勇者部の恋物語   作:りりなの

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さて次の部員の準備しないと

誰にしよ(決まってるけどね


鷲尾須美・東郷美森 エピローグ

 私は神樹様を破壊することは出来なかったでも、私達は元の生活に戻った。

 

 神樹様に捧げた供物がすべて戻って私達は生活をしている。

 

 そのっちも体が動くようのなり同じクラスに転校してきた。

 

 暁人のことを聞いたが何も聞かされていないみたいだった。

 

 彼は開放されても大赦に束縛されていると思ってしまった。

 

 彼の立場はその立ち位置なのだから、仮に体が回復していようが屋敷から出られないでいるのだろうと思った。

 

 伝えれなかった想い。

 

 あの時にでも彼に想いを告げていたらどうなっていただろう。

 

 そんな事を後悔しながら私は図書室に本を返しに向かった。

 

 向かう廊下には生徒が誰もいない。

 

 この時間帯なら廊下で話をしている生徒が居てもおかしくないのだが今日は静かで少しだけ不気味だ。

 

 そう思い静かな廊下を進んでいき図書室のドアを開けるてひとつの机に視線がいった。

 

 静かに本を読んでいる生徒がいた。

 

 その姿は私が記憶より成長しているのが分かる。

 

 本を読んでいた彼は私に気づいたのか顔をこちらに向けて微笑みながら言った。

 

「そろそろ君が来る頃だと思っていたよ」

 

 彼が着ている制服はここのものではない、神樹館中等部のものだ。

 

「なんでここに」

 

 今ここにいる彼は偽物ではないのかと疑ってしまう。

 

 いや、そう思いたい自分がいる。

 

「今朝、こっちに転学してきたんだよ」

 

 彼は自分の袖を通している制服を見て思い出したかのように言葉を繋ぐ。

 

「急にここに来たから制服が間に合わなかったんだ」

 

 それを聞いて私は本物だと実感した。

 

 本物だと知り安心して私は彼の対面に座る。

 

「部活に行かなくていいのかい?」

 

 彼は知っている口調で聴いてきた。

 

「今日はお休みなの、だから図書室に本を返しに」

 

「そうか、ここに来て正解だ」

 

「もう、体は大丈夫なの?」

 

「たまにふらつくこともあるけど健康そのものだ」

 

「転学が遅れたのは大赦の馬鹿どもが混乱していて処理に時間がかかった」

 

 彼は昔のように大赦内部の話をしてくれた。

 

「本当はここに転学しようとは思っていなかったんだけどね」

 

 なぜそんな事を言うのだと思ってしまった。

 

「僕は君のまえに現れる権利はないん」

 

「権利なんて必要ない」

 

「権力を失った僕のせいで君はお役目を無理やりやらされた」

 

「あの時にすべてを終わらせていたら絶望的な未来を押し付けることはなかった」

 

「それでも貴方は動いていた」

 

「それは春信が協力していたからで僕は何もしていない」

 

 そんなことは無い彼は誰よりも苦しみここにいる。

 

 自分の全てを犠牲にしてでも誰かを一人でも多くの誰かを救いたい気持ちは伝わる。

 

「気持ちを隠して殺して辛い思いはしなくていいの」

 

 私は微笑みながら彼に伝える。

 

「悩んだら相談」

 

「勇者部五箇条」

 

「暁人はもう苦しむ必要はない」

 

 そう言ったら彼は笑った。

 

「なんで君も春信と同じことを言うんだよ」

 

「そこで笑うのは暁人らしいですね」

 

「それが僕の長所だろ」

 

 その言葉を聞いて私は笑い彼も笑うこれは初めての気持ち。

 

 たくさん笑って話してから帰宅する私は彼に尋ねる。

 

「なぜ、暁人は図書室にいたのですか」

 

「君が来ると思ったし、僕と君の出会いの場所はあの場所だから」

 

 彼は立ち止まり視線をこちらに向ける。

 

「あの時の雰囲気にも似ていてたから足が自然と向かったんだよ」

 

「君に出会えると思ったから……出会いたいと思った」

 

 その言葉は心の奥に響く。

 

「実は私も図書室に行く時あの時の雰囲気に似ていると思ったの」

 

 そしてそこには彼がいて隣にいる。

 

 あの時とは違う。

 

 私は彼の手を握り歩き出す。

 

「これからは私が隣にいます」

 

 これが今の私の限界だ。

 

「須美、頼むよ」

 

 不器用な私達の恋はここから始まる。


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