来週までに終わらせることなんかできないよ。
ということで五話目です。
「夏の海は暑い」
俺は只今、大赦が勇者部に労いを込めて色々と用意してくれたがそのせいで俺は監視という名の監視で同行している。
あの戦いで四人の勇者は体の一部を神樹様に捧げている。
それは元に戻らないものだけど俺たち大人は嘘を教えないといけない戦いの疲れで機能が低下したとそんな簡単な嘘を教える。
それに本来は俺の仕事も終わるすべてのバーテックスを倒した今に勇者は必要ない。
どこにでもありそうなヒーローの物語ならそうだがこの世界はそんな簡単なものではない。
この世界の外は四国の外は滅んでいる。
それは先祖の残してくれた書物に書かれていた。
現在は昔よりも進行が深刻で四国の外は何もない。
未知の空間が広がっているらしい。
そしてバーテックスはまたやってくる。
敵は休んでいるのではなく個体を作るために集合している。
個体が復活すればまた進行してくる。
そして戦い、満開して体の一部を減らしていく。
それが今の大赦ができることらしい。
聞くととても苛立ちそうな考えだ、だからと言ってお前が何か考えろと言われても何もないだから何も言わないで見ているだけなのだ。
だから前の勇者である三ノ輪銀を皆殺しにしたのだ。
さて、つまらない回想も終えて俺の目に映っているものでも見ていこう。
「乃木先生、座ってていいんですか?」
「俺はお前らの保護者の代わりだからな犬吠埼姉」
中学生のくせに大人を心配するな。
「お前はこんな時ははしゃぐものだぞ」
俺はあきれながら言う。
「そうでよね、この前までの事が嘘みたいに思えてしまって」
「誰だってそう思うよ、お前たちの立場に立ってこんな日常に戻ってきたら戸惑うよ」
「でも、夏凜は強いなと思います」
「そうか」
俺が夏凜のほうを見ると遠泳していた。
「いつも通りにできてすごいと思いますよ」
「まぁ、夏凜にも思うところはあると思うけどな」
「先生はそこまでわかるんですね」
「一応、お前らの監視役だからな……それに夏凜は俺の教え子の一人だからな」
「夏凜が羨ましいですね、そうやってすぐに違和感が気づいてくれる人がいるなんて」
「俺は夏凜だけではなくお前たちのメンタルケアも担当しているからいつでも頼れ」
「遅すぎると何もかもがダメになる前にな」
「乃木先生がそう言うと怖いですね」
「あぁ、俺は毎回失敗してきたからなだから今回は間違いたくないんだよ」
「では、お言葉に甘えて遊んできますね」
そう言って笑顔を作って海に向かっていった。
「無理に笑顔を作らなくてもいいのにな」
でも今の日常を楽しむのもいいのかもしれない。
いつか誰かが欠けるのかもしれないのだから。
「師匠」
いつの間にか戻ってきた夏凜は俺の隣に座った。
「ほら、水分を取れ」
俺はクーラーボックスからスポーツドリンクを渡した。
「ありがとうございます」
「でっ、お前は自分をあれだけ追いつめて何がしたいんだ?」
俺がそう言うと夏凜は飲んでいたドリンクを喉に詰まらせた。
「い、何時から気づいていたんですか?」
「お前たちが病院でお菓子を食べていた時にだよ」
「師匠はすごいですね」
「まぁ、お前みたいな奴は昔から見てきたからわかるんだよ何を思っているのか」
「私は役に立てたんでしょうか?」
「あの日にお前がいなかったら戦力的には絶望的だっただろう」
「でも友奈達は満開して」
「もし、満開していなかったら?」
「そ、それは」
「今回はそう思っていいんじゃないのかお前がいなかったら終わっていたのかもしれないのだからな」
今はそんな言葉をかけていたら大丈夫だろう。
こいつはアイツと同じで強い子だからな。
夏凜ちゃんヒロインなのに空気だとか思わないでください。
作者が夏凜ちゃんを扱いにくくてこんな扱いになっているだけです。