HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード5

体育の授業を終え、放課後となった。

 

「じゃあネー!」

 

金剛とはすっかり打ち解け、一誠とオーフィス、ヴァレリーと咲夜は

クロウ・クルワッハたちとも合流し、職員室に顔を出した。リーラとフィナ、リィゾ、

プライミッツ・マーダーは今後どうするのか聞く為に。

 

「申し訳ございません。私たちはまだしばらく仕事が片付けねばなりません。

お先にお帰りなされてください」

 

「そっか、それじゃあのマンションに帰っているから」

 

「かしこまりました」

 

リーラたちと別れ、一行は下校をしようと改めて玄関ホールへ足を運んだ。

―――しかし、一誠たちの歩みを停めざるを得ない人物がいた。

 

「よーう!坊主、久し振りじゃねぇーかー!」

 

「やぁ一誠ちゃん、久し振りだねぇー!」

 

片や筋骨隆起で和服を身に包んだ中年男性と黒い服を着て長い銀髪を背中まで伸ばす

細身の中年男性が一誠を捕まえたのだから。一誠は目を白黒にし、

 

「神王のおじさんに魔王のおじさん・・・・・?え、なんで?」

 

「なんでってそりゃおめぇ、俺とまー坊はこの学校の理事長をしているんだぜ?」

 

「そうとも。キミの戦いぶりを堪能させてもらったよ。

いやー、本気を出していないといえ美しい戦いだった」

 

「・・・・・神王ユーストマと魔王フォーベシイが理事長?」

 

一誠に笑みを浮かべている余所でアルトルージュは信じられないと漏らす。

周りの視線が集まりつつある中でユーストマとフォーベシイは好き勝手に話しかけてくる。

 

「おや、キミがアルトルージュだね?誠ちゃんや一香ちゃんから聞いている。

吸血鬼が太陽の下でも活動できるとは驚いているよ」

 

「お前とお前の配下には討伐しないように教会の連中に言い包めてあるから安心しとけ。

なんたって坊主の家族なんだからな」

 

「・・・・・ええ、複雑だけど感謝するわ」

 

複雑極まりないと本当にそう醸し出し、そう口にしたアルトルージュから視線を逸らして

ユーストマはクロウ・クルワッハに目を向けた。

 

「んで、お前はクロウ・クルワッハか。坊主の元にまた邪龍が集うなんて坊主は

ドラゴンを魅了させる才能があるようだな」

 

「ああ、そのようだな。それより機会があれば神王と一勝負してみたいが」

 

「おう、いいぜ?手加減しないからそこんとこよろしく」

 

「ふっ、兵藤一誠と共にいて正解だな」

 

嬉しそうに口の端を吊り上げた最強の邪龍。周囲からざわめきが聞こえ、

一誠たちは少し居心地が悪くなってきた。

 

「あの、ここじゃ話もなんですし」

 

「ん?ああ、野次馬が群がっていやがったな」

 

「では、応接室で話の続きをしよう。そこに客人も待たせているしね」

 

「・・・・・客人?」

 

誰のことだろうと思いつつ、一行は二人の理事長の先導のもと、応接室に赴いた。

一階に応接室があり、玄関ホールに侵入して右の通路へ進むめば直ぐに見つけ、

フォーベシイが扉を開け放ち、一誠たちを先に入れさせた時、

応接室に一人の女性がいた。ダークカラーが強い銀髪を背中まで伸ばし、白いシャツと

青いジーンズの姿で高級なソファに腰を下ろしている。

その女性は入ってきた一誠たちに気付き、笑みを浮かべた。

 

「一週間振りだね、一誠」

 

「・・・・・お前、ヴァーリ?」

 

「ああ、子供の頃は男のように振る舞っていたから気付かなかったか?確かに私は

あの時は勇気が出ずにいたが・・・・・今なら言える」

 

女性改め、イリナと同じ幼馴染であるヴァーリが立ち上がって一誠の前に立った。

 

「見ての通り、私は女だ。女らしく成長したと思うけどどうかな?」

 

細身で出ている部分は出ていて、引っ込んでいる部分は引っ込んでいる。

輪郭も整っていて、見詰めれば引き込まれるではないかと思う好き取った青い瞳。

そんな女性らしく成長したヴァーリを一誠は笑みを浮かべて頷いた。

 

「イリナの時もそうだったけど、全然ヴァーリが女のことだとは思わなかった。

―――綺麗だよ、ヴァーリ。そして久し振り。会えて嬉しいよ」

 

「―――ああ、その言葉を聞けて私は嬉しい」

 

歓喜極まって一誠に抱き付く。一誠も抱きしめ返し再会の喜びを分かち合う。

と、ヴァーリの背から青い翼が生え出した。

 

『クロウ・クルワッハとアジ・ダハーカ。それに妙なドラゴンまで増えたようだ。

兵藤一誠・・・・・お前は本当に邪龍まで家族にしたとは感服に値する』

 

「アルビオン、お前も久し振りだな」

 

「まさか、ここでアルビオンと出会えるとは私も思いもしなかった」

 

クロウ・クルワッハも青い翼に話しかけた。ここで邪龍と天龍が揃った瞬間で、

 

「勝負するか、アルビオンを宿す者よ」

 

「私は一誠に夢中だ。話ならアルビオンとしてくれ」

 

邪龍として天龍と戦いが為に喧嘩を売ったが、一刀両断で拒否された。

アルビオンは青い翼を点滅させながら発した。

 

『だ、そうだクロウ・クルワッハよ。今回の宿主は戦いよりも兵藤一誠に対する愛で頭が詰まっている』

 

「・・・・・愛、か。その感情はあまりわからないものだ」

 

『愛は偉大だそうだ。このヴァーリは兵藤一誠に対する愛という想いで強くなったぞ?

お前を倒す程とは言えないがな』

 

「・・・・・私も愛を覚えればさらに強くなるというのか・・・・・?」

 

顎に手をやって視線を一誠に向けたクロウ・クルワッハ。その意味深な言葉と送られる

視線にヴァーリは強く一誠を抱きしめた。

 

「一誠は渡さないぞ」

 

「ヴァーリ・・・・・?」

 

「一誠は私の恩人なんだ。あの時、私の手を力強く掴んで引っ張ってくれた一誠に

―――好きになったんだ」

 

ヴァーリの告白に目を丸くした一誠。他の面々も一誠に対する愛の告白に目を丸くし、

 

「一誠、きっとお前は世界中に点々と修行をしてきただろうからその時であった女に

好意を抱かれたはずだろう?―――その中で自分から好きだと言った女は誰だ?」

 

と、そんな不安の色を瞳に浮かべたヴァーリの質問に一誠は首を横に振った。

 

「まだ誰一人も言っていない。ただ・・・・・」

 

「ただ・・・・・?」

 

「・・・・・ようやく異性に対して好きという感情が分かったばかりで、初恋の人がいるんだ」

 

『っ!?』

 

恥ずかしげにヴァーリから視線を逸らす一誠の言動に女性陣は反応した。

無論、ヴァーリも例外ではない。

 

「「そいつは誰だ!?」」

 

ただし、反応しなくて良い二人までもが反応を示した。

 

「その初恋の相手はネリネちゃんかい!?それともリコリスちゃん!?」

 

「うちのシアか!?」

 

必死な表情でズイズイ顔を近づけてくるユーストマとフォーベシイに一誠は言葉を

失うしかなかった。何と言うか始めて抱いた二人に対する鬱陶しさ。

ここまで激しく反応することなのだろうかと思っていると。

 

「「早く、教え―――!」」

 

「―――ユーストマ?」

 

「っ!?(ビクゥッ!)」

 

身体を跳ね上げ、何かに驚きだすユーストマ。ユーストマの名を発した声は女性のもので、

 

「何時になっても報告をしに来ないのでどうしたのかと思えば・・・・・あなたは

何をしているんですか?」

 

ユーストマの背後に金髪で碧眼の女性が優しげに声を掛けていた。―――笑顔に陰がなければ

その矛盾さを気付かなかっただろうに。

 

「ヤ、ヤハウェ・・・・・さま」

 

「はい、聖書の神のと称されしヤハウェです。

ユーストマ、彼の初日の学校生活の報告の時間が過ぎていますがどうしてなのですか?」

 

「・・・・・(汗)」

 

―――数分後―――

 

隅っこで怯え震えるユーストマと顔を青ざめる(オーフィスとクロウ・クルワッハを除く)一誠たち。

ヤハウェの怒りの一端を見てしまい、

 

『(絶対に怒らせないようにしよう!)』

 

と、心が一つになった瞬間だった。

 

「さて、兵藤一誠くん」

 

「ひぅっ!?」

 

思わず子供の時みたいに怯えた一誠。怯えられていることにヤハウェは少々ショックを受け、

 

「ああ、申し訳ございません。怖がらせてしまいましたね」

 

自分の第一印象が悪くなる前にヤハウェは行動を起こした。

一誠を安心させるため、装飾が凝った白と金の生地で作られた服に一誠の頭に両腕を

回し引き寄せた。神ヤハウェの服を盛り上げる豊満な胸に顔を寄せられて一誠の心は

スッと落ち着きを取り戻した。

 

「・・・・・落ち着く」

 

「ふふっ、落ち着いてくれてなによりです」

 

まるで母親のように微笑みながら一誠の真紅の頭を撫でる。

―――何時しか、ヤハウェの温もりに睡魔が襲われ。

 

「・・・・・スー」

 

ヤハウェの腕の中で寝息を立てた。その一誠の寝顔を見たフォーベシイが微笑んだ。

 

「可愛らしい寝顔だ。とても穏やかに寝ている」

 

「赤子の時もそうでしたよ。それが成長した今でも変わりがないようですね」

 

嬉しそうに絶えず一誠の頭を撫でる。魔力で一誠を浮かせ、ソファに座るヤハウェに

膝枕の形で横になった一誠の寝顔はオーフィスたちにも晒した。

 

「ユーストマ、この子にあの件のことをお伝えしましたか?」

 

「え?・・・・・あ」

 

「・・・・・あなたは後で天界に戻ってきなさい」

 

しょうがないと深く嘆息したヤハウェ。ユーストマは何か伝えるべきの事を伝えず

今に至ってしまい今後起きる自分の身に娘や妻の名前を出して別れの言葉を漏らした。

 

「あ、あの・・・・・・あの件とはいったいなのことですか?」

 

ティファニアが恐る恐る委縮しつつヤハウェに訊ねた。訊ねられヤハウェは隠すまでも

ないとあることを伝えた。

 

「近いうちにこの学園で天界、冥界、人間界のトップが先日のコカビエルと聖剣の

ことについて会談をすることになったのです。

本来関わらないはずだったこの子がコカビエルを倒し、

聖剣の回収を協力してしまったので会談に出席していただきたく思っています」

 

「そういうことだよ。私からも伝えようかなと思っていたのだが・・・・・。

まぁ、一誠ちゃんのメイドさんに伝えれば問題ないだろうね」

 

「会談って具体的にどんな?」とルクシャナの問いにフォーベシイはこう答えた。

 

「それはその時にならないと言えないね。すまないが会談の時、

キミたちは家で待っていてくれたまえ」

 

―――○●○―――

 

「くはっ・・・・・眠い」

 

「あの神に抱き締められて眠るなんてね?」

 

「抱き絞められた瞬間、あっという間に眠くなってきたんだ。

まだ眠気なんてなかったはずなんだが」

 

「そういうことなら微弱な魔力でも流されたのだろうな。微かに魔力を感じたぞ」

 

一誠を起こして一行は帰宅中。ヴァーリも同伴して共に帰ろうとする。

 

「一誠、キミたちはどこに住んでいる?」

 

「この町の高級マンションを拠点としている。でも、本当の家は次元の狭間の中だ」

 

「次元の狭間に家?」

 

「ああ、そうだ。そう言うヴァーリは?」

 

「まだアザゼルの領土に暮らしている。そういえばこの学校にいる姫島朱乃とは会ったか?」

 

昔出会っている一人の少女の名とは会っていないと意味で首を横に振る。

 

「そうか。まぁ、仕方がないだろう。

彼女から聞けばこの学校は兵藤というキーワードがタブーに等しい。

一誠もその例に零れなかっただろう?」

 

「入った瞬間、睨まれて名乗った瞬間に筆記用具魔力弾や光の槍を投げられたぞ」

 

「・・・・・そいつらは誰だ、教えてくれ私がその倍返しをしてくるから」

 

目を細め、青い翼を展開したヴァーリを一誠が必死に宥めた。

その後、ヴァーリと多くのことを話し会えなかった時の分を埋めようとしていたが、

 

「よう」

 

学校の門を目と鼻の先にして一誠たちの前に三人の男子が現れた。

 

「なんだ、お前らか。何の用だ」

 

「俺らに手を出してタダで済むと思ったら大間違いだぞ。

兵藤家に敵を回したことを後悔させてやるっ!」

 

周囲に人はいない。それは一誠たち以外の学生の意味でだ。目の前の三人の言葉に呼応して

どこからともなく男子たちが現れた。一誠たちが目指す門の周囲は林が生えていて、

その木々の奥から男子たちは現れたのだ。

 

「・・・・・」

 

頭をガリガリと掻き、相手は全員兵藤家なのだろうと悟り―――。

 

「無関係な奴もいるというのに。俺に負けたぐらいで今度は大勢で攻め込んできたか。

戦術としては悪くないが、私情が含んだ個人的な喧嘩だったら―――お前らの品格、

程度が知れるというものだ」

 

侮蔑が含んだ言葉を発した。兵藤家の三人組は怒りと屈辱で顔を歪ませ言い返す。

 

「ざけんじゃねぇっ!」

 

「俺たち兵藤家をお前は敵に回したんだ!」

 

「後悔しても遅いぜ。お前をブチのめした後、そこの女共を楽しませてもらうからな!」

 

その言葉が開戦の合図だった。周りから凄まじい勢いで迫ってくる。

 

「―――お前らは本当に変わっていないな」

 

空間が歪み、歪んだ空間から数多の鎖が飛び出して兵藤家の男子たちの身体に拘束した。

 

「もうあの時とは逆だということを、その身に叩きこんだ方がいいかもしれないな」

 

縛られた兵藤家の男子たちの足元に雷、炎、吹雪が発生してダメージを与えた。

阿鼻叫喚、それが今この場に最もふさわしい言葉。

 

「い、一誠・・・・・もうやめて。これ以上したら・・・・・・」

 

「殺しはしない。だが、俺に逆らわないぐらいに徹底的に痛めつけないと

お前らに被害が及ぶからな」

 

「それでも、もう止めて・・・・・お願いだから・・・・・」

 

ティファニアの懇願。家族の願いに溜息を一つして一誠は「分かったよ」と漏らした。

魔方陣を消して兵藤家をどこかへ遠くに鎖で投げ放った。

 

「これでいいだろう?」

 

「・・・・・うん」

 

「それじゃ、今度こそ帰ろう。また襲われたら俺は問答無用に痛めつけたくなるからな」

 

その後、兵藤家の十数人の男子が満身創痍で倒れたいたのをとある男女の四人組が発見した。

 

「これは・・・・・」

 

「酷い・・・・・」

 

「顔に見覚えがある。こいつら、兵藤家だぞ」

 

「・・・・・この感じ、魔法でやられた?でも、一体誰に・・・・・」


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