HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード34

ちょっとした劇場ほどもある巨大な空間にアルトルージュたちは一人の少女と出会った。

地面に何やら数冊の本や道具、杖みたいなものまで散乱していて少女の奥を見れば

十五メートルほどの大きな生物が佇んでいる。

 

「あなたたち・・・・・だれ?」

 

吊り上がった切れ長の瞳に無造作に切り揃えられた長い金髪。

そして、人間より長い耳を持つ少女が漏らすと、

 

「その台詞、そのままそっくり返していいかしら」

 

「ここは・・・・・洞窟の中か?それに・・・・・」

 

「匂いがキツイ」

 

「・・・・・海の香りがします」

 

「珍しいな。こんな所でドラゴンと出会うとはな」

 

「人間・・・・・ではないみたいですね」

 

一行は口を開きだした。すると喉の奥から笑う声が聞こえだす。

 

「長耳のはねっかえり。わらわの娘。どうやらお前は珍妙な者たちを召喚したようじゃな」

 

「召喚・・・・・?どういうことだ」

 

クロウ・クルワッハがドラゴンに問うた。紺色と見える鱗は、よく見るとくすんだ銀色をしていた。

滑らかな銀色の鱗は、光の加減で様々に色を変えた。頭からは珊瑚のような

二本の角が生え、その付け根には巨大なフジツボがいくつも付いていた。手足の間には、

分厚い水かきが見える。そんなドラゴンはクロウ・クルワッハを見詰め、

珍しいものを見る目で述べた。

 

「ここまで邪悪な竜を見たのは初めてじゃ。

じゃが、邪悪な竜とはどこか違うようじゃが・・・・・」

 

ドラゴンは一誠にも目を向けた後、「身体にドラゴンを宿すドラゴンを見るのも初めてじゃな」と言った。

 

「初見であるはずなのに、知能が極めて高いドラゴンのようだな」

 

「ふぇふぇふぇ。これでも長生きしているもんでね、大体のことはわかってしまうさね。

さてお前さん、名はなんという?」

 

クロウ・クルワッハは名を名乗るとドラゴンは一誠にも教えてくれと願った。

一誠の名を告げると「ほう」と意外そうに漏らした。

 

「兵藤・・・・・随分と懐かしい名を持つドラゴンじゃな」

 

「兵藤という者を知っているのか?」

 

「わらわにとって極最近。お前さんたちにとって長い年月が経っているだろう。

何の前触れもなくわらわの住処に人間の二人がやってきたのだ」

 

昔を思い出しながらドラゴンは楽しそうに目を細めて語り出した。

 

「二人の人間は世界を冒険していると言っておったの。それはわらわの住処にも例外ではなく、

何日かここで住んでおった。住みついてしばらく経った頃、わらわのゴミを見つければ

「どうしてこんなものがここにあるんだ!?」と大層驚いておったのぉー」

 

「ゴミ?」

 

「ああ。その時人間たちが言っていた言葉を思い出せば・・・・・そう、武器とか言っておったわ」

 

この洞窟のどこかに武器があるとは・・・・・一行は不思議そうにしていれば、

 

「あ、あの・・・・・ここってどこなんですか?具体的に言って」

 

「ここは長耳のはねっかえりの言葉で言えば『竜の巣』。わらわの住処であり、

今いる場所は海の中じゃ」

 

「海の中!?私たち、陸にいたはずなのに・・・・・どうやって海の中にある洞窟に来たって言うのよ」

 

アルトルージュが驚愕した。楕円形の穴に入っただけで海にある洞窟の中に移動した

事実を受け入れづらくなった。

 

「このわらわの娘が召喚魔法を行ったからじゃろう」

 

「そう言えば、先ほども召喚がどうのこうのと・・・・・」

 

ルーラがさっきから黙っている少女に目を向ける。どういうことなのかと視線を一身に

浴びせられる少女は息を一つ零した。

 

「おじさまに頼んで持ってきてくれた蛮人が使い魔を得る方法を私も真似してみただけだったの」

 

「蛮人とは?」

 

「人間のことよ」と少女が当然のように言う。

 

「使い魔を得る方法・・・・・魔方陣らしきものもないな」

 

「当然よ。唱えるだけで唱えた本人の言葉を聞き受け入れてくれた使い魔となる生物が

現れるものなんだから」

 

「それは何度もできることなのか?」

 

「いいえ。現れた使い魔を使い魔にする儀式をすれば、

もう呪文を唱えても新しい使い魔となる使い魔は目の前に現れないって書いてあるわ」

 

中々興味深い話を聞く一行。どこの国の人間がそんな事をしているのか興味もわき始める。

 

「で、あなたはどうしてそんな事をするためにわざわざこんな洞窟の中でしていたの?」

 

「蛮人みたいなことをするなって周りからうるさいからこっそりと・・・・・」

 

「同族がいるのね。耳が長いけど・・・・・人間なの?」

 

アルトルージュの指摘に少女は「冗談!私は蛮人じゃないわ!」と否定した。

 

「私はエルフよ。そんで名前はルクシャナ」

 

「エルフ?これはまた、奇妙な巡り合わせだな」

 

「そう言うあなたたちは何者なの?一応、私の召喚儀式に応えてくれたって感じじゃ

なさそうだけど」

 

「ちょっとね。あなたの召喚魔法が発動したところでトラブルが遭ったのよ。

ここに来たのはトラブルから逃れるため。あなたの使い魔になんてなる気はないわよ」

 

「こんな大勢の人間―――」

 

と言おうとしたルクシャナだったが、

 

「ああ、因みに私たちは吸血鬼よ」

 

「私はドラゴンだ」

 

「えっと、人間です」

 

「はいっ!?吸血鬼、ドラゴン!?嘘でしょ、どこからどう見ても人間でしょ!」

 

アルトルージュたちの(一人除いて)正体に目を張った。

 

「ルクシャナとやら、ここは竜の巣という場所らしいが全体的な場所で言うと

どの辺りなのだ?国の名前とかそういうエルフが住んでいる場所の名前があるなら教えて欲しい」

 

ルクシャナは顎に人差し指を添えながら「うーんと」と教えた。

 

「ここは離れた場所だけどエルフの国ネフテスの首都、アディールってなら存在しているわよ。

私はそこで暮らしているの」

 

「・・・・・聞いたことがない国ですね」

 

「私もだな。吸血鬼のお前たちはどうなのだ?」

 

「私たちはそんな遠い場所のことまでわかるわけがないわ」

 

「遠い場所へ行くのも一苦労する」

 

エルフの国の名を聞き覚えがない面々。それからもルクシャナから色々と

情報を提供してもらった。

 

「しかし、どうやって外に出ようかしら」

 

「海の中に潜らないと出られないなんて・・・・・」

 

「それ以前に美少年の意識が戻らないことに気がかりですぞ」

 

「仮に外へ出られたとしても太陽の光が俺たちを苦しめる」

 

「吸血鬼って本当に弱点が多いですね」

 

「「「仕方がないでしょ(だろう)そう言う種族だから」」」

 

純血の吸血鬼組が揃って言う。ヴァレリーが「それじゃ」と聖杯を持った手を突き出した。

 

「三人の弱点をなんとかこの聖杯でなくしましょう」

 

「発現したばかりで大丈夫なの?」

 

「頑張ります。皆一緒に太陽の下で歩けれるようになればきっと・・・・・」

 

聖杯を使って吸血鬼の弱点を無くそうと試みるヴァレリーの近く、

一誠の傍に居座るルーラは同じように気を失っている一誠を興味深そうに

視線を送っているルクシャナに言葉を掛けた。

 

「ところであなたはこの巣のところに良く来るのですか?」

 

「たまにしかこないわよ。えーと、名前は?」

 

「レティシア・J・D・ルーラです」

 

「蛮人みたいに長い名前ね」とルクシャナは言うとルーラはその言葉が気になったのか問うた。

 

「どうして人間を蛮人と呼ぶんですか?」

 

「人間は蛮人だとそう言う風に教えられているからよ。でも、嫌いじゃないわよ蛮人のことは」

 

「なぜ?」

 

「だって―――すっごく興味あるんですもの!」

 

急に目を輝かせるルクシャナ。何に興味あるのかルーラには分からないが、

ルクシャナは自分から言い出した。

 

「私ね、蛮人を研究する学者だから蛮人の世界に溢れている文化って

凄く面白くて興味が尽きないの。だから蛮人はどんな生活をしているのか、

蛮人の世界にどんな文化があるのかこの目で見聞したいほどよ!」

 

「そうだわ」とルクシャナがルーラに問い詰めた。

 

「あなた、蛮人だったわね?だったら蛮人の世界はどんな物があるのか、

どんな生活をしていたのか色々と詳しく教えてちょうだい」

 

「え、えええ・・・・・?」

 

「それじゃ質問するわね?」

 

「有無も言わせないのですか!というか、私の意思は無視?」

 

と、何かに憑かれたようなルクシャナが執拗にルーラへあれこれ質問攻めしている余所に

クロウ・クルワッハはドラゴンと別の洞窟にいた。

 

「ここが人間たちが住みついた場所さ」

 

「不思議だな。長い年月が経っていると聞いているがどれもこれも真新しい状態ではないか」

 

洞窟の中は昨日まで誰かが住んでいたような雰囲気を感じさせる椅子やテーブル、

キッチンや棚、ベッドに数多のランプが洞窟の至るところに設けられている。仕舞には―――。

 

「何故こんな所に人間たちの武器がある?」

 

黒と金のオッドアイの視界に映る武器が真新しい状態で並んでいた。

銃、剣、槍、盾、鎧、大砲、戦車・・・・・、そして戦闘機や潜水艦、

しかも金銀財宝まであった。

 

「あの人間たちもわらわが集めたゴミに大層驚いておったがなにをしたのか分からないが使えないゴミを使えるようにしたのじゃ。

それからここに来ては色んな物を置くようになった。最近は来ておらんがの」

 

ドラゴンが顔を愉快そうにクロウ・クルワッハに近づけながらそう言うと、

机の上に写真立てのようなものが置いてあったことに気付いた。

 

「・・・・・なるほど、兵藤一誠はこの者たちの・・・・・」

 

若い時の写真か、男と女が映っていた。それから本棚を一つ一つ開いては読んで

調べていると一冊だけ日記帳みたいな二つの本を見つけた。最初に青い日記帳を開いた。

 

 

○月☓日 一香と共にハルケギニアという国にやってきて今年で数年目。

今日は休暇だからハルケギニアの皆が恐れているエルフを会うついでに

この島にやってきた。海に潜って冒険をしてみれば穴があって奥はどうなっているのか

当然気にならない俺たちではない。

深奥まで潜ってみればなんと海母と呼ばれているドラゴンと出会った。

 

 

「海母―――、お前はそう言う名前だったのか」

 

「そう言えば名乗っておらんかったの。それで何か分かったかえ?」

 

「ああ、ハルケギニアという国もあるそうだな。そこでこの二人の人間が暮らしていたのか」

 

今度は回日記帳のページをめくると、

 

 

▽月♪日 誠と家から飛び出して色々な国に行って様々な神話体系の神と出会っては誠が

喧嘩っ早い神と殴り合い。たまに私に欲情して襲いかかってくる男の神に対しては、

その神が許しを乞うても目が笑っていない笑みを浮かべたまま攻撃をする。

うふふ、私って誠に心底愛されているわね。

でも大丈夫、私も誠に言い寄る女、女神を近づけさせないわよ。

近づいたら―――式森の禁断の魔法のオンパレードだから♪

 

 

「・・・・・この時から色んな神と出会ってきたのか」

 

これを元の場所に戻した方がよいだろうと思うが、この先に必ず必要なものになるはずだと

二つの分厚い日記帳を亜空間に仕舞った。

 

「海母よ。お前が言うこのゴミをいくつか持って行っていいか?」

 

「構わぬよ。わらわはゴミを守っているわけではないからの。それにあの坊やと関係があるのじゃろ?」

 

「子供だよ。多分だがこの兵藤誠と兵藤一香のな」

 

海母は目を丸くしたと思えば「久しく会っていない人間たちの子供と出会うとは、

長生きをするもんじゃの」と微笑ましく言った。クロウ・クルワッハは

これから必要になる物だけを亜空間に仕舞う物を物色し始めた。

 

「この様々な武具はただの武具ではないな。神聖な力、禍々しい力を感じる」

 

ふと、ある物に目を止めさせた。クロウ・クルワッハは信じがたいと目を丸くした。

 

「こんな物までここにあるとは・・・・・」

 

クロウ・クルワッハは一つの剣と槍を手にした。槍は穂が五本にも分かれている。

その槍を見て脳裏にある光景が浮かび思い出す。

 

「太陽神が持っていた槍と同じだ。これはレプリカか?」

 

一方、もう一つの剣も見た。鞘に入った状態だが、剣の柄を掴んで抜き取ると刀身が

見えないが、よく目を凝らすと、魔力によって構築された刀身を視認することができた。

 

「―――フラガラッハ。よもやこんな剣まで・・・・・」

 

「お前さんにとって因縁のある武器かえ?」

 

海母が声を掛けてきた。クロウ・クルワッハは剣を見詰めたまま頷いた。

 

「かつて私が暗黒龍として戦っていた時に元主を倒した一人の英雄が持っていた武器だ」

 

「ふぇふぇふぇ、それはまた因果を感じてしょうがないさね」

 

「ああ、アレから随分と時が経っているはずなんだが、

どうやってこの武器を手に入れたのか聞きたいぐらいだ」

 

「なら、会って聞けばいい。まだ生きているはずだろうて」

 

「・・・・・そうだな。そうしよう」

 

鞘に収め亜空間に仕舞いこむ。それから「これもか」とクロウ・クルワッハを驚嘆させる物も

ありそれも仕舞う。

 

「兵藤誠、兵藤一香。そして兵藤一誠・・・・・お前たちは一体世界にとってどんな

存在だというのだろうな」

 

同時刻。アルトルージュたちがいる洞窟では、呻き声を上げる一誠が重たげに目蓋を開けた。

 

「・・・・・ここ、どこ・・・・・?」

 

「あっ、一誠くんが起きました!」

 

ルーラが歓喜の声と共に面々へ知らせたことで一斉に集まり出す。

 

「一誠、大丈夫?」

 

「・・・・・身体がダルい」

 

「暴走気味で暴れていたから当然だろう」

 

「ここってどこなの・・・・・?牢屋?でも、海の匂いがするね」

 

「ここは海の中にある洞窟です」

 

何で自分と他の皆がこんな場所にいるのかと思うが、自分に声を掛けてくる

聞き覚えのない女の声が聞こえた。声がした方へ振り向けば自分を

見降ろす女性が近づいてきていた。

 

「気が付いたか、兵藤一誠」

 

「・・・・・えと、誰?」

 

一誠にとって初めて会う黒いコートを身に包む黒と金が入り乱れた長髪に黒と金のオッドアイの女性。

クロウ・クルワッハは名乗り上げた。

 

「ネメシスとアジ・ダハーカと同じ邪龍、『三日月の暗黒龍(クレッセント・サークル・ドラゴン)』クロウ・クルワッハだ」

 

「邪龍!?」

 

その単語を聞いた途端に目を輝かせた。物凄く嬉しそうな顔をするなと思っていると

一誠の手の甲に宝玉が浮かんだ。

 

『こいつは色んなドラゴンと出会いたがっていてな。邪龍すら会いたいと言う

変わり者で物好きなドラゴンだ』

 

「そうか。私もグレートレッドとオーフィスの力を唯一有しているドラゴンを会いたかった。

兵藤一誠、お前を連れて帰るようにオーフィスから頼まれている」

 

「オーフィスと会ったの?じゃあ、リーラさんも会ったんだね」

 

「ああ、そうだが少々それが遅れそうになるな」

 

「どうして?」

 

「私たちはどうやら異国にやってきたのだからな。お前が寝ている間に」

 

「え?」と信じられないと漏らす。だが、今いる場所は吸血鬼の世界ではないことだけは分かる。

だが、ヨーロッパのどこか、海の近くの洞窟に隠れているんじゃないかと思う一誠に

問いかけの言葉が投げられた。

 

「兵藤一誠、お前はハルケギニアという国の名前を知っているか?」

 

「ハルケギニア?ううん、知らない」

 

「お前の両親、兵藤誠と兵藤一香がその異国で数年間住んでいた国らしい。これに書いてあった」

 

亜空間から分厚い日記帳を取り出して一誠の前に渡した。洞窟の壁が淡い光に包まれているのは、

発光性のコケが生えているおかげでぼんやりとだが日記帳の文字が見える。

しばらく日記帳を読んでいた一誠は漏らした。

 

「・・・・・お父さんと母さん、ここに来たことがあるんだ」

 

「不思議な縁だと思うぞ。これは偶然と片付けるには軽くないはずだ。お前の家族は一体何者だ?」

 

「そう言われても分からないよ・・・・・」

 

今どこで何をしているのか分からない自分の家族。何者だと言われても言えることは

自分の家族としか言えない。

 

「ところで、ここはどこなの?」

 

「海母というドラゴンが棲んでいる巣だ」

 

「ドラゴン?」

 

また目を輝かす一誠。本当にドラゴンと出会いたがっているのだなと理解した。

 

「ねね、クロウ・クルワッハ」

 

「なんだ?」

 

「僕の家族になってくれない?」

 

純粋な眼差しを向けてくる一誠をクロウ・クルワッハは逆に見つめ返す。

 

「家族とは?」

 

「友達だよ」

 

「友達か。オーフィスもお前の中に宿っているドラゴンたちも皆友達なのか?」

 

「うん、友達だよ。大切な家族」

 

嬉しそうに笑む一誠。同じドラゴン同士何か通じるものがあるのか、

それともそうすることで何か得られるのか、

一誠は何を考えて邪龍すら会いたがるかクロウ・クルワッハは分からない。

ただし、クロウ・クルワッハは思った。

 

「(このドラゴンを見ていけばドラゴンが行き着く先を見れるかもしれないな)」

 

同時にオーフィスから聞いたグレートレッドとオーフィスの力を唯一有する今まで

見聞したことがないドラゴン。同じドラゴンとして気にならない訳がない。

興味や好奇心が湧き、一誠に問うた。

 

「お前について行けば、私に何が得られる?」

 

「え、うーん・・・・・色んな人に出会える?」

 

「例えば?」

 

「僕は強くなりたいからさ。父さんと母さんが色んな人にお願いして僕を強くして貰っているんだ。

次はどんな人のところで強くなるか分からないけど、

きっとオー爺ちゃんや海の神さま、空の神さまとか帝釈天のおじさん、

孫悟空ってお猿のお爺ちゃんのところに行くかもしれない」

 

ドラゴンとはいえまだ子供な一誠。子供の戯言であると初めて

一誠と出会ったものが思うかもしれない言葉を―――。

 

「分かった。私も一緒について行こう」

 

『『『『返事早っっっ!』』』』

 

目を輝かしたクロウ・クルワッハにネメシスたちが揃ってツッコミを入れるほど

一誠と共に行くことを決めた最強の邪龍であった。一誠から発せられる

名前はどれもこれも有名で強い者たち。その者たちの手ほどきを受けれるのであれば

必ず強くなれる。人間界と冥界を見聞しながら修行しているクロウ・クルワッハにとっても

悪くない話しどころか寧ろその逆、最高に良い話しである。

 

「嘘ではないな?」

 

「嘘じゃないよ。魔王のおじさんとか神王のおじさんとか会ったことがあるんだもん」

 

「そうか、ふふっ。これからが楽しくなりそうだ」

 

口元を笑ますクロウ・クルワッハ。

 

『・・・・・クロウ・クルワッハまで傍に置かすとは』

 

『俺が言うのもなんだが、邪龍を魅了させる何かが持っているのか?』

 

『・・・・・ドラゴンキラー』

 

『メリア、それはドラゴンを殺す言葉だぞ・・・・・いや、ある意味そうなのか?』

 

新たな仲間、最強の邪龍『三日月の暗黒龍(クレッセント・サークル・ドラゴン)』クロウ・クルワッハが加わった瞬間だった。


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