HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード12

七人の仲間を得た一誠はその後、

 

「え、僕も?うん、勿論良いよ」

 

「あのフェニックス家と戦う機会を得て感謝します」

 

「私もか?ま、まぁ・・・・・参加してやらんことでもないぞ」

 

一誠と戦った和樹たち三人も加えた。

 

「私の情報収集も試合に必要?まぁ、私の神器(セイクリッド・ギア)ならあなたの役に立つわね」

 

「一誠くん、私の力をあなたに・・・・・」

 

「私も参戦するわー!」

 

「相手はフェニックス家だってな。デュランダルを振るうに値する剣士はいるかもしれない」

 

「ボ、ボクもですか?」

 

教会組の五人のうち四人をも仲間に加え正規人数をフルに揃えたのだった。

そのことを知らない自分の名を挙げようとする悪魔や堕天使、中には兵藤家と式森家も

参加すると名乗ったが。

 

「いらない。もうメンバーはフルに揃えたからな」

 

と、説明しても言うことを効かない者たちに対しては。物理的に排除したのだった。

そして試合開始の前日。メンバーを(揚羽以外)、兵藤邸に呼び寄せた。

 

「お前、こんな豪華な家に住んでいたのか」

 

「元々マンションだったんだけどね」

 

「それがどうしてなかなか・・・・・マンションから一転してこの家になるのだ?」

 

「魔法って便利だよな」

 

作戦会議を行う為、広い場所へ引き連れ、リビングキッチンに案内した。

数多の椅子が置かれている前に横長のテーブルや丸いテーブルなどあり、

向かい合わせることができる丸いテーブルへとメンバーを座らせた。

因みに一誠の隣はナヴィと水面下で勝ち取ったルーラーが座る。

 

「さてと、集まってもらったのは事前に俺も含めて明日行う戦いのことに関する話をする為だ」

 

「って、一誠も知らなかったのかよ」

 

「悪いな。だからこそ彼女に説明してもらう。ナヴィ」

 

「はいはい」

 

始めて彼女を見る面々にとっては興味深そうにナヴィを見詰める。

 

「その前に自己紹介ね。私はナヴィ。人間とガーゴイルっていう悪魔のハーフよ」

 

「ハーフ?悪魔とは人間と子供を作ることがあるのだな」

 

「あら、別に珍しいことじゃないわよ?ま、説明するから話をよーく聞いてね」

 

ナヴィが説明口調で語り始める。

 

「さて、明日行う試合。名前はレーティングゲームって言ってね。

数が減った悪魔たちが戦力を増強しようと、悪魔という種を絶やさない為にも

アジュカ・アスタロトって言う悪魔が基礎理論・構築したチェスを模した

リアルゲームだと思って。知っている人もいるでしょうけどね」

 

それからナヴィは言い続ける。

 

「チェスを模したゲームは『兵士(ポーン)』八つ、『戦車(ルーク)』二つ、『騎士(ナイト)』二つ、

僧侶(ビショップ)』二つ、『女王(クイーン)』一つ、『(キング)』一つと駒の代わりにヒトが戦うの」

 

「なるほど、試合って言うのもあながち納得するな」

 

「そうね。本来レーティングゲームは上級悪魔となった悪魔が(キング)を除いた十五の駒を

使って様々な種族に交渉して眷属悪魔となって貰うわけよ。

特に神器(セイクリッド・ギア)を所有している人間と人間の血を宿す種族を眷属にすることがブームなの」

 

「では、私も誘われる可能性があるのだな。悪魔になる気は無いがな」

 

エスデスが口元を緩ませて否定した。

 

「じゃ、一誠の眷属になれと言われたら?」

 

「違うな。私の眷属になって貰う。ふふふ、たっぷり可愛がってやるぞ」

 

得物を狙う鷹の目の如く一誠を見詰めるエスデスにブルリと震えた一誠がナヴィに話を続けさせた。

 

「いざゲームが始まると勝敗が決まるまで特殊な空間で戦うフィールドから出れないわ。

そして『兵士(ポーン)』にはちょっとしたシステムがあってね。

相手本陣に『兵士(ポーン)』が侵入を果たすと『(キング)』以外の駒に、

自分に合った駒になれるの。高い攻撃と防御の特性を持つ『戦車(ルーク)』、

機動性が飛躍的に上昇する『騎士(ナイト)』、この三つの駒の特性を兼ね備える『女王(クイーン)』にね」

 

「へぇ、レーティングゲームって凄いのね。

じゃあ、『兵士(ポーン)』の八人が全員『女王(クイーン)』になっちゃえば圧倒的に有利じゃない?」

 

「ええ、それは当然よ。だけどそれは相手も熟知しているしそうはさせまいと

女王(クイーン)』にプロモーションされる前の『兵士(ポーン)』を潰しに掛かるわ。

でも一誠が悪魔じゃないから私たちはその駒の特性の恩恵を得ることができないから

今の実力で戦わないといけないかもしれないわ」

 

「上等よ!川神魂で根性を見せつけてやるわ!」

 

一子がやる気満々と拳を握った。それを微笑ましく周りから視線を向けられている

最中、龍牙が質問した。

 

「相手の情報とか分かりますか?」

 

「ええ、『(キング)』であるライザー・フェニックスのプロフィールもね。

うふふっ、ライザー・フェニックスの好きな食べ物はハンバーグだなんて子供ね」

 

ナヴィが面白そうに笑い声を発する。一体どうやって調べたのか気になるほどで。

不意にナヴィは何かを思い出したかのような言動をする。

 

「ああ、勿論この場にいる全員の詳細も私の手中にあるからね」

 

『んなっ!?』

 

「物理的な攻撃力は無いに等しいけど、情報と言う武器に関してはガーゴイルの

右に出る者はいないわよ?例えば川神百代の好きな飲み物はピーチジュース。

いま夢中になっているのは同性との遊びと挑戦者との戦いとかね」

 

「・・・・・知らない間に調べられていただなんてな」

 

「あと、久し振りに再会した一誠から数日間。一誠の名前を呟く回数が十回以上とかもね」

 

「完全にプライバシーの侵害だぞ!?」

 

鼻の真ん中から一気に耳の端まで真っ赤になった百代がナヴィに食って掛かる。

当のナヴィは涼しい顔で面々の顔を見渡す。

 

「と、細かいところまで今現在も調べているから―――一誠以外、私に逆らわないように

してちょうだいね?」

 

『・・・・・』

 

もしかすると、ある意味ナヴィはこの中で一番最強じゃ・・・・・と思わずには

いられなかった一誠だった。

 

「因みに式森和樹に好意を抱いている女の子がいるけど知りたい?」

 

「え・・・・・マジで?」

 

「ええ、その逆も私は知っているけどねぇー?」

 

ふふふっ・・・・・と悪い笑みを浮かべて和樹の反応を楽しむ悪魔だった。

 

「ま、大体の説明はこの辺でいいでしょう。相手の眷属の情報は別にいらないかもねこの面子だと」

 

「え、どうしてですか?」

 

不思議とその気持ちを醸し出すルーラーにナヴィの代わりとして一誠が答えた。

 

「明日になれば多分分かるぞ」

 

「ふーん、そっか。ならいいや」

 

と、今日は解散と一誠の言葉で明日に備え各自、それぞれの家に戻ったのだった。

 

 

 

そして、決闘の当日―――。国立バーベナ駒王学園の放課後は決闘を見たいが為に

わざわざ残っている生徒が教室に多く存在し、部活も中止するところもあった。

 

「あなた、こんな時にでも分身を?」

 

「俺がいない間。兵藤の奴らがなにを仕出かすか分かったもんじゃないからよ」

 

「・・・・・私を守る為?」

 

「それも含まれているな」

 

「イッセー、頑張る」

 

「おう、オリジナルも聞こえていると思うぞオーフィス」

 

さて、ライザー・フェニックスとフェニックス眷属と戦う一誠たちは

リアスたちの部室に集結していた。そこには黒歌やヴァーリもいた。

 

「一誠・・・・・どうして私を誘ってくれなった?」

 

「いや、アルビオンの力はオーフィスの次に強いから勝負にならないって。黒歌もその理由で」

 

「・・・・・イリナがとても羨ましいぞ」

 

「大丈夫!ヴァーリの分までイッセーくんを守るから!」

 

「その役目は私だけで結構です」

 

「リアスがライザーと結婚したら必然的に白音もあのライザーのものになっちゃう。

だからご主人様、白音も守ると思って戦ってにゃん」

 

「分かってるよ黒歌。俺たちの戦いを見て応援してくれ」

 

「にゃん!」

 

と勝負前に和気藹々と話し合っている一誠だった。

 

「全員、ただ者じゃなさそうね。よくとまぁこれだけの面子を集めたわイッセーは」

 

「あらあら、しかも殆どが女の子。リアス、嫉妬しちゃってる?」

 

「・・・・・ちょっとだけよ」

 

不貞腐れているリアスに視界が入り、一誠はスッとリアスの頭に触れた。

 

「お前の人生は俺が守ってやるからなリアス」

 

「っ、イッセー・・・・・・」

 

「俺が勝ったら昔みたいに遊ぼうな」

 

笑みを浮かべた一誠の温かい言葉を聞いてリアスは胸の奥から何かが湧き上がるのを

感じたが我慢した。勝つことを信じ、勝ったらこの湧き上がるものを

一誠にぶつけようと決めたから―――。この場に複数の魔方陣が出現した。

全員の視線がその魔法陣に注がれる中、中年の男とメイドが現れた。

 

「よう一誠。また会ったな」

 

「アザゼルのおじさん。それに神王のおじさんと魔王のおじさん」

 

「今回の決闘は俺たちも見物させてもらうぜ?」

 

「私たちだけじゃないよ?冥界や天界、この人間界もこの決闘をお茶の間に放送されるからね」

 

そこまで注目されるほどの事かと全員は驚嘆する。

 

「ま、俺たちは俺たちで気にせず戦うだけだな」

 

「おう!その意気だぜ坊主。しっかりフェニックスの坊主を倒してこいや!」

 

ユーストマに背中を強く叩かれ苦笑いをする一誠。

 

「一誠ちゃん、フェニックスは不死身だが不死身ではないからね。そこを理解すれば必ず倒せるよ」

 

「アドバイスありがとう魔王のおじさん」

 

フォーベシイに話しかける一誠の耳が疑う言葉を発せられる。

 

「んまっ、お前には神滅具(ロンギヌス)を持っているし問題は無いだろう」

 

「え?神滅具(ロンギヌス)って俺、所有していないぞ?」

 

「いんや、持っているぜ?何せ認定したからなヤハウェさまがよ。

お前の中にいるゾラードとメリアの力をさ。

この世に存在する十五種だった神滅具(ロンギヌス)が十七種になった。だから誇って良いぜ」

 

ニカッと豪快に笑みを浮かべたユーストマやウンウンと頷くフォーベシイ。

 

「・・・・・ありがとう」

 

『はうっ』

 

数人の少女たちが照れてほんのりと朱を染める一誠にノックアウトした時だった。

一つの魔方陣が部室に現れ、何かを待っているように存在し続ける。

 

「どうやら時間のようだな。お前たちの初陣だ。勝っても負けても後悔だけはしてくるなよ」

 

「全力で戦っていきなさい。相手も全力で掛かってくるだろう」

 

「応援して見守っているからな!」

 

周囲からの声援を浴びつつ、バトルフィールドへと足を運ぶ一行。

 

「気を付けて・・・・・イッセー」

 

 


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