すると風先輩は顔を真っ赤にした。

 

「い、樹そこは言わなくていいのよ」

 

 なんだかこのやり取りを見ていると朝の悩みが一瞬でなくなった。

 

「そわそわしてたんですか、見たかったです」

 

 すると風先輩の顔はもっと赤くなった。

 

「もぉー遥君もやめてよ」

 

 悪ふざけも大概にして僕たちは学校に向かっている途中に風先輩はスマホを見て険しい顔をしていたが僕はこのことを黙っていることにした。

 

 それに僕も彼女に隠している。

 

「それにしても風先輩」

 

 スマホを取り出して風先輩に聞く。

 

「このアプリどうやって使うんですか?」

 

 その言葉に風は呆れた顔になった。

 

「それ、私が入れたアプリよね」

 

 NARUKOと言われるアプリをこの間、風先輩に入れてもらったのだが使い方が分からない。

 

「入れてもらったんですけど使い方が分からないんですよね」

 

「思ったんだけど遥君って機械音痴よね」

 

 僕はそれを聞いて少しムッとなった。

 

「別に機械音痴ではありませんよ、これの扱い方が少し分からないだけですよ」

 

「それを機械音痴って言うのよ」

 

 そんなことを言いながら風はアプリの説明に入った。

 

「それにしても遥君はスマホを何に使ってるのよ」

 

「電話とメールと目覚ましですけど」

 

 そんなことを言ったら風先輩と樹ちゃんが驚いた眼で見てきた。

 

「何ですか、可笑しいでしょうか?」

 

「遥君……私たちと同じ十代よね?」

 

 なんで風先輩はそんなことを言うのだろうか?

 

「同じ十代ですよ」

 

「使い方がお年寄りとあまり変わらない」

 

 樹ちゃんがそんなことを呟いた。

 

「お年寄り……」

 

 僕はその言葉に落ち込んでしまった。

 

「だ、大丈夫よ遥君! スマホが苦手なだけで他の機械は大丈夫よね」

 

 それを聞いて遥はさっきより落ち込んだ。

 

「え、もしかして他の機械も駄目なの?」

 

 風は顔を蒼くさせた。

 

「……はい」

 

 遥は遠くを見ながら返事をした。

 

 その瞬間、三人の空気が死んだ。

 

「どうしよ樹、こんな時ってどう……っていない」

 

 風が遥の返事を聞いて妹にどうしようと相談しようとしたらそこには妹の姿はなかった。

 

「風先輩、僕ってポンコツですか?」

 

 落ち込んでいる遥に風は笑顔で告げる。

 

「そんなことないわよ、遥君は機械が少し苦手なだけで他の事なんかできるんだから少しだけ欠点ある方が私は安心するかな」

 

「安心ですか」

 

「そうよ、遥君ってなんか完璧すぎてたから苦手なものがしれて私は嬉しいわ」

 

 そう言われて遥は明るくなった。

 

「そうですか、僕は風先輩の苦手をまだ知らないので今後探していきますよ」

 

 すると風は違う意味で間違った言葉を言ったと思ってしまった。

 

 それから二人は他愛もない話をしながら学校に向かうと二人ともクラスメイトに今朝の事でからかわれた。


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