満開祭りまでに間に合うかな……
春信の裏の手引きにより教師になった俺は勇者部の顧問として家庭科準備室に訪れた。
「ここか」
俺はノックをして中に入ると四人の少女が待っていた。
「乃木先生、遅いですよ」
そう言って俺を出迎えたのは部長の犬吠埼風だ。
「すまない、職員会議が長引いて……自己紹介が遅れた俺は君たちの顧問になる乃木隼人、よろしく頼む」
自己紹介した中で自分が知っている少女を見つけた、『鷲尾須美』今では東郷美森、俺の罪の一人だ。
こんな少女達が今回の生贄になるのか。
俺はそんな風に見ていたら元気一杯な子が話しかけてきた。
「乃木先生は得意な事ってあるんですか!」
なんだかこの元気が銀に似ていると思ってしまった。
「得意な事か? これでも手先が器用なことだな」
俺は自然にそんな風に呟いた。
何なんだろうなこの空間はと思ってしまった。
自ら誰かのために尽くしていく姿を見ると何度もそう思ってしまう。
まるで昔の自分を見ているようだった。
そして、あの子の姿を重ねてしまう。
でも彼女たちは楽しそうにやっているそれだけは輝いて見える。
「はぁ、何やってんだよ俺」
その姿を見ながら俺は電話を掛ける。
『師匠どうしたんですか?』
電話の相手は夏凜だ。
「いや、練習のメニューをこなしているかと思っただけだ」
『それならしっかりこなしていますよ!』
声を聞く限りは元気だな。
「そうか、仕事がなかったら見ながら訓練を見れるんだけどな」
『そ、そんな! お仕事があるんですから気にしないでください』
「我儘くらいは言わないと損することもあるんだよ」
銀は俺に何も我儘を言わなかっただからこの子達の我儘は聞かないといけないと思ってしまった。
「先生、誰と電話してるんですか~もしかして彼女ですか?」
近づいて来た風はそんなことを言ったがそれは違う。
「俺の教え子に電話してるんだよ」
すまんと言って俺は電話を切る。
「剣を教えているんだよアレがいつ来るか分らんからな」
「ッ! 先生は知ってるんですか」
「俺は元々乃木家の人間だから大赦の事は大抵耳に入る」
「先生が来たのは私たちが選ばれたからですか?」
「そうだな……いや、お前たちが大赦の連中に選べれた、他の候補もいたが結城友奈の存在がデカいな」
これは春信から聞いた話だ。
「そうですか」
暗くなった風にどうゆう風に声をかけるか迷ったが言うしかない。
「お前たちにつらい思いをさせるかもしれないが大人の俺にできることがあるなら相談しろ? 五箇条にも書いてあることだからな」
このまま平和のまま日常を過ごして欲しいと思って無駄な話だ。
だから俺は見守ることしかできない。
そんな俺に罪を増やすお前は俺に何をしろと言うんだよ。