HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード50

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静かに眠り続けている少年。周りは様々な機械で空間を埋めつくさんばかりに設けられており、

老若男女問わず、白衣を着た研究者たちが狂気の瞳を光らせ仕事を熱心に没頭している。

その光景を複雑な顔を隠さず金髪に勝気のある目の少女が見ていた。

 

「―――モルドレッド?」

 

深紅の髪の少女が不思議そうな顔を窺わせながら近づいてきた。

 

「呂綺か・・・・・」

 

「また、見てる」

 

少女の指摘にモルドレッドは無言で少年を見詰める。少年がココに連れて来られて数日が経過した。

曹操は殺さないと言っていたが利用すると言い、研究所でずっと検査や実験は行われている。

 

「モルドレッド、曹操に不満?」

 

「不満なんてない。だが、あいつとは約束をしていた」

 

「約束?」

 

「あいつを倒した暁にはオレが欲している物を譲ってくれる約束だ」

 

興味なさそうに相槌を打つ呂綺。それができなくなったからその複雑な顔をしていると考えついた呂綺。

 

「仕事、お疲れだったな」

 

「簡単、ただ斬って壊しただけ」

 

「流石は天下の武将の血を引いていることだけある」

 

「恋は恋」

 

「ああ、そうだったな」

 

しばらく見守るモルドレッドだったが程なくして顔を逸らしどこかへ足を運ぶ。

 

「そろそろ話し合いの時間か。今度は何をするのやら」

 

「わからない。曹操やゲオルクが考える」

 

「そうだな。それとここ最近、オレたちの考えに賛同しかつ協力してくれる者も増えてきた」

 

「ドラゴンがそうさせる」

 

呂綺の頭の中で浮かぶドラゴン。力あるものを引き寄せるドラゴンの特性はさらに増したと、暗に告げる呂綺の意図を察して「だな」と相槌を打つモルドレッド。二人が向かう先は幹部クラスしか入れない会議室のような空間と場所でそこに辿り着けばモルドレッドと呂綺を除いたメンバーが集結していた。首領でもある曹操を始め、ゲオルク、ジークフリート、巨体の身体の男。それ以外にも座って二人を待っていた。周りから声を掛けられる最中に空いている席に座ると曹操が開口一番に幹部クラスのメンバーへ告げた。

 

「さて、今後の方針だが。―――川神学園に襲撃しようと思う」

 

「おっ。もしかして、いよいよすんのか?」

 

「ああ、ヘラクレス。準備が整い次第、決行する。お前の力を存分に振るって貰う」

 

巨体の男にヘラクレスと呼ぶ曹操にジークフリートは訊く。

 

「となるとあのクローンの英雄と戦える時が来たのか。三人いたよね」

 

「源義経と武蔵坊弁慶、那須与一だ」

 

「あの学園にはその三人だけじゃなく。私たち以上の身体能力を持つ武神の川神百代がいるし、氷の神器(セイクリッド・ギア)の所有者、川神百代の祖父である川神鉄心とか人間を超えた強さを秘めている者たちがいる学園だ」

 

「それに魔人のシオリがいる。魔人の力は厄介だぞ曹操?」

 

川神学園の中で要注意人物の名が挙がる。無視できない相手にどう対処するべきなのかという雰囲気が醸しだす。

英雄派は身体能力が高い上に特別な力、能力を持っている集団。人間であることは変わりなく、曹操たちはシオリの対処の力を奪う魔人としての力に危惧と懸念している。

 

「簡単だ。異空間に閉じ込めればおいそれと現実世界には戻ってこれないだろうさ」

 

「うわ、相手に取って嫌な方法だよ。ただの人間だったらどうすることもできないでしょ」

 

「別に彼女らと積極的に戦う必要はない。私たちの存在意義を危ぶむかのクローンを捕まえるだけだ」

 

捕まえてその後はどうする気だ?そんな雰囲気が若干醸し出すが曹操は特に言わずモルドレッドに眼だけ向けて訊く。

 

「兵藤一誠の方は?」

 

「特に変わりはない。研究員と開発者が狂気の笑みを浮かべて事を進めているだけだ」

 

「英雄にドラゴンの力が手に入る、か。僕の特性的に魔人の力の方がいいね」

 

「あー、ジークのグラムってドラゴンに反応するもんな。そりゃ、ドラゴンの力を手に入れた時点で呪いが掛かるわ」

 

曹操とモルドレッドの会話のやり取りに苦笑いのジークと笑みのヘラクレスが加わった。

 

「まだその段階まで完成していないものを強請っては困るぞ?」

 

ジークとヘラクレスにそう言ってそれから襲撃のタイミングを計らう話が長くない時間で終わり、昼食とタイムとなる。

 

「―――曹操」

 

「ゲオルク、どうした」

 

パクリと弁当を食べているテロリストの一派の首領にゲオルクが尋ねた。周囲にはまばらで席に座って食事をしている仲間もいる。

 

「兵藤一誠を攫ってそれなりに時間は経つ。が、リアス・グレモリーたちに動きがないのはおかしいとは思わないか?」

 

「雲の中に手を入れ何も掴めないのと同じ、どの勢力も知らないココを見つけられると?」

 

幹部クラス、神滅具(ロンギヌス)の所有者の疑問に不敵な質問で返せば、返された言葉にゲオルクは首を横に振った。そんなことあるはずがはないと―――。

 

「いや・・・・・流石にこの場所は見つからないだろうが、少々拍子抜けでな。兵藤一誠に関わるとイレギュラーが生じることは判明しているし」

 

「万が一、ココに来たとしても見つからないだろう。それ以前に来ればすぐさまここを放棄して別の場所に移るだけだ」

 

テロリストらしい行動理由に当然の選択と肯定も否定もしないゲオルクにある事を聞く。

 

「それと、彼の様子は?もう檻の中に戻されているだろう?」

 

「枷を付けているが枷を付けなくても良いぐらい無気力になってる。試しに枷を外しているが脱走する気配が一切感じられない」

 

「ふふっ、そうか」

 

「嬉しそうだな」

 

ここ最近、自分たちのトップは笑みを浮かべる事が多い。その理由は一誠の存在だろう。

案の定―――。

 

「まぁ、個人的に彼は貴重な存在だからね。洗脳して私たちの仲間にするのもよし、私たちの為に戦力として利用するのもよし、色々と彼は好ましい」

 

「なら―――洗脳するか?」

 

「するぐらいなら精々今までの記憶を封印してくれよ?」

 

「その理由は?」

 

「何も知らない相手に弄り甲斐があるからだ。さて・・・・・彼のところに行こうか」

 

空にした弁当箱を捨てて底意地の悪い性格を醸し出す曹操にゲオルクは無言で続く。

人工的に造られた通路に歩く足を運ぶ先は牢屋。たまに会話もしつつ、

 

「兵藤一誠から何か得ているか?」

 

「有意義なものだらけだ。魔人の力、ドラゴンの力を得るのは時間の問題だろう」

 

「英雄に過ぎたる力は身を滅ぼしかねないな」

 

「いらないのか?」

 

トントンと槍の柄を肩に叩いてゲオルクに発する。

 

「私にはこれがある。必要無いさ」

 

「なら、他の者たちに渡すぞ」

 

「構わない」

 

目的の人物の下へと向かう。いざ辿り着ければ門番などいない特殊な結界を張られている牢屋の出入り口にゲオルグが魔方陣を展開すれば入口が開き、堂々と奥へと進む。近づくにつれ、二人の前に姿を現す他の牢屋。

 

「・・・・・やはり、と言うべきか」

 

「ああ、またのようだな」

 

二人の視界に入る牢屋の前に鎮座しているロングストレートの黒髪だが揉み上げや前髪、後頭部の部分は真紅色で後頭部の深紅色の髪をポニーテールにして結い上げている変わった髪型。真紅と黒が入り乱れている露出が多いドレスを身に包んでジッと鎮座して牢屋の向こうを覗きこんでいる少女がいた。身長は一誠より一回り小さい。

 

「―――セカンド・オーフィス、彼はどうだい?」

 

曹操が話しかけても少女は―――第二のオーフィスは牢屋の隅に膝を抱えて身体を丸めている少年に夢中のようで返事はしなかった。

 

「もっと近くで見たいかい?」

 

「・・・・・(コクリ)」

 

そこで首を縦に振った。ゲオルクに視線で催促する曹操の要望に答え、鉄格子の柵に魔方陣を展開すると穴が開き、オーフィスは檻の中に入り、少年の前に佇む。

 

「興味が尽きないのだろうな」

 

「私もそうだがな」

 

二人も檻の中に入り、オーフィスと肩を並ぶように少年の前に仁王立ちする。

 

「気分はどうだい―――兵藤一誠」

 

尋ね声に少年は無言のまま身じろぎもせず、ずっと同じ態勢で心も閉じ籠もるその様子を曹操は

対して気にせず、言葉を投げ続ける。

 

「一誠―――」

 

「・・・・・」

 

「キミの大切なメイドは死んだ。それでもまだ多くの大切な家族がいる。キミはその家族の為に戻るつもりはないのかな?」

 

ピクリと微弱に反応するがその程度で一誠は何も言い返さない。

 

「いや、寧ろ戻るのを拒んでいるようだね。―――戻ったらリーラ・シャルンホルストの事を思い出してしまうから」

 

それが肯定であると沈黙を貫くそんな少年を嬉しそうに口元を緩ませると跪いた。

 

「なら、彼女を殺した悪魔に復讐したいか?」

 

「―――――」

 

「私たち人間の敵は人間に害する生物・種族が全般だ。数を数えたらキリはないが、代表的なのは悪魔だ。私たちは敵同士だが敵の敵は味方だとは思わないかな?」

 

―――一誠の頭がゆっくりとだが上がり、暗い金色の双眸が見えた。曹操は腕を伸ばす。

 

「一誠、私はお前の味方だ。リーラ・シャルンホルストには私も世話になった。仇を取りたいと思わないはずがないだろう?」

 

「・・・・・」

 

「お前の望みはできるだけ叶える。―――だから一誠。お前の目的を達成できるまでは私たちと一緒に共に行こう」

 

伸ばした腕はしっかりと背中に回され、一誠の耳元に曹操の囁きが心地よく入ってくる。

 

「今の家族のところに戻れば辛い現実がお前をどこまでも苛む。なら、私たちがお前の家族になる。そうすれば、そうなればお前は辛い思いはしない」

 

       ―――だから一誠、私と一緒にいよう、あの昔のように―――

 

曹操の声が一誠の心に変化をもたらす。最後にゲオルクに聞こえないぐらいの殺した声の声音はどこまでも純粋で、深い思いが籠っていた。―――だからこそ一誠の中で最愛の人(リーラ)を失って堅く心を閉ざした代わりに、目の前で大切な女性を奪ったリゼヴィムに対する敵意と殺意が芽生え始めた。

 

「・・・・・」

 

膝を抱えていた両腕が静かに動き、曹操の背中に回して受け入れるという意思表示をした。

背中に回された腕から感じる温もりをしっかりと伝わり、それが嬉しいとばかり曹操は微笑んだ。

テロリストの首領としてでなく一人の女として慈愛に満ちた瞳を一瞬だけ浮かべる。

 

「―――ゲオルク」

 

事前に決め合った事を実行してくれ、と視線に込めて送った。ゲオルクは二人の横に移動して魔方陣を一誠の頭に突き付ける。

 

「いいんだな?」

 

「ああ、彼は受け入れてくれた」

 

「わかった。では―――」

 

魔方陣を操作するゲオルク。一誠の意識が混濁し始める中、頭の中で走馬灯のように過ぎる銀髪のメイドの姿―――。

 

 

 

 

「ゲオルク。襲撃の際に一誠も連れていく。その前に他の皆にも報せようかな」

 

「行動が早いな。それに俺たちの指示を従えるかどうか試したいのか?」

 

「それも含まれているが、主な理由は全世界にアピールしたい」

 

「・・・・・なるほど、お前という奴は悪い女だ」

 

「テロリストの親玉としている私は良い女に成れると思っているのか?彼の家族に教えてやった方が安心できるだろう」

 

「ふっ。どんな反応をするのか目に浮かぶ」

 

「だろう?ふふふっ。さ、一誠。私と一緒に来てもらおう。事が終われば私の部屋に―――」

 

―――○●○―――

 

「はふ、んふっ、ちゅっ、ちゅっ、んんっ・・・・・」

 

一誠と濃厚なキスを繰り返していた。両腕を首に絡め引き寄せて唇を貪り、

自身の身体を密着しつつ異性との初めてのキスで照れも含み朱に染まる顔のまま、

恋人同士のように瞑目し、今まで溜めこんでいたものを発散しようとする雰囲気を醸し出していた。

 

「「・・・・・」」

 

「・・・・・っ」

 

ジーと二人のキスを見詰める二人と、何で自分はこんな状況を立ち会っているのかと羞恥で顔を赤く染める少女が舌を絡め合う際の水音、唇を貪る際の熱い吐息を見聞している。一誠が曹操の手中、英雄派の仲間に成ったと知らされて数時間が経過した。一誠を利用して実験や開発は行われるが檻から自由に出歩けれるようになれば、モルドレッドも話しやすくなる。そう思い一誠のもとへ呂綺と一緒に訪れて見れば―――第二のオーフィスが興味津々と熱く濃厚な口付けに固く抱擁を交わす曹操と一誠を凝視している光景を目の当たりにしたのだ。自分たちの首領が『女』に戻るのは咎めるつもりはない。何時まで経っても待っても続く二人の行為。誰かが声を掛けないと永遠に続くのではないかと思うぐらいキスをし続けているにつれ、痺れを切らしたモルドレッドが話しかける。

 

「ソイツのこと異性として好きだったのか?」

 

「んっ、ちゅるっ、はふっ、ちゅっ・・・・・ああ」

 

モルドレッドたちの存在を気付いていただろうに、それを無視してでも一誠とのキスに没頭していた。話しかけられてようやく口付けを止めた曹操の唇には艶めかしく唾液の糸が一誠の唇と繋がっていた。

曹操の方が赤くなって断続的に漏らしている熱い吐息が整ったところで改めて返事をしたのだった。

 

「手に入らないものだと思っていたが、こうして手に入ったんだ。私が考える事よりも体が動いてしまったよ」

 

キスを止めても一誠から離れようとしないその意思表示は喜びを露わにしている。

なんだか複雑な気分だと心中に思いを浮かべるモルドレッドに曹操は指示した。

 

「モルドレッド、一誠と一緒に源義経、武蔵坊弁慶、那須与一を拉致して欲しい」

 

「なんだ?オレたちだけか?」

 

「いや、そうじゃない。他の構成員たちにもあの学園に襲撃してもらう予定だが、まだ誰にも言っていないが他にやってもらいたいことがあるから。でも、近くには魔人や武神などいるから簡単じゃないはずだから気を付けて」

 

まだ何か襲撃、拉致以外にもすることがあったのか・・・・・。考えの意図を読めないモルドレッドはある事を一誠から離れ自分に振り返った曹操に尋ねる。その間、第二のオーフィスが音を立てずに一誠を忍び寄る。

 

「で、拉致したらどうする気なんだ」

 

「特に何も。私たちの存在意義を守る為だけだしね」

 

捕まえた後、生かすも殺すも曹操次第。曹操本人はそう言うが、モルドレッド的には英雄の概念や拘りなどそう言う気持ちはあまり強くない。英雄派に入ったのは兄のアーサーを倒す為に所属しているに過ぎない。

英雄派の中で唯一、浮いている存在でもあった。そんなモルドレッドと同じく呂綺も浮いている。

 

「んんっ、んっ、んんっ、んふっ、ちゅるちゅるっ、ちゅっ、くちゅっ、れろっ、んっ・・・・・」

 

そんな時、何時の間にか第二のオーフィスと一誠がキスをしていた。

 

「・・・・・オーフィス、何をしているんだ?」

 

「・・・・・?曹操の真似・・・・・我、気に入った」

 

口元を唾液で濡らし、舌でペロッと艶かしく舐めた第二のオーフィスの顔は熱に浮かされたように赤く、潤った瞳に情欲の熱が、欲情の色が孕んでいる。同じく一誠の口許にも唾液で濡れていて、それを子猫のようにペロペロと舌で舐めとり始める。

 

「美味しい?」

 

そんな様子を見て呂綺が訊く。第二のオーフィスはこう答えた。

 

「・・・・・舐めると美味。甘い」

 

「・・・・・恋も食べたい」

 

甘くて美味しいと言うキーワードで食らいついた呂綺であった。一誠の舌が食べられる!?愕然とモルドレッドがセカンド・オーフィスに譲ってもらい一誠の唇に貪り吸いついた呂綺を見ることしかできないでいると。曹操が横から指摘してきた。

 

「モルドレッドはしないのか?」

 

「んなっ!?何を言っているんだお前はっ!」

 

「いやなに、彼から採取した血とかは飲めば力が増大すると報告もあったのでね。だったら一誠の唾液も摂取し続ければ自ずと力が上がるんじゃないかという説も出て来ている。いざ試してみればそうでもなさそうだね」

 

そもそも、男の唾液なんて男が摂取したくないだろうにと思わずにはいられなかったモルドレッド。

 

「だが、別の結果が出たようだ」

 

「別の結果?」曹操の口から出たそれは、恍惚と蕩けた表情になる自分がいることを鏡に映る自分を見て曹操は悟った。

 

「一誠の唾液は媚薬の効果があるようだ」

 

「び、媚薬・・・・・っ!?」

 

「今こうして普通にお前と話しているが、実際は女の部分が激しく疼いてしょうがない。やはり隠しきれないものだ」

 

女としての悦びを求めるスイッチが入ってしまった。と胸の内で漏らす曹操が一誠たちに視線を向ければ案の定というべきか。

 

「熱い・・・・・」

 

「もっと、する・・・・・」

 

徐に身に包んでいる服を脱ぎだして下着すら鬱陶しげに外して全裸になる呂綺。小麦色の肌を照らす浮かんだ汗は、華奢な身体つきに不釣り合わないほどの豊かで形のよい胸、引き締まった大きく括れた腰、そしてキュッと小振りな可愛らしい尻に至るところに浮かんでいる。熱に浮かされたように顔をほんのりと赤く染め、断続的に熱が籠った吐息も吐く。

 

口付けをさらに強請る。同じ種族との口付けは、何も知らない第二のオーフィス、セカンド・オーフィスにとって何とも形容し難い、言い難い甘美な快感や気持ちとなる。舌を絡め合い、唾液を啜ることで脳髄まで駆け廻る興奮と甘い刺激を受け入れもっとこの未知の快感を味わいたいと絶えない口付けに没頭する。

そうすることで一誠も自分の気持ちに応えてくれるのか、濃厚で激しい舌使いのキスをしてくれるのだ。

 

「・・・・・んっ」

 

ゾクリ、と曹操は甘美な快感に震える。女の部分が一誠たちの様子を見ているだけで反応してしまう。

そういう行為には別段と興味もないわけじゃなかった。しかし、テロリストという立場が女の悦びを教え、与えててくれない。そう、それは一誠という昔馴染みの少年が来るまでは―――。

記憶を封印し、少しだけ記憶を改竄してもらって一誠の家族の記憶を封印。そしてリゼヴィムに復讐、殺す目的だけに生きていると植え付けた。こうして出来上がった兵藤一誠という存在はテロリストとなった。

 

「一誠・・・・・」

 

呂綺のように服を脱げば、見事なプロモーションの女体が晒し出した。自分の中の欲望と欲求を満たす為に艶姿の曹操は一誠に群がる二人に交ざって、一人取り残されたモルドレッドは嬌声が聞こえてくる部屋から出ようなど頭から抜けている。ただ呆然と、目の前の情事をツンとした香りを嗅いでしまうまでは。

 

「(なにこれっ・・・・・!?)」

 

今まで嗅いだ事のない香りに警戒する。その発生源が一誠たちからだ。例え難い臭いは次第に思考を蕩けさせ、女を刺激して、身体を洗うこと以外触れない胸や股を抑えて何かに耐えるように全身を震わせる。

身体が急に熱く火照り、自分ではどうする事も出来ない快感が曹操の言う通り女の部分を刺激し、

欲求、欲望の気持ちを高ぶらせる。顔と目が蕩けたまま一誠たちに熱く視線を送る。

曹操は一誠の唇を貪り、呂綺とセカンド・オーフィスは一誠の下半身に群がっている。

三人の共通は自らの意思で行い、多幸感の気持ちを醸し出し、情事の行為に没頭。

―――淫靡な空気と化した部屋にもはやモルドレッドは抗えなくなった。

 

「(これは・・・・・仕方が無いっ、しょうがないんだっ)」

 

自分に言い聞かせ、言い訳するように胸の内で何度も思いつつ

ノロノロと何かに引き寄せられる感じで一誠に近づいた。

そしてその日、モルドレッドたちは女の悦びを覚え、少女から女として成長した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・しばらくは他の皆を通らないようにするか」

 

中から水音と嬌声が聞こえてくる事から防音式の魔方陣と人避けの魔方陣を展開して

立ち去った紳士な魔法使いがいた事を曹操たちは気付かないでいた。

 


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