今回から鷲尾須美編が始まります。
鷲尾須美 1
とある神社で一人の少女が周りをキョロキョロしたり、セットした髪がおかしくないか弄っているとこちらに走ってくる少年を見つけると緊張しながら彼が来るのをそわそわしながら待っていた。
「すまない、時間に遅れてしまった」
眼鏡をかけた少年は自分を待っていた少女に頭を下げて謝るが少女は少年が遅れたことに全く怒っていなかった。
「い、いえ、私も少し前に来たばかりですから」
少年はそれを聞いて悪いと言って黙ってしまった。
「あ、あの、暁人そんなに見られたら恥ずかしいのですが」
少女は顔を赤くしながら少年がこちらをじっと見ていることを聞くと少年はすまないと言いながら何事もなかったかのように少女に言った。
「俺は須美の制服しか見たことなかったから私服を見るのがこれが初めてだったから、気に障ったのなら謝ろう」
と暁人は微笑みながら言った。
「そ、そう、似合ってるかしら」
須美はさらに顔を赤くして服の感想を聞いた。
「あぁ、須美らしくて清楚で可愛らしいと思う」
その言葉を聞いて須美は顔をさらに赤くさせた。
顔を赤くした須美を見た暁人は心配そうに須美の顔を覗きこんだ。
「須美、顔が赤いが熱でもあるんじゃないか」
暁人はそのまま自分の額を須美の額に当てて熱がないか確かめた。
「あっ、あ、あ、あ」
須美は一連の行動に思考が追い付かづにショート寸前になっていた。
暁人は瞼を閉じながら須美の熱を確かめている。
「(暁人の顔がめ、目の前に)」
鼻と鼻が当たりそうな距離まで近づいていることにさらに須美はこれ以上は駄目だと思い行動する。
「あ、暁人、私は大丈夫ですから」
そうすると暁人は目を開けて顔を少し離す。
「突然赤くなったから驚いた」
「暑くて赤くなっただけだから、それより早くいきましょう」
私は暁人の手を取りその場を早足でかけていく。
二人は歴史資料館に向かった。
「それにしても暁人も歴史に興味があったのですね」
「あぁ、お屋敷に居る時は昔の資料を読むのが趣味だったからな」
暁人は本棚に並べられた本を見て自分が読んでいない資料を探していた。
「暁人は何時の資料が好きなんですか?」
その質問をされた暁人は少し考えてから言った。
「そうだな、何時と言われたら難しいが尊敬している人物はエジソンだな」
「そうですね、彼が成功したことはこの現代にも大切なものですね」
そう言った須美に暁人は顔を向けて静かに言った。
「俺は今こうやって須美と過ごしている時間が大切だよ」
と言って暁人は右手を須美の頬に添えた。
「あ、あの、暁人冗談は」
「冗談じゃないよ」
そして、暁人は顔を須美の耳元まで近づけて囁く。
「君を僕だけのものにしたい」
そう言って暁人は須美の唇に
「なんてものを読ませるんですか!」
顔を真っ赤にした須美は叫んだ。
「だって~わっしーがいずさんに積極的にいかないから小説のなかだけはと思って~」
そう答えた乃木園子は満面の笑みをしていた。
「なっ、わ、私が暁人に惚れているなんてありえません!」
「じゃ、わっしーはいずさんが嫌いと」
そう言って園子はどこからかノートを取り出して書き込んでいく。
「だ、だからと言って暁人が嫌いとは言ってません」
もし、この時に少女が自分の感情を認めていて彼に思いを告げていたら、彼女は後悔をしなくて済んだはずだろうこの先に待つ絶望を知っていたら。
後、数回須美編の話をしてから東郷編に移ります。
その間はこのような日常回をやっていきます。