鷲尾編で書かれたなかった物語は書くので変わりなくこの作品を楽しんでください。
私は記憶と足の自由を失ったが大切な親友ができた。
その存在は私のなかで凄く大きなものになった。
今日もおはぎを作り琴弾八幡宮の境内近くで食べていたときのことだった。
「少しいいでですか?」
帽子を深くかぶった男の子が話しかけてきた。
「あっ、急に話しかけてすいません」
男の子は急に話しかけたことを謝ったが帽子を被ったまま話続ける。
「ここの住所が分からないんですけど教えてもらっていいでしょうか?」
男の子は住所がかかれた紙を私と友奈ちゃんに渡した来たので私は男の子を少しにらみながら言った。
「帽子をそんなに深くかぶって怪しい人を信じると思いますか」
その言葉をきいて男の子は自分の失礼な態度をとっていたと気付いて一言だけ述べた。
「帽子をとっても驚かないで下さい」
そう言って男の子は帽子をとり私と友奈ちゃんは言葉が出なかった。
男の子の両目とも光を灯していないからだ。
「驚かせてすいません、目が見えないのでわざと深く被っていたんですけど間際らしくて」
彼はそう言って謝ったが謝るのは私の方だ。
「こちらこそすいません、目が見えないのをしらなくて失礼な態度をとりました」
このとき私は不思議に思った目が見えないのにどうやって杖を使わずにここまで歩いてきたのだろうか? そして、私達がここにいることをどうやって分かったのだろう。
「謝ることはありませんよ」
彼はそう言って微笑んだ。
なんで、彼は優しいのだろうかと思ったが道を教えてほしいと言っていたのを思い出して道を教えた。
「ありがとう」
そう言って彼は去っていった。
私は去っていく彼にまたどこかで会えると思った。
去っていく男は自分の帽子を深く被りなおすがその口元は笑っていた。
「元気そうで良かった」
彼はそう呟き神社の少し離れていたところに止まっていた車に近づいていくと車のドアが開かれ少年は目が見えているかのように車に乗り込むとドアは閉まり車は走り出した。
「どうだったかい、久しぶりの外」
彼の隣に座っている白衣の男は静かに聞いた。
「我儘を聞いてもらってすまない春信」
少年は声は申し訳ないように言っているが表情は明るい。
「暁人、申し訳ないと思うなら少しはそう言った表情をしてくれないか?」
春信は苦笑いをしながら暁人の方を見る。
「本当に感謝はしているんだよ、視力を失った僕の代わりに大赦の方を任せているのだから」
「僕も君がいるから今の地位があるからね」
二人はそう言って笑いあった。
二人の歳は離れているが傍から見たら同年の友人のように見える。
「それで彼女の様子はどうだった」
春信は少し真剣な表情をしながら暁人に聞いた。
「まぁ、記憶を失っているが変わってなかったよ」
暁人の視力を失った瞳はあの時の須美を映していた。
「それで隣に居たのが例の彼女なのかい?」
暁人は須美の話からもう一人の少女の話にシフトした。
「あぁ、彼女が僕たちが見つけた最後の希望だよ」
そう聞いた暁人は窓の方を見て呟く。
「彼女がこの世界の最後の希望か」
彼が彼女の情報を聞いたときはどこにでもいる少女よりも少し特殊な家庭環境なだけの心優しい少女だった。
「彼女は優しすぎる」
「だから選ばれたんじゃないのかい?」
春信は自分が思ったことを口にするが暁人は首を横に振った。
「いや、他に……時間か」
そう言ったら彼の姿は薄れてきた。
「最近、短いな」
薄れゆく暁人の姿に春信は驚くことなく呟く。
「僕の体も時間の問題だな」
「それが神樹に体のすべてを捧げた代償か」
「頼むよ」
そう言って暁人の体は完全に消えた。
春信は消えた暁人の方を見ながら呟く。
「本当に時間がないな」
冷静に冷酷にそう判断した。
春信を乗せた車は大赦に向かう。
「わっしーの様子はどうだった~?」
病室のベットに寝ている少女はその隣に備えられている椅子に座っている幼い少年に聞いた。
「記憶はなかったけど元気そうにしてたよ」
幼い少年はそう言った。
「そっか~いずさんはどう思った?」
幼い少年はつい先ほどまで車に居た暁人だった。
「園子、僕の思ったことは言ったけど」
「私が聞いているのは本心だよ」
暁人は幼い少年のように考え込む仕草をする。
「これ以上、この件に関わってほしくないよ」
「彼女の人生をこれ以上、僕たちの我儘に付き合わせる必要はないと思う」
そう言った暁人の顔は出雲家の当主としての意見を述べた。
「でも、僕たちがここに居る以上は選ばれた彼女たちに託すしかない……」
園子はそこまで聞いて言葉を発する。
「なら、悲しい現実を見る前に楽しい時間を作るのはどうかな」
「園子はそれでいいのかい?」
「うん、彼女たちが望めば元に戻せばいい」
「彼女たちが夢を選ぶか現実を選ぶかを決めるか」
「なら、今回の事は僕が全部責任をとるよ」
「時期を見て彼女たちを夢の世界に閉じ込めるよ」
二人の計画は始まった。
彼女たちが悲しい現実を受け入れる前のに選択の時間を与えるチャンス。
物語とは関係ありませんが無事、先週退院しました。
仕事の方にも復帰して大変ですがペースを落とさずに書いていきます。