犬吠埼風 誕生祭記念
5月1日は勇者部部長、犬吠埼風の誕生日でありそれをサプライズで祝うために2人の勇者部員が裏で行動をしていた。
「遥さん、今日はお願いします」
発案者である少女、犬吠埼樹は姉の彼氏である吉野川遥と共に準備をしていた。
「時間稼ぎ任されたよ」
そう言って2人は行動に入った。
発案者の樹は昼休みに学校を早退して家でサプライズの準備を遥は早退した樹を心配する風を少しでも長く足止めをする、それが2人の作戦でありその為に他の勇者部員にも手伝って貰うことになった。
そして、放課後に入り勇者部の部室では風は案の定そわそわしていた。
「風先輩、そわそわしてますけどどうしたんですか?」
遥は理由を知っているのに風にそんなことを聞いた。
それが勇者部員への合図になった。
「き、聞いて遥君」
樹がと言いかけた瞬間、勇者部の部室のドアが開いて友奈が慌てて入ってきた。
「大変大変!」
友奈の両手は大きな段ボールでふさがっていた。
「こんなにいっぺんに捨てられてたんだって!」
箱の中から大量の子犬と子猫が出てきた。
「12匹、多すぎる」
遥はその数を数えてひっそりを呟いた。
「そ、それじゃあ、いつも通りチラシとホームページで里親を探すということで、私は先に帰……」
風はいつも通りに仕切り指示を出して帰ろうとするがそれを東郷が阻止する。
「風先輩。今月のスケジュールなんですけど休日が多いので、調整が必要かと」
風は苦虫をつぶしたような顔をした。
「そのことは、後日改めて……」
そう言って風は帰ろうとするが段ボールから子犬と子猫が勢いよく飛び出した。
「わぁ~、子犬たちが脱走しました」
それを見て風は諦めてしまった。
そして、夜まで部活は続いて風は疲れながらも樹の心配をしていた。
「今日はすっかり遅くなりましたね」
帰り道、遥は遅い時間に帰る風を自宅まで送っている。
「樹、大丈夫かな」
遥はそんな風を見て微笑んだ。
「大丈夫ですよ」
そうしている家に着き風がドアを開けるとクラッカーが鳴った。
「お誕生日おめでとう!」
樹ちゃんは満点の笑顔で風を迎えた。
「……は!?」
「遥さん、上手くいきましたね」
風はその言葉に遥の顔をみる。
「誕生日おめでとうございます」
そう言って遥は鞄から一つの袋を取り出した。
「これは僕からです」
受け取る風は少し顔が赤かった。
「開けてもいいかな」
遥は静かに頷き風は袋を開けるとネックレスが入っていた。
「あ、ありがとう遥君」
「それでは僕はこれで」
遥は自分のすることが終わり帰ろうとしたら
「遥さんも一緒にご飯食べませんか?」
樹ちゃんが止め。
「ねぇ、遥君も食べて行ってよ」
そう言われた遥は断れなくなりご飯を頂くことになったのだが……
「これ全部、樹が作ったの」
テーブルの上にはたくさんの料理が並べられていた。
「お姉ちゃんに楽させてあげたくて」
樹は頬をかきながら言った。
「美味しいかどうかは自信ないけど」
「そんなことないわよ、美味しいにきまってる」
そう言って椅子に座り僕たちは料理を食べ始める。
僕は味が分からないが風先輩は涙を流しているのだから美味しいのだろう。