HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード25

「兵藤一誠、私は参加してみたいぞ(キラキラ)」

 

「うん、そんなに目を輝かせるんだからそう言うと思っていたよクロウ・クルワッハ」

 

「我、イッセーの為に頑張る」

 

「オーフィスが参加してもいいのか・・・・・?」

 

参加の意思を示す最強のドラゴン組と一誠。日本を震撼させるニュースから翌日になっても

朝のニュース番組は次期兵藤家当主選抜大会のことで盛り上がっている。

 

「私も参加したいと思います」

 

「リーラ?危ない戦いだと思うけど大丈夫なのか?」

 

「この大会で兵藤家の未来が左右しているのは一目瞭然です。兵藤家の当主となれば

日本を手に入れられると同じ意味なのです。冥界が勝てばこの国は第二の冥界となるでしょう。

天界が勝てば第二の天界となります。他の国が勝てば日本は日本で無くなります。

兵藤家がどうなろうと私たちには関係ないことでございますが、一誠さまの願望を

果たすことができる好機でもございますので」

 

一誠も兵藤家を見返す機会でもあるということは分かっている。当主になるかは別として、

この機会を逃す訳にはいかない一心で一誠は参加する気持ちでいる。大会の詳細は

後日ネットやテレビで伝えられる。その時までは―――。

 

「わかった。でも無理だったら直ぐに棄権して良いからな」

 

「お気遣い感謝します」

 

「オーフィス、私と勝負しろ」

 

「別にいい」

 

地下室へ向かう最強のドラゴンと最強の邪龍がいなくなり、二人きりとなった一誠とリーラ。

そんな状況下になった途端にリーラが一誠に抱き付き身体を密着させる。

リーラ・シャルンホルストと言う女性は二人きりになると今まで抑えていたものを解放し、

こうして一誠に抱き付くことが日課となっている。一誠もそれを察して、意図的にも

二人きりになるように仕向け、メイドと主としてではなく、一人の男と女として接する為に。

 

「甘えん坊な彼女で可愛いよ」

 

「・・・・・いつも家族とは言え他の女性と一緒にいるあなたを見ると羨ましく思うのです」

 

「それはどうしようもないけど、俺はリーラが一番好きだよ」

 

「一誠さま・・・・・」

 

「言葉だけじゃ納得できない?」

 

耳元で囁かれ、背中に一誠の腕が回され、抱擁を交わし合うリーラと一誠。

それはある合図でもあった。コクリとリーラが小さく頷くと一誠は自分の自室へ連れ込んだ。

中に入るや否やリーラが積極的に一誠の唇を深く押し付ける。

 

口の中に侵入してくる温かく弾力があり、甘い唾液がコーティングしているリーラの舌は

歯や歯茎を掃除するかのような丁寧さで舐めまわし、一誠の舌と接触すると最初は優しく

絡め合い、意図的に溜めた唾液を送り込めば嫌な顔を一つもせず喉を鳴らし飲みほしてくれる。

 

今度は自分の番だと一誠も唾液をリーラの口内へ送り込み、飲ませ続けた。

そうしていると二人の思考が鈍くなり、もっと深く、熱く、蕩けそうなぐらいキスをしたい

という欲求が昂り二人をそうさせた。

 

先ほどの優しいキスとは打って変わり、互いの両腕を相手の頭に回して情熱的で官能的なキスを

没頭し始める。口から水音がし、鼻息を荒くなっても片時から離れず舌と舌が

蛇の交尾のように絡み合い、二つの唾液が交じり合って煽情的なキスを繰り返す。

愛が籠ったキス。それだけでも多幸感を得れ―――。

 

「一誠さま・・・・・」

 

愛おしい女の蕩けた顔の頬を添えるように触れる。潤って熱が籠っている琥珀の瞳には

一誠の顔が映り込む。この顔を見れるのは自分だけという優越感と他の男には見せない、

触らせもしないという独占欲。

 

「一誠さま・・・・・もっと・・・・・」

 

愛しい人―――。自分の全てを捧げられる、愛しい人。温かな眼差しが好き。優しい声音が好き。

リーラの存在する理由となったと過言ではない一誠と濃密な関係となれ、

一人のメイドとして、一人の女としてとても感極まる多幸感で全身や心が震えるばかり。

縋るように甘えれば、背中や足の裏に腕を回されて一瞬の浮遊感を覚えると

キングベッドまで横抱きに抱えられる。そして、壊れやすい硝子細工のように寝転がされる。

 

「ああ・・・・・一誠さま・・・・・」

 

伸ばされる腕に首が絡まり、リーラへ引き寄せられる。

それ以降、寝転がる二人がいるベッドからも水音が艶めかしく何時までも続く―――。

 

「あんたら、良い趣味をしてるわね」

 

『・・・・・』

 

ナヴィの一室で全員(リィゾ、フィナを除く)が一誠とリーラの密会を

ガーゴイル特有の力で様子を覗き見していたのを知らずに。

 

―――○●○―――

 

とある日、外に出かけてある場所に向かっていた。

以前出会った少女はどうしているのだろうと、肩にオーフィスを乗せて歩いていた

ところ、一誠は金髪の女性の顔にアイアンクローをしていた。

 

「いだだだだっ!?割れるっ、頭がわ・れ・るぅーっ!」

 

「あ、ありがとうございます・・・・・」

 

「や、気にしないでくれ。白昼堂々と食い逃げを追いかけるその根性は逞しいですね」

 

どこかの店の店員が若干引き気味に感謝した。相も変わらず顔を掴まれている女性は

苦痛と悲鳴を上げ、今にでも頭蓋が悲鳴を上げて握り潰される雰囲気を醸し出している。

 

「ところでどれぐらい食べて逃げられたんですか?」

 

「もう一人、黒髪に赤い眼の女の子がいて計30万ほど・・・・・」

 

「(高級料理店でも食べたのか?)なぁ、そんな金持っているのか?」

 

顔から離して、金髪の女性に問うたところ。

 

「ない!」

 

豊満な胸を張って清々しいほどにそう言った。店員と顔を見合わせ頷いた。

 

「警察行きです。携帯持ってますか?」

 

「持っている。えと、警察の番号はーっと」

 

懐から取り出す携帯を金髪の女性が凄まじい速さで手ごと掴みだす。

 

「たんまたんま!警察沙汰は起こしたくないんだ!」

 

「食い逃げした時点でこうなる運命だったんだ」

 

「お姉さんの身体を張って金を稼いでちゃんと返すから!」

 

携帯を持つ手を掴まれて119を押せないでいる。身体を張って金を稼ぐと口で言われても

人は簡単に信用できない生き物なのだ。一誠はそんな事を言う女性に顔を訝しげにし、

口を開いた。

 

「エロい仕事でもしようってのか?」

 

「それは嫌だ。力仕事ならいい。こう見ても私は傭兵の仕事をしていたんだ」

 

「傭兵ね、戦えるんだな?」

 

「勿論だ」

 

戦闘経験があるという事実に考え込む。丁度、とある紅髪のお嬢様に

口約束をしたことが思い出した。

 

「なぁ、悪魔になる気はないか?」

 

「は?悪魔だと?」

 

「ああ、もしも戦うことが好きなら悪魔になるのをお勧めする。

丁度、人材を欲している悪魔がいてな。その悪魔の家は裕福で、将来有望な上級悪魔だ」

 

「・・・・・」

 

「俺がお前たちが食った分の代金を払う代わりに俺が紹介する悪魔の力となってくれないか?

まぁ、最終的に決めるのはお前だ。無理強いはしないと約束する」

 

「どうだ」と視線で訴える。女性は顎に手をやって考え込んでいるがコクリと頷いた。

 

「わかった。悪魔になるかならないかは別として力を貸すぐらいなら喜んで」

 

「決まりだな。えっと、すいません。そういうことでちょっと付き合ってもらえませんか?」

 

「へ?どこにですか?」

 

店員の疑問は直ぐに解消された。ポケットから数多の宝石を取り出して見せ付けた

一誠がこう言った。

 

「宝石店。この宝石を売る為に大人のあなたの同伴も必要なんで」

 

 

「いやー、助かったよ。金はあるんだけど美味し過ぎるあまり

思った以上の値段だったもんで払うことができず食い逃げするしかなかったんだ」

 

宝石を売って代金を肩代わりに払った一誠の隣で朗らかに話しかけてくる女性。

 

「あ、私はレオーネって言うんだ。よろしくな少年」

 

「兵藤一誠。俺の肩に乗っている子はオーフィスだ」

 

「ん、よろしく」

 

「よろしくー。さて、連れを探したいんだけどいいか?」

 

レオーネの乞いに一誠は頷こうとしたが止めた。

 

「その必要はないと思うぞ」

 

「うん?」

 

「向こうから来たみたいだし」

 

一誠が向ける視線の先に、ひざの裏まで伸びている黒髪に映えるほどの赤い目、

黒で統一した服装を身に包んでいる少女が近づいてきた。

 

「本当だ。おーい、アカメー」

 

「アカメ?」

 

どこか似た呼び方だった。とあるお菓子好きの後輩みたいだ。

改めてみると目の前の少女は自分が思っている後輩と顔が似ていた。

そう思っているとアカメはレオーネの前に立ち止まって声を掛けた。

 

「撒けたのか?」

 

「やー、この少年にアイアンクローされちゃって捕まったんだこれが。

でも、私たちが食った分の金を肩代わりに払ってくれたからもう問題無しだ」

 

「そうか、そう言う事ならお礼を言わないと。誰だか知らないが助かった。礼を言う」

 

深々と黒髪を垂らしつつお辞儀をした。礼儀正しい印象を感じて

一誠は朗らかに笑みを浮かべて言う。

 

「ああ、別に気にするな。お前の連れの力を貸してもらう約束もしたし」

 

アカメは不思議そうに「どういうことなんだ?」と漏らし、一誠とレオーネを交互に

見て問いかけてくる。これまでの経緯を説明すると、なるほどとコクリと頷いた。

 

「レオーネは悪魔にならないんだな?」

 

「強引に人の人生を変えるような真似はしない。相手の悪魔も話が分かるから

問題はない。でも、話や本人次第では悪魔に転生するだろう。ところで聞いて良いか?」

 

「うん」

 

「お前、妹っている?」

 

赤い目が大きく見張った。いきなりそんな家族構成を聞かれるなんてどういうことだと。

だが、教えれないほど重要でもない質問にコクリと頷いた。

 

「いる、だが、いない」

 

「ん?」

 

「小さい頃、私たちは親に売られ一緒に暗殺者として育てられた。だが、妹は暗殺者として

失格だと烙印を押されてしまって離れ離れにされたんだ」

 

無表情で答えてくれるアカメ。過去にそんな出来事があったとは見た目では

判断できないものだと真摯に耳を傾けつつ携帯を取り出す。

 

「そいつってクロメって名前か?」

 

「っっっ!?」

 

今まで見たことがない反応を窺わせてくれる。携帯の画面にとある画像をメインにし

アカメに見せびらかした。

 

―――口にお菓子を加えてオーフィスと競って食べているようにも見える光景の中で

黒い髪に黒い目の少女が映っている写真を。

レオーネも画面に覗きこめば、「あっ、アカメと似てるな」と漏らした。

 

「こいつだな?お前の妹は」

 

「・・・・・どこで撮った」

 

「学校だよ。国立バーベナ駒王学園。俺はクロメの先輩だが悪いな。

どこに住んでいるかは知らないんだ」

 

「・・・・・」

 

「だけど、これから行く場所に知っているかもしれない人物がいる。一緒に来るか?」

 

その誘いをアカメは無言で頷いた。決まりだと一誠は小型の魔方陣を展開して

 

「あ、リアスか?一誠だけどそっちに行っていいか?お前に紹介したい奴が

二人いるんだが・・・・・うん、そう。本人たちが了承しないならしょうがないからな?

あいよ、んじゃな」

 

リアス・グレモリーと話を終えて二人に向かって言った。

 

「迎えが来るから待ち合わせの場所に行く」

 

「どこに連れて行こうってんだ?」

 

「ん、悪魔や堕天使が住んでいる冥界だ」

 

「・・・・・お前は悪魔じゃないのか?」

 

「残念ながら違う。俺は―――」

 

背中にドラゴンの翼を生やす一誠は不敵の笑みを浮かべて行った。

「俺はドラゴンだ」―――と。

 

―――冥界―――

 

一行は冥界行きの列車に乗り、目的地の駅に降りた。紫色の空の下に歩くのは久し振りで

迎えに来てくれたシルヴィアとグレモリー領まで馬車で移動する。リアスのことを話を

聞けば、若手悪魔の会合やソーナとゲームをすることとなり、

リアスやグレモリー眷属は修行の真っ最中のことだと。

 

「結構、眷属の数が少ないから苦戦じゃないか?」

 

「それでも戦わなければなりません。ですが、一誠さまもゲームに参加してくれれば

リアスお嬢様たちの士気が高まるでしょう」

 

「うん、いいよ」

 

「はい?」

 

アッサリとシルヴィアが間抜けな返事をするほど参加すると述べた一誠だった。

話し合っていればグレモリー城に辿り着き、馬車から下りると久し振りに

再会するリアスが出迎えてくれた。

 

「ああ、久し振りイッセー!」

 

「久し振りだリアス。見ない間になんか綺麗になってないか?」

 

「も、もうっ。褒めたって何も出ないんだからね?」

 

「悪口を言えば出てくれるのか?」

 

「・・・・・あなた、天邪鬼なのかしら」

 

「ん?」と天然な反応をする一誠にリアスは幸せな気分が一気になくなり、

溜息を零すとアカメとレオーネに目を向けた。

 

「彼女たちが私に紹介したいという子ね?」

 

「色々と事情があってだけど出会ってな。戦闘経験があるから問題ないだろうと思って。所でサーゼクスのお兄さんはいるか?」

 

「ええ、いるわよ。会いたいの?」

 

「頼みたいことがあってね。それはシルヴィアさんに頼むけどリアスは二人と

交渉でもしていてくれるか?」

 

否定もせずリアスは首を縦に振って頷き、

一時三人と別れてシルヴィアの先導のもとでサーゼクスがいる場所へ。

サーゼクスは父親のアルマス、母親のヴェネラナ、朱乃の母親、朱璃とティータイムを

楽しんでいた。一誠が現れれば、心底歓迎してくれて一誠を出迎えてくれた。

 

「サーゼクスのお兄さん。お願いがあるんだけどいい?」

 

「私ができる限りのことだったら何でも頼みたまえ。

未来の義息子の為だったら全力を尽くそう(満面の笑み)」

 

「じゃあ、できるよね。魔王のおじさんと連絡か直接会いたいんだけど」

 

「魔王殿にかい?それはまたどうしてかな?」

 

「理事長として学園に通っているとある後輩の情報を知りたいんだ。

いま、その後輩の姉を連れて来てさ、生き別れの姉妹だってことが分かって会わせたいんだよ」

 

事情を知ったサーゼクスは一誠の乞いに了承して後輩の情報を聞き、「しばらく待ってくれ」と

言い残して姿を消した。

 

「一誠くん、見ない間に大きくなったな。うむ、逞しい身体付きではないか」

 

「悪魔って歳を取らないんですね。昔のままだ」

 

「うふふ、嬉しいことを言ってくれるわねこの子は」

 

「朱乃のお母さんも本当に久し振り。バラキエルのおじさんは元気?」

 

「ええ、朱乃に凄く熱心でこう言う時は親バカって言うのでしょうね。ふふっ♪」

 

楽しげに話し合う親と子。するとアルマスが鈴を鳴らせば銀髪のメイドが直ぐに現れた。

そのメイドに目をして「あっ」と嬉しそうに漏らし、

 

「お久しぶり、グレイフィアさん。こうしてみると本当にシルヴィアさんと瓜二つだね」

 

「はい、お久しぶりでございます兵藤一誠さま」

 

「一誠でいいよ。あんまり兵藤と呼ばれるのは好きじゃないから」

 

「・・・・・では、私のことは呼び捨てで構いません」

 

不思議そうにいいのかと思ったが本人の希望であればそう呼ぶことにした。

シルヴィアとグレイフィア。二人のメイドは本当に顔が同じで瞳も同じであれば身体付きも同じ。

最初はどっちがそうなのか迷ってしまいそうなのに一誠はハッキリと間違えずに呼んだ。

 

「言い遅れたが一誠くん。ライザー・フェニックスとのゲーム、おめでとう。

よくあれだけの将来有望な人間を集めたものだな」

 

「世界中に修行して巡り合った友達だったからね」

 

「もしも彼女たちがリアスの眷属となってくれればRG(レーティングゲーム)のランキング上位は堅いだろう」

 

「ははは、それは無理だと思うよ。特にあの二人だけは我が強過ぎてリアスじゃ

制御しきれないよ」

 

寧ろ弄ばれて心労が絶えないかもしれないと内心思わずにはいられなかった一誠は苦笑を浮かべる。

 

「一誠くん、これからどうするつもりかな?」

 

「うん、リアスがシトリー家とゲームをする話を聞いたから参加してみたいなーって

思っている。あ、悪魔にはならないから」

 

「おおっ。そうかそうか、もしも参加が認められたならば一誠くんとリアスの活躍が

華を咲くだろう!」

 

ウキウキと嬉しそうにはしゃぐアルマスに同意とヴェネラナも微笑んでいた。

 

「それはそうと、一誠くんはあの次期兵藤家当主選抜大会に参加するのかな?」

 

「うん、出るよ。当主になるつもりはないけど当初の目標が果たせる機会だから」

 

「目標って何かしら?」

 

そう問われると一誠は「内緒だよ」と笑みを浮かべて教えなかった時、

サーゼクスが一枚の紙を持って現れた。

 

「一誠くん。魔王殿から例の彼女の住所を教えてくれたよ」

 

「ありがとう、サーゼクスお兄ちゃん」

 

「・・・・・お兄ちゃん、いい・・・・・っ!」

 

ジーンと歓喜極まって感動するサーゼクスだった。紙を受け取り、クロメの居場所を

把握するとリアスたちのところへ今度はグレイフィアが案内をしてくれた。

 

「一誠さま、本当に参加なさるおつもりですか?」

 

「んー、参加を認めてくれるならの話になるけど」

 

「・・・・・悪魔に転生すればあなたは冥界を背負えるほどの者となりますのに」

 

「ははは、リアスも喜ぶだろうな。でも、俺を助けてくれた、

オーフィスとグレートレッドを裏切りたくないんだ。身体の一部と力をくれたドラゴンたちに」

 

どこか残念そうに、遠慮気味に漏らしたグレイフィアの言葉は一誠を苦笑させ

肩に乗っているオーフィスにも向けられた発言を発した。。

 

「それに俺を悪魔に転生させる駒なんてもうないんじゃないか?」

 

「・・・・・そうですね。変異の駒(ミューテーション・ピース)僧侶(ビショップ)のギャスパーさまに

使用されましたので」

 

「ギャスパー・・・・・ああ、あの男の娘のことか。あんまり知らないけどどんな奴なんだ?

神器(セイクリッド・ギア)の所有者だってことぐらいしか分からないんだけど」

 

グレイフィアは丁寧に教えた。

 

「ギャスパーさまは吸血鬼世界では上級階級の貴族、ブラディ家に

生まれたハーフヴァンパイアです。吸血鬼のことはご存知ですよね?」

 

「ああ、俺の家族にも吸血鬼が四人もいる。ヴァレリー・ツェペシュと

アルトルージュ・ブリュンスタッドの二人も元王族、上級の貴族だった」

 

「ツェペシュ家の御息女?」

 

意外な名が出たことでグレイフィアは若干驚いた。特にツェペシュ。男尊派のトップたる

王族の吸血鬼が一誠の傍にいたとは思わなかった。存在は知っていた。婚約を懸けた

ゲームで勝利した時に神王と魔王が主催とするパーティに見掛けた。

名前までは知らなかったがまさか王族の吸血鬼だったとは・・・・・と。

 

「そっか、今度会わせてみようかな。同じ吸血鬼同士なら直ぐ仲が良くなるだろう」

 

「・・・・・ええ、そうしてもらえるとリアスさまも喜びましょう」

 

話している間にリアスたちがいるであろう部屋に辿り着き、ノックをし、

入手つの許可を得ると扉を開いて中に入る。テーブルを挟んで対峙して座っている

リアス、レオーネ、アカメを見つけてサーゼクスから受け取った紙をアカメに手渡す。

 

「クロメがいる住所が分かったよ。そっちはどうだ?」

 

リアスに訊ねると笑みを浮かべ出した。

 

「レオーネは了承してくれたわ。説得した甲斐が得て良かった」

 

「そうなんだ、レオーネ?」

 

「ああ、私とアカメの面倒を見てくれる条件でな。それに私の力がフルに活用できる

場所があって楽しそうじゃないか」

 

不敵に笑むレオーネ。連れてきて良かったと思いアカメにも視線を向ける。

 

「アカメは?」

 

「まだ悩んでいる。レオーネに頼ってばかりで悪いと思っているが・・・・・」

 

紙に目を落として無言になる。

 

「(妹と違う種族になることを躊躇っているのか、それとも何か別の考えを

持っているから悩んでいるのか)」

 

そう想像する。しかし、本人の意思に尊重するのはリアスも同じで無理強いに眷属に

なって貰う気はない。アカメにゆっくり考えて決まったら改めて言って欲しいと

言えばアカメはコクリと頷いた。

 

「リアス、ソーナ先輩とゲームするんだってな」

 

「ええ、シルヴィアから聞いたのね?それで?」

 

「うん、もし認めてくれるなら俺もゲームに参加したいなって。リアスのチームに」

 

「へぇ、そうなの・・・・・ええええええええええええっ!?」

 

予想通りの反応にニヤニヤと一誠は楽しげに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーが私の眷属に・・・・・イッセーが私の眷属に・・・・・」

 

「え、リアス?」

 

「よっしゃあああああああああっ!俄然ソーナに勝てる気が出たわよこんちくしょうがぁっ!」

 

「リアスさんんんんっ!?」

 

「・・・・・頭のネジが数十本も吹っ飛んだようですね」


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