勇者部の恋物語   作:りりなの

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今回から乃木若葉要素を持ち込んでいきますよ。

だが、駄文だがそれでも問題ないだろうか?


犬吠埼樹 3

 僕は大赦に居る春信に勇者に選ばれた子達のデータを持ってきてもらった。

 

「そうなのか、犬吠埼姉妹はあの夫婦の娘だったのか」

 

 僕たちが体を犠牲にした日に出した唯一の死亡者の2人の子供だった。

 

「彼女は僕の罪の塊か」

 

 僕はそう呟きながら資料を捨てる。

 

 彼女の姉は大赦を恨んでいるだろう、そしてヤツラにも恨んでいる。

 

 そんな彼女達にこれ以上役目をさせるのはいけないと思うが止めることはできない、それでも忠告だけはできる。

 

 だから僕は樹ちゃんに会うことがあれば忠告するつもりだったがそれは遅かった。

 

 次に樹ちゃんに会ったのは病院の中で樹ちゃんは声が出せないでいた。

 

 僕は遅すぎた。

 

 また、罪を増やしてしまった。

 

 

 7体のバーテックスを倒して病院に検査入院することになりその時に勇者システムの使用で声が一時的に出なくなり病院内を歩いていると出雲さんに出会った。

 

 出雲さんは私を見るなり驚いた顔をしてこちらに近づいてきた。

 

「どうして君がここに居るんだ」

 

 大声は出さなかったが出雲さんは焦っていた。

 

『検査入院でここに』

 

 私はカンペを使用して話す。

 

「―――」

 

 彼は私に聞こえない声で何かを呟き凄く後悔した顔をした。

 

「すまない」

 

 出雲さんはそう言ってどこかに行ってしまった。

 

 なぜ、出雲さんは謝ったのだろうそう思いながら私は勇者部のみんなが居る場所に向かう。

 

 数日して東郷さん以外の私たちは退院したがその間に出雲さんには出会うことはなかった。

 

 あの場所に行けば出雲さんに会えるかもと思い私は自然とその場所に足を運ぶと出雲さんはそこに居た。

 

 木にもたれ掛かりながら座っているが今までに見たことのないような雰囲気をしていた。

 

 私は近づいていくが出雲さんはこちらに気が付かない。

 

 近づいて出雲さんの顔を見てみると瞳に生気がない。

 

 この前まで普通だったのにこの数日でなにがあったのか気になり私は出雲さんの肩を触るとこちらに気づいてこちらに顔を向けた。

 

「やぁ、体調は悪いようだね」

 

 出雲さんは私の様子を知っているような口ぶりだった。

 

『はい、まだ声がでないです』

 

「そうか、それでは話しにくいね」

 

 出雲さんはそう言って私から視線を外す。

 

「今日は僕も気分が悪いからお開きだよ」

 

 そう言って出雲さんは立ち上がったと思うとそこには出雲さんの姿はなかった。

 

 私はその時、一瞬自分の目を疑ったがそれは見間違いではなかった。

 

 出雲さんは目の前から居なくなったのだ。

 

 本当に出雲さん何者だろうと気になるが知る術がない。

 

 

 

 僕は何もかもが遅かった。

 

 大切な人をヤツラを撃退するために命を落とした……その時の僕は大赦の連中に拘束されて動けなかった。

 

 土地神の声が聞こえる『巫女』の血を濃く受け継いだ僕は大赦の人間は危険だと知っていた戦いの前に大赦の血か牢獄に連れていかれた。

 

 土地神の声を聞いて銀が亡くなったことを知らされた。

 

 自分が居たら状況も変わったんじゃないかとその時は思った。

 

 その罪を償う形で僕は満開を代償を知っていながら数え切れないほどに使用した。

 

 そして抜け殻の様な人形が出来上がった。

 

 抜け殻になった今の僕は土地神の声は聞こえない。

 

 聞かないようにしていた。

 

 それが今回の様な事態を招いてしまった。

 

 これ以上僕はこの件に関わってはいけない。

 

 精霊の力を使って実体化することはもうないだろう。

 

 寝てしまった方が楽だ。

 

 僕は意識を闇の中に消すように消えるこの世界から意識を消すように。


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