勇者部の恋物語   作:りりなの

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完結しても皆さんが読んで下さってお気に入り登録が90件超えたので思い付き程度で書いてみました。

読むも読まないも皆様のご自由ですが三ノ輪銀編を読んでかお読みください。


ありふれた日常

「まだ、銀は来ないの」

 

 須美は隣でお怒りになっている。

 

「まぁ、いつもの事じゃないの」

 

 僕はそんな事を気にしないで小説を読んでいく。

 

「何時もの事は分かるけど一時間よ」

 

 銀だけが集合場所に来ていない。

 

 乃木は須美の膝でスヤスヤと眠っている。

 

 凄く眠りやすそうだ。

 

 僕は木陰で一冊目の本を読み終えるところだった。

 

「心配なら電話をかければいい」

 

 こんなやり取りをしていたら変なセンサーを搭載している乃木が反応しそうだ。

 

「乃木、寝たふりは止めろよ」

 

 何となく直感的に言ったのだが須美の膝の方から声がした。

 

「むむ、このまま会話を楽しみたかったのに~」

 

 ほら、変なセンサーが働いていた。

 

「そのっち、起きてたの」

 

「いずさんと夫婦みたいな会話の時に~」

 

 それって数分前からですよね。

 

 夫婦、それはない。

 

 怖いし。

 

「ふ、夫婦ってまだ」

 

 まだってなに。

 

 ならないから暁人さんはこの物語は死んでるから!

 

「2人とも盛り上がっているところ悪いんだけどこの物語のヒロイン知ってるよね」

 

「銀よね」

 

「みのさんだよ~」

 

 なんで2人は間髪入れづに答えれるんだよ。

 

「分かって言ってるんだよね」

 

「いずさんキャラ崩壊してるよ」

 

「僕が悪いの! お前たちの方がキャラ崩壊してるとおもうんだけど!」

 

 そうしている内に遅刻の銀がやってきた。

 

「どうしたのさ暁人がキャラ崩壊してるけど」

 

 お前もか!

 

「これは夢なのか、夢に違いない」

 

 そうだ、僕は死んでいるんだ。

 

 だからこれは僕の夢なんだ。

 

 そうに違いない。

 

「それで、今日はなんで僕も呼んだんだ」

 

「イネス行くのに暁人誘わないのも可哀想だとおもって」

 

「図書館で本を読んでいる方がいい」

 

 そうだ、これで図書館に行けば夢は醒めるはずだ。

 

「イネスにレッゴー!」

 

 銀は僕の襟首を掴んでそのまま歩き始める。

 

 力が強くて首が絞まる。

 

 これは死ぬ、その前に死んでた。

 

 少ししてから解放されたが心配してくれた須美の顔が凄かった。

 

 なんだろ、これが恋する少女がしていい顔なのだろうか。

 

「イネスに来るのはいいけど」

 

 全員うどんを食べている。

 

「うどん食べるのに来るか」

 

 なんで僕の隣に須美が普通に座ってるのかな。

 

「暁人君、これ美味しい」

 

 須美はうどんを食べさせようとしているがそれは振りなの? 平成時代のコントをしたいの?

 

「それ同じうどんだから」

 

 そう、食べているのは同じうどんなのだ。

 

「だったら」

 

 須美は僕の前に自分のお椀を置いて僕の器を素早く奪い食べてしまった。

 

「これで暁人君は私のうどんを食べるしかない!」

 

 何だろ、一番キャラ崩壊してるの須美じゃない。

 

「じゃ、頂います」

 

 そう言って食べようとした時には目の前が真っ白になった。

 

 目が覚めたのだろう。

 

 白い部屋。

 

 そうだ僕は呼ばれたのだ。

 

 夢とは違い失った腕はないままだ。

 

 左目もない。

 

 服装は学校の制服だ。

 

「うどんが食べたい」

 

 夢を思い出したわけではない。

 

 うどんが恋しい。

 

 食堂に向かうと白髪の男がエプロンを付けていた。

 

「どうした」

 

「うどんが食いたい」

 

 少ししたらうどんを出された。

 

「それにしてもうどんが好きなんだな」

 

 僕はうどんを啜ってから答えた。

 

「うどん以上に美味いものがあるか?」

 

「何時の時代の考え方だ」

 

「この時代よりも未来だよ」

 

「未来も大変の様だ」

 

「神が敵だからな」

 

 この人とは話しやすい。

 

「またうどんが食べたいのなら来るがいい」

 

「そうさせてもらうよ正義の味方」

 

 僕は食べ終えた器を戻して廊下に出る。

 

「こんな時間に何してるマスター」

 

 存外、こんな時間も大切なのかも知れない。


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