勇者部の恋物語   作:りりなの

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退院はまだしていませんが体調が良かったので書き溜めしてなんとか書くことができました。

病院室での勇者部活動報告生放送は聴くものではなかった、笑いをこらえるのに必死だった。


こんかいはスマホから投稿なのでいまいち改行がうまくいっているかわかりません


鷲尾須美 3

 あの日、彼と話してから私は可哀想な人だと思ったが交流を持ってから気付いたが彼は全く可哀想な人ではなかった。

 

「昨日の会議での春信の発言が面白くてね」

 

 彼は大赦の会議の内容を悪い笑みをしながら語っていた。

 

「ねぇ、それって私まで聞いてもいいの?」

 

 私はこれ以上聞いてはいけないと思いながら彼に聞いたが彼は呆れた顔をしながら言った。

 

「君も鷲尾家の人間なら聞いたところで問題ない」

 

「でも、そういう会議の内容は秘密なんじゃ……しかも図書室で」

 

 そう、私達が話すのはきまって放課後の図書室だ。

 

「しょうがないだろ? 君も僕もクラスは違うのだから……それに聞きたくなければここに来なければいいだけだが」

 

 彼はニコニコしている、そんな彼を見ているからだろうか最初の可哀想な印象がなくなった。

 

「だったら他の場所で話せないんですか?」

 

 この図書室以外で彼と話したことがないから……決して他の場所で話してみたいとは思ってませんから。

 

「それはできないよ。僕は屋敷と学校それに会議室以外の場所に行くことを禁じられているんだよ」

 

 彼は少しそこで言葉を繋ごうとはしなかったが少し考える仕草をしてから言葉を繋いだ。

 

「僕はとある少女の自由の為、鎖に繋がれることを選んだんだよ」

 

 そして彼は制服のポケットから携帯を取り出して告げた。

 

「さて、今日はこれでさよならだ」

 

 そう告げて彼は図書室から去っていった。

 

「……鎖に繋がれている」

 

 私はまだ、彼のことを知っていなかったその事が悔しかった。

 

 なんでこんなにも悔しいのか分からなかった。

 

 彼のことを知っていると思っていた自分が恥ずかしくて悔しい。

 

「誰が彼を鎖に繋いでいるの」

 

 自分より彼を知っている誰かに私は嫉妬した。

 

 これは恋ではないと自分に言い聞かせて私は図書室を出ていった。

 

 それから私は毎日図書室に通い彼と話をするが彼の自由を奪った少女が誰なのかを聞くことができなかった。

 

 それから月日がたち初めてのお役目を果たした時、私は乃木園子の発した言葉を聞き逃がさなかった。

 

「わっしーはいずさんと仲良くしてくれてありがとう~」

 

 彼女はいつものようにふわりとした口調でそう言った。

 

「いずさんって出雲君のこと?」

 

 私はこの時、何を思ってそう聞いたのだろう。

 

「そ~だよー」

 

 私は彼の言葉の意味が分かってしまった。

 

「そのっちは出雲君と古くからの知り合いなの?」

 

 こんなこと聴かなくても分かる。

 

「そうだね~いずさんとはおじいちゃん達が知り合いだから」

 

 それにと付け加えたときそのっちの表情は暗くなった。

 

「私のせいでいずさんの自由を奪ったから」

 

 そのっちも辛かったのだろう自分のせいで誰かの自由を奪ってしまったこと、だけどそのっちはニコニコしながら言葉を繋いだ。

 

「お役目が始まってから少しだけ行動できる範囲が広くなったんだって」

 

 少しだけでも彼の行動範囲が広まったことに私は喜んでしまった。

 

「わっしーはいずさんの事が好きなんだね」

 

「な、なんで私が出雲君のことす好きになるんですか」

 

 私は顔を赤くしながらそのっちを睨み付けるがそのっちは微笑みながら言った。

 

「だって、わっしーいずさんの話を聞いてるときすっごーく真剣だから~」

 

 その時、分かってしまった。

 

 私が彼に抱いていた感情を……これが恋なのだと知った。

 

 彼の色々な表情が好きなんだと、彼を知りたいから私はあの場所に足を運んでいた。

 

 彼の時間に自分が存在している事が嬉しかった。

 

 彼の自由を奪ったそのっちを嫉妬した。

 

 でも、彼を好きになったからこんな感情が自分もあったのだと知った。

 

「でも、私は出雲君の事は友人と好きだけどそこまでの特別な感情は抱いてないよ」

 

 彼の自由は奪いたくない。それが私の選択だ。

 

「わっしーその答えが正しいか分からないけどわっしーは自分の気持ちを伝えた方がいい」

 

 いつもにんなく真剣な表情で言われてなにも言えなかった。

 

 自分のこの時の選択は間違っていたのだろうか? それでも私は一度つけた仮面を剥がすようなことはしない。

 

 この選択が私を苦しめることになっても私はこの嘘を剥がすことはない。


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